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2011年1月29日 (土)

Mick Goodrick / In Pas(s)ing(1978年)

R0010378
Musician●Mick Goodrick(guitar)
Title●In Pas(s)ing(1978年)
■ディスクユニオンで購入

実力やキャリアは十分すぎるほどありながらマイナーな存在に甘んじているミュージシャンはゴマンほどいます。今回ご紹介するECMの重鎮Mick Goodrick(ミック・グッドリック)などはその典型ではないかと思われます。Jim Hallの後継者として、またコンテンポラリー系ギタリストの旗手として、John Abercrombieと並んでECMの屋台骨を長年担ってきているのですが、Abercrombieがどんどんソロアルバムをリリースしているのに対して、Goodrickは極端な寡作。ECMでの活動としてはGary Burtonのバックが目立つ程度で、唯一同レーベルからリリースされたのがこの作品です。

しかしメンバーは凄いですよ。Jack DeJohnette(ジャック・ディジョネット)、Eddie Gomez(エディ・ゴメス)、John Surman(ジョン・サーマン)というECMが誇る超豪華ラインアップです。これは良くも悪くも彼の長いキャリアの賜物なのでしょう。

そんな豪華メンバーを背後に従えながらも、Goodrickのプレイは大変地味です。いつもはガンガン前に出るタイプのSurmanですら主役に気を遣って控えめなプレイに徹しているのに、Goodrickはサイドメン的な役割に回ってしまっています。しまいにはGomezのベースソロの引き立て役まで引き受けてしまうほどの謙虚さです。結局、ギタリストとしての華であるソロワークをほとんど披露することなく、淡々としたプレイなのです。いや、#4「Pedalpusher」という曲では短いながらも実に美しいソロワークを聴かせてくれます。とは言ってももっと「我」を全面に押し出してもいいのに、と歯がゆくなってきます。これも長年名セッションギタリストとして活動してきた「性」がそうさせるのでしょうか。

Goodrickは母校であるバークリー音楽院での講師を務めていました。門下生にはMike Stern、Bill Frisell、John Scofield、Pat Methenyがいたとか。教え子たちがどんどん世に出て活躍している姿を見守りながら、師匠は地味に地味に活動しているのです。ここまでくると哀愁すら漂ってきます。そういえば、Jack DeJohnetteのツアーに同行していた時期もありましたが、特別ゲストとしてMethenyが登場したときもGoodrickは息を潜めてニコニコと微笑みながらバックに徹していました。

なんだか実も蓋もない批評になってしまいましたが、彼の数少ないリーダー作の中でECM以外に目を向けると「BIORHYTHMS」というアルバムがあります。こちらは結構ハードなプレイです。特に第1曲目では変拍子のリズムに合わせて、Goodrickのギターが縦横無尽に飛び回り、妙な昂揚感に引き込まれていきます。大変お勧めです。

●Musicians
Mick Goodrick / guitar
John Surman / soprano,baritone sax,bass clarinet
Eddie Gomez / bass
Jack DeJohnette / drums

●Numbers
1.  Feebles, Fables And Ferns
2.  In The Tavern Of Ruin
3.  Summer Band Camp
4.  Pedalpusher
5.  In Pas(s)ing
R0010379

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ジャズギター」カテゴリの記事

コメント

インパッシングは微妙な位置づけの作品ですよね~
MG先生に対して、近作のムースピールとのDUOライブ盤や、トリオ盤「In the same breath」で興味を持った方が、深堀りをしたい場合等には適した作品なのかもしれませんが…

実際のところ、インパッシングから入って、あまりの地味さに、MG嫌いになってしまった知り合いがいます(^ ^;

カルテット演奏では、レギュラーメンバーで演奏される「Sun Screams」の方が圧倒的に素晴らしい内容かと思います。
特に、Track1の In your own sweet way は、多くの奏者・盤にて演奏されているスタンダード・ナンバーですが、その中でも屈指の名演だと思います。
MG嫌いの友人に紹介したところ、こんなすばらしいギタリストだったのか!と目からウロコだったそうです。

最近だと、(繰り返しになりますが)ムース・ピールとのDUOライブ盤は、コンテンポラリーギタージャズの最高峰に近いできばえだと思います。
(DUO盤では入手困難盤の「Rare Bird」もありますが、これよりムース・ピールとのDUO作品の方が圧倒的に素晴らしい!)

「BIORHYTHMS」は、滋味深く・緻密なイメージのMG先生にしては、確かに、かなりシャカリキ&ハッチャキに演奏している作品で楽しめますね。

ちなみに「Cities」では、更にハードに演奏し、フリーに片足をつっこんでいる様な曲もあり、若き日?のMG先生のパフォーマンスを存分に楽しめるのですが、いかんせん、こちらは入手困難盤で残念です… 再プレスも期待できそうにありませんし。惜しいです事です。

ではでは~

いやぁ 記事もすごいけどコメント↓もすごい 。

betta taroさま、コメントありがとうございます。

「Cities」はずっと探しているのですが、なかなか見つかりま聴いていませんので、聴き直してみようかと思います。
「BIORHYTHMS」はとてもユニークな作品だ思うのですが、まるで話題にならず…マイナー好きの道は厳しいものがあります(笑)

Mic Goodrickさんてそんなにすごい方なのですか?調べてみるとPat Metheny、John Scofield、 Mike Stern やBill Frisellにも教えてたとありますが。。私の息子が今度バークリーで教えてもらうようになったそうなのでもし何か情報ありましたらご教授下さい。

toshgushさま

コメントありがとうございます。
ご子息、素晴らしいですね。おめでとうございます。
Mick Goodrickの近況はよく存じ上げないのですが、
パット・メセニーのライブにサポートメンバーとして参加している
映像を見たことがあります。
ほとんどの人は「あの人は誰?」状態だったのではないかと
思われます。

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