Nguyen Leが繰り広げる音の万華鏡「Walking on a Tiger's Tail」
Musician●Nguyen Le(guitar)
Title●Walking on a Tiger's Tail(2005年)
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両親がベトナム人でパリで生まれ育ったジャズギタリスト、Nguyen Le(グエン・レ)が2005年にリリースした作品です。良質なジャズアルバムを次々と送り出すACTレーベルからリリースされています。
当欄で何回も取り上げているイチ押しギタリストですが、残念ながら日本での知名度はあまり高くないようです。スタイルとしてはECMレーベルの大御所John Abercrombieあたりのコンテンポラリー系にあたると思いますが、Scott hendersonやAllan Holdsworthなどのテクニカル系やJimi Hendrixなどのロック系などからの強い影響を感じさせます。
また民族的な出自からベトナム民族音楽はもちろん、日本や韓国の民族音楽に対する造詣も深く、アジアテイストとジャズとの融合にも果敢に取り組んでいます。
さらに言うとかつてフランスが宗主国だった関係からアルジェリアを中心としたマグレブ地方の民族音楽と欧米ポップとを融合した「ライ音楽」の中心人物でもあり、まさにワールドミュージックを体現しているミュージシャンでもあるのです。
一見してウインダムヒル風で落ち着いたオープニングから「おや?作風が変わったのか?」と思わせながらも、徐々にエンジンがかかってくると、あとはNguyen Leの独壇場。Nguyen Leのプレイスタイルは力任せに弾き倒すことなく、バックとの調和を重視するタイプ。心地よいエスニカルなサウンドに身を任せていると、知らず知らずのうちに、いつの間にか忍び寄ってきてその絶妙なプレイに気がついたら魅了されてしまうという感じです。
決して派手さはありませんが、フレーズはかなり特徴的ですし、聴きようによっては「変態系ギタリスト」にも通じるテイストが満載です。
なによりも絶妙なアームの使い方は、やはりアジアらしい繊細さを感じます。そのあまりにも個性的なプレイは、共通点を見出せるギタリストはおそらく皆無で、だからこそヨーロッパのコンテンポラリー系ジャズシーンでは、引っ張りだこの人気を誇っているのでしょう。しっかりと自己主張しているプレイは、いったんはまると病み付きになる魅力をもっています。というか、こんなギタリストは空前にして絶後だと思います。
●Musicians
Nguyen Le / guitars,electronics
Art Lande / piano
Paul McCandless /tenor,sopranino sax,oboe,english horn,bass clarinet
Jamey Haddad / drums,percussions
●Numbers
1. Wingless Flight
2. Yielding Water
3. Totsu !
4. Snow on a Flower
5. Jorai
6. Butterfly Dream
7. Walking on the Tiger's Tail
8. Bee
9. Evening Glory
10. Zamora
11. Eventail.07
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