80年型キンクリ第1弾「Discipline」
Musician●King Crimson
Title●Discipline(1981年)
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1981年に発表された新生King Crimsonの第1作です。第2期Talking Headsでのプレイが冴え渡っていた奇才Adrian Belew(エイドリアン・ブリュー)を半ば強奪気味に迎え入れギタリストに迎え、ベースにはスキンヘッドのベース(スティック・ベース)の魔術師Tony Levin(トニー・レイヴン)を据えて、今までに聴かれなかった大変キッチュな音の世界を作り上げています。ドラムはお馴染みBill Bruford。
まずは#1「Elephant Talk」ではいきな りBelewによる象の咆哮が炸裂します。Fripp卿がすべてのパートを仕切っていた従来型キンクリでは考えられなかったなので、いきなり腰を抜かすほどの驚きです。#2「Frame By Frame」ではグループお初の“男性ハーモニー”まで出てくる始末です。それにしてもBelewの曲がりくねったギターソロは完全に「変態の域」に達していますが、対するFripp卿のプレイは相変わらず冷徹、冷静で機械的ですらあります。この2人のまったくキャラが異なるギタリストが織りなす摩訶不思議な世界は、聴いているうちに妙なトランス状態へと導いていく静かなパワーを感じます。Levinが作り出すスティックによるフレーズも変態性を極め、実に怪しい世界が広がります。
「Discipline=鍛錬、訓練」と名づけられたこのアルバムがリリースされた当時、Fripp卿は「自ら鍛錬を続けることによって、より完成された音楽を作り出すことができる。私のこれまでのプレイは非常に雑で粗野だった。だから、今までの自分のプレイのすべてを捨て去ったうえで新たに鍛錬、訓練を続けながら自分の音楽を志向していくことになるであろう。だからアルバムのタイトルもDisciplineにした」という意味合いの発言をしていました。この発言がどこまで本気でどこまで冗談なのかは、発売後30年近く経ったいまでもわかりませんが、従来型キンクリのイメージを完全に打ち破ったのは事実です。あえて言えばラスト「Discipline」は若干70年代型キンクリの残滓を伺うことができるでしょう。最後の最後でほっとしたオールドファンもいたのではないでしょうか。
従来型キンクリのイメージを求めてこのアルバムに接した人は、強烈な拒否感を示したことも事実でしょう。そう感じさせた時点で、Fripp卿はきっとニヒルな笑みを浮かべたに違いません。個人的には永遠と続く無機質なアルペジオを弾くには、やはり日常の鍛錬、訓練が必要だなと感じましたが。
ところで、結成40周年記念盤ではボーナストラックとして「Matte Kudasai」の別バージョンが収録されています。個人的には「どっちでもいいや」という感じです。
●Musicians
Robert Fripp / guitars,devices
Adrian Belew / guitar,vocals
Tony Levin / stick,bass,support vocal
Bill Bruford / batterie
●Numbers
1. Elephant Talk
2. Frame by Frame
3. Matte Kudasai
4. Indiscipline
5. The Hun Ginjeet
6. The Sheltering Sky
7. Discipline
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