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2011年1月

2011年1月31日 (月)

John Surman / Morning Glory (1973年)

R0010380
Musician●John Surman(soprano sax,bass clarinet,synthesizer)
Title●Morning Glory(1973年)
■ディスクユニオンで購入

英国フリージャズ界の大御所John Surmanが1973年に行ったセッション音源です。メンバーがこれまた凄くてJohn Marshall、John Taylor、Malcolm Criffiths、Chris Laurenceに加えてECMの看板ギタリストTerje Rypdalが参加しています。クレジットには明記されていないのですが、どうも一発録りのガチンコセッション音源のようです。

Surmanについては当欄でもたびたび取り上げていますが、60年代後半から70年代初頭にかけて行っていたセッション音源とこの音源を聴き比べてみると、ここでは明らかな変節ぶりが感じられます。勢いにまかせてひたすらブロウしまくっていたプレイスタイルからアンサンブル重視に。ゴリゴリ押しまくるワンマン志向から各パートの自主性に任せた集団フリー体制にという案配です。

特に素晴らしいのがドラムのJohn MarshallとギターのTerje Rypdalです。Marshallは同じ英国出身のStu MartinやJohn Stevenceなどと違ってやたらと手数が多いテクニシャンですが浮遊感で勝負するSurmanとの相性が抜群ではないかと個人的には思っています。一方、ノルウェー出身でECMの看板ギタリストRypdalは相変わらずつかみ所がわからないソロを連発していますが、ECMではあまり聴かれないハード&アグレッシヴなプレイを披露しています。特に混沌としたカオスの世界が延々と続く#2「Iron Man」でのカッティングは出色の出来ばえ。Malcolm Criffithsのトロンボーンも効いていますね。

この盤はアナログ時代は大層な値段がついて入手困難でしたが、1995年にCD復刻しています。とは言え、そんなに簡単に入手できるという感じではありません。実は某ディスクユニオンで数年前に「英国ジャズロック祭り」という奇特かつ素敵なキャンペーンが開催されまして、やっと入手できた次第です。由緒正しい英国ジャズロックを語るうえで欠かせない傑作だと思います。

●Musicians
John Surman / soprano sax,bass clarinet,synthesizer
John Marshall / drums
John Taylor / piano
Malcolm Criffiths / trombones
Chris Laurence / bass
Terje Rypdal / guitar

●Numbers
1.  Cloudless Sky
2.  Iron Man
3.  Norwegian Steel-Septimus
4.  Hine Illae Lacrimac - For US All(Hence The Tears)
R0010381

2011年1月30日 (日)

オランダのジャズフュージョンバンド「Isotope」にギターモンスターHallebeekが参加

R0010409
Musician●Isotope
Title●Perception Of The Beholder(2002年)
■Gemm.comより購入

オランダのジャズフュージョン系ミュージシャンが中心になって結成されたユニット「Isotope」によるおそらく唯一の作品です。メンバーはRob Van Babel(keyboards)、Udo Pannekeet(bass)、Sebastiaan Cornelissen(guitar、drums)という構成。Sebastiaan Cornelissenはソロ作品を何作か出しているので、ご存じの方もおられるでしょう。ちなみに1970年代にゲイリー・ボイルが在籍した英国出身のジャズロックユニット「Isotope」とは当然無関係です。2002年リリース。

音としてはごく普通のジャズフュージョン。ブラスを多用したジャジーな音づくりは格好いいといえば格好いいのですが、作品としてはあまり特筆するべき点は実はあまりないのです。ただ当欄としては#6「24 Pilot Lights」という曲のみにオランダのギターモンスターRichard Hallebeekが参加していることをお伝えしないといけません。一発でHallebeekとわかるヴォイシングと超絶フレーズは流石としか言いようがありません。御大Allan Holdsworthの引退説がまことしやかに囁かれるなか、Hallebeekが跡目を継ぐ最右翼的存在ではないかと思うのですが、いかんせん知名度が低いのが残念なところです。

●Musicians
Rob Van Babel / keyboards
Udo Pannekeet / bass
Sebastiaan Cornelissen / guitar,drums
Richard Hallebeek / guitar
Ruud Breuls / trumpet

●Numbers
1.  Compound
2.  Bowshock Nebula
3.  Soundset
4.  Rename Later
5.  Perception Of The Beholder
6.  24 Pilot Lights
7.  12 Men Left
8.  Dipsy
9.  Voodoo Horns
R0010410

2011年1月29日 (土)

Mick Goodrick / In Pas(s)ing(1978年)

R0010378
Musician●Mick Goodrick(guitar)
Title●In Pas(s)ing(1978年)
■ディスクユニオンで購入

実力やキャリアは十分すぎるほどありながらマイナーな存在に甘んじているミュージシャンはゴマンほどいます。今回ご紹介するECMの重鎮Mick Goodrick(ミック・グッドリック)などはその典型ではないかと思われます。Jim Hallの後継者として、またコンテンポラリー系ギタリストの旗手として、John Abercrombieと並んでECMの屋台骨を長年担ってきているのですが、Abercrombieがどんどんソロアルバムをリリースしているのに対して、Goodrickは極端な寡作。ECMでの活動としてはGary Burtonのバックが目立つ程度で、唯一同レーベルからリリースされたのがこの作品です。

しかしメンバーは凄いですよ。Jack DeJohnette(ジャック・ディジョネット)、Eddie Gomez(エディ・ゴメス)、John Surman(ジョン・サーマン)というECMが誇る超豪華ラインアップです。これは良くも悪くも彼の長いキャリアの賜物なのでしょう。

そんな豪華メンバーを背後に従えながらも、Goodrickのプレイは大変地味です。いつもはガンガン前に出るタイプのSurmanですら主役に気を遣って控えめなプレイに徹しているのに、Goodrickはサイドメン的な役割に回ってしまっています。しまいにはGomezのベースソロの引き立て役まで引き受けてしまうほどの謙虚さです。結局、ギタリストとしての華であるソロワークをほとんど披露することなく、淡々としたプレイなのです。いや、#4「Pedalpusher」という曲では短いながらも実に美しいソロワークを聴かせてくれます。とは言ってももっと「我」を全面に押し出してもいいのに、と歯がゆくなってきます。これも長年名セッションギタリストとして活動してきた「性」がそうさせるのでしょうか。

Goodrickは母校であるバークリー音楽院での講師を務めていました。門下生にはMike Stern、Bill Frisell、John Scofield、Pat Methenyがいたとか。教え子たちがどんどん世に出て活躍している姿を見守りながら、師匠は地味に地味に活動しているのです。ここまでくると哀愁すら漂ってきます。そういえば、Jack DeJohnetteのツアーに同行していた時期もありましたが、特別ゲストとしてMethenyが登場したときもGoodrickは息を潜めてニコニコと微笑みながらバックに徹していました。

なんだか実も蓋もない批評になってしまいましたが、彼の数少ないリーダー作の中でECM以外に目を向けると「BIORHYTHMS」というアルバムがあります。こちらは結構ハードなプレイです。特に第1曲目では変拍子のリズムに合わせて、Goodrickのギターが縦横無尽に飛び回り、妙な昂揚感に引き込まれていきます。大変お勧めです。

●Musicians
Mick Goodrick / guitar
John Surman / soprano,baritone sax,bass clarinet
Eddie Gomez / bass
Jack DeJohnette / drums

●Numbers
1.  Feebles, Fables And Ferns
2.  In The Tavern Of Ruin
3.  Summer Band Camp
4.  Pedalpusher
5.  In Pas(s)ing
R0010379

2011年1月28日 (金)

北欧出身の鍵盤楽器奏者Lalle Larsson's Weaveworldの2nd

R0010405
Musician●Lalle Larsson(keyboards)
Title●Infinity Of Worlds(2010年)
■メーカーサイトより購入

スウェーデン出身でジャズフュージョン界で活躍する鍵盤楽器奏者Lalle Larsson(ラレ・ラーション)による2010年の作品です。Lalle Larssonはやはり2010年に「Weaveworld」というアルバムをリリースしましたが、どうもプロジェクト化したようでこの作品では「Lalle Larsson's Weaveworld」名義になっています。参加メンバーはもはや盟友とも言えるオランダが生んだギターモンスターRichard Hallebeek(リチャード・ハレビーク)、第2のギタリストとしてStefan Rosqvist、Jonas Reingold(bass)、Michael Walle Wahlgen(drums)という前回と同じ構成です。

前作「Weaveworld」ではクラシックの要素をふんだんに導入したドラマチックな構成が実に印象的でした、この作品も基本的には同じトーンで踏襲されています。ただ印象としては楽曲自体がコンパクトにまとまったうえに、各パートの露出量が増えているためか、前作ほどのドラマ性というか盛り上がり方が薄まったように思えます。言い方を換えれば特にギターの登場が増えたので、バンドっぽくなりましたね。だから「Lalle Larsson's Weaveworld」なんでしょうか。

当欄の注目点としては相変わらずのRichard Hallebeekなのですが、少しばかり驚いたのがもう一人のギター奏者Stefan Rosqvistの重用ぶりと長足の進歩ぶりです。このStefan Rosqvistという人はおそらくかなりマイナーだと思われます。以前超マイナーレーベルLHRレコードから出ていたソロ作品があまりにも冗長な仕上がりだったので、個人的には完全にノーマークでした。ところがここではHallebeekに負けず劣らずの大活躍ぶりなのです。その証拠にオープニング曲はHallebeek抜きでRosqvist一人で担当することに。それがDTばりの格好良さなので驚いた次第です。

しかし、過剰にHallebeekを意識し過ぎているので、クレジットで確認しないと2人の区別がつかない結果に(笑)。頑張りは認めますが、もう少しばかり「個性」を出してほしかったわけです。

一方のエース格Hallebeekは相変わらずのHoldsworthyぶりを発揮していますが、流石の安定感です。間違いなくポストHoldsworth、ポストHendersonの最右翼だと思うのですが、いかんせん日本では知る人ぞ知るという立場に甘んじているのが不思議でなりません。

●Musicians
Lalle Larsson / keyboards
Richard Hallebeek / guitar
Stefan Rosqvist / guitar
Jonas Reingold / bass
Michael Walle Wahlgen / drums

●Numbers
1.  A Demon's Kiss
2.  Otherworldly
3.  City Of Lost Souls
4.  Beyond Shadows
5.  Lemuria
6.  Infinity Of World
R0010406

2011年1月27日 (木)

Steve Huntの初ソロ「From Your Heart & Your Soul」

R0010382
Musician●Steve Hunt(drums,keyboard)
Title●From Your Heart & Your Soul(1997年)
■Guitar Nineから購入

1980年代前半からテクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworthと共演しているドラム兼鍵盤楽器奏者Steve Hunt(スティーヴ・ハント)によるソロアルバムです。1997年リリース。豊富な活動歴のためなのか本人の政治力なのかはわかりませんが、参加ゲストが実に豪華絢爛です。ギターはBruce Bartlettと上司であるAllan Holdsworth。ベースはHoldswrthと共演歴があるSkuli Sverrisson、ドラムはやはりHoldsworthつながりでZappaバンドにも在籍したChad WackermanやGregg Bendionなどと凄腕ミュージシャンの名前がズラリ。

Holdsworthは「Wring It Out」という1曲のみの参加ですが、3分以上にもわたる素晴らしいソロを聴かせてくれます。どこかのレビューで「近来希にみる素晴らしいギターソロ」と書かれていた記憶がありますが、まさに偽りなし。相変わらず流麗で流れるようなレガートには溜息がでるほどの美しさです。しかし、Holdsworthは自身作品よりも客演のほうが力がこもった熱演をするのは、いったいどんな理由なのでしょうか。たぶん部下の前だと力が抜けて、リラックスできるのでしょうか。この曲のためにアルバムを入手しても十分お釣りが返ってくるほどの熱演です。

おっと忘れてはいけない、オープニング曲「One Thing After Another」で登場するもう一人のギタリストBruce Bartlettはアメリカ西海岸で活躍する名セッションギタリストですが、火の出るような凄まじいソロも溜息ものです。あまりにHoldsworthがすばらしいのでみなさん忘れがちですが、当欄一押しギタリストとしてピックアップしておきます。

ラスト「Funnels」はご存じHoldsworthの曲ですが、Steve Huntが実に美しい生ピアノを披露しています。ちゃんと上司の曲で最後を締める処世術はさすがですね。

●Musicians
Steve Hunt / piano,synthe
Bruce Bartlett / guitar
Allan Holdsworth / guitar
Skuli Sverrisson / bass
Chad Wackerman / drums
Gregg Bendion / drums
Steve Michaud / drums
Ole Mathisen / sax
John Lockwood / bass
Nando Lauria / vocal

●Numbers
1.  One Thing After Another
2.  Point of Light
3.  Wake Up
4.  Coming Home
5.  From Your Heart and Soul (Remembering Jimmy)
6.  Triad
7.  Belle Faccia
8.  Wring It Out
9.  Funnels
R0010383

2011年1月26日 (水)

北欧ジャズのベテランギタリストEwan Svenssonの芳醇なソロ「Next Step」

R0010384
Musician●Ewan Svensson(guitar)
Title●Next Step(1994年)
■Amazon USAより購入

北欧スウェーデン出身のコンテンポラリー系ジャズギタリストEwan Svensson(イーヴァン・スヴェンソン)による1994年の作品です。ジャズ専門レーベルDragonからリリースされています。メンバーはOve Ingemarsson(サックス)、Mats Nilsson(ベース)、Magnus Gran(ドラム)というカルテット構成です。Svenssonはトリオ構成で臨むことが多いのですが、珍しくサックス奏者を加えています。

例によってEwan Svenssonは我が日本ではあまり知名度が高くないようですが、地元の音楽大学で教鞭をとるほどの実力派でまさに知る人ぞ知るという存在です。基本的にはJim Hallを祖とするコンテンポラリー系の系譜を踏んでいますが、John AbercrombieやBill Friselあたりのビッグネームともあい通じるトーンをもっています。その意味ではECM好きの人にとってはドンズバかもしれないですね。

すでに何枚もリーダー作をリリースしているSvenssonですがこのアルバムでも何とも心温まるリリカルなプレイを聴かせてくれます。ただSvenssonの実力がいかんなく発揮されるのはどうもトリオ構成のときのようです。サックス奏者が加わったことでややイメージが拡散している感は否めません。まあ、これはギター好きのわがままと解釈していただいてかまいません。ギターの露出が少ないからと言って不満を述べているだけの話で、作品自体は相変わらず素晴らしく、北欧ジャズの清冽な魅力を十二分に堪能することができるのです。

Svenssonがトリオ構成で臨んだ代表作としては「Streams」がお勧めです。こちらもDragonからリリースされています。

●Musicians
Evan Svensson / guitar
Ove Ingemarsson/ sax
Mats Nilsson / bass
Magnus Gran / drums

●Numbers
1.  Mirror
2.  One For Three
3.  Monday Afternoon
4.  Directions
5.  Piece III
6.  April Walk
7.  Heavy Traffic
8.  Beautiful Love
9.  Heart Of Matter
10. Used Shoes
11. Green Light
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2011年1月25日 (火)

ホールズワース+スコヘンフォロワーAlex Milella

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Musician●Alex Milella(guitar)
Title●Light Shades(2004年)
■Amazon USAより購入

イタリア出身の新進気鋭ギタリストAlex Milella(アレックス・ミレッラ)による初リーダーアルバムです。2004年リリース。たぶん日本では無名に近い存在かと思われますがイタリアではエース格Rocco Zifarelliに次ぐ存在なのかもしれません。

このAlex Milellaが一部で注目された理由はなんと言ってもAllan HoldsworthとScott Hendersonという2大巨匠からの影響をわかりすぎるほど強く受けているという点にあります。流れるようなレガート奏法、淀み無いピッキングが実に心地よく、さりげないタッピング、そしてエフェクト類の自然な使い方にも好感がもてます。先輩格Rocco Zifarelliからの影響も強く感じられ、特に#8「...Light Shades」はZifarelli特有の浮遊感あふれるソロと間違えるほどの素晴らしいソロが聴かれます。

なんと言ってもこのアルバムの最大の注目点はAllan Holdsworthに捧げた#4「Allan's Worth」とScott Hendersonに捧げた#5「Signal For Scott」の2曲です。自分のリスペクトぶりを曲名にしてしまうのも凄いことですが、驚くのはそのあまりの「そっくりぶり」。特に「Allan's Worth」は本家自らが弾いているのではと錯覚してしまうほど徹底してスタイルを盗んでいます。当欄では多くの「Holdsworthy」を紹介してきましたが、プレイだけに絞って言えば間違いなく「Holdsworthy最右翼」になるかと思います。しかも、Holdsworthy一辺倒に終わらないところに注目せざるをえません。ダブル&トリプルフォロワーというスタイルはこれからの主流なのかもしれませんね。

しかし、イタリアという国はHoldsworthyの権化Nico StufanoUmberto Fiorentino、Greg HoweのフォロワーAlessandro Benveruti、スコヘンフォロワーRocco Zifarelliなどとフォロワーの宝庫ですね。もっとも当欄がそんな視点で漁盤しているせいでもありますが。

●Musicians
Alex Milella / guitar,synth programming
Pierluigi Balducci / bass
Giuseppe Berlen / drums
Luca Cacucciolo / rhodes,synth
Davide Santorsola / piano
Michele Carrabba / sax
Beppe Sequestro / bass
Roberta Carrieri / vocal

●Numbers
1.  High Pressure    
2.  Orient Express    
3.  Inside You (Prelude)    
4.  Allan's Worth    
5.  Signal For Scott
6.  Alti e Bassi    
7.  Before The    
8.  ...Light Shades    
9.  Oversteppin'    
10. Inside You
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2011年1月24日 (月)

豪華絢爛メンバーで目眩がするMarc Johnson「Bass Desires」

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Musician●Marc Johnson(bass)
Title●Bass Desires(1985年)
■ディスクユニオンで購入

Bill Evanceトリオの最後のベース奏者を務めたMarc Johnson。ECMをはじめとしてコンテンポラリー系ジャズ重要作品には必ずといっていいほど名前を発見できる重鎮です。1985年にお馴染みECMからリリース。

この何と言っても参加メンバーが豪華で、ギターにBill Frisell(ビル・フリゼール)とJohn Scofield(ジョン・スコフィールド)、ドラムにPeter Erskine(ピーター・アースキン)とこれまた説明不要の重鎮ばかり。#1「Samurai Hee-How」はMarc Johnsonの作ですがECMを代表する知性派John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)との組み合わせでも演奏されています。AbercrombieとFrisellとのアプローチの違いを耳から実感するのも一興かと。

ギター目線で全体をとおして聴くとやはりFrisellの浮遊感あふれるプレイが支配していると思います。どこに飛んでいくのか予想不可能でを危うげな雰囲気をJohnsonとErskineが手堅く支えながら進んでいくというイメージ。
だからというわけではありませが、Scofieldのアウトするプレイスタイルはちょっと合わないのでは感じられます。ジョンスコ目当てで聴こうと思う人にとっては、ちょっと物足りない印象を受けるかもしれません。まあ、ECMでは他流試合ということですから遠慮があるのかも。逆に言えばFrisellの個性が他のプレイヤーを喰ってしまうほど際立っているということなのでしょう。ギターだけでなくギターシンセまで持ち出して暴れまくっています。

#2「Resolusion」はColtraneの曲。Johnsonのベースソロが怪しくソロを刻みますが、Scofield→Frisellのソロの連携が実に見事です。ここでもFrisellはギターシンセで大暴れ。この人はAbercombie並みにギターシンセの扱いが巧みです。

ゲスト扱いのジョンスコは最後になってようやく本領発揮。#7「Thanks Again」は彼のペンによるもので、ブルースナンバーでやっと「らしさ」を聴かせてくれています。

●Musicians
Marc Johnson / bass
Bill Frisell / guitar,guitar-synthesizers
John Scofield / guitar
Peter Erskine / drums

●Numbers
1.  Samurai Hee-Haw
2.  Resolution
3.  Black Is The Color Of My True Love's Hair
4.  Bass Desires
5.  A Wishing Doll
6.  Mojo Highway
7.  Thanks Again
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2011年1月23日 (日)

MeshuggahのキーマンFredrik Thordendalのソロが再発売!

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Musician●Fredrik Thordendal(guitar)
Title●Sol Niger Within(1999年)
■Amazonより購入

昨年の晩秋から年末にかけてボーナス狙いなのかはわかりませんが、多くの再発売ものや発掘音源のリリースが重なりました。個人的にはJimi Hendrixの未発表音源を収めた5CD+1DVDセットの登場が大きいと思いましたし、John Lennon没後30年なのかThe Beatlesの「赤盤」「青盤」のリマスター盤発売も結構な話題になったと思います。そういえばThe Beatlesの17作品がアップルレコード社とAppleとの「歴史的な和解」によってiTunes上でリリースされたのも昨年11月でした。

そんなメジャー級の作品が装いも新たに続々と登場するなか、超マイナー案件がリマスター化&再発売されました。以前もお伝えしたスウェーデン発のカルト的人気を誇るデスメタルバンド、Meshuggah(メシュガー)のキーマンであり、変態系ギタリストの雄Fredrik Thordendal(フレドリック・トーデンダル)による1999年のソロアルバムです。
内容に関しては以前の記事をお読みいただくとして、今回感心したのは抜群のリマスター効果です。よくある「いままで聴こえなかった音まで聴こえた」という劇的な変化はありませんが、各パートの音位のバランスが向上した関係で音という音が粒立って耳に飛び込んできます。この作品はメタルの中でも相当にケタタマシイ部類だと思うのですが、リマスター効果によって騒音が騒音らしく感じられなくなってしまうから不思議です。メタルが真摯なプログメタルに化けたと書いたら大げさでしょうか。

CD本体はゴールドディスク仕様になっていて、ジャケット裏には限定2000プレスの表示とシリアルナンバーが記載されています。ちなみに私があてがわれた数字は「0053」でした。いずれ廃盤になることは確実なので迷われているかたは早めの入手をお勧めいたします。

●Musicians
Fredrik Thordendal / guitar
Jonas Knutsson / sax
Jerry Ericsson / bass
Kantor Magnus Larsson / church organ
Victor Alneng / yidaki
Morgan Gandharva Agren / drums

●Numbers
1.   The Beginning Of The End Extraction (Evolutional Slow Down)
2.   The Executive Furies Of The Robot Lord Of Death
3.   Descent To The Netherworld
4.   ...Och Stjarnans Namn Var Malort
5.   Dante's Wild Inferno
6.   I. Galactus
7.   Skeletonization
8.   Sickness And Demoniacal Dreaming
9.   UFOria
10.  Zet 1 - Reticuli
11.  Transmigration Of Souls
12.  In Reality All Is Void
13.  Krapp's Last Tape
14.  Through Fear We Are Unconscious
15.  Death At Both Ends
16.  Bouncing In A Bottomless Pit
17.  The Sun Door
18.  Vitamin Experience (A Homage To The Scientist/John Lilly)
19.  Sensorium Dei
20.  Zeta 2 - Reticuli
21.  De Profundis
22.  Existence Out Of Joint
23.  On A Crater's Verge
24.  Solarization
25.  The End Of The Beginning Of Contraction (Involutional Speed Up/Preparation For
    The Big Crunch)
26.  Tathagata
27.  Missing Time
28.  Ooo Baby Baby
29.  Tathagata
R0010322

2011年1月22日 (土)

女スコヘンSusan姐さんの意欲作「Point Of View」

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Musician●Susan Weinert(guitar)
Title●Point of View(1999年)
■HMVより購入

ドイツ出身のフュージョン系ギタリストSusan Weinert(スーザン・ワイナート)はScott Hendersonなどのテクニカル系ギタリストからの影響を感じさせながらも独自の味をうまい具合に出しているプレイヤーです。大変な偏見であることは百も承知で書きますが、最近でこそ巧い女性プレイヤーがけっこう出てきていますが、この音ならこの人!という個性派の女性はあまりいないように思います。そんななか、このSusan Weinertはけっこう「骨のあある音」を聴かせてくれます。少なくともソロを聴けば「あっ!姐さんだ!」と即座に気がつきます。

1999年リリースのこのアルバムは確か自身にとって、3作目か4作目だったと思います。メンバーはSusan姐さんの旦那Martin Weinert(ベース)とHardy Fischotter(ドラム)という不動のトリオ構成です。

全体としては、前述のとおりScott HendersonやAllan Holdsworthあたりを思わせるテクニカル系フュージョンサウンドという感じですが、ギターを前面に押し出して「わたしが、わたしが」としゃしゃり出てくるタイプではなく、どっちかと言えば楽曲とアンサンブル重視。その意味ではギターにあまり興味ない人にとっても取っつきやすいかもしれません。初期作品ではトリオのみで勝負していましたが、この作品では生ピアノやサックスをゲストに迎えて実に多彩で奥行きのある作品に仕上がっています。Susan姐さんもエレキ、アコースティック、ナイロンとギターを使い分けてカラフルな彩りを作品に与えています。

楽曲もけっこう練りに練られて完成度が実に高く、ドイツ人らしい生真面目で丹念な仕上がりに。大変好感度が高いです。例のごとく、日本ではほとんど無名の存在ですが、人気になってもまったく不思議ではないのですが、いかんせん知られる機会があまりにも少ないのが残念です。というわけで当欄一押しのミュージシャンとして、強力推薦いたします♪

●Musicians
Susan Weinert / guitars
Martin Weinert / bass
Hardy Fischotter / drums

Jean-Yves Jung / piano
Michael Schiefel / voice
Pierre Bertrand / tenor sax

●Numbers
1.   Liebman
2.   The Kobayashi Syndrom
3.   Knock On Wood
4.   Trust Me
5.   Day
6.   Did I Get You Right
7.   The Proof
8.   Les Trois Arbres
9.   Fort Carre
10.  La Fuerza Del Viento
11.  No Warm-Ups
R0010367

2011年1月21日 (金)

スウェーデンのベテランギタリストEwan Svenssonの「Present Directions」

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Musician●Ewan Svensson(guitar)
Title●Present Directions(1991年)
■Amazon USAより購入

スウェーデン出身のジャズギタリストというと、ウルフ・ワケーニアスが有名ですが、王道を歩むワケーニアスに対して、ここでご紹介するEwan Svensson(イーヴァン・スヴェンソン)は傍流的な扱いになってしまうのかもしれません。ただそれは存在が日本ではあまり知られていないだけの話で、当地では音楽大学の教授を務めており、キャリアや存在感はむしろワケーニアスよりも上ではないかと思われます。

Svenssonは基本的にはJohn AbercrombieやPat Methenyあたりのコンテンポラリー系のギタリストで、いかにも北欧ジャズらしいクリアでリリカルな持ち味が身上です。なるほど北欧ジャズの名門Dragonレコードが看板ギタリストとして扱っているわけです。

Ewan Svenssonのプレイは一言で言うと、清新感あふれる流麗かつリリカルなプレイ。その意味ではECMレーベルにかなり通じるものがあります。一つひとつのフレーズを実に丁寧に弾いているあたりに大変好感がもてます。決して流すことなく、あくまでも懇切丁寧なピッキングがプレイスタイルなので、結果として手数が多いのがSvenssonの特徴。かといって、あからさまにそう感じさせないのがセンスの良さと熟練のワザなのでしょう。そう言えばベースのPalle DanielssonはECMの諸作品でよく名前を見かけますね。

特に#2「Before Eleven」でのゆったりしたミディアムテンポから、徐々にテンポアップしながらクライマックスに持ち込む盛り上げ方は、職人肌らしいこだわりを感じさせます。AbercrombieやMetheny好きの人なら一発で気に入ると思います。例のごとく日本ではほとんど無名のプレイヤーですが、北欧の地で密やかに輝く名ギタリストとして強力推薦いたします。

●Musicians
Ewan Svensson / guitars,guitar-synthesizer
Palle Danielsson / bass
Magnus Gran / drums

●Numbers
1.  Weka Waltz
2.  Before Eleven
3.  Thanks
4.  Flight North
5.  Three Steps
6.  Beatvis
7.  Songs For Hanna
8.  Back Again
9.  Forgotten Lines
10. Flight South
11. Piece
12. Oreda II
R0010361

2011年1月20日 (木)

奇才と奇人の邂逅Bleckmann&Monder「No Boat」

R0010368
Musician●Theo Bleckmann(voice)
Title●No Boat(1996年)
■ディスクユニオンで購入

「七色のヴォイスをもつ男」ドイツ出身の異能のボーカリスト、Theo Bleckmann(テオ・ブレックマン)とNYの先鋭的なジャズシーンで活躍する光速アルペジオの名手Ben Monder(ベン・モンダー)による共同作品です。参加メンバーはSkuli Sverrisson(ベース)、Jim Black(ドラム)。というまた一癖もふた癖もあるようなメンツです。

このアルバムの最大の聴きどころは何といってもBleckmannが生み出す「七色のヴォイス」とMonderによる浮遊感あふれるギタープレイとの何とも幻想的な絡みです。Bleckmannの声は時には宗教音楽的であり、時にはヨーデル風であり、時には狂気を秘めた前衛音楽的とまさに変幻自在。ボーカリストではなく「Voice」とクレジットするあたりに、強烈なこだわりを感じさせます。

対するMonderは基本的にはフリー系のジャズギタリストになりますが、唯一無比とも言える「高速アルペジオ」が持ち味という超個性派プレイヤーです。基本的にはクラシックの素養に裏付けられた哲学者然とした静寂の世界を築き上げるプレイヤーですが、2曲目の「Gemini」のように、Robert Frippばりの強烈なソロを聴かせるなど、まさに変幻自在。そんなMonderが作り出す独自の浮遊感あふれるプレイに合わせるかのように、逆にわざと外すかのようにBleckmannのヴォイスが縦横無尽、天衣無縫に飛びまくります。まあ、変な楽曲といえば確かにそうで、脱力系、非肉食系のフリーフォームが延々と続きます。そういえばリズム隊も陰でこそこそと変な音を出し続けています。これが、まったくの定型無視の無政府状態なのです。

いわば「現代ジャズの奇才」が手持ちの表現力をフルに披露しているこの作品は、音の万華鏡と表現すれば聞こえはいいのかもしれませんが、とても一般的な作品とは言えないでしょう。ともあれECMニューシリーズあたりに親和感をもつ方なら意外とすんなり溶け込めるかもしれません。

ちなみにBleckmannは音楽以外にも、ダンスやオフ・ブロードウェイの舞台出演、映画『メン・イン・ブラック』の宇宙人の声役など、NYのパフォーマンス・アートの分野での活躍も知られているとか。突き詰めて追いかけていくとさらに新しい発見があるかもしれませんね。

●Musicians
Theo Bleckmann / voice
Ben Monder / guitars
Skuli Sverrisson / bass
Jim Black / drums

●Numbers
1.  Late Green
2.  Gemini
3.  No Boat
4.  O.K. Chorale
5.  Polyhedron
6.  Out Of This World
7.  Mercury
8.  E.K.
9.  Canady Hill, Waiting For Impact
10. Every Time We Say Goodbye
R0010369

2011年1月19日 (水)

超絶&変態ギタリストRon Thalの「Uncool」のおちょくり

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Musician●Bumblefoot
Title●Uncool(2002年)
■ディスクユニオンで購入

超絶&変態ギタリスト、Ron Thal(ロン・サール)がBumblefoot名義で2002年にリリースした作品です。Ron Thal名義の作品にさかのぼっても一貫してノンジャンルの捉えどころのない音楽を生み出しているRon Thalですが、この作品では以前にも増して期待感を裏切る「おちょくり度」が増しています。

目にも止まらない自身のボーカルに乗せて、Ron Thalのド変態ギターが炸裂するという基本スタイルは相変わらずなのですが、バート・バカラックの曲や名曲「Can't take my eyes off of you」(『君の瞳に恋してる』)をカバーしています。当然、真っ当なカバーで終わるわけがなく、音速ラップと予測不能でどこから飛んでくるかわからない変態フレーズの連発によって原型をまったくとどめないまでに「破壊」し尽くしてしまっています。「音のラッダイト運動」ですね、これは。

こうした「おちょくり」はFrank Zappaが先達だと思いますが、おちょくり精神に無類の超絶技巧を身につけたRon Thalはまさに無敵の状態ではないでしょうか。それにしてもラストトラックは…。これは聴いてからのお楽しみですが、最大の「おちょくり」が待っています。

●Musician
Bumblefoot / all instruments,vocals

●Numbers
1.  BBF Takes the Mic
2.  Go
3.  T-Jonez
4.  My World Is You
5.  Dominated
6.  Kiss the Ring
7.  What's New, Pussycat?
8.  I Hate Me More Than I Love You
9.  Delilah
10. Ronald's Comin' Back Now
11. BBF says goodnight
12. Can't Take My Eyes Off Of You
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2011年1月18日 (火)

「後期GONG」の別動隊「GONGZILLA」の1st

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Musician●Gongzilla
Title●same(1995年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代初頭から80年代にかけて活躍したフランスのプログレバンド「GONG」はヴィブラフォンを軸に置くという独自のスタイルと2人のパーカッション奏者が生み出す圧倒
的なポリリズムが特徴的で大変ユニークな存在でした。1976年には元Soft Machine、元Tony Williams New LifetimeのギタリストAllan Holdsworthを迎え「Gazeuse!」をリリースし、グループとしてのピークを迎えます。

1988年にグループは解散状態になりますが、数年後に元メンバーが集合して結成されたユニットがこの「Gongzilla」です。ユニット名とジャケットから容易に想像できるように「Gong」と「Gozilla」を合体させた造語でありますが、サウンド的には「後期Gong」のそれを踏襲しています。ユニットの中心メンバーはBon Lozaga(guitar)、Hansford Rowe(bass)、Benoit Moerien(vibes)ですが、特別ゲストとしてAllan Holdsworthが何と4曲も参加しています。

冒頭の「Gongzilla」はまさにゴジラ的な雄叫びでスタートするユニークな曲。Holdsworthは控えに回っていますが、Bon Lozagaの何とも浮遊感あふれるユニークなギターが面白い曲です。#2「Bad Habits」は傑作「Gazeuse!」を思わせる大変パーカッショナルな曲。満を持してHoldsworthのウネウネギターが縦横無尽に暴れまくっています。この曲を聴くためだけにこのアルバムを買っても損はないだろうと思わせるほどの熱演です。

ユニット名とジャケットデザインから受ける怪しげな雰囲気で何となく敬遠したくなるのですが、本当に怪しいのはオープニング曲だけなので、怖がらずにどうぞ(笑)。後期Gongファン、Holdsworthファンにとっても納得の1枚です。例によってHoldsworthはスポット的な参加でこの1枚のみでユニットを抜けますが、後任ギタリストとして怪人David Fiuczynskiが参加したライブ音源もなかなかの出来映えです。

●Musicians
Bon Lozaga / guitar
Hansford Rowe / bass
Benoit Moerien / vibes
Bobby Thomas / percussions
Allan Holdsworth / guitar on Gonzilla,Bad Habits,Almost You,Allan Qui?
Lionel Cordew / drums
Vic Stevens / drums
Ben Perowsky / drums
Samuel Row / vocalizing

●Numbers
1.  Gonzilla
2.  Bad Habits
3.  Sing
4.  Gongzilla's Dilemma
5.  Mr.Sinister Minister
6.  Almost You
7.  Mezzanine
8.  Hip-Hopnosis
9.  Allan Qui?
10. Senna
11. Camel
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2011年1月17日 (月)

夢のスーパーユニット「A Gathering Of Minds」の唯一のライブ音源

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Musician●A Gathering Of Minds
Title●same(1982年)
■ディスクユニオンで購入

毎夏、スイスで行われている「Montreux Jazz Festival」では数々の名演が繰り広げられていますが、ジャズのみならずロックやポップミュージシャンにも広く門戸が開かれているので、思わぬミュージシャンが参加していたりします。

今回、紹介する「A Gathering Of Minds」は元CREAMのJack Bruceが組んだ期間限定ユニットでその貴重なライブ音源です。メンバーAllan Holdsworth(guitar)、Didier Lockwood(violin)、David Sancious(keyboard)、Billy Cobham(drums)という超が何個もつくような豪華メンバーです。1982年7月23日出演時の音源になります。

参加メンバーのうちヴァイオリン奏者のDidier Lockwood(ディディエ・ロックウッド)に関しては若干の説明が必要かもしれません。元はフランスを代表するプログレバンド「MAGMA」のメンバーで、脱退後は広くジャズフュージョン界で活躍しています。わかりやすく言えば同じフランス出身のJean Luc-Pontyの後継者的存在です。Didier Lockwoodは後に「プログレは若気の過ちだった」と発言していたようですが、この1982年という時期はプログレに片足だけ突っ込んでいたのかもしれません。

さらに言うと1982年という時期はギターのAllan Holdsworthにとってはちょうど自主制作盤「I.O.U.」をリリースした頃です。Holdsworthマニアの間では有名なエピソードですが、Holdsworthは当時経済的にかなり困窮していて、機材を質に入れては子どものミルク代にあてていたとか。アルバム「I.O.U.」も「借用証明書」という自虐的意味合いが込められていたわけです。「Drifting Into The Attack」という曲はHoldsworthの提供曲ですが、実は自身の「The Things You See」のフレーズが使われていたりします。

この「A Gathering Of Minds」は若手のDidier Lockwoodにとってはお披露目の、Allan Holdsworthにとっては起死回生の再浮上へのきっかけという意味合いがあったわけで、そんなチャンスを与えたJack Bruceはジャズフュージョン界の親分的な働きを務めているわけです。

そんな事情もあってか、ライブでもDidier LockwoodとAllan Holdsworth2人の活躍の場がふんだんに用意されています。2人もJack Bruceの期待以上の活躍ぶりで暴れまくっています。渾身のガチンコ勝負が聴かれるこの素晴らしいライブ音源ですが、残念ながら「地下出版」の扱いのまま。しかし、音源そのものはステレオサウンドボード録音なので、正規盤並みのクオリティーです。しかし、地下出版らしく、クレジットなどは間違いだらけではありますが(笑)。

動画はライブ当日のものとされていますが、もしかしたらリハーサル風景の可能性もあります

●Musicians
Jack Bruce / bass,vocal
Allan Holdsworth / guitar
Didier Lockwood / violin
David Sancious / keyboard
Billy Cobham / drums

●Numbers
1.  Presentation
2.  Crazy Eights
3.  Misterious Conversation
4.  Earthland Summer
5.  Drifting Into The Attack
6.  Theme From An Imaginary Western
7.  Uptown Breakdown
8.  Sleide Of Hand
9.  Bloody Mary
10. Something In B5
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2011年1月16日 (日)

DPマニアの鉄人を目指すなら!「Live In Japan」の3CDセット

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Musician●Deep Purple
Title●Live In Japan<Twenty-First Anniversary Collection 3CD Set>(1972年)
■ディスクユニオンで購入

個人的にはいまでもHR史上最高傑作のLIVEアルバムだと信じて疑わないDeep Purple「Live In Japan」。ご存じのように、オリジナル盤「Live In Japan」に加えてアンコール曲3曲を追加した2CD「Made In Japan」があって、両方とも所有すること(所有する羽目に陥る)がDP信者の王道と言われています。さらに上のレベルの「DPマニア鉄人級」を目指す人のために存在するのがこの3CDセットです。1993年リリース。私が持っているのはオランダ製です。

内容は1972年8月15日と16日の大阪公演8月17日の武道館公演をそれぞれ1枚ずつに分けて収めたものです。DP来日公演の全3日間を聴いてみたい人にとっては、このアルバムを聴くしか方法がありません。ご存じのようにオリジナル盤は8月16日大阪公演(CD2)を中心に編集されたもので、「Lazy」のみが17日の武道館音源(CD3)を加えたものです。

しかし、この3CDセットを「完全版」とするのは正確ではありません。アンコール曲はCD1(「Black Night」)とCD3(「Speed King」)にそれぞれ1曲ずつしか収められていません。さらにオリジナル盤収録の「Smoke On The Water」(8月15日大阪公演)と「The Mule」(8月17日武道館公演)の2曲は、この3CDセットには収録されていません。したがってアンコール曲はさて置いても、「来日完全音源」を期すDPマニアの鉄人さんは、オリジナル盤も手元に残して置く必要があります(まあ、処分する人はいないとは思いますが)。

この3CDセットで特筆すべき点は、オリジナル盤では「左右逆」になっていた音源がステージセットに合わせてあることに尽きます。つまり、Jon Lordが左チャンネル、Ritchie Blackmoreが右という不動のポジショニングです。また、オリジナル盤ではピッチを若干速めているという「風説」がありましたが、この3CDセットと比較しても私の耳では判別できませんでした。違っていたらごめんなさい。

とまあ、いろいろありますが、結果としてオリジナル盤「Live In Japan」に収められたものが当たり前ですがベストの音源と言えます。編集過程で不採用になった音源はやはり「問題」があるのは当たり前のことです。でも、DPならどんなミスタッチも愛せる方にとっては資料的な価値も含めてやはり手元に置いておきたいですね。

来日初日、「Good Morning!」から始まる初鳴きがこちらです。もちろん曲は「Highway Star」、高速道路の星です♪

●Musicians
Jon Lord / organ
Ritchie Blackmore / guitar
Roger Glover / bass
Ian Paice / drums
Ian Gillan / vocal

●Numbers ※はオリジナル盤収録
[CD 1] OSAKA 15th,Aug.1972
1.  Highway Star
2.  Child In Time
3.  The Mule
4.  Strange Kind Of Woman
5.  Lazy
6.  Space Trukin'
7.  Black Night(encore)

[CD 2] OSAKA 16th,Aug.1972
1.  Highway Star ※
2.  Smoke On The Water
3.  Child In Time ※
4.  The Mule
5.  Strange Kind Of Woman ※
6.  Lazy
7.  Space Trukin' ※

[CD 3] TOKYO 17th,Aug.1972
1.  Highway Star
2.  Smoke On The Water
3.  Child In Time
4.  Strange Kind Of Woman
5.  Lazy ※
6.  Space Trukin
7.  Speed King(encore)
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2011年1月15日 (土)

Nguyen Leが繰り広げる音の万華鏡「Walking on a Tiger's Tail」

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Musician●Nguyen Le(guitar)
Title●Walking on a Tiger's Tail(2005年)
■ディスクユニオンで購入

両親がベトナム人でパリで生まれ育ったジャズギタリスト、Nguyen Le(グエン・レ)が2005年にリリースした作品です。良質なジャズアルバムを次々と送り出すACTレーベルからリリースされています。

当欄で何回も取り上げているイチ押しギタリストですが、残念ながら日本での知名度はあまり高くないようです。スタイルとしてはECMレーベルの大御所John Abercrombieあたりのコンテンポラリー系にあたると思いますが、Scott hendersonやAllan Holdsworthなどのテクニカル系やJimi Hendrixなどのロック系などからの強い影響を感じさせます。
また民族的な出自からベトナム民族音楽はもちろん、日本や韓国の民族音楽に対する造詣も深く、アジアテイストとジャズとの融合にも果敢に取り組んでいます。
さらに言うとかつてフランスが宗主国だった関係からアルジェリアを中心としたマグレブ地方の民族音楽と欧米ポップとを融合した「ライ音楽」の中心人物でもあり、まさにワールドミュージックを体現しているミュージシャンでもあるのです。

一見してウインダムヒル風で落ち着いたオープニングから「おや?作風が変わったのか?」と思わせながらも、徐々にエンジンがかかってくると、あとはNguyen Leの独壇場。Nguyen Leのプレイスタイルは力任せに弾き倒すことなく、バックとの調和を重視するタイプ。心地よいエスニカルなサウンドに身を任せていると、知らず知らずのうちに、いつの間にか忍び寄ってきてその絶妙なプレイに気がついたら魅了されてしまうという感じです。
決して派手さはありませんが、フレーズはかなり特徴的ですし、聴きようによっては「変態系ギタリスト」にも通じるテイストが満載です。

なによりも絶妙なアームの使い方は、やはりアジアらしい繊細さを感じます。そのあまりにも個性的なプレイは、共通点を見出せるギタリストはおそらく皆無で、だからこそヨーロッパのコンテンポラリー系ジャズシーンでは、引っ張りだこの人気を誇っているのでしょう。しっかりと自己主張しているプレイは、いったんはまると病み付きになる魅力をもっています。というか、こんなギタリストは空前にして絶後だと思います。

●Musicians
Nguyen Le / guitars,electronics
Art Lande / piano
Paul McCandless /tenor,sopranino sax,oboe,english horn,bass clarinet
Jamey Haddad / drums,percussions

●Numbers
1.   Wingless Flight
2.   Yielding Water
3.   Totsu !
4.   Snow on a Flower
5.   Jorai
6.   Butterfly Dream
7.   Walking on the Tiger's Tail
8.   Bee
9.   Evening Glory
10.  Zamora
11.  Eventail.07
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2011年1月14日 (金)

テクニカルフュージョン好きにお勧め!Sherinianの1st「Planet X」

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Musician●Derek Sherinian(keyboards)
Title●Planet X(2000年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル集団「ドリーム・シアター」をクビ同然の扱いで脱退した鍵盤楽器奏者Derek Sherinian(デレク・シェリニアン)によるソロ活動第1弾です。2000年リリース。レコーディング自体1999年にカリフォルニアのスタジオで行われています。

このアルバムはなんせメンバーが大変豪華で、名前を見ただけでワクワクしてくるような面子です。ギターにBrett Garsed(ブレット・ガースド)、ドラムにVirgil Donati(ヴァージル・ドナティ)、ベースにTony Franklinで、エンジニアとして両手タップの奇才TJ.Helmerichの名前も見られます。とまあ、いまのジャズフュージョン界を牽引する重要メンバーばかりなのです。

さて肝心の音ですが、古巣DTへの強烈な当てつけなのか、徹底したメタルシンフォサウンドの嵐。幾重にも重なる重厚な鍵盤楽器をベースに、強力リズム隊が作り出すテクニカルな変拍子攻撃、そして波状的に襲いかかってくるBrett Garsedによる変態ギターソロ…とまあテクニカルフュージョンには欠かせない音楽的な要素がこれでもか!とばかりにテンコ盛り状態です。この素晴らしいアルバムを聴かずして、テクニカルフュージョンを語れましょうか。

個人的にはBrett Garsedからこの作品に触れたのですが、この作品のお陰でDerek SherinianやVirgil Donatiのソロ作品も聴くきっかけを作ってくれたありがたい作品です。ライナーにAlice Cooperが賛辞の言葉を寄せていますが、巨匠をして納得させた完成度の高さにはただ関心するばかりです。DT辞めて良かったです。

●Musicians
Derek Sherinian / keyboards
Brett Garsed / guitar
Virgil Donati / drums
Tony Franklin / bass

●Numbers
1.  Atlantis:Part 1.Apocalypse 1470 B.C.
2.  Atlantis:Part 2.Sea Of Antiquity
3.  Atlantis:Part 3.Lost Island
4.  Crab Nebulae
5.  Box
6.  Money Shot
7.  Day In The Sun
8.  State Of Delirium
9.  Space Martini
10. Brunei Babylon
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2011年1月13日 (木)

怪人Bucketheadが参加!Hellborgの「Octave of the Holy Innocents」

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●Octave of the Holy Innocent(1993年)
■Amazonより購入

John McLaughlinが率いる「80年代マハヴィシュヌ・オーケストラ」でベースを担当して注目されたスウェーデン出身のミュージシャンJonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)による1993年の作品です。ギター(アコースティック)に怪人Buckethead。そうあの「フライドチキン・バケツ帽子+白仮面」の変人ギタリストです。ドラムにMichael Shrieveという最強の布陣。

Hellborgというとエレキベースでギンギンに決めまくるというイメージが強いのですが、実はアコースティックも相当な使い手です。この作品ではアコースティックベース1本でBucketheadという「難敵」に立ち向かっています。Bucketheadも当然ながらアコースティックギターで応戦。「アコースティック対アコースティック」という一見して地味?と思わせる編成ながら、聴こえてくる音は過激一色!激しい音のバトルから生まれる何とも形容しがたいカオスの世界に身を任せていると次第にめまいがしてくるほどです。全曲で繰り広げられる変態ワールドは、一聴の価値があるでしょう。

個人的にはBucketheadだけは手を出したくない領域のひとつでしたがHellborg聴きたさについうっかりと手を出してしまいました。ごめんなさい。
このアルバム、数年前にジャケットが一新されたリマスター盤が発売され、入手しやすくなっています。でも、廃盤扱いになることは確実(?)ですから早めに入手されることをお勧めします。

●Musicians
Jonas Hellborg / acoustic bass
Buckethead / acoustic guitar
Michael Shrieve / drums

●Numbers
1.  Rana And Fara
2.  Death That Sleeps In Them
3.  The Past Is A Different Country, I Don't Live There Anymore
4.  Childking
5.  Kidogo
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2011年1月12日 (水)

ザ・ピーナッツがなんとKing Crimsonをカバー

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Musician●ザ・ピーナッツ
Title●ザ・ピーナッツ・オン・ステージ(1972年)
■Amazonより購入

昨年からお世話になっている「Twitter」で昨年末、ごく狭い範囲で話題になっていた「ザ・ピーナッツ」。今さらいうまでもありませんが、1960年代から70年代にかけて活躍した双子による女性デュオです。若い方にとっては馴染みがないかもしれませんが、映画「モスラ」で「モスラ~や、モスラ~」と歌っていた2人と言えば思い当たる方もいるのではないでしょうか。姉の伊藤エミは引退後に沢田研二と結婚しています(後に離婚)。

どうして「Twitter」上で話題になっていたかというと、どなたかが「ザ・ピーナッツがKing Crimsonの『エピタフ』を歌っている」と呟かれたからです。「Twitter」の仕組みをご存じの方ならすぐおわかりのように、こうした「奇特な呟き」は瞬時に好事家に発見されてしまいます。発見した人は即座に自分の呟きとして発信することが必定なので、今度はほかのユーザーに広まることに。こうやっていわば「ねずみ講的に拡散」するのが「Twitter」の特性なのです。当然、私も「これは、驚き!」と呟いたので拡散に一役買ってしまったのですが、私の呟きに反応していただいたフォロワーの方(私の呟きをご覧いただいているTwitterユーザーのこと)の中で確実にお二人はこのアルバムを購入しています。

というわけで負けじ(?)と入手したのがこのライブ音源です。クレジットによれば1972年の「民音ステージ」でのライブであるとか。購入のきっかけはKing Crimson「エピタフ」を聴きたいがためですが、中身を見てさらに驚愕!なんとユーライア・ヒープ「対自核」やキャロル・キング「It's Too Late」までカバーしているのです。しかも、ライブで。

オープニングはその「対自核」で華々しくスタート。いまの時代では大編成の楽団がバックにつくことは滅多にありませんが、フル編成で2人を盛り立てています。アイアート・モレイアを思わせるモコモコとしたパーカッションをバックに実にファンキーなギターを弾いているのは故・山本とおるさんであるとか。ハードロックでスタートし今後は流れるように「It's Too Late」へ移るのですが、何の違和感も感じさせない見事な演出には本当に感心させられます。2人の素晴らしい歌唱力としい、一糸乱れぬ楽団間の連携といい、飽きさせることのない演出といい、どこをとっても非のうちどころがありません。これぞ本物のエンターテイメントです。果たしていまの歌謡界にこんなに素晴らしい歌唱、演奏が存在するでしょうか。録音やカラオケばかりに頼ってばかりいたために、生の歌、生の演奏で人を感動させるという音楽の本来の姿を忘れてはいないでしょうか。そして、聴く側もいつの間にかそんな脆弱な環境に慣らされてはいないでしょうか。さまざまなことを考えてしまいます。

お目当てのKing Crimson「エピタフ」はステージ中盤になって登場。もちろん演奏そのものは本家Crimsonとは比べようもありませんが、ギターはエレキとアコースティックの2本で弾き分けていますし、メロトロン的な音も十分に威力を発揮しています。ボーカルにいたってはGreg Lakeよりもある意味では上手いのではと思わせる一面もあります。老婆心ながら付け加えると、「エピタフ」はKing Crimsonが1969年にリリースした1st「クリムゾンキングの宮殿」に収められた曲。シンセとメロトロンを駆使したシンフォニックで幻想的な名曲です。ちなみに昨年大ヒットした坂本冬美「また君に恋している」が同じアルバム収録の「Moon Child」という曲に酷似 していることでも話題になりました。

冷静に考えてみるとこのライブが行われた1972年という時代は、オリジナルのリリースからわずか3年しか経っていません。しかも、まだ当時の日本では一般的とは言いがたいプログレからの選曲で、ザ・ピーナッツのファン層を考慮するとおそらくお客さんの大部分がこの曲どころかKing Crimsonの存在を知らなかったのではないでしょうか。それでも曲が終わると巻き起こる万雷の拍手。渾身の演奏は、たとえ知らない曲であっても聴く者の心を確実に揺さぶるのです。ちなみにライブ前半のアレンジは宮川泰先生が担当。宮川先生が選曲にもタッチしたかは不明ですが、おそろしく大胆でチャレンジングな試みです。書きたいことは山ほどありますが、今日はここら辺で。

途中、妙なMCが入りますが、当時渡辺プロダクションに所属していた岸部シローの声です。これは本当の蛇足ですが(笑)

♪おまけに元フォーリーブスの北公次が歌うエピタフです。トホホな感じに仕上がっています

♪何とヒデキまでもがエピタフをカバー!こちらが音源です。ファンはどこまで認識していたかが気になります。だからといってオリジナルを聴くわけないでしょうね

●Musicians
ザ・ピーナッツ

●Numbers
1.   対自核
2.   It's Too Late
3.   Proud Mary
4.   東京の女~サンフランシスコの女~リオの女(メドレー)
5.   情熱の花
6.   ふり向かないで
7.   ウナ・セラ・ディ東京
8.   恋のフーガ
9.   バック・オブ・ブ・ガルー
10.  エピタフ
11.  監獄ロック~レモンのキッス~ダイアナ~恋の片道切符~ミスター・ベースマン~悲しき雨音~ビー・マイ・ベイビー(メドレー)
12.  ゴッドファーザー
13.  可愛い花
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2011年1月11日 (火)

DPのギタリストSteve Morseの初期作品「Coast To Coast」

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Musician●Steve Morse(guitar)
Title●Coast to Coast(1992年)
■HMVで購入

「再結成Deep Purple」への加入などによってやっと日本でも広く知られるようになったアメリカ出身の超絶ギタリストSteve Morse(スティーヴ・モーズ)が自身名義で1992年に発表したアルバムです。わずか30数分という短い収録時間ながら、豪快かつ繊細、そして目にも止まらない速さで全力疾走で駆け抜けるプレイで、聴き終わったあとに得られる精神的な爽快感はいつもながら格別なものがあります。

いわゆる「早弾きギタリスト」はゴマンといますが、Steve Morseのプレイは、丸太のような両腕から繰り出される豪快な弾丸フレーズを弾き出す高いテクニックが特徴。それでいて肉体的にも精神的にもカラッとした明快さと明るさを兼ね備えています。特に#4「Morning Rush Hour」でのソロは大変速いパッセージを弾きながらも、それを露骨に感じさせないあたりが彼独自の持ち味といえるでしょう。音自体はいかにもアメリカっぽい(?)脳天気とも思えるカラッと乾いた仕上がりです。

テクニカル系ギタリストは往々にして楽曲に疑問符がつくケースが多いのですが、彼の作曲能力はかなりものといえます。聴かせるべきところはしっかりと聴かせるバランス感覚はさすがですね。

Steve Morseが率いる別プロジェクト「Dixie Dregs」は文字通りディキシー色が強すぎて個人的にはあまり食指が動かないのですが、このアルバムでもディキシー臭がちょいちょい臭ってきます。まあ、それさえ耳をつぶれば優れたギターアルバムと言えるのではないでしょうか。

●Musicians
Steve Morse / guitar
Dave Larue / bass
Rick Sandidge / drums

●Numbers
1.   User Friendly
2.   Collateral Damage
3.   Get It In Writing
4.   Morning Rush Hour
5.   Runaway Train
6.   Long Lost
7.   The Oz
8.   Over Easy
9.   Cabin Fever
10.  Flat Baroque
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2011年1月10日 (月)

往年のプログレファンは注目!Eddie JobsonのU-Z Project

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Musician●The U-Z Project
Title●Ultimate Zero Tour-Live(2010年)
■Amazonより購入

元King Crimson、元UKの鍵盤楽器奏者Eddie Jobson(エディ・ジョブソン)が率いる「Ultimate Zero Project」によるライブ音源です。アルバムタイトルにあるように「Ultimate Zero Tour」と銘打ったツアーのうちポーランド、ボストン、ロシアでのライブ音源が収録されています。2010年日本先行リリース。勉強不足だったのですが、2010年6月には来日もしていたのですね。参加メンバーはJohn Wetton、Tony Levin、Greg Howe、Trey Gunn、Ric Fierabracci、Simon Phillips、Marco Minnemannという錚々たる面子ばかり。このうちRic Fierabracciはあまり名前を知られていないかもしれませんが、Brett Garsedと行動を共にすることが多いベース奏者です。

内容はと言いますと曲目をご覧いただければ一目瞭然。King Crimson、UK、Brufordといった70年代のプログレグループの曲カバーです。私は知らなかったのですが、Jobsonは20年以上も音楽制作の現場から離れていたそうですが、2007年にUK結成30周年(この結成○周年という意味はよく理解できないのですが)を記念して結成されたUKの別動体グループ「UKZ」を結成し、第一線に復帰します。この「UKZ」にはAllan Holdsworthフォロワーの最右翼的存在、Alex Machacekが参加していたことで一部で話題になっていましたね。

で、当欄としての注目点はやはりギタリストなのですが、本来であればRobert Fripp、まあ10歩譲ってAllan Holdsworthが妥当なのでしょう。しかし、それは無理筋というもの。というわけで何でも器用にこなせるGreg Howeに落ち着いたようです。個人的にはAlex Machacekのほうが期待値込みで面白かったのにと思わないでもありませんが。ところでこの「Ultimate Zero Project」はツアーの度にメンバーが変わるそうです。流動的なメンバー配置はそれぞれが多忙を極める人ばかりという事情もあって避けられないことなのですが、昨年の来日時ではギターに両手タップの怪人T.J.HelmerichやBilly Sheehanが参加したとか。いや、そっちのメンバーも面白そうです。

Greg Howeはほとんどの曲に参加していますが、個人的に注目したいのがCD-1の#3「In The Dead Of Night」でのプレイ。言うまでもなくUKの代表曲ですが、「前任」のAllan Holdsworthのプレイに対してどのように対峙したかが興味の的です。それが、聴いて吃驚!意外にも崩してくることなくオリジナルに忠実なのです。もちろん細部ではGreg Howeらしさというか彼の癖が出てしまうのですが、あえてオリジナルに従うことで、彼なりのリスペクトぶりを示しています。

続くCD-1の#4はなんと「Starless」にもトライ。これも言うまでもなくKing Crimsonの名盤「Red」に収められた曲のカバーですが、これも何とかこなしています。まあ、Fripp卿とはプレイスタイル自体がまったく異なるのでお互いを比較することは無意味なのですが、これはこれで面白いと思います。

CD-2の#4「Awakening」だけはちょっと異質な選曲です。これはご存じJohn McLaughlin率いるマハヴィシュヌの1stに収録されていた曲ですね。何でもJobson本人が書いたライナーによれば生き残っている数少ない尊敬できる人に敬意を表してプレイしたとの。Trey Gunnのギターは若干もたれ気味になりますが、彼とて巨匠の偉大さをあらためて痛感したことでしょう。

というわけでCD2枚という圧倒的なボリュームは聴きどころ満載で、往年のプログレ好きには堪らない魅力がテンコ盛りです。同時代的に聴いてきたファンであれば、懐かしさも手伝って嬉しくなってしまいます。

しかし、あえて苦言を呈しますと音質にかなり問題あり、と指摘せざるを得ません。特に中低音部が脆弱でせっかくのJohn Wettonのベースも台無しに。また、共鳴音の処理もいい加減なので大音量で聴いているとだんだん辛くなってきます。昔ならいざ知らず、この技術が発達しまくった時代なのにどうしてこんな音を聴かなくてはいかないのだろうと、悲しくなってしまいました。

●Musicians
Eddie Jobson / keyboards,violin
John Wetton / vocal,bass
Tony Levin / stick
Greg Howe / guitar
Trey Gunn / touch guitar
Ric Fierabracci / bass
Simon Phillips / drums
Marco Minnemann / drums

●Numbers
[CD-1]
1.  Alaska
2.  Presto Vivace
3.  In The Dead Og Night
4.  Starless
5.  Zero 1
6.  Book Of Saturday
7.  Zero 2
8.  One More Red Nightmare
9.  Sahara Of Snow

[CD-2]
1.  Zero 3
2.  Red
3.  Zero 4
4.  Awakening
5.  Zero 5
6.  Carrying No Cross
7.  The Only Thing She Needs
8.  Nevermore
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2011年1月 9日 (日)

名セッションサックス奏者Steve TavaglioneのソロにHoldsworthが参加

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Musician●Steve Tavaglione(sax)
Title●Blue Tav(1990年)
■Amazon USAより購入

ジャズフュージョン界周辺でちょくちょく名前を見かけるリード奏者Steve Tavaglione(スティーブ・タヴァローネ)が1990年にリリースしたソロアルバムです。ライナーを頼りにキャリアを探ってみると8年間もGeorge Bensonのサポートメンバーを務めていたり、EW&Fのアルバム制作に関わっていたりと豊富なキャリアの持ち主なのですね。

そんな背景もあって参加ミュージシャンが豪華絢爛です。最近ではJeff Beckと共演していた名ドラマーVinnie Colaiuta、売れっ子セッションギタリストMichael Landau、鍵盤楽器にDavid Garfield、ベースにAllan Holdsworthのバックを務めるJimmy Johnson、そしてテクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworthと斯界の重鎮ばかり。

サウンドとしてはラテン系ファンクフュージョンという感じですが、Steve TavaglioneはSaxの電子版ともいうべきEWIとアルト、ソプラノを巧みに使い分けています。まあ、どちらかというと喫茶店のBGM的な心地良いサウンドなわけですが、当欄としての注目はHoldsworthが 1曲のみ参加した#9「Tsunami」という曲。Holdsworthのソロに参加していた経緯からのゲスト参加だと思われますが、相変わらず Holdsworthが参加すると作品全体の作風が一変してしまいます。ギターのみならずSynthaxeまで駆使したHoldsworth入魂のソロは一聴の価値あり。これまでのラテンフレイヴァーをすべてかき消すかのごとく、例によって唯我独尊の世界を築き上げています。

●Musicians
Steve Tavaglione / EWI、soprano sax,alto sax
David Garfield / drums,keyboard
Vinnie Colauita / drums
John Pena / bass
Michael Landau / guitar
Walt Fowler / trumpet,flugehorn
Lenny Castro / percussion
Mike O'Neil / guitar
Michael Fisher / percussion
Jimmy Johnson / bass
Allan Holdsworth / guitar,synthaxe,guitar pads

●Numbers
1.  Kenya Dig It
2.  Catalina
3.  Sue-she
4.  Black Cadillac
5.  The Burning
6.  Uncle Oil
7.  Rapture
8.  Blue Tav
9.  Tsunami
10. The Burning(reprise)
Dscf2085

2011年1月 8日 (土)

フリー系サックス奏者Berneとお坊さん系奇天烈ギタリストDucretとの壮絶バトルライブ

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Musician●Tim Berne(alto sax)
Title●The Sublime And.Sciencefriction Live(2003年)
■ディスクユニオンで購入

かつてはJohn Zorn周辺で活躍していたフリー系サックス奏者Tim Berne(ティム・バーン)による壮絶ライブです。2003年4月12日にスイスのラジオ局によるスタジオライブを収めたものです。なんとお腹一杯の2CD組です。
参加メンバーはTom Rainey(drums)、Craig Taborn(organ)に加えてフランスが生んだ奇才Marc Ducretという最強の組み合わせです。

BerneとDucretはBerne所属レーベルやWinter By Winterなどで何度か共演していますが、このライブ音源が最もエネルギッシュで過激極まりないのではないでしょうか。
まず、Tom Raineyのドラムが凄い!RaineyはDucretの作品にも参加しているのでフリー系ではそこそこ名前が知られているかと思いますが、かなり直線的で明快なプレイをするプレイヤーです。余計なオカズや手数の多さで誤魔化すのではなく正面突破的な連打によって五臓六腑を刺激しまくります。

次にBerneのブローが凄まじい。さすがJohn Zornに鍛えられているだけあって奇天烈なブローの魅力が満載なのですが、とんでもなく引き出しが多い人なので決して聴く者を飽きさせることのない芸の持ち主。フリー系にありがちな「中だるみ」など一切許さない凄まじい集中力にはひたすら驚かされます。

最後にMarc Ducretのギターが凄まじい。無限に湧き出てくるような奇天烈なインプロにはただ圧倒されるのみ。かといって冗漫に陥ることなく、恐ろしいまでの集中力と奇想天外なアイデアとテクニックを駆使して最後までグイグイと引っ張り続ける圧倒的な才能には言葉も出ません。

というわけで異能集団が一切の加減を加えずにガチンコでぶつかり合う真剣勝負。しかも2CDという圧倒的ボリューム。フリーとかアヴァンギャルドなどという陳腐な表現を当てはめて解釈するよりも、まずは凄まじい音の圧力に身を任せてみることをお勧めします。

●Musicians
Tom Rainey / drums
Craig Taborn / organ
Marc Ducret / guitar
Tim Berne / alto sax

●Numbers
[CD 1]
1.  Van Gundy's Retreat
2.  The Shell Game
3.  Mrs. Subliminal / Clownfinger

[CD2]
1.  Smallfry
2.  Jalapeno Diplomacy / Traction
3.  Stuckon u(for Sarah)
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2011年1月 7日 (金)

超絶ギタリストShawn Laneの1stソロ「Power Of Ten」

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Musician●Shawn Lane(guitar)
Title●Powers of Ten(1992年)
■Amazonより購入

アメリカメンフィス出身のギターモンスターShawn Lane(ショーン・レーン)の1stソロアルバムです。1992年リリース。
Shawn Laneといえば1990年代中盤から行動を共にしているJonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)との諸作品で有名ですが、Hellborgと一緒になると「弾きまくり状態」になるのに対して、ソロ作品ではギタリストとしてはもちろん、彼が優れたコンポーザーでもあることに気がつきます。したがって「弾きまくり状態」を期待する人にはちょっと不向きかも。

以前、某巨大通販サイトの投稿には「つまらないハードフュージョンサウンド」などと酷評した記憶がありますが、もう一度あらためて聴き直すと、いや、自分の評価がかなり的外れだったことに気がついてしまい、大変恐縮しています。
ロック、カントリー、クラシック、ジャズなど多岐におよぶ音楽的才能を存分に生かした多彩な楽曲、変幻自在のギターソロ、弾きまくりと言えないまでもツボを押さえまくったフレーズ。どれをとっても素晴らしいの一語です。ごめんなさい。当時の自分の不明さを恥じるばかりです。

このアルバムのプロモーションツアーのライブ音源を集めた「Powers of Ten Live」、そしてハード&テクニカルな作風に転じた2nd「The Tri-Tone Fascination」もお勧めです。
一時期は廃盤状態にあって大変入手が困難でしたが、ボーナストラック3曲がついたうえにリマスター化されています。とはいえ、いずれは廃盤扱いになることは確実なので、入手できるうちに入手されることをお勧めします。

●Musician
Shawn Lane / guitars,keyboards,drums,bass

●Numbers
1.  Not Again
2.  Illusions
3.  Get You Back
4.  West Side Boogie
5.  Powers of Ten: Suite
6.  Piano Concertino: Transformation of Themes
7.  Paris
8.  Esperanto
9.  Rules of the Game
10. Gray Pianos Flying
11. Epilogue (For Lisa)
12. Tri-Heaven(bonus track) 
13. Get You Back(bonus track)
14. West Side Boogie(bonus track)
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2011年1月 6日 (木)

Hellborgがメタル兄弟と共演した「E」

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●E(1994年)
■Gemm.comより購入

北欧スウェーデンが生んだ超絶&変態ベースの使い手Jonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)が1994年にリリースしたソロアルバムです。アルバムごとに共演ミュージシャンが目まぐるしく変わるのがHellborgの特徴ですが、今回は同郷のAndrers Johansson&Jens Johansson兄弟と組んでいます。この兄弟は「元貴公子」イングヴェイ・マルムスティーンやアラン・ホールズワースとの共演でも有名ですね。

このトリオによってどんなサウンドが生まれるかが大変興味深いのですが、もはやジャズフュージョンというよりもハードコアなジャズファンクの様相を呈しています。
とにかく一切の妥協を許さないハードなインプロの応酬は、脳髄を断続的に痺れさせてくれますが、変拍子に次ぐ変拍子、目まぐるしく変化する曲調、そして容赦なく打ち込まれる超絶技巧の数々…と一切の「捨て曲」がないという凄まじい作品に仕上がっています。
もちろん、一般的にはなかなか受け入れがたい作風であることは確かなのですが。

#1  Dog Bar-B-Q

いきなりヒキツったようなHellborgのベースソロで始まる曲。ドラムがマシンガンのような連打で対抗し、オルガンもまた狂ったようにソロで応戦します。やや、落ち着いたと思わせて曲調が変わったと思ったら再び激しいインタープレイへ突入。いやはや、先が心配になるほどエネルギー全開です。

#2  JB

相当にファンキーな黒っぽい曲です。タイトでやたらと音数の多いドラムでスタート。満を持して入り込んでくるオルガンソロはジャズオルガンの名手、ジミー・スミスを北欧風に端正にした感じです。ベースはやや様子を伺う感じで。すが曲後半にさしかかる頃には案の定オルガンとの過激なインタープレイへと突入。

#4  Mouteadne
ドラムと絡むベース。オルガンと絡むベースのリフレインが実に印象的な曲。転調してブルース仕立てを思わせながら、再度激しいユニゾンへ。なんということをしてくれるのか、このトリオは!

#6  Moving

いきなりオルガンによる変拍子攻撃にさらされて悶絶死寸前に。ベースも負けじとゴリゴリと応戦します。途中からテンポアップしてからは凄まじいドラムとベースソロへ。何ともケタタマシイ曲ですが、終わるとなぜか爽快感を感じます。

#7  Sovjet

ラストはなぜか旧ソビエト連邦の国歌で。美しいベースラインでクールダウンと言いたいところですが、得体の知れない不気味さは幼少期に刷り込まれたソ連に対する印象もあって、とても安心して聴ける雰囲気ではありません。

というわけで終始して感じられる印象は「凶暴」「過激」「不気味」。もちろんプレイそのものは「超絶」。こんな作品なので取り扱いには十分に気をつけてください♪

●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Andrers Johansson / drums
Jens Johansson / organ

●Numbers
1.  Dog Bar-B-Q
2.  JB
3.  Vilnius
4.  Mouteadne
5.  Kenneth
6.  Moving
7.  Sovjet
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2011年1月 5日 (水)

The Beatlesの全作品ボックスが期間限定でお安く発売中!

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Musician●The Beatles
Title●The Beatles Box(2010年)
■Amazonより購入

一昨年の2009年に発売されたThe Beatlesの全14作品ボックスセット。発売当初は中高年を中心に売れに売れて一時は店頭で品薄になるほどの人気を集めて話題になったことは記憶に新しいところです。3万円もするボックスセットがバンバン売れるわけですから、いくら不景気でもやはり良い商品は財布の紐を緩めるもんだと感心したものです。

そんなThe Beatlesの全作品ボックスセットが昨年末に「期間限定廉価版」として発売されました。定価は2万7千円ですが昨年末私が購入したときは2万円にプライスダウン。オリジナルボックスセットは相変わらず3万円前後の高値ですが、この価格なら買わない手はありません。というわけで、えいっ!とばかりに買ってしまいました。「日ごろ頑張っている自分へのご褒美」などというOLさんみたいな洒落た考え方ではありません。値下がりするのを虎視眈々と狙っていたのです。届いたモノは2009年型ステレオリミックス版でした。オリジナルボックスとの違いはよくわかりません。個人的には音源にしか興味がないので、外装などの違いはまったく眼中にないのです。

中身に関しては私のような人間があれこれ言うのも何なので控えます。年末年始の数日間、全14作品の音源にどっぷりとはまり至福の時を過ごすことができました。やっぱり、彼らは偉大です!動揺したのが1st「Please Please Me」の曲順。いままで日本盤アナログでの曲順が頭に叩き込まれていたので、「Please Please Me」ではなく「I Saw Her Standing There」でスタートしたときは、相当面食らいました。

外装はこんな感じです
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マグネット仕様の蓋を開けるとこんな感じでCDが登場
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ジャケットデザインは英国初版のものを使っているのでしょう。実はジャケットにはあまり興味がありません。ごめんなさい
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<追記>
以前の記事でThe Beatlesの日本デビュー盤のことを書きましたが、ご参考までに日本盤での曲順を掲載します。「Please Please Me」をトップにもってくることで「爽やか好青年」の印象を与えることにある程度成功したのではと考えます。果たして「I Saw Her Standing There」からスタートしたらどうなっていたのでしょうか。今の時代では曲順を勝手に編集することなど考えられないことですが、大らかな時代だったのでしょうね。
ちなみに邦題は「ステレオ!これがビートルズ!Vol.1」。実際は疑似ステレオなのですが、ことさらステレオを売り言葉にしているのも時代を感じさせます。

1.   Please Please Me
2.   Anna
3.   I Saw Her Standing There
4.   Boys
5.   Misery
6.   Changes
7.   Ask Me Why
8.   Twist And Shout
9.   A Taste Of Honey
10.  Love Me Do
11.  Do You Want To Know A Secret
12.  Baby It's You
13.  There's A Place
14.  P.S. I Love You

2011年1月 4日 (火)

日本を代表する変態ギタリストの傑作ソロ「Private Pieces 1986~1987」

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Musician●小川銀次 (guitar)
Title●Private Pieces 1986~1987(1991年)
■HMVで購入

RCサクセションのギタリストとして活躍し、幻想的なインストバンド「クロスウインド」の名盤「そして夢の国へ」ではギターという楽器がもてる可能性を極限にまで追求したギタリスト、小川銀次のソロアルバムです。
小川氏といえばギターで動物や昆虫の声、風や嵐などの自然現象を表現してしまう類まれなテクニックの持ち主。おそらく日本で随一ではないかと思います。新生King Crimsonでギタリストを務めるエイドリアン・ブリューも象の鳴き声などをギターで表現しましたが、守備範囲の広さという点では小川氏のほうが上ではないかと思います。

このアルバムはタイトルが表しているように小川氏が1986年から87年にかけて個人的に収録した音源を集めたもの。基本はロックギターですが、その圧倒的なテクニックはもちろん、世の中の森羅万象をすべてギターで表現できるのでは、と思われるとてつもない表現力には感心するばかりです。
フレーズも変態性を極めていますが、けっしておどろおどろしいものにならないどころか、幻想的でメランコリックな世界を体現しています。そのあたりの絶妙なバランス感覚が小川氏の持ち味と言えるでしょう。ギター好きな方、少しでもギターをいじった経験がある人ならば、彼のすごさをわかっていただけると思います。

●Musicians
Ginji Ogawa / guitars
Gaku Takanaka / bass
Shuji Soh / drums

●Numbers
1.  熱風
2.  グロリア
3.  10枚の手紙
4.  嵐の前の不思議な風
5.  ジェネシス
6.  5 To 9
7.  銀世界
8.  消えた大陸
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2011年1月 3日 (月)

ジミヘンの「Woodstock」ライブがリイシュー

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Musician●Jimi Hendrix(guitar,vocal)
Title●Live At Woodstock(1969年)
■Amazonより購入

やや時期を逸してしまいましたが、2010年はJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)没後40年ということで数タイトルがリイシューされました。いちばんの「大どころ」は5CD+DVDセットだと思いますが、今回ご紹介する「Live At Woodstock」も個人的には目玉商品でした。というのも、初回CD化のときは1CDでしたがリマスター&再発売された機会に未発表音源を追加して2CDになっていたからです。
もちろんリマスター盤を入手すればこと足りるのですが、せっかくの記念盤です。最新のデジタルリマスター効果を体感したい気持ちもあって購入にいたりました。

内容に関してはさまざまな情報が出回っているのでここでは割愛しますが、リマスター効果はそこそこという感じです。一時期流行っていた(?)過剰なお化粧的な音づくりではなく、できるだけ原音を忠実に再現しようという仕事ぶりに好感がもてます。とにかく大音量で聴いていると、あたかもコンサート会場にいるような錯覚を覚えるほどの素晴らしい出来です。

特にCD 2の「Star Spangled Banner」から始まり、「Purple Haze」~「Woodstock Improvisation」~「Villanova Junction」へと連なる一連の流れはわかっていても素晴らしい出来映え。司会者のアナウンスがあって「これでオシマイなのか」と思わせておいて、アンコール的に「Hey Joe」で締める構成は涙ものです。果たして「Hey Joe」が本当にアンコール曲であったかはわかりませんが、仮に演出だったとしても当欄は許します。
ふんだんに写真が掲載されている計24ページにも及ぶ豪華ブックレットもCD世代で良かったな、と思わせます。

実はこのウッドストック音源に関してはまだ「完全版」とは言えません。当欄では何回も主張していますが、音質のことはさて置いても、できれば「完全版」のリリースを望みます。また、現在出回っている映像についても「未発表」のものが存在することが明らかです。こちらも商品化を切に希望します。

●Musicians
Jimi Hendrix / guitar,vocals
Billy Cox / bass,vocals
Mitch Mitchell / drums
Juma Sultan / percusssion
Larry Lee / guitar
Jerry Velez / percussion

●Numbers
[CD 1]
1.  Introduction
2.  Message To Love
3.  Hear My Train A Commin'
4.  Spanish Castle Magic
5.  Red House
6.  Lover Man
7.  Foxy Lady
8.  Jam Back At The House

[CD 2]
1.  Izabella
2.  Fire
3.  Voddoo Chile(Slight Return)
4.  Star Spangled Banner
5.  Purple Haze
6.  Woodstock Improvisation
7.  Villanova Junction
8.  Hey Joe
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2011年1月 2日 (日)

HellborgとLaneの歴史的邂逅「Abstract Logic」

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●Abstract Logic(1994年)
■Amazonより購入

John McLaughlinが1980年代に結成した「新生マハヴィシュヌ」でベース奏者を務めたスウェーデン出身のJonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)。ソロデビュー以来、さまざまなミュージシャンと共演し音楽的な方向性を探っていましたが、ついに強力な相方を見つけたのがこの作品です。

ギターのShawn Lane(ショーン・レーン)は米メンフィスを中心に音楽活動をしていましたが、シュラプネルの総帥マーク・ヴァーニーから声を掛けられてBrett Garsedと一緒に「MVPシリーズ」に参加していました。1992年には「Powers of Ten」で待望のソロデビューを果たしています。

HellborgとLaneとの出会いの経緯はよくわかりませんが、かたや北欧の変態ベースの使い手とかたやギターモンスターとの邂逅は必然であったのでしょう。ドラムにはあのジンジャー・ベイカーの息子Kofi Baker(コフィ・ベイカー)が参加しています。エルボーグの専属レーベルの感が強いDay Eightレコードからリリースされています。

この作品の最大の売り物は何と言っても、HellborgとLaneの激しいインプロの応酬で、人間の限界を遥かに超えたと思われる超絶技巧によるバトルは、多くのジャズ・フュージョンファンを唸らせるもの。この黄金の超絶コンビは2003年9月に40歳という若さでショーン・レーンが夭折するまでの約10年間続きますが、のちの作品で聴かれる音楽的な要素の原型を多く見いだすことができます。
HellborgとLaneが最も輝いていた時期の人間ワザを遙かに超えた凄まじいプレイをご堪能あれ♪

●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Shawn Lane / guitar
Kofi Baker / drums

●Numbers
1.  Serpents And Pigs
2.  Rice With The Abgels
3.  Pluie De Etincelles
4.  Layla Attar
5.  Abstract Logic
6.  Put The Shoe On The Other Foot
7.  Throwing Rlephant And Wrestling
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2011年1月 1日 (土)

個性派ギタリストNguyen Leの2nd「Zanzibar」

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Musician●Nguyen Le(guitar)
Title●Zanzibar(1992年)
■Amazon Franceより購入

新年、あけましておめでとうございます。
今年も当欄をお引き立てのほどよろしくお願い申しあげます。

といいつつも、実際にこの原稿を書いているのは12月初旬の年末の慌ただしい時期だったりします。もとより季節感などは完全無視のブログなので個人的にはまったく頓着していないのですが、まずはご挨拶まで。

さて、昨年の晩秋から年末にかけてボーナス狙いなのかはわかりませんが、多くの再発売ものや発掘音源のリリースが重なりました。個人的にはJimi Hendrixの未発表音源を収めた5CD+1DVDセットの登場が大きいと思いましたし、John Lennon没後30年なのかThe Beatlesの「赤盤」「青盤」のリマスター盤発売も結構な話題になったと思います。そういえばThe Beatlesの17作品がアップルレコード社とAppleとの「歴史的な和解」によってiTunes上でリリースされたのも昨年11月でした。

というわけで昨年末から当欄が実に強力にプッシュしています、超個性派ギタリストNguyen Le(グエン・レ)によるソロ第2弾です。良質なコンテンポラリー系ジャズの宝庫ACTレコードからのリリースです。1992年の作品。
参加メンバーはArt Lande(ピアノ)、Paul MCcandless(サックス)、Dean Johnson(ベース)、Joel Allouche(ドラム)というカルテット構成。

1st「Miracles」で少しだけ触れましたがやや手探り状態の感があった前作に比べて、格段に進歩というか、いよいよ本領発揮という感じです。というのも両親がベトナム出身という民族ルーツを惜しげもなく作品にも導入し、単なるフュージョン作品に終わらせることなく、西欧的な要素とアジアンテイストとの融合を貪欲に図っているのです。
これまで「ワールドミュージック」と呼ばれるジャンルでは似たような「融合」は見られましたが、どうも取って付けたような「違和感」が拭えませんでした。勝手な持論ですが、アングロサクソン系のミュージシャンがアジア的な要素を作品に導入した場合に起きる違和感なのではないかと思われます。しかし、アジアの血をひくミュージシャンが同じ試みをするとどうなるのか。これは前例がないと思われます。

オープニングの#1「Zanzibar」こそやや大人しめですが、2#「Sarugaku」は曲というよりも「お能」のように不気味に響くヴォイスが延々と続くなか、Nguyen Leのギターシンセがさらに不気味な雰囲気を醸し出しています。作品中、最も異色なナンバーです。
続く#3「Urbi」は一転してロックタッチの曲。連打される銅鑼が生み出す妙なポリリズムとNguyen Leによる国籍不明なフレーズが妙なバランスを醸し出しています。

やたら攻撃的な前半に対し途中はやや中だるみの感がありますが、後半の「Singe Pelerin」と「Lucie & Umbrae」で聴かせるこの世のものと思えない美しいソロはまさに絶品!ほかに類例が見られないこの超個性派ギタリストは、日本では無名に近いようですが、ギター好きの人にはぜひ勧めたい作品です。長い間、廃盤状態が続いていましたが、2005年にフランスで復刻されました。この機会にぜひ!

●Musicians
Nguyen Le / guitars,gt-synth,synth-programming & sequencing
Art Lande / piano,thumb piano
Paul McCandless / soprano saxophone,oboe,english horn,bass clarinet
Dean Johnson / acoustic bass
Joel Allouche / drums,percussion

●Numbers
1.   Zanzibar 
2.   Sarugaku 
3.   Urbi 
4.   Isoar 
5.   Nomaco 
6.   Singe Roi 
7.   Omero 
8.   Lupi Pilu 
9.   Trace 
10.  Singe Pelerin
11.  Lucie & Umbrae
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