トルコの音楽家によるワールドミュージック「Islam Blues」
Musician●Kudsi Erguner(read flute)
Title●Islam Blues(2001年)
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トルコ伝来の民族音楽の巨匠Kudsi Erguner(クドゥシ・エルグネル)による2001年の作品です。良質なジャズ作品を送り出すACTレーベルよりリリースされています。ACTといえばジャンルにとらわれないワールドミュージックの宝庫ですが、どちかと言えばジャズと民族音楽との融合を好む傾向が感じられます。この作品などはその典型ではないでしょうか。
Kudsi Ergunerというトルコのリード奏者のことは予備知識がまったくなかったのですが、調べてみると同国では巨匠的な存在で、イスラム神秘主義とスーフィーイズムを信条とする一連の音楽を「スーフィー音楽」と呼んでいるとか。音楽的起源を辿るとオスマントルコ時代にまでさかのぼることができるそうです。西欧音楽の基本であるハーモニー(和声)や対位法という概念がまったく存在しないトルコ音楽の感覚は、むしろアジア人である我々のほうが親和性を感じるのではないでしょうか。
受け売り知識ばかりで馬脚を現しそうなので、先を急ぎます。当欄の注目点は当然ギタリストであって、このイスラム集団にACTの看板ギタリストNguyen Le(グエン・レ)がゲスト参加しているのです。Nguyen Leは両親がベトナム出身でパリで生まれ育ったという経歴の持ち主ですが、自身のアルバムでも積極的にジャズとイスラム民族音楽との融合を図っています。
Nguyen Leにとってのイスラムは北アフリカのアルジェリアが中心で、音楽的には北アフリカ民族音楽と西欧ポップとの融合である「ライ音楽」が中心でした。ただ今回、トルコのミュージシャンと組むことで、さらにイスラム志向が強まったことは確かなようです。そのくらいまったく違和感なく溶け込んでいます。
●Musicians
Kudsi Erguner / ney(read flute)
Yunus Balcioglu / vocals
Halil Neciboglu / vocals
Bruno Cailat / bass,percussions
Derya Turkan / kemence(turkish violin)
Haken Gungor / kanun(sitar)
Nguyen Le / guitar
Renaud Garcia-Fons / bass
Mark Nauseef / drums
Karim Ziad / drums
●Numbers
1. One Word
2. Adjem Blues
3. Mediterranien
4. Sarki
5. Camel
6. Moonrise
7. Twins
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