Hellborg & Laneによる超絶ライブ「Temporal Analogues of Paradise」
Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●Temporal Analogues of Paradise(1995年)
■ディスクユニオンで購入
北欧スウェーデン出身の超絶ベース奏者Jonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)、米メンフィス出身のギターモンスターShawn Lane(ショーン・レーン)、Jeff Sipe(ジェフ・サイプ)のトリオによる超絶技巧満載のライブアルバムです。名義はHellborgになっていますが、実質的にはHelllborgとLaneによる双頭ユニットの色合いが強いように思えます。つまりは、変態ベースとギターモンスターによる壮絶なバトルということに。1995年のストックホルムでのライブ音源を収めたものです。
Shawn Laneのギターの凄まじさに関しては今さらの感もありますが、例によって目にも止まらない音速フレーズが縦横無尽に飛びまくり、怪鳥音のような雄叫びは空を裂きます。もう、これだけでお腹が一杯なのですが、そこにHellborgの変態ベースが絡んできて壮絶な異種格闘技が繰り広げられます。どこから飛んでくるのかまるで予測不可能な音の洪水にただただ圧倒されるのみですが、それでいて一切の破綻がなくひとつの作品に仕上げてしまうのですから、奇跡のようなライブといっても過言ではありません。しかも30分強の2曲のみという荒業!
いつ終わるとも知れない3人のバトルを、しかもライブで聴ける僥倖は筆舌に尽くしがたい価値があります。ところが2003年9月にトリオの一角であるShawn Laneが40歳という若さで亡くなってしまい、もう永遠にこのトリオのバトルを耳にすることは叶わなくなりました。合掌。
このアルバムですが再発売の時に何ら変哲もないデザインに変わってしまいましたが、オリジナルデザインは北京天安門の前で毛沢東の肖像をバックに3人が仁王立ちになっているというもの。政治的な配慮で差し替わってしまったのでしょうか。そういえば、Hellborgはソロアルバムでこっそりとハーケンクロイツを風刺的に掲載しアルバムが回収騒ぎになるという「前科」がありますね。
ところで、Shawn Laneと同姓同名のミュージシャンがいますが、この人はトリオとは何の関わりもないカントリー歌手です。Shawn Laneで検索するとヒットしてきますが、くれぐれも間違って購入しないでくださいね。
●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Shawn Lane / guitar,voice
Jeff Sipe / drums
●Numbers
1. 1st Movement
2. 2nd Movement
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コメント
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この盤は神々しい位すばらしい作品だと思います。出だしのベース音だけで卒倒してしまいそうです。
(私の持っているのも残念ながら毛沢東ジャケではありませんが…)
エルボーグ+レーン+Apt. Qのトリオ作では本作と「Time is Enemy」が傑出してるのではないでしょうか。
ジャズ専の私としては、シュラプネル派のギタリストはちょっと~ という感があるのですが、エルボーグの統御のもとで飛翔しまくるレーンのギターを聴くと歓喜の落涙を抑える事ができません(T T)
アルバムタイトルも効いてますね~
70年代風に訳すと「かりそめの楽園」というところでしょうか。
卓越したベースないしドラマーがリーダーをつとめるギター関連作品には素晴らしいものが多い気がします。
ベースないしドラマーのほうがバンド全体を客観的に俯瞰している感を受けるんですよね。
例えば、Right Brain Patrolしかり、E_L_Bしかり…
沈没説?もありますがゲーリー・シャフ名義のNoisy Old Menも素晴らしいと私は思ってますよ(^ ^;(ライナーノーツにギター連中がソロを弾きたがらずに困ったとの記載があり、シャイなジャズジャイアンツにいとしさひとしおって感じたのは私だけ?)
それはさておき、レーン(のお母様公認の公式)ファンサイト http://shawnlane.jp/ を創設したchocoさん(かつてのマイミク)が、レーンそっくりのアマギタリストなのですが、まぁ聴いてくださいな→ http://www.youtube.com/user/choco2233#p/u/9/OtqUoy1ujE0
その上タック・アンドレス奏法もこなすというのも超絶な方なのです…
プロよりも上手いアマって案外多い気がします。
また、脱線してしまいました~
ではでは
投稿: betta taro | 2010年12月10日 (金) 21時02分
コメントありがとうございます。
いやー、このトリオは素晴らしいですよね、ほんと。奇しくも本日「Time Is Enemy」をアップしました(笑)。
そういえばいつぞやはShawn Laneソロの幻のボーナストラックまでご手配いただきありがとうございます。遅ればせながらあらためてお礼申し上げます。
教えていただいたYou Tube拝見しました。いやー、こんな人がアマチュアでいるとは!驚きですね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年12月12日 (日) 11時17分
「Shawn Laneソロの幻のボーナストラック」???
最近記憶力がめっきり衰えて(^ ^; 覚えていませんが、少しでも敬愛する奇天烈音楽師様のためになれたなら光栄な事です。
私にとって、奇天烈音楽師様は、漁盤(おもにジャズギター関連)という広大な海における、灯台の様な存在なのです。
これからも虎の穴の様な作品を発掘し、世に知らしめていただける事を期待しておりますm(_ _)m
投稿: betta taro | 2010年12月12日 (日) 19時40分