Jean-Luc Pontyの出世作「Enigmatic Ocean」
Musicians●Jean-Luc Ponty
Title●Enigmatic Ocean(1977年)
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第2期Mahavishnu Orchestraに参加して全世界的に名前が知られるようになったフランス人ヴァイオリン奏者Jean-Luc Ponty(ジャン・リュック・ポンティ)が1975年にグループを脱退後、ソロ活動をスタートさせますが、この作品は最初の代表作とも言えます。録音は1977年。
フランス人でヴァイオリン奏者といえば何と言ってもステファン・グラッペリが有名で何となく優雅なイメージがありますが、ポンティの場合はエレクトリックヴァイオリンの使い手であり、完全にフュージョン志向のプレイヤーです。John McLaughlinと対等に渡り合っていたことからわかるように、宇宙的なファンタジーの世界を得意としています。天衣無縫、自由奔放なポンティのヴァイオリン・ソロが圧巻なのですが、同時に参加メンバーが実に豪華です。ギターに元Soft Machine、元GongのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)、名バイプレイヤーDaryl Stuermer(ダリル・ステューマー)、Steve Smith(ドラム)などの重要人物の名前が見られます。
この作品での最大の聴きどころはタイトル曲でもある「Enigmatic Ocean」。組曲仕立てになっているこの曲では、ギターのホールズワースとステューマーが左右チャンネルで交互に弾き分けていますが、直線的なスチューマーに対してウネウネと変態フレーズを連発するホールズワースとの対比が実に鮮やかで、いま聴き直しても実に新鮮な魅力にあふれています。続く「Nostalgic Lady」はマイナー調の曲にホールズワースの粘りっこいギターが怪しく絡まり、実に幻想的な世界を築き上げています。
このアルバムはセールス的にも大成功を収めて1977年11月のキャッシュボックス・ジャズチャートなどでグランプリを獲得したとか。70年代のジャズロックシーンを語るうえで欠かせない傑作です。その後、PontyとHoldsworthは「Individual Choice」(1983年)という作品で共演を果たしていますが、こちらはゲスト参加という扱いなのでHoldsworth目当てのファンにとってはいささか物足りないかもしれません。
●Musicians
Jean-Luc Ponty / electric violin,Five-string electric violin,violectra,bells,piano
Allan Holdsworth / guitar
Daryl Stuermer / guitar
Ralphe Armstrong / bass
Allan Zavod / organ,synthesizer,piano,clavinet
Steve Smith / drums
●Numbers
1. Overture
2. The Trans-Love Express
3. Mirage
4. Enigmatic Ocean - Part I
5. Enigmatic Ocean - Part II
6. Enigmatic Ocean - Part III
7. Enigmatic Ocean - Part IV
8. Nostalgic Lady
9. The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 1
10. The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 2
11. The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 3
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コメント
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最後の曲でアラン・ホールズワースのギターソロが途中で終っているのが非常に残念な思いをしております。
投稿: サネヒロgym | 2016年9月20日 (火) 02時26分
サネヒロgymさま
コメントありがとうございます。
確かに尻切れトンボ感は否めないですね。いま冷静になって聴き直すと編集も粗いですし。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年9月20日 (火) 23時44分