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2010年11月

2010年11月30日 (火)

北欧の激辛ユニット「Scorch Trio」ふたたび「Luggumt」

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Musician●Scorch Trio
Title●Luggumt(2004年)
■Amazonより購入

フィンランド出身のフリー&アヴァンギャルド系ギタリスト、Raoul Bjokenheim(ラウル・ビョーケンヘイム)が中心になって結成された激辛フリージャズユニット「Scorch Trio」の第2弾。2004年の作品です。「Scorch」とは「焼け焦がす」という意味があるそうです。ユニット名からして危険な臭いがプンプンと漂ってきますね。前作に引き続きリズム隊はフリージャズユニット「Atomic」出身のIngebrigt Haker Flaten(bass)とPaal Nilssen-Love(drums)という最強の布陣です。

前作「Scorch Trio」(2002年)でも破壊力満点の攻撃的なギタープレイで聴く者を圧倒したBjokenheimですが、ここでも前作に劣らない壮絶な音のバトルが展開されています。「Scorch Trio」でも触れましたが、フリージャズというカテゴライズに当てはめることを拒否するかのごとく、徹底的に自由でかつ攻撃的。まさに「何でもあり」の無政府状態の連続には、確かにはじめは馴染めないかもしれません。しかし、耳を傾けているうちに何となく彼らの世界へと引き込まれていくという不思議な魔力を秘めた作品です。こうなったら一種の合法的な麻薬ですね。たとえはまるで変ですが、激辛カレー店に入って覚悟のうえでオーダーしてしまった「常連限定隠しメニュー」のような密やかな楽しみにも通じます。そうです。知る人ぞ知るというあの感覚です。前作とあえて比較して聴きやすさからいうとこの「Luggumt」のほうかなと思いますが、どちらにしてもかなりハードルは高いです。

それにしても天衣無縫、縦横無尽に疾走するBjokenheimのギターはかなり強烈なインパクトです。同じアヴァンギャルド系ギタリストのMarc Ducretをさらに過激にしたという感じでしょうか。どこから飛んでくるのか、どこへ行ってしまうのか。まるで予測不可能なプレイの連続で、私の脳幹は痺れっぱなしです。ですので、一般的なジャズギターを求める良識ある人は決して手を出さないことをお勧めします。これでも、若い頃はあのECMから作品リリースしている人なんですが(笑)。

●Musicians
Raoul Bjokenheim / guitar,viola,gamba
Ingebrigt Haker Flaten / bass,electronics
Paal Nilssen-Love / drums,percussion

●Numbers
1.   Kjole Hole
2.   Synnja Vegga
3.   Brennj Fynnj
4.   Furskunjt
5.   Snaekje Rojnd Naevinj
6.   Luggumt
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2010年11月29日 (月)

Gary Husbandの豪華絢爛ゲストソロ「Dirty & Beautiful Vol.1」

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Musician●Gary Husband(drums,keyboards)
Title●Dirty & Beautiful Vol.1(2010年)
■Amazonより購入

John McLaughlinやAllan Holdsworthなどの大物ギタリストとの共演で有名なGary Husbandによる最新作です。2010年リリース。自身名義としては8作目だそうです。この人、そんなに多作でしたっけ。そういえばHoldsworthのカバーを得意の(?)ピアノでカバーするという腰巾着ぶりを発揮した痛い過去もありました。

このアルバム、夏過ぎあたりからお世話になっているTwitter上でけっこうな噂になっていまして、当欄としてもいち早く予約注文をしていた次第です。何せゲストミュージシャンが凄いのなんのって!

Allan Holdsworth
John McLaughlin
Steve Hackett
Robin Trower
Steve Topping
Jan Hammer
Jerry Goodman
Jimmy Johnson
Mark King

などなどとキラ星のごとくスターミュージシャンの名前がズラリと並んでいます。これを買わずして!と意気込まない音楽ファンがおりましょうか、という感じです。さて、期待に胸を躍らせて聴いてみたところ、出てくるのは「??」の連続。実はいくつかのブログを拝見してこのアルバムに関するネガティヴ情報は察知していたのですが、それでも自分の耳で確かめるまでは、と思っていました。まあ、いろいろな表現方法はあるとは思いますが、当欄なりの感想としては「素材の良さを生かせないなら作品など作るものではない!」に尽きます。誘導的な言質はあまりとりたくはないのですが、何とまあこんな味もコクもない薄っぺらい作品にしてくれたな、という感じです。

と文句ばかり並べていますが、それでも聴かせる楽曲は何曲かあるので若干触れておきます。

#1  Leave 'Em On

ギターにHoldsworth、鍵盤にJan Hammer、ベースにJimmy Johnsonを迎えた怪しげな曲。ライナーを担当している某工藤氏は苦しげな評価を与えていますが、これはHoldsworthというよりもHammerのために作られたような曲。まあ、イントロはHoldsworthの独自世界ですが、これで終わりですか!というくらいバッキングに徹しています。インド風フレーズで怪しく立ち回るHammerのプレイは確かに面白いです。冷静になってクレジットを見たらHoldsworthの曲でした。

#3  Between The Sheets Of Music

Jan Hammerの曲。Holdsworthが参加。変哲もないミドルテンポの曲ですが、途中からテンポアップしてから入り込んでくるJerry Goodmanのヴァイオリンが何とも狂気に満ちていて面白い仕上がりになっています。Holdsworthはあくまでもバッキングに徹しています。Husbandのドラムは佳境に入るとバタバタする悪い癖がありますが、どうも改めるつもりがないようです。

#6  Dreams In Blue
Husbandの曲。もう一人の大物ゲスト、McLaughlinが参加。マクラフリン先生はいきなり飛ばし気味にソロを連発しています。流石の大物感と存在感を存分に発揮してくれています。HusbandもJimmy Johnsonも御大の前では真面目に緊迫感あふれるプレイになっています。アルバムの中で最も聴かせる曲。やっと溜飲が下がります。欲を言えばマクラフリンとHammerの久しぶりの共演が聴きたいところですが、冷静になって考えると第1期マハヴィシュヌ時代に横暴な御大から逃亡した「前科」があるので無理な話でした。

というわけで、個人的に「おお」と思えた曲をあげてみましたが、今度は「?」がついた曲を。

#4  Yesternow-Preview
言うまでもなく帝王Milesの楽曲。何とジミヘンフォロワーの第一人者であるRobin Trowerが参加。相変わらずのブルースギターを弾きまくっていますが、原曲が判別できるのはベースラインのみというトホホなアレンジ。わざわざ大ベテランを担ぎだした意味がわかりませんし、しかも1分も経たないうちにフェードアウトするし…。

#10  The Maverick
かつてHoldsworthが大絶賛したと言われる変態フレーズの使い手Steve Toppingが久々に登場。相変わらずの妙なアルペジオから入るのですが、どうも最後まで乗ってきません。ソロに入ると思わせて単調なカッティングで誤魔化されたと思ったら、またアルベジオに戻り…。結局、ソロは弾きたくないのね、というやらずボッタクリのようなプレイ。Topping自身もやる気がないのならオファーを断るべきですよね。考えてみたらToppingとHusbandは80年代初頭に自主制作盤を作った仲で、いわば昔からの腐れ縁での登場のようです。

#11  Boulevard Baloneyo
Husbandの曲。明記はされていませんがHoldsworthがシンタックスで臨んでいます。結局、Husbandの鍵盤と共食いする結果になってしまい、御大が参加していることすら気がつかないというダメダメアレンジに終始してしまっています。

#13  Boulevard Baloneyo Revisited
#11のBoulevard Baloneyoの別テイクのようです。日本盤のみのボーナストラックです。とはいえ低調な#11から劇的に変わっているというわけではなく、散文調で冗漫なまるで練習曲もような感じ。唯一の救いは御大がチラッとソロを弾いていることだけです。でもこれで「ほれ、ボートラだよ」と押しつけがましく言われても…。トホホ。

というわけで何ともネガティヴなご報告に終始してしまい、大変恐縮です。もちろんこれは個人的な感想ですから、当たり前のことですがご自分の耳で確認されることをお勧めします。総じて言うと、特にHoldsworth目当てに購入した人にとっては大きな不満が残る結果に。どうもタイトルからして「第2弾」が出るような感じで実際に早めれば来年春にはリリースとか。さて次も買うかというとかなり微妙な心境であることは確かです。

●Musicians
Gary Husband / drums,keyboards
Allan Holdsworth / guitar.synthaxe
John McLaughlin / guitar
Steve Hackett / guitar
Robin Trower / guitar
Steve Topping / guitar
Jan Hammer / keyboards
Jerry Goodman / violin
Jimmy Johnson / bass
Mark King / bass

●Numbers
1.   Leave 'Em On
2.   Bedford Falls
3.   Between The Sheets Of Music
4.   Yesternow-Preview
5.   Afterglow
6.   Dreams In Blue
7.   Ternberg Jam
8.   Moon Song
9.   Swell
10.  The Maverick
11.  Boulevard Baloneyo
12.  Alverstone Jam
13.  Boulevard Baloneyo Revisited
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2010年11月28日 (日)

McLaughlinによるコルトレーンカバー「After The Rain」

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Musician●John McLaghlin(guitar)
Title●After the Rain(1994年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズロックギター界の大御所、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)がいまは亡きElvin Jonesと若きオルガン奏者Joey DeFrancescoと組んで録音したコルトレーンのカバーアルバムです。1994年録音。

コルトレーンをカバーした作品は何枚もありますが、何と言ってもElvin Jonesを担ぎだしたうえに、売れっ子オルガン奏者Joey DeFrancescoを加えたトリオ構成で臨むあたりが、McLaughlinのアイデアの豊かさを感じさせます。円熟味を増したというか一切の無駄を排したElvin Jonesのドラムに合わせて、McLaughlinのギターが自由奔放に舞います。それを支えるDeFrancescoのオルガンもナイスサポートです。

コルトレーンのカバーというと、コルトレーンに対する畏怖の念が先立ってしまって、結局は元曲をなぞることに終始するケースが多いのですが、そこは流石にMcLaughlin。元曲のイメージをトレースしながらも、ソロパートでは彼独自の解釈で自由に舞うあたりは、ベテランの凄みを感じさせます。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Elvin Jones / drums
Joey DeFrancesco / organ

●Numbers
1.  Take The Coltrane
2.  My Favorite Things
3.  Sing Me Softly The Blues
4.  Encuentros
5.  Naima
6.  Tones For Elvin Jones
7.  Crescent
8.  Afro Blue
9.  After The Rain
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2010年11月27日 (土)

ECMの名手大集合!Townerの「Solstice」

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Musician●Ralph Towner
(12-string and classical guitar,piano)
Title●Solstice(1974年)
■ディスクユニオンで購入

ECMレーベルを代表する12弦ギタリスト、Ralph Towner(ラルフ・タウナー)がリーダーとなって作られた傑作です。メンバーは「北欧のコルトレーン」Jan Garbarek(tenor sax、soprano sax)、Eberhard Weber(bass)、Jon Christensen(drums)というこれまたECMを代表するスゴ腕の豪華な布陣です。1974年12月にオスロのスタジオでレコーディングされています。

1970年代ECMサウンドの典型ともいうべき、あくまでも冷徹なTownerの12弦ギターに、エモーショナルなGarbarekの叫びが実に絶妙に絡み合うという構成。決して万人をうならせるような派手なプレイは聴かれませんが、細かく聴いていると「静のTowner」と「動のGarbarek」との静かだけれども熱い「戦い」は聴きどころ満載という感じで、張りつめたような緊張感が全体を支配しています。

北欧の冬を連想させる静寂で冷たい音の世界の世界を装いながらも、水面下では腕達者なプレイヤーたちが熱い攻防戦を繰り広げているのです。そんな意味では、癒しを求めて聴くのもよし、音の魔術師たちの激しくも冷徹な戦いを見守るのもよし、とさまざまな接し方が可能な作品です。ちなみに1976年のドイツ・グラミー賞を受賞したそうです。

同じメンバーによる第2弾「Sound and Shadows」も素晴らしい出来ですが、印象度からするとやはりこちらのほうが上かもしれません。

●Musicians
Ralph Towner / 12-string and classical guitar,piano
Jan Garbarek / tenor sax、soprano sax
Eberhard Weber / bass
Jon Christensen / drums

●Numbers
1.  Oceanus
2.  Visitation
3.  Drifting Petals
4.  Nimbus
5.  Winter Solstice
6.  Piscean Dance
7.  Red And Black
8.  Sand
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2010年11月26日 (金)

北欧が生んだ激辛料理「Scorch Trio」1st

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Musician●Scorch Trio
Title●Scorch Trio(2002年)
■ディスクユニオンで購入

フィンランド出身のフリー系ギタリストRaoul Bjokenheim(ラウル・ビューケンヘイム)が結成したギター、ドラム、ベーストリオによるインストアルバムです。リズム隊はフリージャズユニット「Atomic」出身のIngebrigt Haker Flaten(bass)とPaal Nilssen-Love(drums)というやはり北欧人脈です。のっけからドラムとベースがのた打ち回り、ディストーションが極限にまで効いたBjokenheimのギターが最初から最後まで吼えまくるという何とも恐ろしい作品。あえていえばフリー&アヴァンギャルド系ジャズなのですが、そうした範疇に押し込めて考えるのは至難の技です。そうです。つまりは「Scorch Trio」というジャンルの音楽なのです。

Bjokenheimのプレイは聴き方によっては、Marc Ducretあたりに通じるものがありますが、Marc Ducretがある程度はジャズを意識しているのに対して、Bjokenheimは完全フリーでしかも北欧に古くから伝承される土着フォークロアを意識しているという特異なスタイルをとっています。しかも、激烈な攻撃性を秘めているという実に「やっかいなタイプ」なのです。かといって同じ変態系のヘンリー・カイザーのような茶目っ気は一切なく、あくまでも真摯な態度で聴く者を攻撃してきます。どこから飛んでくるのかまるで予測不可能な変態フレーズの連続に、聴いているうちに確実に脳幹が麻痺してきます。

たとえば真夏の盛りにうっかりと「青唐辛子入りの30倍カレー」を口にしてしまったような破壊力。それでいて、けっして聴く者を飽きさせることのない超絶技巧の博覧会。形容としては、自分でも意味不明ですが、この作品に臨むにあたってはそれだけの覚悟と精神力が必要です。というわけでとても一般的な音楽とは言えませんが、同じフリー系でも変態ギター系が好きな人に方にはお勧めしたい「怪作」です。

●Musisians
Raoul Bjokenheim / guitar,viola,gamba
Ingebrigt Haker Flaten / bass,electronics
Paal Nilssen-Love / drums,percussion

●Numbers
1.  Oikosulko
2.  Sade
3.  Salaa
4.  Taajus
5.  xxx
6.  Vittula
7.  Paahtaa
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2010年11月25日 (木)

JOHN McLAUGHLIN / HEART OF THINGS LIVE(1998年)

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Heart of Things Live(1998年)
■ディスクユニオンで購入

英国ジャズギター界の帝王John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)が1997年にリリースした「Heart of Things」はリズム隊にスーパードラマーDennis Chambersと若手の売れっ子ベース奏者Matthew Garrison(Jimmy Garrisonの息子)を起用することで作品全体に画期的なポリリズムをもたらしました。また、サックス奏者にGary Thomasを起用することで、McLaughlin御大が安心して暴れまくる環境を自ら作り上げたことも大きなポイントです。すっかり「回春」してしまったMcLaughlinは同時期に精力的なライブ活動を行っていますが、その一環でレコーディングされたのが、このパリライブです。1998年11月4日~5日のテイクを収録。At La Cigaleという会場での音源です。

メンバーは「Heart Of Thing」とほぼ同じですが、スタジオ盤での鍵盤楽器奏者がJim BeardからOtmaro Ruizへチェンジし、パーカッション奏者としてVictor Williamsが加わっています。さて、肝心の内容ですが「The Heart Of Things」からの選曲が多く、スタジオ盤と聴き比べるライブ盤ならではの楽しみがあります。正直に言って作り込まれたスタジオ盤よりも、完成度に目をつぶっても鬼気迫るライブ音源のほうが数段上だと思います。特に「Acid Jazz」ではこのまま壊れてしまうのではないかと思われるほど御大は暴れまくります。安易に「Acid」を名乗る若手ミュージシャンに対して、「ホントのAcidはこれじゃ!」とばかりに怒りの鉄槌を下すがごとく。いや、もう、世紀末になって凄まじいライブに出会ったものです。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Gary Thomas / tenor sax,soprano sax
Otmaro Ruiz / keyboard
Matthew Garrison / bass
Dennis Chambers / drums
Victor Williams / percussion

●Numbers
1.   Seven Sisters
2.   Mother Tongues
3.   Fallen Angels
4.   Divide
5.   Tony
6.   Acid Jazz
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2010年11月24日 (水)

元「GONG」の残党「Gongzilla」による壮絶ライブ音源

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Musician●Gongzilla
Title●Gongzilla Live(1998年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代からフランスを中心に活躍するポリリズム至上主義の珍しいプログレバンド「GONG」の残党が結成した「Gongzilla」の3rdです。グループとしては初めてのライブ音源になります。1998年6月27日にカナダ・ケベックで開催されたロックフェスティバルでのライブ音源。ライナーによるとダイレクト2チャンネル録音ということですが、不勉強な私にとってそれが何を意味するかがよくわかりません。ごめんなさい。たぶん、ライブ音源のみの一発撮り、やり直しがきかない、という意味なのでしょう。つまり、ライブに対して相当な自信がないとできないワザです。

グループ初音源「Gongzilla」ではGONG時代からのよしみでギターにAllan Holdsworthが参加していましたが、当然のように1作のみ。今回は当時、頭角を現しつつあった奇天烈系ギタリスト、David Fiuczynski(デヴィッド・フュージンスキー)が参加しています。写真を見ると当時よく使っていたギブソンの12弦を使用していますね。

選曲は大部分が1stからですが、#7「SOLI」はGONG時代の名盤「ExpressoⅡ」(1978年)から。当時のギターはHoldsworthでしたが、Fiuczynskiがこれまた斬新なアイデアで昔の名曲に新しい命を吹き込んでいます。オリジナルの「SOLI」と聴き比べるのも一興ですね。

音質は各楽器がかなり粒立っているので、聴き続けるとだんだん耳が痛くなってきます(笑)。それでも一切の加工がない生ライブの迫力は、実際の会場にいるのではと錯覚を起こすほど。それほど生々しいものがあります。しかし、Fiuczynskiのギターは相変わらずの変態ぶりなのですが、これでも客演ということでかなり抑えているほうです。意外にも(?)オリジナルを大切にし、控えめにしつつも変態ワザを繰り出す様子に注目です。しかし、よくもまあこんなヘンテコリンなフレーズを考えつきますね。

●Musicians
Bon Lozaga / guitar
Hansford Rowe / bass
Benoit Merlen / vibes,kyle
Vic Stevens / drums,percussions
David Fiuczynski / guitar

●Numbers
1.  Mr. Sinister,Ministar
2.  Bad Habits
3.  Gongzilla's Dilemma
4.  Hip-Hopnosis
5.  Image
6.  Gongzilla
7.  Soli
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2010年11月23日 (火)

Lifetimeの第2弾「Turn It Over」

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Musician●Tony Williams(drums)
Title●Turn It Over(1970年)
■ディスクユニオンで購入

弱冠17歳でMiles楽団に加入した天才ドラマーTony Williams(トニー・ウィリアムス)が楽団脱退後に制作した「Emergency!」(1969年)に続くLifetime名義の第2弾です。なかなかCD化されずファンの間では「幻の名盤」になりつつあったのですが、数年前に待望のCD化がなされました。

さて、前作「Emergency!」でJohn McLaughlin、Larry Youngという変則トリオによって狂おしいまでのカオスの世界を構築したWilliamsですが、翌年70年に録音されたこの作品は前作の路線を引き続き継承しつつ、さらに暴力的な音に作り上げました。

ただひたすら打ち鳴らされるドラム、ディストーションが極限にまで利いたMcLaughlinの先鋭的なギター、そして今回から元CreamのJack Bluesが加わり、前にも増した混沌とした世界を作り出しています。Williamsによる怪鳥のようなオタケビはご愛嬌として、最後まで息をつかせぬ強烈なサウンドは、なるほど70年代ジャズロックの代表作と言われるだけあります。

ボーナストラックの「One Word」はMcLaughlinの作。自身のアルバムにも収められていますが、ギターが縦横無尽にのたうち回り、Williamsによる地響きのようなドラミングでとどめを刺されるというとんでもない曲。前作「Emergency!」もかなり体力を要するアルバムでしたが、このアルバムはそれ以上に聴く側に体力ばかりか気力を要求します。心して臨んでください。

●Musicians
John McLaughlin / guitar,vocals
Tony Williams / drums,vocals
Larry Young / organ
Jack Bruce / bass,lead vocal on One Word

●Numbers
1.  To Whom It May Concern-Them
2.  To Whom It May Concern-Us
3.  This Night This Song
4.  Big Nick
5.  Right On
6.  Once I Loved
7.  Vuelto Abajo
8.  A Famous Blues
9.  Allah Be Praised
10. One Word
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2010年11月22日 (月)

Robin Trowerの2ndがボーナストラック付きで!

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●Bridge Of Sighs(1973年)
■Amazonより購入

元プロコルハルムのギタリストRobin Trowerによるソロ第2弾です。1973年リリース。前年の1972年に出された初ソロ「Twice Removed From Yesterday」で早くもジミヘンフリークぶりを発揮したTrowerですが、このアルバムによってさらにフリークぶりに磨きがかかった感があります。前作に引き続きJames Dewer(vocal,bass)、Reg Isidore(drums)という初期黄金トリオ。

オリジナル音源の素晴らしさについてはいまさら私があれこれと書き連ねることは気が引けてしまうのですが、1999年にリマスター化のうえにボーナストラックとして追加された未発表のライブ音源が何と言っても「目玉」です。この貴重なライブ音源は1974年5月29日にロサンゼルスのKMETというラジオ局番組に出演したときの音源。Trowerのライブというとストックホルムでの「Live!」が有名ですし名盤ともいえますが、それに匹敵するほどの高いクオリティとポテンシャルを感じさせる熱演です。極端な話、このライブ音源を聴くためにこのアルバムを入手する価値は大です。

といいつつオリジナル音源のついてもいくつか。

#2  Bridge Og Sighs

ボーナストラックにも収められた当時のライブの定番曲。スローテンポのブルースナンバーですが、よく言われるジミヘンコードを中心に構成された幽玄なリフが大変印象的です。エフェクターによって極端に歪んだTrowerのソロが泣き叫び炸裂するに及んで悶絶死寸前に。

#5  Too Rolling Stoned
この曲もライブの定番です。還暦をとうに過ぎたいまでもライブのオープニング曲として使われるアップテンポで乗りのいいロックナンバー。つかみはOKという奴ですね。Trowerによるワウワウギターは流石に時代を感じさせますが、まあこれもジミヘンフリークならではのお約束ということで。後半になるとがらりと曲調が変化し、これまた凄まじいブルースギターが炸裂します。スタジオ音源もいいのですが、この曲の魅力はやはりライブでこそ生きると思います。

#7  Lady Love
ミドルテンポのロックナンバー。ソウルフルなJames Dewerのボーカルが実に小気味よく響きわたる隠れた名曲。Trowerのギターの実に自由奔放に暴れまくります。

#8  Little Bit Of Sympathy

当時のライブのラストを飾ることが多かった名曲です。一見すると奇妙に聴こえる独特なリフですが、聴き慣れてしまうと妙に懐かしくなる変な魅力をもっています。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewer / vocal,bass
Reg Isidore / drums

●Numbers
1.  Day Of The Eagle
2.  Bridge Of Sighs
3.  In This Place
4.  The Fool And Me
5.  Too Rolling Stoned
6.  About To Bigin
7.  Lady Love
8.  Little Bit Of Sympathy
9.  Lady Love
10. Bridge Of Sighs
11. Too Rolling Stoned
12. Day Of The Eagle
13. Little Bit Of Sympathy
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2010年11月21日 (日)

90年型マハヴィシュヌのスタート「Heart of Things」

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Heart of Things(1997年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズフュージョンギター界の帝王的な存在として、いまなお第一線で精力的な活動を続けるJohn McLaughlin(ジョン・マクラフリン)。1990年代の活動というと1994年に巨匠エルヴィン・ジョーンズを迎えて「After The Rain」というコルトレーンのカバーアルバムをリリースしたくらいで特段に目立った活動はなかったと思われましたが、世紀末最後になってとんでもない傑作が飛び出しました。ファンの間ではアルバムタイトルの頭文字をとって「HOT路線」と呼ばれる一連のサウンドです。それまでやや老成気味だったサウンドに、強烈なポリリズムを強制導入することによってマクラフリンのギターも生き返り、まるで強烈な回春剤を服用したかのごとく凄まじいギターが聴けるのがこの作品です。1997年リリース。

メンバーはGary Thomas(テナー&ソプラノサックス)、Dennis Chambers(ドラム)、Matthew Garrison(ベース)、Jim Beard(シンセ)。Matthew Garrisonはコルトレーンとともに長年活躍したJimmy Garrisonの息子ですね。当たり前ですが亡き父と比べると非常にイマ風のプレイをします。

この時期、マクラフリンはまさに大車輪の活躍ぶりで、モントレー・ジャズフェスティバルに参加したり、ジョーイ・デフランセスコ(オルガン)と久し振りの来日公演を果たすなど非常に目立っていました。勝手に妄想するとこの新しいユニットによって、若返ったというか完全に回春しています。この作品の聴きどころは、強力リズム隊が作り出す強烈なポリリズムと御大との絡みであることは言うまでもありません。Dennis ChambersとMatthew Garrisonの2人に負けじと早いパッセージが繰り出され、それが作品に対して新たな生命を吹き込んでいるかのようです。

特に1曲目の「Acid Jazz」での非常に速いパッセージとゲイリー・トーマスとの目まぐるしいユニゾンは、かの70年代にマハヴィシュヌ・オーケストラで聴かれたヤン・ハマーとの掛け合いを想起させます。1998年パリでほぼ同じメンバーで収録された「The Heart Of Things Live」も強力に推薦いたします。

●Musicians
John McLaughlin / guitars
Dennis Chambers / drums
Matthew Garrison / bass
Gary Thomas / saxophones, flute
Jim Beard / synthesizers and piano

●Numbers
1.  Acid Jazz
2.  Seven Sisters
3.  Mr. D.C.
4.  Fallen Angels
5.  Healing Hands
6.  When Love Is Far Away
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2010年11月20日 (土)

70年代初期のプログレ貴重映像「Beat Club」

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Title●Beat Club / Progressive Times Vol.5 1971/72
■ディスクユニオンで購入

旧西ドイツのテレビ局が放送していた音楽番組「Beat Club」は当時のミュージシャンがこぞって出演していましたが、ポイントはほとんどがガチンコのスタジオライブだったので、ミュージシャンの生プレイが堪能できるところにありました。また、ロック、ハードロック、プログレなどジャンルにこだわらないというか無頓着なのも逆に嬉しいポイントです。「Beat Club」の膨大な貴重映像は10数年前にビデオ化されジャンル別に10種類が売り出されましたが、DVD化はされていないようでした。

ところが先日、ディスクユニオンお茶の水店(中古取り扱いコーナー)をのぞいたところ、何としっかりとDVD化されていることに気がつきました。これは買わないといけません。というわけで大喜びで購入したのが、これです。パッケージには「All Regions」と印刷されているので、「家庭用DVDプレイヤー」でも再生可能です。

で、喜び勇んで再生をかけたもののディスクがまったく反応しません。暫くすると「ディスクはPAL形式につき再生ができません」という旨の警告が。あれ?パッケージにはそんなこと書いていませんが…。ガーン! ありがちと言えばありがちなのですが、お客さんを表示で騙してはいけません。カーっと血圧が上昇するのを懸命に抑えつつパソコンで再生してみました。内容はVHSテープと基本的に同じなのですが、テープではカットされていた番組ナビゲーションのお姉さんやオジサンも見ることができます。だから何だと言えば困るのですが、これも時代ですよね。

収録ミュージシャンとセットリストは以下のとおりです(登場順)。

Curved Air / It Happened Today
Soft Machine / Composition Based On Three Tunes
Curved Air / Vivaldi
Yes / I've Seen All Good People
Man / Daughter Of The Fireplace
Popol Vuh / Bettina
Man / Will The Christmas Wait Five Minutes?
Santana / Jungle Strut
Yes / Yours Is No Disgrace
Rory Gallagher / Laundromat
The Byrds / Chestnut Mare
Rory Gallagher / Sinner Boy
Kraftwerk / Ruckstob-Gondliere
The Byrds / Black Mountain Rag
The Byrds / So You Want To Be A Rock And Roll Star
The Byrds / Eight Miles High

つかみのCurved Airあたりは「おー!」と思わせますが、Santana、Rory Gallagher、The Byrdsの人選はいかがなものだろうと思います。まあ、ご愛敬ということで。また書きますが、PCかPAL式対応のプレイヤーでないと再生できませんので、ご注意ください。

Curved Airの貴重映像。ヴァイオリンのダリル・ウエイは後に「WOLF」を結成しました。The Policeのスチュワート・コープランドはまだ参加していません
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カンタベリー系ミュージックの雄、Soft Machine。メンバーから想像するに「3」「4」の頃の映像でしょうか
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Yesは「Close To The Edge」「Fragile」以前の「The Yes Album」時代の映像かと。Steve Howe加入直後ですが、Keyはトニー・ケイです
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Santanaはカルロス・サンタナが宗教にのめり込む前の映像かと思われます。後にJournyを結成する若きニール・ショーンの姿が。下積み時代の苦しさがにじみ出ています
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亡きRory Gallagherはアイルランド出身の魂のギタリスト。個人的な認識ではロック/ブルース系のギタリストだと思うのですが。昔、某ギター雑誌が「ストラトキャスター3人衆」と無理矢理カテゴリーを作ってこの人を入れていました。珍しくテレキャスターを持っていますね
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今回、初見の女性ナビゲーターです。愛くるしく紹介してくれます
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The Byrdsもプログレですか。埋草的な扱いなのかなと思いきや何と最多の4曲をエントリー! 番組ナビゲーターお姉さんがメンバーの頭上で寝そべってくれています。時代だな~という映像処理
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2010年11月19日 (金)

シンセタックスを全面使用したHoldsworthの問題作(?)SAND

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Musician●Allan Holdsworth(synthaxe,guitar)
Title●Sand(1987年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は1986年に発表された「Atavachron」でシンセタックスを初めて使いファンの間で賛否両論、大きな話題になりました。要はギターを弾きまくってナンボのプレイヤーがキーボードの出来損ないみたいな楽器をもってどうするのよという意見とHoldsworthの新たな一面が感じられて素晴らしいという意見です。「Aravachron」リリースの翌年、1987年に発表されたこの「Sand」では、そのシンセタックスが全面使用されていて、さらに問題が大きくなることに。

「ギタリストとしての魅力がなくなった」
「そんなのキーボードを入れれば済む話だろう」
「俺はとにかく弾きまくりが聴きたいんだ」

すでに「Atavachron」の時点で疑問を感じていただけに、この「Sand」の登場でとどめを刺された気分に。それ以来、20年近くこの作品を聴いていなかったのですが、聴き直してみても、当時感じた思いは基本的に変わりません。やはりギターシンセに興味がない人間にとっては、このアルバムは苦痛です。ただ、シンフォ系プログレ好きの人には熱狂的な支持を集めていることも一方の事実です。

この作品で「Holdsworthのソロギター」が聴けるのは、6曲中2曲のみ。ギタリストとしてのHoldsworthの魅力を探るとしたらこの2曲に頼るほか方法がないのですが、このわずかな音空間で聴かせるソロは大変美しく、まさに珠玉の出来です。もの凄い皮肉を言いますが、シンセタックスが作り出す「砂漠のような世界」をさまよっているうちに、やっとの思いで探し当てたオアシスのような存在です。ちなみにこの作品はジャケット違いで、たしかアメリカ盤は本当に「砂漠」の絵が描かれていました(掲載写真)。

このアルバムが発表された翌年の1988年には、旧友ゴードン・ベックとエレピとシンセタックスだけを使用したデュオアルバム「With A Heart In My Song」という作品がありますが、どうして同じキーボード系で共食いしたのだろうと、疑問を感じたものでした。
(Amazonレビューを一部改稿)

●Musicians
Allan Holldsworth / synthaxe,guitar
Jimmy Johnson / bass
Gary Husband / drums
Alan Pasqua / keyboard
Chad Wackerman / drums
John England / mac computer
Biff Vincent / octopad bass

●Numbers
1.  Sand
2.  Distance Vs. Desire
3.  Pud Wud
4.  Clown
5.  The 4.15 Bradford Executive
6.  Mac Man
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2010年11月18日 (木)

Scorch Trioとはまた違った北欧系劇辛鍋料理 Rauul Bjorkenheimの「Shadowglow」

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Musician●Rauul Bjorkenheim(guitar)
Title●Shadowglow(2003年)
■HMVで購入

アメリカ生まれでフィンランド育ちのフリー系ギタリスト、Rauul Bjorkenheim(ラオル・ビョーケンヘイム)がリーダーとなって作られた2003年の作品です。Lukas Ligetというパーカッション&ドラム奏者の2名だけで作り上げたデュオアルバム。

Bjorkenheimといえばこれまで3作リリースされている「Scorch Trio」で異常なまでのハイテンション&変態フレーズを聴かせてくれていますが、この作品はギター&ドラムのデュオということで一見すると、若干静かな印象を受けます。しかし、じっくり聴き込んでいくとそれはあくまでも外見から受ける印象で、やはり激しいこと、激しいこと。完全フリー状態のBjorkenheimのギターは縦横無尽に暴れ回り、聴く人間の脳内をグチャグチャにひっかき回してくれます。特にオープニング「Into Fall」ではアームを滅茶苦茶に駆使した変態フレーズを連発していますが、聴きようによっては横山ホットブラザーズの「おまえは~あほ~かぁ~」の例のフレーズを想起させます。まるで幽霊が出てきそうですね。

「Scorch Trio」がいわばヨソイキの北欧風激辛カレーとしたら、この作品は郷土の食材をたっぷりと煮込んで作り上げた鍋料理という感じでしょうか。どちらにしても、刺激がキツすぎるという意味では同じです。免疫のない方、辛いのは苦手な方、心臓が弱い方にはあまりお勧めできないかもしれません。

●Musicians
Rauul Bjorkenheim / guitar
Lukas Liget /percussions,drums

●Numbers
1.  Into Fall
2.  Ghostedwall
3.  Niagara Mohawk
4.  Rain Turns Red Gold
5.  Cogwheels of Speed
6.  Shed and Torn
7.  In the Flesh
8.  Duoyell
9.  Olivezone
10. Viscousphere
11. Fountain Jewel
12. Changgo Valse
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2010年11月17日 (水)

70年代ジャズロックの夜明け「Spaces」

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Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Spaces(1970年)
■ディスクユニオンで購入

1960年代から第一線を張るジャズロックギターの両巨頭、Larry Coryell(ラリー・コリエル)とJohn Mclaughlin(ジョン・マクラフリン)がガップリ四つに組んで生まれたジャズロックの名盤中の名盤です。このCDアルバムにはオリジナルアナログ盤から6曲と同時期の収録された未発表曲2曲が収められています。

なんせメンバーが凄いですよ。この2大ギタリストに加え、Chick Corea、Milosrav Vitous、Billy Cobhamとそれぞれ全員が後に巨匠として数々の名作を残しているのですから。時系列的に整理しますと、Chick Coreaはマイルズ楽団を脱退した前後でReturn To Foreverを結成しようかという時期。Milosrav VitousはRTFへと合流し、後にWeather Reportへ。Billy Cobhamは後にJohn Mclaughlinと合流してMahavishnu Orchestraで驚異の千手観音ドラムを披露することに。Mclaughlinはその前にTony Williamsと組んでLifetimeをドロドロのカオスの世界を体験します。どちらにしても、70年代ジャズロックシーンを語るうえで欠かせないグループ、作品が彼らから生み出されているのです。

●Musicians
Larry Coryell / guitar
John Mclaughlin / guitar
Chick Corea / piano
Milosrav Vitous / bass
Billy Cobham / drums

●Numbers
1.  Spaces
2.  Rene's Theme
3.  Gloria's Step
4.  Wrong Is Right
5.  Chris
6.  New Year's Day In Los Angeles 1968
7.  Tyrone
8.  Planet End
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2010年11月16日 (火)

OMINOX LALLE LARSSON / CONTEMPORARY PAST(1995年)

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Musician●Ominox / Lalle Larsson(Keyboards)
Title●Contemporary Past(1993年~1995年)
■Guitar Nineより購入

スウェーデン出身で多くのジャズフュージョン系作品で活躍している鍵盤楽器奏者、Lalle Larsson(ラレ・ラーション)がとりためていた音源をまとめた拾遺集的な作品です。どうやらカセット録音として自費出版された音源をデジタルリマスター化されたもののようです。Lalle Larssonはフュージョン系の新興レーベルLiquid Note Recordsに所属していた関係でギターモンスターRichard Hallebeekなどと行動を共にすることが多いのですが、そんな行動パターンから想像できるように、Scott Henderson率いる「Tribal Tech」やChick Corea率いる「Electrik Band」あたりのジャズフュージョンサウンドを好みます。

93年から95年にかけて時系列的にもメンバー的にもバラバラに録音された音源をまとめたものなので、作品全体からあれこれ言うことはできないのですが、決して破綻せずに不思議な統一感を感じさせるあたりは、Lalle Larssonの優れたコンポーザーぶりを感じさせます。参加メンバーはどうやら北欧のミュージシャンを使っていますが、ほとんどと言ってもいいほど無名。ただ、ギターのKrister Jonsson(クライスター・ヨンソン)はスウェーデンのプログレバンド「KARMAKANIC」時代の同僚でそこそこ知られた存在です。Krister JonssonがちょっとばかしAllan HoldsworthやScott Hendersonを意識したプレイを聴かせてくれるのは、明らかにLalle Larssonの指示によるものでしょう。

とはいえ、やはりきちんとした形でレコーディングされたものとは完成度の点ではまだまだという印象は拭えません。居並ぶギタリストたちもいま一つパワー不足と言わざるをえないです。やはりRichard Hallebeekと組んだ作品から入るのがベストと言えます。

●Musicians
Lalle Larsson / keyboards
Bengt Johnson / drums
Frederik Moller / guitar,bass
Jerry Ericsson / bass
Bo Eriksson / guitar
Frida Moller / vocal
Krister Jonsson / guitar
Jimmy Lou / guitar

●Numbers
1.  Incommunicado
2.  Contemporary Past
3.  In Time
4.  Yes!
5.  Clockwork
6.  Solitude
7.  Ominox
8.  Virtual Reality
9.  X-Periment
10.  Android
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2010年11月15日 (月)

Jeff Beckの最新ライブ音源をオンデマンドCDで聴く

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Live And Exclusive From The Grammy Museum(2010年)
■Amazon USAで購入

以前の記事Jeff Beckの最新ライブ音源がネット配信限定でリリースされたことをお伝えしました。一般的にはリアルCDがいよいよ低調傾向にあって、こうした売り方が今後は主流になっていくのではという見解がなされているようです。私が@abjohn5420名で開設しているTwitter上でもそのような声が聞かれました。うーん、これも時代の趨勢といえば確かにそうなのですが、アナログから始まってCDを経てきた世代としては、そう簡単に割り切れるものではないのです。

音楽のネット配信について当欄が危惧するポイントをあげますと、

①、素晴らしい音源をより多くの人にという意味で、ネット配信限定という手段が認識されるにはあと2、3年の時間がほしい。

②、アナログ~CD時代では、本体に付属する「ライナーノーツ」が貴重な情報源になっていた。アーティスト情報、楽曲情報、周辺情報などが盛り込まれた良質なライナーによって、趣味としての音楽をより広げたり深めることができた。ところが、ネット配信ではそうした付加価値へのケアがまだまだ不十分。

大きくはこの2点ですが、特に②に関しては何とかしてほしいところです。このアルバムに関してもiTunesでは共演アーティストや楽曲情報などが一切なく、ネット情報などで自ら補足するという状況でした。もしかしたら、こうやってネットで自ら情報を得ることも音楽を楽しむうえでの必須要件、常識ということなのでしょうか。その意味では、CDを手にした時点であらかたの情報が得られるパッケージ商法の否定ということですね。

このオンデマンドCDはAmazon USAのみが販売しています。要はMP3音源をCD-Rに焼いてそれを商品にしているのです。Amazon USAにとっては原則的には発注があってからCD-Rに焼くので、大量に在庫を抱えるというリスクも回避することができます。オンデマンド販売はコストダウンが最大のポイントですから、ジャケットも紙質が悪くペラペラ。それでも最低限のクレジット情報は記載されています。

このCD-Rは最近になってディスクユニオンなどで店頭発売されていますが、おおむねの価格帯は2300円前後のようですね。ちなみに私は郵送料込み(Air Mail)で約1400円で入手しました。国内価格との1000円近くの差額は、関税とお店の利益でしょうね。iTunesでの映像付き音源は2400円。そう考えると、どうやって入手するかという問題もさることながら、財政状況に応じたより的確な情報収集力が求められるような気がしてきました。ところで、ただ「売らんかな」的に商売のことだけを考えれば、このCD-R限定でボーナストラックをつけますよ、私なら。

●Musician
Jeff Beck / guitar
Jason Rebello / keyboards
Narada Michael Walden / drums
Rhonda Smith / bass

●Numbers
1.  Corpus Christi Carol
2.  Hammerhead
3.  Over The Rainbow
4.  Brush With The Blues
5.  A Day In The Life
6.  Nessun Dorma
7.  How High The Moon
8.  People Get Ready
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2010年11月14日 (日)

テクニカル系ギタリストの新星!Derryl Gabelの1st

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Musician●Derryl Gabel(guitar)
Title●Visions & Dreams(2002年)
■Amazonより購入

日本ではまったくと言っていいほど無名ながら、次代を担う若手実力派のテクニカル系ギタリストがどんどん登場してきています。今回ご紹介するDerryl Gabelもその中の一人です。聴いた感じとしてはScott Hendersonの音をベースにして、Allan HoldsworthとFrank Gambaleを足したような感じでしょうか? 紹介文には影響を受けたミュージシャンとしてGreg HoweやBrett Garsedの名前も見られます。まさに個人的な好みとしてはドンぴしゃではないですか! Progressive Arts Musicというレーベルからリリースされています。版元のネーミングもいいですね。

Derryl Gabel自身の詳しいプロフィールが見当たらないので、年齢やキャリアはどのくらいかも不明なのですが、ジャケットの写真を見る限りはまだ若そうです。とにかく若さにまかせて全曲とも弾きまくりで、そのスピードたるやFrank Gambaleのデビュー当時を遥かに凌駕しています。テクニック面ではすでに完成期に達していると思われますが、惜しむらくは楽曲が単調で聴いているうちにだんだん飽きてくる点が、難点といえば難点かもしれません。また、音の隙間を少しでも見つけると遠慮なく入り込んでくる無遠慮さはテクニカル系では付き物とは言え、あまりにも遊びと余裕がないので聴いているとだんだん息苦しくなてくる難点も抱えています。そこらあたりは、キャリアを積むうちに解消されることを願います。とは言えオープニング「Miles From Home」からガンガン弾きまくるスタイルは、ギター好きには堪らない魅力ですね。

この「Visions & Dreams」は一般でも入手可能ですが、HP上では「Giant Steps」(2002年)という作品もリリースされています。そのタイトルが示している通り、ジョン・コルトレーンにインスパイアされた作品で、コルトレーンの曲を超絶技巧で弾きまくっています。ただし、あまり音質も良好とは言えません。デモ音源なのかもしれません。クレジットを見たらすべての楽器を自分でこなすマルチな人であることが判明しました。経費を極力抑えるということも当然ありますが、若手が世に出る手段としてこういう「密室系」がどんどん増えてきていますね。「密室系」の先鞭をつけたのはRon ThalことBumblefootではないでしょうか。

●Musicians
Derryl Gabel / guitars,bass,drums-programming
Mychal Lukers / drum-programming

●Numbers
1.  Miles From Home
2.  Alright
3.  Spending Time With You
4.  Friends
5.  Visions and Dreams
6.  Tell Me
7.  Song For Jessie
8.  Blue Fingers
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2010年11月13日 (土)

John Surmanの未発表音源(1969年)

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Musician●John Surman(baritone sax,soprano sax,bass clarinet)
Title●Unissuued Sessions(1969年)
■ディスクユニオンで購入

イギリスのフリージャズ界の大物John Surmanによる未発表音源です。1969年にレコーディングされたものとされています。John Surmanは当欄でも何回か取り上げていますが、Surmanは1968年頃から1970年代前半にかけて実に精力的にセッション活動を行っており、この音源もそのなかの一つのようです。

今回のメンバーはMike OsborneとJohn Taylorを軸に据えていますが、リズム隊はprobably、つまり推定でDave Holland(ベース)とStu Martin(ドラム)とクレジットされています。おいおい、レコーディングデータが不明なのに…と思わないでもありませんが、ファンにとっては音源を聴くことが優先事項であって、ほかの細かいことはどうでもいいじゃないか!というのがホンネです(笑)。もしかしたらベースはBarre Phillipsの可能性もありますが、残念ながら私は2人を聴きわけるほどの耳をもっていません。

発掘音源ということもあって音質はあまり良好とは言えないこの音源。明らかなコレクターズ・アイテムで全世界で500枚しかプレスされなかったようです。しかし限定プレスにしてはちょくちょく中古で発見されますから、貴重音源という表現は言い過ぎかもしれません。もしかしたら、全世界で最大でも500名程度の需要しかないだけの話で、たまたま手放したり在庫整理的なものが中古として流通しているのかもしれません。ただ「限定」という二文字にからきし弱い当欄としては、それだけでも入手する意味は大いにあると力説しておきます。

●Musicians
John Surman / baritone sax,ss,bcl
Mike Osborne / alto sax
John Taylor / piano
(probably)Dave Holland / bass
(probably)Stu Martin / drums

●Numbers
1.  Glancing Backwards
2.  Untitled
3.  Untitled
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2010年11月12日 (金)

巨星健在!McLaughlinの「Industrial Zen」

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Industrial Zen(2006年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズギタリストの巨星、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)が2006年に発表したアルバムです。基本的には1997年リリースの「Heart Of Things」の延長線上の作風でかつ集大成的な位置づけにあるように思います。メンバーは相変わらず豪華で、Bill Evans(ピアノ奏者ではありません)、Gary Husband、Dennis Chambers、Matt Garrison、Vinnie Colaiuta、Tony Grey、Zakir Hussainなどジャズロックシーンの重要人物ばかりがずらり。2曲目「New Blues Old Bruise」にはEric Johnsonの名前も見ることができます。

サウンドとしては1997年リリース「Heart of Things」から始まった未来派ジャズフュージョンの流れを引き継ぎ、躍動感あふれるポリリズムをバックにマクラフリンがまるで年齢を感じさせない凄まじいソロを連発してくれています。おとなしめのジャケットデザインといい、タイトルから受ける印象からは例のインド趣味に基づく内省的な音を連想しますが、1曲目からフルパワーで突き進むハイテンションなプレイは、70年代初頭のマハヴィシュヌ・オーケストラにも通じるエネルギーを感じさせます。

同世代のもう一人の巨星、ラリー・コリエルが好好爺然としてしまっているのに対して、今なお若いプレイヤーに睨みをきかせる衰えを知らないド迫力のプレイにはただ驚くばかりです。昔を懐かしむ人も、そしてジャズギターの「今」に触れたい人も、双方が大満足できるギターアルバムの傑作です。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Bill Evans / sax
Gary Husband / drums
Matt Garrison / bass
Mark Mondesir / sitar
Vinnie Colauta / drums
Dennis Chambers / drums
Eric Johnson / guitar
Tony Grey / bass
Zakir Hussain / sitar
and more.....

●Numbers
1.  For Jaco
2.  New Blues Old Bruise
3.  Wayne's Way
4.  Just So Only More So
5.  To Bop Or Not To Bop
6.  Dear Dalai Lama
7.  Senor CS
8.  Mother Nature
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2010年11月11日 (木)

ノルウェーが生んだ至宝The 3rd & The Mortalの2nd

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Musician●The 3rd & The Mortal
Title●Painting on Glass(1995年)
■ディスクユニオンで購入

ノルウェー出身の6人編成のゴシックメタルバンド「The 3rd and the Mortal」による2ndです。1995年の作品。この作品から女性ボーカルAnn-Mari Edvardsen(アン・マリー・エドワードセン)を新たに迎えています。

当欄で「ゴシックメタル」を取り上げるのはおそらくお初だと思いますので、まずはひとくさり。ネーミングからもわかるようにHeavy Metalの一派であることは間違いないのですが、その道の好事家の説では1987年にスイスのHeavy MetalバンドCeltic Frostのアルバム「Into To The Panndimonium」がその始まりとされています。ですから、一派としての歴史はまだ新しいということになります。その後、イギリスのParadise Lostによってある程度定型化されながら、TIAMAT、Theatre Of Tragety、Anathemaあたりが代表バンドと言えるのではないでしょうか。なかでもTheatre Of Tragetyは女性ボーカルを迎えてフロントに置いたため「フィメール系ゴシックメタル」とも言われます。

「ゴシックメタル」のサウンド的な特徴というとこれまた諸説分かれるところですが、私なりの解釈では、

①、男のデス声と紅一点的な女性ボーカルとを組み合わせることで、美醜の対比を演出するのが典型パターン。
②、サウンドは元をたどればBlack Sabbathに通じるHeavyかつ陰鬱で退廃したサウンドが基調。また、プログレなどとの親和性を感じさせることも多い。
③、多くはヨーロッパ出身でしかもプロテスタント(新教)が中心の地域から生まれることが多い。具体的にはイギリス、北欧諸国、オランダ、ドイツが中心で、フランスやイタリアなどのラテン民族やカトリック国ではあまり見られない。

ということなのかと思っていました。女性ボーカルを「●嬢」と記載することがなぜか習わしとなっています。

今回紹介するのは北欧ノルウェー出身の「The 3rd and the Mortal」ですが、ゴシックメタルの重大特徴のひとつと言える「男デス声」が一切排除されている時点で極めて特異な存在であるとされています。作品全体を支配する何とも陰鬱でダークな世界は、確かに3本のエレキギターによる重苦しいリフによる部分が大きいのですが、トロンボーンなどの管楽器の大胆な導入、幾重にも多層処理されたキーボードによるブ厚い音の壁、そして女性ボーカル「Ann-Mari嬢」による何とも形容しがたい浮遊感あふれるボーカルなどによって、類型を一切許さない独自の世界観を構築しています。

ギターは時にKing CrimsonのRobert Fripp風でもあり、その意味ではプログレ的な要素も感じさせます。また、全体を覆い尽くす不思議な浮遊感は、ドイツのジャズレーベルECMが70年代中盤あたりで得意とした癒しの音空間をも思い起こさせます。言ってみればひとつのキーワードだけでは括ることができないほど、実に多面的なものを感じさせるこの「The 3rd and the Mortal」。すでに2枚目にして特異なキャラをすでに確立させています。

●Musicians
Rune Hoemsnes / drums,percussion
Bernt Rundberget / bass
Ann-Mari Edvardsen / vocal,keyboard
Trond Engum / guitars
Geir Nilssen / guitars,keyboards
FinnOlav Holte / guitars,keyboards,tapes

●Numbers
1.  Magma
2.  Commemoration
3.  Crystal Orchids
4.  Persistent And Fleeting
5.  White Waters
6.  Aurora Borealis
7.  Dreamscapes
8.  Aurora Australis
9.  Azure
10. Veiled Exposure
11. Stairs
12. Eat The Distance
13. Vavonia part 3
14. Horizons
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2010年11月10日 (水)

おどろオドロしいRaoul Bjorkenheimのギター「Ritual」

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Musician●Raoul Bjorkenheim(guitar)
Title●Ritual(1988年)
■Amazon USAより購入

フィンランド出身のフリー系&アヴァンギャルド系&爆裂系ギタリスト、Raoul Bjorkenheim(ラオル・ビョーケンヘイム)が率いるユニット「Krakatau」名義による1988年の作品です。例によってRaoul Bjorkenheimの知名度は我が日本では無名に近いと思いますので、若干の解説をと言たいのですが、いかんせん資料が少なすぎます。若い頃はECMなどの作品にも参加していましたが、完全フリーに転向してからは、爆裂系、北欧土着系、無国籍系と奇天烈な道を歩んでいます。音楽評の言葉を少しだけ借りますと「マイルズの電気音楽時代をギターで再現したら、それが北欧出身のミュージシャンで再現したらどうなのだろう。ギターでカオスの世界を表現できるのは彼だけ」とのこと。ECMで活躍というとMethenyのような透明感あふれるリリカルなプレイを想像しますが、まったく真逆のキャラです。ですから、そんなことは期待しないでください(笑)。

このアルバムは1988年の「Krakatau」名義による作品で、1996年に再発売されています。そこで新たに89年と90年のヘルシンキでのライブ音源が追加されているようです。彼らの音源で共通して感じられるのは「土着性」。しかも北欧的な土着性です。土着性に基づく音楽というと、真っ先に思い浮かぶのがフォークロア的な民族音楽ですが、この作品での土着性とはジャズという西欧的な概念に縛られることのない音楽的な自由性なのではないのかと思います。だからこそ、ワールドミュージックということなのかもしれませんが、一方でそのワールドミュージックという正体不明な枠組みをも拒否するかのごとく、野性味あふれる泥臭い音楽が展開されています。その意味では、とても狭い範囲で聴く者を選ぶ音楽ですね。別ユニットとしては「Scorch Trio」も違った意味で強力推薦です。

●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitar,talking drum,shekere,rebab
Jornma Tapio / alto sax,bass,flute,bones
Tapani Rinnie / tenor & baritone sax,wood flute
Sampo Lassila / bass
Heikki LeftyLehto / drums
Michael Lambert / drums

●Numbers
1.   Foot Talk
2.   La Lluana
3.   Matinaal
4.   Epilog
5.   Go
6.   Dog Honk
7.   Ritual
8.   What?
9.   New Day
10. Ray
11. Bygones
12. Relentless
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2010年11月 9日 (火)

米国産シンフォ系&テクニカル系Finneus Gaugeの2nd

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Musician●Finneus Gauge
Title●One Inch Of The Fall(1999年)
■Amazon USAより購入

アメリカのプログレバンド「ECHOLYN」の鍵盤楽器奏者、Chris Buzbyを中心にして結成された「Finneus Gauge」による2ndです。前作「More Once More」に引き続きギター奏者に陰気極まりないAllan Holdsworthフォロワー、Scott McGill(スコット・マクギル)を迎えています。

前作「More Once More」同様、シンフォサウンドと女性ボーカリストLaura Martinのボーカルを中心にしたコーラスを基軸に展開するテクニカルなプログレですが、複雑極まりない楽曲構成ととんでもない変拍子は相変わらず。むしろ前作よりもさらにパワーアップした感すらします。陰気なHoldsworthフォロワー、Scott McGillは相変わらずの弾き倒しで音の隙間を発見するとガンガン入り込んでくる遠慮のなさは相変わらず。若干爽快に感じるコーラス(よく聴いてみるとコーラスも実に不気味なんですが)とMcGillのコモリがちなハードソロとが妙なバランスで、これでもかとばかり襲いかかってきます。絶えず迫りくる音の洪水には、慣れない人にとってはかなりの圧力になるかも。

というわけで(?)およそ一般的なコマーシャリズムとは無縁とも言えるサウンドですが、だからこそマニア筋では密かに熱い視線を集めている理由がよくわかります。シンフォ系というテクニカル系プログレや、変拍子好きの奇特な方、そしてAllan Holdsworthなどのテクニカル系ギター好きの方には自信をもってお勧めします。もちろん、1st「More Once More」もマストです! ところで「Golden Pretzel」は最大のオチョクリですね。聴いてみたことがある方は「ニヤリ」とされるはずです。

●Musicians
Chris Buzby / keyboarsd,backing vocals
Laura Martin / lead and backing vocals
John Buzby / drums,backing vocals
Chris Eike / bass
Scott McGill / guitar

●Numbers
1.  Open Up The Fog Lines
2.  In A Different Hour
3.  One Inch Of The Fall
4.  Blogee's Lament
5.  Unsinkable You
6.  State Of The Art
7.  Early Sun
8.  Golden Pretzel
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2010年11月 8日 (月)

ジャーマンJAZZROCKの権化「MATALEX」のJazz Grunge

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Musician●Matalex
Title●Jazz Grunge(1995年)
■Amazon Germanyより購入

ドイツ出身のジャズロックバンドの最右翼的存在「Matalex」による1995年の2ndです。1stで強烈な超絶技巧と妥協を許さないハードコアなジャズロックを世に送り出し、この作品では一段とパワーアップさせたサウンドを聴かせてくれています。メンバーはジャズロックギターの第一人者Alex Gunia、Mat Junior(キーボード)、Arnd Geise(ベース)、Jolt Nickel(ドラム)の固定メンバーに加えて、彼らと親交が深いRandy BreckerやスーパードラマーSteve Smithが加わりさらに重厚なサウンドを聴かせてくれます(それぞれ1曲ずつ参加)。ちなみに「Matalex」のバンド名の由来は、Mat JuniorとAlex Guniaの頭文字をそれぞれ組み合わせた造語です。

「Matalex」のサウンドはジャーマン魂にあふれた一切の妥協を許さないハードかつテクニカルな演奏が特徴ですが、オープニング曲「Beauty of the Beast」から全速力で疾走しまくり、無尽蔵と思わせるほど徹底したスピード感と体力には惚れぼれします。個人的なお好みはラスト「Hardcore」。タイトルの通り、これまた全速力で突っ走りながら、メロウなサウンドが最大の聴きどころです。ギターのAlex Guniaの超絶プレイもなかなか聴かせます。この人は若干ですがAllan HoldsworthやScott Hendersonの匂いを感じさせてくれます。よってギターファンも要注目です。

日本ではいまひとつ知名度が低いと思われる「Matalex」ですが、ジャズロックファン、ギターファンにとってはぜひ押さえておきたい傑作です。ちなみに「Live」もお勧めです!

●Members
Alex Gunia / guitar
Mat Junior / keyboards,piano,synthesizer
Arnd Geise / bass
Jolt Nickel / drums

Randy Brecker / trumpet on X-Perience
Steve Smith / drums on Hardcore

●Numbers
1.  Beauty Of The Beast
2.  Matalex
3.  B-Funkt And Bang Your Head
4.  Jazz Grunge
5.  X-Perience
6.  No Merci
7.  Mat Blues
8.  Tritonologie Of Life
9.  Like The Morning Sunrise
10. Apples Blues
11. First Time
12. Hardcore
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2010年11月 7日 (日)

Mahogany Rushの出世作「Mahogany Rush IV」

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Musician●Mahogany Rush
Title●Mahogany Rush IV(1976年)
■ディスクユニオンで購入

カナダ出身のジミヘンフォロワー、Frank Marinoが率いる「Mahogany Rush」による4枚目のアルバムです。1976年リリースですが、このアルバムからCBSレコードと契約を結んでいるので一躍メジャーデビューということになります。長らく廃盤状態が続いていましたが、リマスター化のうえ復刻されています。

Mohogany Rushと言えば1978年の初来日の印象が強烈に記憶に残っていますが、その2年前に発表されたこのアルバムがFrank Marinoのキャラクターを決定づけたと言っても過言ではありません。79年に発表された「Tales of The Unexpected」も甲乙つけがたいのですが、78年の「Live」とこの「Mahogany Rush IV」の2枚の作品を合わせて聴くことによってFrank Marinoのキャラクターの全貌が浮かび上がってくるはずです。また、メジャー以前のサウンドと決定的に違うのは、このアルバムから夥しい数のエフェクターを使い始めたことで、ハード&スペイシーサウンドが確立されました。また、シンセベースやメロトロンなども導入しています。

なんと言っても当時のライブのオープニング曲「The Answer」は初期の代表曲で、ハイテク&スペイシーサウンドという彼の奏法を決定づけたと言ってもいい傑作です。縦横無尽に暴れ回る彼のギタープレイはまさに圧巻です。もちろんジミヘンフリークぶりは他の追従を許してはいません。この作品が制作された当時、彼はなんと22歳!なんという成熟したプレイなのでしょう。しかし、若くして注目を浴びてしまったことは、その後の彼自身の迷走ぶりを見ると結果的には不幸なことだったのでしょう。

80年代に入って自身のドラッグ問題や作風への迷いなどから、Frank Marinoは失速していきます。フォロワーの宿命として、ある程度極めてしまうと、さて次の表現方法の壁にぶち当たることは当然と言えば当然。当時あれだけのギターフリークを熱狂させた彼のプレイが再び聴けることは感慨深いものがあります。若い世代にも一度は耳を傾けて欲しい70年代HRシーンを代表する名盤です。

●Musicians
Frank Marino / guitars,vocal,synth-bass,mellotron
Jim Ayaoub / drums,percussion
Paul Harwood / bass

●Numbers
1.  I'm Going Away
2.  Man At The Back Door
3.  The Answer
4.  Jive Baby
5.  It's Begun To Rain
6.  Dragonfly
7.  Little Sexy Annie
8.  Moonwalk
9.  Ⅳ...(The Emperor)
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2010年11月 6日 (土)

Jeff Beck の新譜はネット配信のみ。「LIVE AND EXCLUSIVE FROM THE GRAMMY MUSEUM」

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Live And Exclusive From The Grammy Museum(2010年)
■iTunesよりダウンロード

孤高のロックギタリストJeff Beckの最新音源がリリースされました。今回はリアルCDではなく、すべてネット配信のみという異例のリリースです。アメリカなどでは10月末から配信されていたようですが、日本では11月3日に配信スタートしています。iTunesのほかにもMORAなどの各配信サイトからダウンロードできますが、iTunesのみが「音源+ミュージックビデオ」というプレミアをつけてきました。もちろん、音源だけでもファンにとってはありがたいのですが、映像付きの魅力にはどうやっても勝てません。というわけで、またしてもApple社に大きなアドバンテージが。しかし、海外版iTunesでは約1000円なのに、日本版iTunesはコミコミで2400円!どうやらApple社は日本人は相変わらず金持ちだと思っているようです。いや、正確に言うとJeff Beckを目の前にちらつかせれば我が国日本では「入れ食い状態」だと認識されているようです。まあ、それに関しては否定できる強力な反証はみつかりませんが(笑)。これは、前作「Emotion & Commotion」での、「ボートラ付き作戦」「DVD付き作戦」「フィギュア付き作戦」という波状攻撃でさんざんお金を巻き上げられてしまったことからも、グーの音も出ないわけですが。

内容に関しては各サイトでさんざん紹介されているので詳細は割愛しますが、今年の4月22日にLAにあるグラミーミュージアムで行ったライブ音源(8曲)を収録したもの。映像ではよくわからないのですが、どうやら親しい友人を集めて行ったライブのようです。そのためか、映像に映るBeck先生は終始ご機嫌で、常にニコヤカ。そういえば「ロニー・スコッツ」での映像も終始笑顔を振りまいていたBeck先生は、還暦をとうに過ぎてからようやく丸くなったようですね。実にリラックスした雰囲気でプレイするBeck先生のお姿を拝むことができます。メンバーは昨年まで行動を共にしていた美少女系ベース奏者Tal Wilkenfeldがソロ活動に専念するということで抜けて、その代わりに美女系ベース奏者Rhonda Smithが加入しています。不勉強で知らなかったのですが、Rhonda SmithさんはあのPrinceのバンドで10年間もバックを務めていたそうですね。そりゃ、度胸が据わっているはずです。ドラムは懐かしのNarada Michael Walden。古くは「WIRED」で一緒でしたね。鍵盤は前回に引き続きJason Rebello。

演奏曲は前作「Emotion & Commotion」からと、「People Get Ready」やお馴染みレノン&マッカートニー「A Day In The Life」。「How High The Moon」という曲は、Nancy HamiltonとMorgan Lewisによる1940年作のオールディーズで、レス・ポールやエラ・フィッツジェラルドなどがカバーしています。私は存じ上げませんでしたが、どうやらブロードウエイ・レビューで歌われたのが初出とか。ここでは、珍しくもレス・ポールに持ち替えたBeck先生の姿を臨むことができます。もちろん、これは偉大な先達への敬意を払ってのことだと思われます。

というわけで、ネット配信のみという手法にたいしては違和感がまったくないと言えばウソになりますが、これも時代の趨勢というやつなのでしょうか。とは言え、パソコンで「音+映像」を楽しみ、iPadに転送してこんどは手元で「音+映像」を楽しみ、通勤時はiPodで音を楽しむという3WAYの愉しみ方ができるわけで、「2400円は高い!」と文句を言いながらもけっこう楽しんでいます。ただし、曲のエンディングの処理は乱雑というか、乱暴すぎます。いまどき発作的にフェードアウトする音源を聴くとは夢にも思いませんでした。

ところで、リアルCDは発売しないと書きましたが、実はAmazon USAのみが「オンデマンドCD」を販売しています。MP3をCD-Rに焼いて送ってくれるようです。「わしはどうしてもリアルCDでないとあかんのや」という方はぜひ!

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Rhonda Smith / bass
Narada Michael Walden / drums
Jason Rebello / keyboards

●Numbers
1.  Corpus Christi Carol
2.  Hammerhead
3.  Over The Rainbow
4.  Brush With The Blues
5.  A Day In The Life
6.  Nessun Dorma
7.  How High The Moon
8.  People Get Ready

PCで見て聴いて
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iPadで至近距離から拝むのもよし
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2010年11月 5日 (金)

Jean-Paul Bourellyのジミヘンカバー集

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Musician●Jean-Paul Bourelly(guitar)
Title●Tribute To Jimi(1994年)
■ディスクユニオンで購入

ハイチ出身のファンク系ギタリスト、Jean-Paul Bourelly(ジャン・ポール・ブレリー)によるジミヘンカバーアルバムです。1994年リリース。ディスクユニオンの独自レーベルDIWによる企画盤でもあります。

Jean-Paul Bourellyは例によって日本での知名度はあまり高いとは言えませんので、若干ひとくさり。Miles Davisの晩年に共演したというキャリアをもつブレリーは80年代後半に「ジャングル・カウボーイ」というアルバムでソロデビューを果たしますが、ロック、ジャズ、ファンク、レゲエ、ヒップホップなどの要素をごった煮的に取り入れた独自のプレイは、一時期日本でも注目を集めていたように思います。その後、ドイツのジャズロックユニット「MATALEX」などに加入したりと多方面な活躍を見せています。

なぜ、ブレリーがジミヘンのカバーに取り組んだのかというと、折しも1990年にジミヘン没後20周年を記念したイベントが多く開催されましたが、そんな動きをみながら構想を練っていたとのこと。彼自身、ジミヘンフォロワーと表明したことはありませんし、このアルバム以外の作品を聴くかぎりフォロワー的な感じはあまりしません。ともあれ、ブレリー自身の解釈によってジミヘンのナンバーがどんな感じで料理されるか大変興味があるところです。

でもって、実際に聴いてみると意外なほどにオリジナルに対して忠実なことに驚くと同時に、もうちょっと崩してもらってもよかったのに、というのが正直な印象です。さすがに偉大なギタリストを前にして躊躇するところがあったのでしょうか。ただ、ギターは相変わらずもの凄いです。独得の重厚なカッティングと骨太なソロは破壊力満点。ジミヘンの名曲に新たな命が吹き込まれて、さらにパワーアップしています。ラスト「Bombs And Rainbows」のみブレリーのオリジナル曲です。

●Musicians
Jean-Paul Bourelly / guitar,vocals
T.M Stevens / bass
Alfredo Alias / drums
Kevin Johnson / drums
Irene Datcher / vocals

●Numbers
1.  Machine Gun Suite
2.  Star Spangled Banner
3.  Power Of Soul
4.  Message Of Love
5.  Electric Ladyland
6.  Cherokee Mist
7.  Straight Ahead
8.  Are You Experienced ?
9.  Who Knows / Talkin' Bout My Baby
10. Bombs And Rainbows
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2010年11月 4日 (木)

ジャパニーズメタルの最右翼「MARINO」のベスト盤

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Musician●MARINO
Title●MARINO Complete Best!
■HMVで購入

1980年代の日本ではバンドブームが大きな追い風になって、関西地区を中心に「ジャパニーズ・メタル」(通称・ジャパメタ)が一躍ムーブメントを巻き起こしました。正確に言うと当時は「ジャパメタ」などという表現などは確か存在していなかったはずで、後にCD化にあたって何らかのブランド名が必要になったので「後付け」で作られた言葉ではないかと思います(間違っていたらごめんなさい)。

当時のジャパニーズメタル界を牽引していたのが、44マグナムやアースシェイカー、そして今回紹介する「MARINO」であり、なぜだかそのほとんどが関西を発祥の地としていました。前者2バンドが比較的親しみやすいポップな作風だったのに対して、「MARINO」はあくまでも徹底したハード路線を貫いていました。そのためか前者2バンドは女性ファンを取り込むことに成功しましたが、「MARINO」は野郎ばかりに支持されていたような記憶があります。ジャパニーズメタルのパイオニア的存在である「LOUDNESS」よりは世代的には数年後という感じでしょうか。

さて、そんな「MARINO」のベスト盤です。初期のアルバム「MarinoⅡ」「Marino Ⅲ」「Target」「Battle of Metal」から代表曲をチョイスしたうえで、デジタルマスタリングされています。オリジナルソースは時代的には1984年~1985年です。タイトルに「Complete」をつけるのはいささかやりすぎですよね。

当時リアルタイムで聴いていた「Impact」や「I Want You」がこうして改めて聴き直せることは、まさに僥倖の至りで、80年代の日本のHRシーンを語るうえで貴重な資料になると思います。ギターの大谷令文のプレイは、同時代に活躍していた同系列のギタリストと比較すると、明らかに頭ひとつ、ふたつも抜けていて、あのイングヴェイ・マルムスティーンを唸らせたというのも肯けます。ギターリフやソロの展開など、とかく先人たちの軌跡をなぞるだけのギタリストが目立つ中、令文氏の独創的でオリジナリティーあふれるプレイはいまでも十分注目に値します。

ちなみに大谷令文はMr.Siriusこと宮武和宏さんと高校の先輩後輩の間柄だそうです(宮武さんが1学年先輩)。その関係からかどうかはわかりませんが、関西プログレ界との交流もあり、「Mr.Sirius」のライブ盤にも参加しています。

●Members
Takashi "LEO" Yoshida / vocal
Raven Ohtani / guitars
Manabu Kamada / bass
Jun Itakura / drums

●Numbers
1.  Impact
2.  Welcome
3.  Outlaw
4.  Break
5.  Pretty At Night
6.  Dancing In The Moonlight
7.  I Want You
8.  Brave As A Lion
9.  Rising
10. Target
11. Autobahn B9
12. Fall In Love
13. Station
14. Just Can't Stop
15. From All Of Us,To all Of You
16. Shake Down
17. Midnight Believer
18. Impact
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2010年11月 3日 (水)

1973年の日本にこんな凄いプログレが存在!Mandrake

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Musician●Mandrake
Title●Unreleased Materials Vol.1(1973年、1978年)
■ディスクユニオンで購入

P-MODELのリーダーである平沢進が結成した前身バンド「MANDRAKE」時代に残した未発表音源を集めたアルバムです。個人的にはこの「MANDRAKE」をリアルタイムで知らないためにどうしても後追いの悔しさは隠せないのですが、当時の日本プログレ界では「美狂乱」「新月」と並ぶビッグネームだったとか。しかし、バンドそのものが公式音源を残さないまま消滅してしまったので、その意味では最初にして最後のオフィシャルリリースと言えるかもしれません。1973年と1978年のスタジオテイクと1978年のライブ音源で構成されています。

音質や音のバランスはあくまでも非公式な録音だったりライブ音源だったりするわけで、正直に言ってあまり良いとは言えません。ですから、綺麗な音を期待する人は手を出さないほうが賢明と言えます。それでも、このアルバムにぎっしりと詰まった溢れんばかりのポテンシャルと完成度の高さには正直、ド肝を抜かれてしまいました。オープニングの「飾り窓の出来事」はアルバム中いちばんのキラーチューンとも言える曲で、あくまでもソリッドな平沢のギターと不安感を極限にまで煽りたてるボーカル、メロトロンを自由自在に操る田中靖美、そして阿久津透によるのたうち回るような複雑なベースライン。どれをとっても一級品です。しかも、これが1970年の中盤での音であることに、さらに驚かされます。確かにプレイや楽曲にはKing CrimsonやYESからの強い影響を感じますが、先達の優れた資産を受け継ぎつつ日本的な叙情性を適度にブレンドすることで、完全なオリジナルを確立させています。しかも、この時期は「美狂乱」はデビュー前なのです。

ラストの「錯乱の扉」は何と1973年のライブ音源です。73年というとCrimson的には「Red」以前の時期です。プログレの発祥地から遠く離れた極東の地で、これほどの高いクオリティとポテンシャルをもつバンドが存在したこと自体が奇跡です。もしこの音源がリアルタイムでリリースさせたら、プログレの勢力図も大きくとは言わないまでもかなり変化したのではないでしょうか。そんな貴重な音源を発掘してくれたベル・アンティークの英断にはひたすら感謝です。

冷静に考えてみると、当時の日本のプログレは四人囃子が孤塁を守っていたという状況です。彼らが商業ベースに乗るか乗らないかのグレーゾーンを狙っていたのに対して、MANDRAKEのようなテクニカルで先鋭的なバンドは、地下に潜るしか方法がなかったのかもしれません。しかし、あと5年世に出るタイミングが遅れていたと仮定したら、間違いなく日本を代表するプログレバンドになっていたことでしょう。

●Numbers
1.  飾り窓の出来事
2.  週末の果実
3.  犯された宮殿
4.  錯乱の扉
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2010年11月 2日 (火)

Jean-Luc Pontyの出世作「Enigmatic Ocean」

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Musicians●Jean-Luc Ponty
Title●Enigmatic Ocean(1977年)
■ディスクユニオンで購入

第2期Mahavishnu Orchestraに参加して全世界的に名前が知られるようになったフランス人ヴァイオリン奏者Jean-Luc Ponty(ジャン・リュック・ポンティ)が1975年にグループを脱退後、ソロ活動をスタートさせますが、この作品は最初の代表作とも言えます。録音は1977年。

フランス人でヴァイオリン奏者といえば何と言ってもステファン・グラッペリが有名で何となく優雅なイメージがありますが、ポンティの場合はエレクトリックヴァイオリンの使い手であり、完全にフュージョン志向のプレイヤーです。John McLaughlinと対等に渡り合っていたことからわかるように、宇宙的なファンタジーの世界を得意としています。天衣無縫、自由奔放なポンティのヴァイオリン・ソロが圧巻なのですが、同時に参加メンバーが実に豪華です。ギターに元Soft Machine、元GongのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)、名バイプレイヤーDaryl Stuermer(ダリル・ステューマー)、Steve Smith(ドラム)などの重要人物の名前が見られます。

この作品での最大の聴きどころはタイトル曲でもある「Enigmatic Ocean」。組曲仕立てになっているこの曲では、ギターのホールズワースとステューマーが左右チャンネルで交互に弾き分けていますが、直線的なスチューマーに対してウネウネと変態フレーズを連発するホールズワースとの対比が実に鮮やかで、いま聴き直しても実に新鮮な魅力にあふれています。続く「Nostalgic Lady」はマイナー調の曲にホールズワースの粘りっこいギターが怪しく絡まり、実に幻想的な世界を築き上げています。

このアルバムはセールス的にも大成功を収めて1977年11月のキャッシュボックス・ジャズチャートなどでグランプリを獲得したとか。70年代のジャズロックシーンを語るうえで欠かせない傑作です。その後、PontyとHoldsworthは「Individual Choice」(1983年)という作品で共演を果たしていますが、こちらはゲスト参加という扱いなのでHoldsworth目当てのファンにとってはいささか物足りないかもしれません。

●Musicians
Jean-Luc Ponty / electric violin,Five-string electric violin,violectra,bells,piano
Allan Holdsworth / guitar
Daryl Stuermer / guitar
Ralphe Armstrong / bass
Allan Zavod / organ,synthesizer,piano,clavinet
Steve Smith / drums

●Numbers
1.   Overture
2.   The Trans-Love Express
3.   Mirage
4.   Enigmatic Ocean - Part I
5.   Enigmatic Ocean - Part II
6.   Enigmatic Ocean - Part III
7.   Enigmatic Ocean - Part IV
8.   Nostalgic Lady
9.   The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 1
10. The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 2
11. The Struggle Of The Turtle To The Sea - Part 3
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2010年11月 1日 (月)

イタリアのテクニカル系ギタリストUmberto Fiorentinoの1st

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Musician●Umberto Fiorentino(guitar)
Title●Inside Colors(1988年)
■Gemm.comより購入

イタリア出身のテクニカル系ギタリスト、Umberto Fiorentino(ウンベルト・フィオレンティーノ)による1stアルバムです。相変わらず情報が極端に少ないため正体がよくわからないのですが、のちにAllan Holdsworthばりのプレイを聴かせはじめることから「Holdsworthy一家」の一員として紹介されることもありますが、私見ではたとえばNico StufanoのようなHoldsworthy原理主義者というほどではなく、適度に「らしさ」を醸し出す程度です。そんなことよりも、この人自身、作品をリリースするたびに、あるときはプログレ風、あるときは正統派ジャズ、あるときはアコギ中心とまったく異なる芸風で攻めてくるので、実際問題としてつかみどころがないのです。

そんなFiorentinoの記念すべきデビューアルバム(1988年)ですが、のちの「Ulisse」(1995年)や「Things To Come」(2002年)あたりの変態チックなギタープレイと比べると、かなりまともな内容になっています。サックスやキーボードなど多くの楽器とのコラボ中心なので、ギター弾きまくり状態を期待すると肩すかし気味です。それでもギターシンセから生み出されるフレーズの数々はかなり独特で、「変態テクニカル系」の片鱗は十分にうかがい知ることができます。Allan Holdsworthファンはもちろん、Nico Stufanoあたりに興味がある人にとっては、ちょっと手を出してみるのも一興かと。

●Musicians
Umberto Fiorentino / guitars,guitar-synthesizer
Stefano D'anna / sax
Stefano Sastro / keyboard
Luca Pirozzi / bass
Rober Gatto / drums

●Numbers
1.  Black Panther
2.  Lost In A Mirror
3.  Inside Colors
4.  Zone Di Confine
5.  Half July
6.  Gum To Gum
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