イタリアンJAZZの夕べ Paolo Fresu @ Kind Of Porgy & Bess
Musician●Paolo Fresu(trumpet)
Title●Kind Of Porgy & Bess(2002年)
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イタリアのコンテンポラリー系ジャズにおけるトランペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)による2002年の作品です。Paolo Fresuは日本での知名度があまり高くないように思われますが、欧州コンテンポラリー系ジャズシーンではかなりの有名人で、多くの作品でセッション活動を展開しています。その幅広い人脈は参加メンバーの多彩ぶりからも推測することができます。ギターにベトナム系フランス人Nguyen Le、鍵盤楽器にAntonello Salis、ベースにFurio Di Castri、ドラムにRoberto Gatto、アルジェリア系のボーカルDhaffer Yousseffの名前が。つまりイタリアとフランス、アルジェリアの多国籍軍構成です。
アルバムタイトルを見るとガーシュインのカバーであり、オーソドックスなジャズカバーを連想しますが、凡庸に陥らないのがPaolo Fresuの凄いところ。スタンダードナンバーに対して斬新なアレンジを施すことによって、新しい生命を吹き込んでいます。Paolo Fresuのアレンジ力もさることながら、無国籍系ギターの第一人者Nguyen Leの存在も大きいですね。一見するとジャズギターを装いながらも、ロック、アジア系音楽のテイストを織り交ぜたNguyen Leのギターが加わると、楽曲の雰囲気もガラリと変わってしまいます。この作品では目立ちませんが、Dhaffer Yousseffのイスラム風ヴォイスも絶妙なスパイスとして効いています。Paolo Fresu、Nguyen Le、Dhaffer Yousseffの3人はそれぞれのソロアルバムで互いに共演し合っている間柄なので、アドリブパートに移行しても、実に息が合ったプレイを聴かせてくれます。
というわけで、タイトルから連想してお洒落なヨーロピアンジャズを期待する人はちょっと面食らうかもしれませんね。いまのコンテンポラリー系ジャズの一つのあり方として、興味のある方にはぜひお勧めしたい作品です。Paolpo FresuとNguyen Leの共演作ですと、1999年リリースの「Matamorfosi」もお勧めです!
●Musicians
Paolo Fresu / trumpet
Nguyen Le / guitar
Dhaffer Yousseff / voice
Antonello Salis / piano
Furio Di Castri / bass
Roberto Gatto / drums
●Numbers
1. The Buzzard Song
2. Fisherman,Strawberry And Devil Crab
3. Gone,Gone,Gone
4. My Man's Gone Now
5. I Loves You,Porgy
6. What You Want Wid Bess?
7. Bess,You Is My Woman Now
8. Summertime
9. Oh,Doctor Jesus
10. Clara,Clara,Don't You Be DownHearted
11. Oh,Bess,Oh Where's My Bess
12. LO Bess Goin' To The Picnic?
13. I Got Plenty O' Nuttin
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