シンセタックスを全面使用したHoldsworthの問題作(?)SAND
Musician●Allan Holdsworth(synthaxe,guitar)
Title●Sand(1987年)
■ディスクユニオンで購入
テクニカル系ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は1986年に発表された「Atavachron」でシンセタックスを初めて使いファンの間で賛否両論、大きな話題になりました。要はギターを弾きまくってナンボのプレイヤーがキーボードの出来損ないみたいな楽器をもってどうするのよという意見とHoldsworthの新たな一面が感じられて素晴らしいという意見です。「Aravachron」リリースの翌年、1987年に発表されたこの「Sand」では、そのシンセタックスが全面使用されていて、さらに問題が大きくなることに。
「ギタリストとしての魅力がなくなった」
「そんなのキーボードを入れれば済む話だろう」
「俺はとにかく弾きまくりが聴きたいんだ」
すでに「Atavachron」の時点で疑問を感じていただけに、この「Sand」の登場でとどめを刺された気分に。それ以来、20年近くこの作品を聴いていなかったのですが、聴き直してみても、当時感じた思いは基本的に変わりません。やはりギターシンセに興味がない人間にとっては、このアルバムは苦痛です。ただ、シンフォ系プログレ好きの人には熱狂的な支持を集めていることも一方の事実です。
この作品で「Holdsworthのソロギター」が聴けるのは、6曲中2曲のみ。ギタリストとしてのHoldsworthの魅力を探るとしたらこの2曲に頼るほか方法がないのですが、このわずかな音空間で聴かせるソロは大変美しく、まさに珠玉の出来です。もの凄い皮肉を言いますが、シンセタックスが作り出す「砂漠のような世界」をさまよっているうちに、やっとの思いで探し当てたオアシスのような存在です。ちなみにこの作品はジャケット違いで、たしかアメリカ盤は本当に「砂漠」の絵が描かれていました(掲載写真)。
このアルバムが発表された翌年の1988年には、旧友ゴードン・ベックとエレピとシンセタックスだけを使用したデュオアルバム「With A Heart In My Song」という作品がありますが、どうして同じキーボード系で共食いしたのだろうと、疑問を感じたものでした。
(Amazonレビューを一部改稿)
●Musicians
Allan Holldsworth / synthaxe,guitar
Jimmy Johnson / bass
Gary Husband / drums
Alan Pasqua / keyboard
Chad Wackerman / drums
John England / mac computer
Biff Vincent / octopad bass
●Numbers
1. Sand
2. Distance Vs. Desire
3. Pud Wud
4. Clown
5. The 4.15 Bradford Executive
6. Mac Man
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