90年型マハヴィシュヌのスタート「Heart of Things」
Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Heart of Things(1997年)
■ディスクユニオンで購入
ジャズフュージョンギター界の帝王的な存在として、いまなお第一線で精力的な活動を続けるJohn McLaughlin(ジョン・マクラフリン)。1990年代の活動というと1994年に巨匠エルヴィン・ジョーンズを迎えて「After The Rain」というコルトレーンのカバーアルバムをリリースしたくらいで特段に目立った活動はなかったと思われましたが、世紀末最後になってとんでもない傑作が飛び出しました。ファンの間ではアルバムタイトルの頭文字をとって「HOT路線」と呼ばれる一連のサウンドです。それまでやや老成気味だったサウンドに、強烈なポリリズムを強制導入することによってマクラフリンのギターも生き返り、まるで強烈な回春剤を服用したかのごとく凄まじいギターが聴けるのがこの作品です。1997年リリース。
メンバーはGary Thomas(テナー&ソプラノサックス)、Dennis Chambers(ドラム)、Matthew Garrison(ベース)、Jim Beard(シンセ)。Matthew Garrisonはコルトレーンとともに長年活躍したJimmy Garrisonの息子ですね。当たり前ですが亡き父と比べると非常にイマ風のプレイをします。
この時期、マクラフリンはまさに大車輪の活躍ぶりで、モントレー・ジャズフェスティバルに参加したり、ジョーイ・デフランセスコ(オルガン)と久し振りの来日公演を果たすなど非常に目立っていました。勝手に妄想するとこの新しいユニットによって、若返ったというか完全に回春しています。この作品の聴きどころは、強力リズム隊が作り出す強烈なポリリズムと御大との絡みであることは言うまでもありません。Dennis ChambersとMatthew Garrisonの2人に負けじと早いパッセージが繰り出され、それが作品に対して新たな生命を吹き込んでいるかのようです。
特に1曲目の「Acid Jazz」での非常に速いパッセージとゲイリー・トーマスとの目まぐるしいユニゾンは、かの70年代にマハヴィシュヌ・オーケストラで聴かれたヤン・ハマーとの掛け合いを想起させます。1998年パリでほぼ同じメンバーで収録された「The Heart Of Things Live」も強力に推薦いたします。
●Musicians
John McLaughlin / guitars
Dennis Chambers / drums
Matthew Garrison / bass
Gary Thomas / saxophones, flute
Jim Beard / synthesizers and piano
●Numbers
1. Acid Jazz
2. Seven Sisters
3. Mr. D.C.
4. Fallen Angels
5. Healing Hands
6. When Love Is Far Away
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