John Surman / Morning Glory (1973年)
Musician●John Surman(soprano sax,bass clarinet,synthesizer)
Title●Morning Glory(1973年)
■ディスクユニオンで購入
英国フリージャズ界の大御所John Surmanが1973年に行ったセッション音源です。メンバーがこれまた凄くてJohn Marshall、John Taylor、Malcolm Criffiths、Chris Laurenceに加えてECMの看板ギタリストTerje Rypdalが参加しています。クレジットには明記されていないのですが、どうも一発録りのガチンコセッション音源のようです。
Surmanについては当欄でもたびたび取り上げていますが、60年代後半から70年代初頭にかけて行っていたセッション音源とこの音源を聴き比べてみると、ここでは明らかな変節ぶりが感じられます。勢いにまかせてひたすらブロウしまくっていたプレイスタイルからアンサンブル重視に。ゴリゴリ押しまくるワンマン志向から各パートの自主性に任せた集団フリー体制にという案配です。
特に素晴らしいのがドラムのJohn MarshallとギターのTerje Rypdalです。Marshallは同じ英国出身のStu MartinやJohn Stevenceなどと違ってやたらと手数が多いテクニシャンですが浮遊感で勝負するSurmanとの相性が抜群ではないかと個人的には思っています。一方、ノルウェー出身でECMの看板ギタリストRypdalは相変わらずつかみ所がわからないソロを連発していますが、ECMではあまり聴かれないハード&アグレッシヴなプレイを披露しています。特に混沌としたカオスの世界が延々と続く#2「Iron Man」でのカッティングは出色の出来ばえ。Malcolm Criffithsのトロンボーンも効いていますね。
この盤はアナログ時代は大層な値段がついて入手困難でしたが、1995年にCD復刻しています。とは言え、そんなに簡単に入手できるという感じではありません。実は某ディスクユニオンで数年前に「英国ジャズロック祭り」という奇特かつ素敵なキャンペーンが開催されまして、やっと入手できた次第です。由緒正しい英国ジャズロックを語るうえで欠かせない傑作だと思います。
●Musicians
John Surman / soprano sax,bass clarinet,synthesizer
John Marshall / drums
John Taylor / piano
Malcolm Criffiths / trombones
Chris Laurence / bass
Terje Rypdal / guitar
●Numbers
1. Cloudless Sky
2. Iron Man
3. Norwegian Steel-Septimus
4. Hine Illae Lacrimac - For US All(Hence The Tears)
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コメント
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これは知らなかったです。スゴイ。探してみよと。
投稿: ぺぺんた | 2011年1月31日 (月) 19時56分
奇天烈音楽士さん,おはようございます。TBありがとうございました。
私が入手したのは最近の再発盤ですが,このアルバム,Terje Rypdalがつくづく効いてますねぇ。John Surmanは相変わらずのSurmanですが(笑)。いかにも英国的フレイヴァーに溢れていて,「由緒正しい」というのは全く同意見です。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年6月 4日 (土) 07時54分
中年音楽狂さま
TBありがとうございます。ここにきて英国ジャズロック盤の再発が続いていてうれしい限りです。仰るようにTerje Rypdalの貢献度が大ですね。妙なカッティングが混とんとしたサウンドに絶妙なスパイスとなって作用しています。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年6月 4日 (土) 09時33分
どうもどうも、ナルシスというジャズ喫茶でこのレコードを聴いています。凄いインパクトですね。ギターもぎゅんぎゅん鳴っています。
次にDERAMの赤いジャケットのレコードがかかっていますが、こちらはラテンのようで、ギャップに驚いてます。
投稿: きんのすけ | 2017年5月23日 (火) 22時17分
サーマンとリピダルが共演した異色作ですね。これも名盤中の名盤です。
投稿: junya | 2017年6月20日 (火) 21時27分
きんのすけさま
返信が遅くなりました。そうですか、いかにもジャズ喫茶に似合う音楽ですよね。赤いジャケットってサーマンの顔を描いた盤でしょうか?
確かにあの盤は意表をついていますね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2017年6月25日 (日) 20時44分
junyaさま
コメントありがとうございます。
当時の英国ジャズロックはかなり盛んに音楽的他流試合を
展開していたようで、意外な組み合わせのセッション活動が
多かったようですね。
この盤もその一つで、ECMも他流試合を積極的に推奨していたのでは
と思います。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2017年6月25日 (日) 20時51分