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2010年10月

2010年10月31日 (日)

Mahogany Rushの初期3作がおまとめで!

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Musician●Mahogany Rush
Title●From The Original Master Tapes(1973年、1974年、1975年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代後半、ジミヘンフォロワーとして一躍有名になったカナダ人ギタリストFrank Marino(フランク・マリノ)が率いる「Mahogany Rush」の初期3部作が2CDにまとまっているので購入してみました。私の記憶ではLIVE音源を集めた「Mahogany Rush Live」のヒットでFrank Marinoの名前がようやく日本でも知られるようになり、その勢いを買って1978年には初来日公演を果たしています。これも個人的な記憶で恐縮ですが、来日時はLIVEだけにとどまらず多くのテレビ番組にも出演し、雪村いずみの一人娘である朝比奈マリアが司会する音楽番組にまで出演。しかも、ありがちの口パクではなくガチンコの生演奏を披露していました。このあたりの映像は海賊盤DVDで見ることができます。

さて、このお得な2CDセットは長らく廃盤状態にあった初期3作(「Maxoom」「Child Of The Novelty」「Strange Universe」)の貴重な音源が収められています。もちろん単品で買いそろえてもいいのですが、どれもが入手困難なうえにかなりのプレミアがついています。そんな基調な作品群をまとめてくれた版元さんには大変感謝です。

さて、Frank Marinoは自他ともに認めるジミヘンフォロワーの第一人者だけに、聴こえてくる音のすべてがジミヘンサウンドのオンパレード。これを良しとするか異を唱えるかは聴く人の解釈に左右されますが、ジミヘンファンには聴いてみる価値は十分にあります。ジミヘンフリークという要素を差し引いても、この2CDからは70年代ロックの熱い息吹が痛いほど感じられます。

Frank Marinoは70年代後半あたりから夥しいほどのエフェクターを使ったスペイシーサウンドを志向しましたが、初期3部作ではエフェクト効果を極力押さえた、結構生っぽいギターを弾いていたことも意外な発見です。なかには生ピアノを交えたコテコテのブルースナンバーも。エフェクターお化けのFrank Marinoもいいのですが、こちらもかなり聴かせてくれています。それよりも何と言っても、数多いジミヘンフォロワーの中でも、Frank Marinoは歌が一番上手いです。

しかし、デビュー作「Maxoom」をリリースした時、Marinoは何と弱冠16歳!高校生がこんな大人びた作品を作っていいのでしょうか。未成年保護何とか法に引っかかってしまいますね。しかも、ジャケットに映る彼の姿は完全におっさん顔です。早熟の天才とはまさに彼のためにある言葉だとあらためて実感しました。

●Musicians
Frank Marino/ guitar,vocal
Paul Harwood / bass
James Ayoub / drums

●Numbers
[Maxoom]1973年
1.   Maxoom
2.   Buddy
3.   Magic Man
4.   Funky Woman
5.   Madness
6.   All In Your Mind
7.   Blues
8.   Boardwalk Lady
9.   Back In Home
10. The New Beginning

[Child Of The Novelty]1974年
1.   Lock Outside
2.   Thru The Milky Way
3.   Talkin' 'bout Feelin'
4.   Child Of The Novelty
5.   Marki' My Wave
6.   A New Rock And Roll
7.   Changing
8.   Plastic Man
9.   Civil War
10. Chains Of Pace

[Strange Universe]1975年

1.   Tales Of The Spanish Warior
2.   The King Who Stole
3.   Satisfy Your Soul
4.   Land Of 1000 Nights
5.   Moonlight Lady
6.   Dancing Lady
7.   Once Again
8.   Tryin' Anyway
9.   Dear Music
10. Strange Universe
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2010年10月30日 (土)

英国ジャズロックの夜明け「Where Fortune Smiles」

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Where Fortune Smiles(1969年)
■ディスクユニオンで購入

英国ジャズロックの主要メンバーJohn McLaughlinが中心になって録音されたジャズロックの定番中の定番、かつ最重要作品です。メンバーはMcLaughlinを中心に、John Surman(バリトンサックス)、Karl Berger(ヴィブラフォン)、Stu Martin(ドラムス)、Dave Holand(ベース)というメンバー。アルバム自体は1971年に発売されていますが、実際には1969年にレコーディングされています。1969年といえばJohn Surmanが中心になって夥しい数のセッション活動を行っていた年であり、このアルバムもその流れのなかでとらえることができるでしょう。一応、アルバム名義はMcLaughlinになってはいますが、実際にはメンバーによる共同制作のよう印象で、McLaughlinが3曲、Surmanが2曲という分担になっています。

冒頭の「Glancing Backwards」はSurmanによるもので、自身のソロアルバムでも好んでプレイされる名曲です。いきなりハイテンションにのぼりつめるSurmanの叫び声、負けじと鋭角的なソロを連発するMcLaghlin。この2人による火の出るようなインタープレイの応酬には、早くも悶絶死寸前です。この曲がアルバムの中ではもっとも聴きやすく、かつもっとも象徴的なナンバーだと言えるでしょう。

全体をとおして聴くとオドロオドロしいジャズ色が強い作品ですが、フリーキーなSurmanに対して、ジャズという枠に収まることなく縦横無尽に暴れまくるMcLaughlinのソロからはいわゆるジャズロックという評価を拒否するかのような強い意志を感じさせます。

アナログ盤は廃盤状態でたまに発見できてもとんでもない高価がついていますが、念願のCD化によって比較的容易に入手できるようになりました。数年前にディスクユニオン渋谷店で「英国ジャズロック祭り」が開催されましたが、必須アイテムとしてこの作品がラインアップされていたことは言うまでもありません。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
John Surman / baritone sax
Karl Berger / vibraphone
Stu Martin / drums
Dave Holand / bass

●Numbers
1.  Glancing Backwards
2.  Earth Bound Hearts
3.  Where Fortune Smiles
4.  New Place,Old Place
5.  Hope
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2010年10月29日 (金)

謎のテクニカル系ギタリスト、Dave Athertonの1st

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Musician●Dave Atherton(guitar)
Title●Purist(1997年)
■Guitar Nineより購入

アメリカ出身のテクニカル系ギタリスト、Dave Athertonによる1stアルバムです。例によってまったく情報がなく(ネットでもほとんどヒットしません)、来歴などはさっぱり判明しないのですが、テクニカル系ギタリストに強いGuitar NineがGreg Howe系として強力にプッシュしていたこともあり、ものは試しとばかり購入してみました。ギター、ベース、ドラムというシンプルなトリオ構成という潔さにも興味を惹かれました。

さて、おそるおそる聴いてみると、さすがGuitar Nine。案の定、Greg Howeのフォロワーでありました。若干ネオクラシカルの匂いを漂わせながらも、出てくるフレーズはシュラプネル系にも通じる爽快なテクニカル系ギタリストのそれです。ただGreg Howeほどテクニカルに走るのではなく、それなりにギターを歌わせるタイプで、楽曲もかなりしっかりと出来上がっています。個人的にはかなり好みのタイプです。愚直なまでに丹念に音を繋いでいくプレイは、派手さこそありませんがギター好きにとっては十分な説得力をもっています。適度に哀愁を帯びたソロワークは間違いなく日本人好みです。

とは言え、この1stと2nd「Leaving The Scene」(2000年)をリリースしてからはまったく音沙汰がないのは、メジャーになりきれない「何か」があるのでしょう。確かに日本ではテクニカル系ギタリストは一部を除いて異常なまでの冷たい扱いを受けています。CD屋はもちろん、ネットですらなかなかヒットしないことには、いくら素晴らしいものをもったギタリストでも知られることなく埋もれてしまう運命にあります。おそらくアメリカのどこかで元気に活躍していることを密かに願いつつ、紹介してみました。

●Musicians
Dave Atherton / guitar
Mike Todd / bass
John DiGiulio / drums
Jonathan Mover / drums

●Numbers
1.   Reanimator
2.   Distant Planet
3.   Purist
4.   Sunrise River
5.   Malinconia
6.   Genesis Man
7.   St. Gall
8.   Vis-a-vis
9.   Sisyphus
10. Pipe Major Geo. Stoddart
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2010年10月28日 (木)

イタリアのペット奏者Enrico Ravaの貴重なECM作品

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Musician●Enrico Rava(trumpet)
Title●The Pilgrim And The Stars(1975年)
■ディスクユニオンで購入

イタリア出身のベテラントランペット奏者Enrico Rava(エンリコ・ラヴァ)が吹き込んだ数少ないECMでのリーダー作品です。1975年リリース。参加メンバーはJohn Abercrombie(ギター)、Palle Danielsson(ベース)、Jon Christensen(ドラムス)という構成。イタリア出身のRavaに対し、米バークリー出身のエリートギタリストAbercrombie、そして北欧出身のリズム隊というクレジットを見ただけでワクワクしてくる他国籍軍という感じです。

サウンドはというと無国籍風のコンテンポラリー系ジャズの典型で、Ravaの若干コモリ気味でフェイザーがかかったブロウとAbercrombieの浮遊感あふれるソロが静かに燃え上がるという塩梅。ギター目線で考えるとAbercrombieはちょうど「Gateway」をリリースした時期で、ロックテイストからECM仕様のプレイへの転換期でもあります。とらえどころのないAbercrombieのギターソロとどこへ行くかが皆目見当がつかないRavaの飛翔とが渾然一体となって謎めいたサウンドを作り上げています。このように表現すると、完全フリー、アブストラクトで難解な内容を想像させてしまいますが、それでいて破綻に至らない絶妙な仕上がりは強力リズム隊の力量による部分も大きいのではないでしょうか。

●Musicians
Enrico Rava / trumpet
John Abercrombie / guitar
Palle Danielsson / bass
Jon Christensen / drums

●Numbers
1.  The Pilgrim And The Stars
2.  Parks
3.  Bella
4.  Pesce Naufrago
5.  Surprise Hotel
6.  By The Sea
7.  Blancasnow
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2010年10月27日 (水)

TRIBAL TECH / FACE FIRST(1993年)

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Musician●Scott Henderson(guitar)
Title●Face First(1993年)
■ディスクユニオンで購入

アメリカのテクニカル系ギタリストScott Hendersonと超絶ベースGary Willisの双頭ユニット「Tribal Tech」による1993年の作品です。このユニットでは作品に至るまですでに何枚かのアルバムを出していますが、もはや王者の風格さえ漂わせています。参加メンバーは前出2名に加えてKirk Covinton(ドラムス)、Scott Kinsey(キーボード)という最強メンバーです。

Scott Hendersonの名前が一躍知られるようになったのは、Chick Corea率いるElectrik Bandのギタリストとして抜擢されてからだと思われますが、その前にはJeff Berlinのソロアルバムやジャン・リュック・ポンティのアルバムでの活躍で一部マニアの間で知られています。その間に盟友Gary Willisと「Tribal Tech」を結成し「Spears」「Dr.Hee」「Nomad」のアルバムを立て続けにリリースしています。さらに元Weather Reportの総帥Joe Zawinulが率いる「The Zawinul Syndicate」の作品にも参加しています。その後メンバーを一新したうえで1991年、1992年に「Tribal Tech」と「Illicit」をリリース。この「Face First」はユニットとしては6枚目にあたります。

このアルバムがこれまでのアルバムと顕著に違うのは、このアルバムを境に一挙にブルース色が強まり、また曲調もポップになったという点です。これはおそらく「The Zawinul Syndicate」での経験が影響していると思われますし、またHenderson自身が本来やりたかった音楽なのかもしれません。従来のユニットカラーととも言える「未来派ハイテクフュージョンサウンド」と「ブルース」とが適度にブレンドされたこのアルバムは個人的には一番好みです。しかし、最近はますますブルース色が強まっていますね。

●Musicians
Scott Henderson / guitar
Gary Willis / bass
Kirk Covington / drums
Scott Kinsey / keyboards

●Numbers
1.   Face First
2.   Canine
3.   After Hours
4.   Revenge Stew
5.   Salt Lick
6.   Uh...Yeah OK
7.   The Crawling Horror
8.   Boiler Room
9.   Boat Gigs
10. The Precipice
11. Wounded
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2010年10月26日 (火)

ホールズワース参加のPontyの作品「Individual Choice」

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Musician●Jean-Luc Ponty(violin,synthesizers)
Title●Individual Choice(1983年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズロック界で長年活躍するフランス出身のヴァイオリン奏者Jean-Luc Ponty(ジャン・リュック・ポンティ)による1983年の作品です。このポンティさんの日本での知名度はいまひとつの感がありますが、古くはジョン・マクラフリンが率いる第2期Mahavishunu Orchestraで世界的に知られるようになり、ジャズロック界はもちろん映画音楽など、広く手がけている世界的なヴァイオリン奏者です。また、Allan HoldsworthやScott Hendersonなどのテクニカル系ギタリストと数多く共演しています。

個人的には1977年に収録された「Enigmatic Ocean」が好みでして、このアルバムではAllan HoldsworthやDaryl Stuermerなどの売り出し中のギタリストと共演。とても素晴らしい演奏を聴かせてくれました。今回ご紹介するのは「Enigmatic Ocean」の続編的な位置にあるといえますが、ここではあくまでもスポット参加的な扱いで、実際プレイしているのは2曲のみ。したがって、Holdsworth目当ての人にとってはやや物足りなく感じられることは否めません。

とはいえ、70年代後半から本格的に取り組み始めたウネウネ奏法はますます磨きが掛かり、参加曲2曲のうち「Eulogy To Oscar Romeo」での神秘的なソロはあまりにも美しくため息がでるほど。Pontyのヴァイオリンと相まって見事としか言いようがない幻想的な音世界を作り上げています。極端な話、この曲を聴くためだけにアルバムを買っても損はないでしょう。収録参加曲の少なさに目をつぶれば、やはりHoldsworthファンにとっては必須アイテム。おっと、クレジットをしげしげと眺めたらGeorge Dukeも参加しているではないですか!

<追伸>すみません。あとで気がつきましたが、肝心のCDですがなぜかGONGに入れ替わっていました。よくこんな間違いをしでかします。写真を撮りなおすのも面倒だということもありますが、酔狂ということでそのまま放置します。どうかご容赦を!

●Musicians
Jean-Luc Ponty / violin,synthesizers
Randy Jackson / bass
Rayford Griffin / drums
Allan Holdsworth / guitar
George Duke / mini-moog

●Numbers
1. Computer Incantations For World Peace
2. Far From The Beaten Paths
3. In Spiritual Love
4. Eulogy To Oscar Romeo
5. Nostalgia
6. Individual Choice
7. In Spite Of All
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2010年10月25日 (月)

インギーの真摯なプレイが印象的なALCATRAZZライブ

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Musician●Alcatrazz
Title●Live Sentence(1984年)
■ディスクユニオンで購入

元Rainbow、MSGのボーカル、グラハム・ボネットが結成したAlcatrazzの初来日ライブを収録した音源です。1984年1月28日、中野サンプラザにて収録。

ご存じのように半ばクビ同然にRainbow、MSGを脱退したボネットが「いかに再起しているか」が注目されたライブですが、先行して発売されたグループデビューアルバムがことのほか出来がよかったので、全国の(?)HMファンの注目を一身に集めた来日公演となりました。

しかし、このライブ音源をお聴きになった方はご存じのように、ボネットの喉が本調子ではなく、せっかくのお披露目公演にまたしても水を差した形になってしまいました。喉を痛めてしまうのはボネットのような力唱型というか、がなり立て型のボーカリストの宿命とも言えるのですが、それにしてもこの人は肝心なタイミングで味噌をつけてしまうようです。運がないというか、間が悪いというか。

事実、アルバムオープニング「Too Young To Die,Too Drunk To Live」ではいきなり音程を外しまくり、何なんだこの人はと仰天した記憶があります。よくぞまあ、こんなひどい出来ばえで商品化してしまうなぁ、と。結局、ボネットのボーカルは最後まで回復することなく、またしても汚点を残すはめに。そういえばキーボードもいま聴き直すと酷いですね。

そんなわけでボネットのせいで低調に終わってしまった来日公演でしたが、唯一の「救い」は、新たなギターヒーローYngwie Malmsteen(イングヴェイ・マルムスティーン)の存在です。すでにスタジオ盤で抜きん出た実力ぶりを見せつけていたので、ファンにとっての興味は「じゃあ、ライブではどんなもんじゃい」が興味の的だったと思います。そんな衆人監視のもとでもしっかり答えを出せるのが、スターの証です。当日、中野サンプラザに駆けつけた多くのギター小僧を感嘆させたことは言うまでもありません。期待を見事に裏切ったボネットは終始痛々しい姿を観衆のさらし、対照的に若きインギーは一躍スターダムにのし上がった一夜だったわけです。政権交代ですね。どさくさ紛れに言いますと、キーボードも酷いです。

当日の映像はVHSとしても発売され、いままで謎とされたインギーのプレイを目の当たりにすることができました。まあ、何という真摯なプレイなのでしょう。一音、一音をしっかりと丁寧に繋いでいくギタープレイには、実に好感がもてます。しかし、これもご存じのように蝶よ花よともてはやされ大金を得たうえに、暴飲暴食を重ねたインギーは、その代償としてロックスターにはあるまじき体型へと変貌を遂げていきます。同時にギタープレイも手抜きが目立つようになり、若くして獲得した栄光に自ら泥を塗ることに。ダイエット、リバウンド、そしてまたダイエットを繰り返すうちに、輝きを失ってしまった感があります。ちなみに最近になってDVD化されたようですが、個人的にはちょっと食指が動きません。

●Musicians
Graham Bonnet / vocals
Yngwie Malmsteen / guitar
Gary Shea / bass
Jan Uvena / drums
Jimmy Waldo / keyboards

●Numbers
1.   Too Young To Die,Too Drunk To Live
2.   Hiroshima Mon Amour
3.   Night Games
4.   Island In The Sun
5.   Kree Nakoorie
6.   Coming Bach
7.   Since You've Been Gone
8.   Evil Eye
9.   All Night Long
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2010年10月24日 (日)

HoldsworthとJohansson兄弟との強烈バトル!Heavy Machinery

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Heavy Machinery(1996年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が北欧のHM兄弟、Anders & Jens Johanssonとガチンコ勝負に挑んだ作品です。Johansson兄弟はスウェーデン時代にYngwie MalmsteenのSilver Mountainに加入し、Rising Forceにも在籍していましたね。また、John McLaughlinやJonas Hellborgの作品にも参加しています。

この頃からHoldsworthは自身の作品よりも他人とのセッション作品のほうが出来映えがいいという決してありがたくない評論がなされていたように思えますが、この作品などはその典型例とも言えるでしょう。アーティストとしては実に皮肉な状況ですが、確かにそう思えるから仕方がないのです。1996年といえばHoldsworth的には「None Too Soon」をリリースした頃でしょう。

Holdsworthはこのアルバムで最強兄弟に煽られたのでしょうか。とにかく回春した(?)Holdsworthのソロは近年まれにみる凄まじさ。始めから最後までとにかくもの凄い音の圧力と洪水です。「貴公子」マルムスティーンとの共演でもこれほどまでの凄みは感じませんでしたが、ベテランと中堅の意外な取り合わせがこんな迫力を生むとは!奇跡の融合とはまさにこのことかもしれません。じっと聴いているとJensの鍵盤とHoldsworthのギターとが激しくぶつかり合いながらも、次第に解け合うようにとんでもない音が作り出されていることに気がつきます。これはHoldsworthがレガート奏法の名手だからこそ、起きる奇跡の瞬間ですね。

これほどまでに素晴らしい共演なのに「第2弾」が絶対ないのがHoldsworthらしいところ。やはり希代の偏屈ものと言わざるを得ません。そんなところがマニアの心を刺激することも確かなのですが。ところでラスト曲「Macrowaves」はJensの美しいキーボードでクールダウンするのですが、20分以上にわたる「無音部」があります。そして最後は1分足らずのキーボードと激しいドラムが。何なんでしょうね。よく意味がわかりません(笑)。タイトル通り「人間には聞こえない音」でも隠されているのでしょうか。また、アメリカ盤とスウェーデン盤とではジャケットデザインが異なりますが、日本盤はスウェーデン盤ジャケットを採用しています。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Anders Johansson / drums
Jens Johansson / keyboards

●Numbers
1.  Joint Ventures
2.  Beef Cherokee
3.  On the Frozen Lake
4.  Mission Possible
5.  Good Morning Mr. Coffee
6.  Siouxp of the Day
7.  On the Fritz
8.  Tea for One and a Half
9.  Never Mind Our Weather
10. Macrowaves
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2010年10月23日 (土)

ジャズロックアルバム厳選600!

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Written by●松井 巧
Title●JAZZ ROCK Selected 600titles of albums(2008年)
■有隣堂アトレ恵比寿店で購入

1960年代後半から70年代中盤にかけてイギリスを中心に巻き起こった「JAZZ ROCK」ムーヴメント。一般的な解釈(?)として70年代中盤あたりに主にGeorge BensonやLarry Carltonなどのギターミュージシャンが牽引した「クロスオーバーブーム」「フュージョンブーム」に行き着くまでの「過渡期」にある音楽ジャンルとされているようです。なるほど時系列的な解釈では当たっていると思いますし、それはそれで構わないと個人的にも思います。ただ、そもそも「JAZZ」と「ROCK」をただ安易に合体させただけの定義付け自体が怪しげであり、また言葉づらをとらえると実にさまざまな見方も出てきます。「JAZZっぽいROCKなのか」「ROCKっぽいJAZZなのか」「JAZZとROCKの混合系なのか」「ROCK(JAZZ)出身のミュージシャンがJAZZ(ROCK)にアプローチするとJAZZ ROCKと言えるのか」…。などなど言葉のイメージだけでもいろいろと考えることができるのです。

また、ややこしいことにKing Crimsonの登場によって1960年代後半から巻き起こったプログレッシヴ・ロックの勃興があり、さかのぼればアート・ロックと呼ばれる一派もありました。プログレッシヴ・ロックやアートロックをJAZZ ROCKと明確に切り分けすることができるかというと、実はこれが難しいことで、お互いが相互に影響し合っていることを考えると、ではあらためて「JAZZ ROCKってどんな音楽ジャンルなの?」という問いかけに対する明確な解答など到底出し得ないと思いますし、またその作業自体に意味があるのかと言うと、実はあまり意味がないと思うのです。

また、さらにややこしいことにいわゆる「JAZZ ROCK愛好家」(?)の人たちに向かって「これってJAZZ ROCKですよね」とうっかり話しかけてしまうと、「いや、その解釈は甘い!」と一蹴されることもあります。これはその人の内面で「JAZZ ROCKはかくあるべし」という判断基準が確立されているために起こる出来事ですが、ではその判断基準が一般化されているかと言えばもちろんそんなことはありません。極端に言えばJAZZ ROCK愛好家の数だけ、解釈があると言ってもいいかもしれません。JAZZ ROCKにまるで関心がない人たちから見れば、ともすればセクト主義にも映る偏狭さは傍から見ると「何なんだ、この人たちは!」と奇異に感じられるようです。

本書はそんなさまざまにややこしい事情(?)を抱えているJAZZ ROCKという音楽ジャンルに対して、名盤600枚を紹介してしまうという暴挙に出ています。当然のことながら、「これってJAZZ ROCKじゃやないよ」「このアーティストやアルバムが載らないのはオカシい」などという意見が出てくることは承知のうえでの上梓なのでしょう。大変勇気がいる仕事です。実際、Amazonでの本書に対するレビューをのぞくと案の定、それに似たコメントが寄せられています。どのみち、1人のライターがこういう類の本を手がけるということは、その人の趣味趣向を反映していかないとできないわけで、「偏向」することなどは当たり前のこと。にも関わらず意中の作品が載っていなかったり、逆のケースが起きることは織り込み済みの問題ではないかと思うのですが。

本書の構成は
□「Jazz Rock Core Artists」
□「UK Jazz Rock」
□「USA Jazz Rock」
□「Euro Jazz Rock」
□「Related UK Rock,etc」
□「Free,Avant-Garde」
□「Straight Jazz」

と分かれていて、巻末にはジョン・マクラフリンとジョン・ハイズマンのインタビューが収録されています。

作品個別の紹介はジャケット写真(原則として初回オリジナル)、リリース年、簡単な解説が書かれているのみですが、なぜか右上にチェック欄が設けられているのが、マニア心をくすぐります。このチェック欄は「あなたは知っていますか」「あなたは聴いたことがありますか」「あたたは所有していますか」などとさまざまな解釈、利用法が可能ですね。
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2010年10月22日 (金)

櫻井さん+Greg Howe+デニチェンのトリオ再び!

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Musician●櫻井哲夫(bass)
Title●Vital World(2010年)
■Amazonより購入

元カシオペアのベース奏者、櫻井哲夫さんが率いるスーパーユニットが再びアルバムをリリースしたというので、早速購入してみました。言うまでもなく、9年前の2001年に結成された「Gentle Hearts」の再結成ユニットで、メンバーはGreg Howe(ギター)とDennis Chambers(ドラム)という当代きっての腕達者ばかりです。アルバムタイトルの「Vital World」はScott Hendersonの例のユニット名を意識しているかは定かではありません。

さて、「Gentle Hearts」の再来だけに大いに期待してしまうわけですが、結論から言ってしまうと、良くも悪くも「期待通り」という出来映えです。何が悪いともはっきりしない代わりに,ではどの曲が素晴らしいかとも挙げることもできない「もどかしさ」を感じてしまいます。つまり、聴いていて少しでも「ガツン」と来るものがないのです。まぁ、このことは「Gentle Hearts」でも若干感じていましたが、今回は悪いほうの予感が当たってしまいました。変にフォローするわけではありませんが、聴いていて確かに心地よいし圧倒的なスピード感は流石です。しかし、聴き終わった後の充足感があまり感じられないのです。前回「Gentle Hearts」ではかなり弾き倒していたGreg Howeが大人しくなってしまったことも要因かもしれません。

というわけで、メンツの豪華さに釣られて「良質なフュージョン以上」の出来を期待してしまうと、不満が残ることは否定できません。もちろん「良質なフュージョン」だけを期待するのなら、水準以上の作品ではあります。

ところで、櫻井さんのディレクションなのかは定かではありませんが、3曲目「A Tear Of The Clown」という曲は若干歌謡曲っぽい内容で、Greg Howeも若干演歌っぽく聴こえるソロを展開しています。まぁGreg Howeは器用なプレイヤーだからどんな状況にも対応できてしまうのですが、昔からのGreg Howeファンにとっては「そこまでオモネなくても…」という感想を持ってしまいました。

●Musicians
Tetsuo Sakurai / bass,programming
Greg Howe / guitar
Dennis Chambers / drums
Taki Imaizumi / keyboards

●Numbers
1.  Critical Planet
2.  Alien's Feast
3.  A Tear Of The Clown
4.  Are You Ready
5.  Another Kingdom
6.  Triangle Square
7.  Monster Parade
8.  Father
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2010年10月21日 (木)

ジミヘンフォロワーRobin Trowerの1stソロ

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●Twice Removed From Yesterday(1973年)
■Amazonより購入

大ヒット曲「青い影」でお馴染みのイギリス出身のロックバンド「プロコルハルム」で活躍したギタリスト、Robin Trower(ロビン・トロワー)によるソロデビューアルバムです。元プロコルハルムといってもTrowerが加入したのは確か2ndからで「青い影」には関与していないはずです。ゲイリー・ブルッカー主導によるアート志向のバンドカラーに対して、ブルース志向でジミヘンフリークのTrowerがバンドを脱退することは時間の問題だったと思われます。

さて、満を持してソロデビューを果たしたこのアルバムでは、Trowerが求めていたホワイトブルース、そしてジミヘンフォロワーとしてプレイしたかったサウンドで溢れかえっています。ただ、自身は滅多にボーカルをとらず盟友James Dewerに任せていること。またストラト使いでありながらトレモロアームをほとんど使わないこと(少なくとも70年代はアームを外していたはずです)が本家との差別化だったのかもしれません。とは言え、明らかにジミヘンの影響を受けている楽曲内容、そしてブルージーなソロワークには本家亡き後、フォロワーとして生きていくことを決めた覚悟らしきものを強く感じさせます。ちなみにプロデュースはプロコルハルム時代の同僚、Matthew Fisher。

#1  I Can't Wait Much Longer
ディストーションで歪みきったリフで始まるミドルテンポの初期代表曲。James Dewerのソウルフルなボーカルに合わせて幽玄の味わいを秘めたTrowerのソロが響きわたります。ソロ部分にさしかかると苦しそうなうめき声にも似たTrowerの叫びが実に印象的。

#2  Daydream
70年代のLIVEでは必ずといっていいほどプレイされたいわば十八番。スローテンポのブルースナンバーですが、ジミヘンの「Little Wing」に共通する味わいがあります。そこに英国風の重厚さを加えた感じです。昔、ギターでよくコピーさせていただきました。

#3  Hannah
James Dewerの何とも切ないボーカルで始まるスローテンポのブルースナンバー。一通りテーマが展開し終わるとDewerのベースを合図に一転してアップテンポに変換します。そこでオドロオドロしく入り込んでくるTrowerのギターが何とも不気味。

#6  Rock Me Baby
B.B.Kingによるナンバー。やはりLIVEでの定番でした。ソロ部分では火の出るようなTrowerのブルースギターが炸裂します。名曲です。

#7  Twice Removed From Yesterday
基本的にTrowerはボーカルととらないのですが、おそらく彼の長いキャリアの中で唯一といってもいいTrowerの声が聴ける曲。曲最初で聴かれるボーカルというよりもダミ声の呟きがそうなのですが、これではイカンということでメインはDewerにバトンタッチ。伸びやかなDewerのボーカルになぜかホッとします。最後はTrowerのフィードバックで派手な終わり方をします。そういえばこの曲はLIVEでは滅多にプレイされませんが、やはりTrowerがボーカルに自信がないためなのでしょうか。そういえばJeff Beckも滅多にボーカルをとりませんが、名ギタリストにはやはりボーカルをとってほしくありませんね。誰とは言いませんが、ギターを弾かせるとけっこう上手いボーカリストという扱いになってしまってはイカンと思うのです。誰とは言いませんが。当欄としてはあくまでもギターを聴きたいのです。

#9  Ballerina
Trowerによる何とも穏やかなギターとDewerのソウルフルボーカルが実に美しく絡まり合う佳作です。「Daydream」をさらにクールダウンした感じです。桃源郷をさまようがごとく天空を突き抜けるTrowerのソロが大変印象的。ジミヘン的には「Angel」に近いテイストです。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewer / vocal,bass
Reg Isidore / drums

●Numbers
1.  I Can't Wait Much Longer
2.  Daydream
3.  Hannah
4.  Man of The Eagle
5.  I Can't Stand It
6.  Rock Me Baby
7.  Twice Removed From Yesterday
8.  Sinner's Song
9.  Ballerina
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2010年10月20日 (水)

ECMの名手2人の静かな語らい「Sargaso Sea」

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Musician●John Abercrombie & Ralph Towner
Title●Sargaso Sea(1976年)
■ディスクユニオンで購入

ドイツのコンテンポラリー系ジャズの名門「ECM」を代表するギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)とRalph Towner(ラルフ・タウナー)によるギターだけのデュオ作品です。1976年リリース。1976年5月、オスロのTalentスタジオで収録されています。プロデューサーはECMの総帥、マンフレッド・アイヒャー。

かたやAbercrombieはジャズロック志向、かたやTownerはクラシック出身と異なるキャリアをもつ2人ですが、その異なるキャラが絶妙に絡まりあい、融合し、独自の世界を構築しています。Abercrombieはエレキとアコギ、Townerは12弦ギターと時にピアノも。Abercrombieはエフェクターを多用し独自の浮遊感あふれるソロを展開するにに対して、Townerはあくまでもアコースティックなで生の音にこだわりをみせます。また、ただギターをギターとして奏でるのではなく、時に鍵盤楽器的に、時に打楽器的に縦横無尽、自由自在に展開することによって、とてもデュオアルバムとは思えない豊潤な音の広がりが感じられるのです。

ギターデュオというと、1970年リリースのMcLaughlinとCoryellによる「Spaces」を真っ先に思い出しますが、ギターをギターとして扱うMcLaughlinとCoryellに対して、この2人のアプローチはいかにもジャズ的で、いかにもECMらしいと言えるでしょう。

「ギター2本だけだと退屈じゃないの?」と思われる向きがあるのは仕方がありません。しかし、これがまたとても良い意味で裏切ってくれる素敵な佳作です。この2人は1981年に「Five Years Later」という作品であいまみえることになりますが、こちらも実に素晴らしい出来映えです(ただし、アナログ盤のみでCD化は残念ながら現状ではされていません)。

●Musicians
John Abercrombie / electric & acoustic guitar
Ralph Towner / 12-strings & classical guitar,piano

●Numbers
1.  Fable
2.  Avenue
3.  Sargaso Sea
4.  Over And Gone
5.  Elbow Room
6.  Staircase
7.  Romantic Descension
8.  Parasol
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2010年10月19日 (火)

小曽根真 / Now You Know(1986年)

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Musician●小曽根真(piano)
Title●Now You Know(1986年)
■Tower Recordで購入

世界的な規模で活躍する小曽根真が1986年にNYでレコーディングした作品です。自身としては3作目のアルバムにあたります。プロデューサーは彼の師匠ともいえるGary Bartonが手がけていますが、Burtonつながりの起用が利いているのでしょう。参加メンバーがとにかく豪華です。Bill Evance Trioで最後のベース奏者を務めたMarc Johnson、ドラムにはWeather Reportなどで数々の名演を聴かせてくれたPeter Erskine、そしてECMレーベルを代表する知性派ギタリストJohn Abercrombieといういわば「ECM軍団」。弱冠25歳の小曽根にとっては、まさに胸を借りるという心境だったのではと想像されます。そういえば、Marc JohnsonとPeter ErskineはAbercrombieのリーダー作「Current Events」でも共演しているわけで、息が合うことは当然と言えば当然です。

すべての楽曲は小曽根が手がけたものですが、実にリリカルな内容です。ベテランバックも好サポートに徹して若き小曽根を盛り立てています。特に「Might As Well」はワルツを基調にした大変美しい曲で、どこか「All The Things You Are」を彷彿とさせる佳作。

日本人プレイヤーとして海外のトップミュージシャンと互角に渡り合うという事実も印象深いのですが、個人的にはやはりECMの巨匠たちをバックに従えている点がなんとも誇らしく思います。

●Musicians
Makoto Ozone / piano
John Abercrombie / guitar
Mark Johnson / bass
Peter Erskine / drums
Steve Kjara / flute

●Numbers
1.  Watch What I'm Gonna Do
2.  Might As Well
3.  Endless Season Part Ⅳ
4.  This Little Piggy Tells Time
5.  You Are In Love
6.  As Is
7.  Passage
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2010年10月18日 (月)

イタリアのペット奏者Paolo Fresuの「Metamorfosi」

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Musician●Paolo Fresu(trumpet)
Title●Metamorfosi(1999年)
■Amazon Franceより購入

イタリアを代表するトランペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)による1999年リリースのリーダー作です。Paolo Fresuその人もさることながらイタリアンジャズというと日本ではあまり馴染みがないように思えますが、イタリア国内にとどまらずヨーロピアンジャズシーンではかなりの有名人です。参加メンバーはベトナム系フランス人ギタリストNguyen Le(グエン・レ)をはじめ、Furio Di Castri(ベース)、Roberto Gatto(ドラムス)、Antonello Salis(ボーカル)という布陣。Paolo FresuとNguyen Leはほかの作品でも数多く共演しているので、いわば盟友と言えるでしょう。

さて、サウンドはというとまさにコンテンポラリー系ジャズの典型。浮遊感いっぱいのFresuのブロウとエスニカルなNguyen Leのギターが両輪となって独自の音世界を構築しています。ちょうど80年代ECMサウンドをよりジャズ寄りにしてより無国籍に仕上げたという感じです。なかでも、「Metamorfosi」はNguyen Leのアコースティックギターが実に美しい佳作。涙があふれ出てしまうような美しいフレーズの連続にヨーロピアンジャズの奥深さを感じます。一方で、「The Open Trio」はアップテンポで激しい曲です。Nguyen Leはジャズ畑ながらジミヘンフリークとしても知られていますが、アームを極限にまで利かせた派手なウラメロで凄まじいソロを聴かせてくれています。アルバム全体の中では実に異色な曲ですが、大変面白いので取りあげてみました。

●Musicians
Paolo Fresu / trumpet,Flugelhorn,electrinics
Nguyen Le / guitar,guitar synthesizer
Furio Di Castri / bass
Roberto Gatto / drums
Antonello Salis / fisarmonica,vocal,whistle

●Numbers
1.  Elogio Del Discount
2.  Si Dolce e il Tormento
3.  Nightly
4.  Pong
5.  Metamorfosi
6.  The Open Trio
7.  Abbamele
8.  Nympheas
9.  Giravolta
10. Adagio
11. Bee
12. Don't Ask
13. Note Di Un Libretto Per Un'opera Mai Scitta
14. Little Willie Leaps
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2010年10月17日 (日)

謎のプログレバンド「K2」にHoldsworthが参加

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Musician●K2
Title●Book Of The Dead(2004年)
■Amazonより購入

シンフォ系プログレバンド「K2」というグループにテクニカル系ギタリストの親分、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が参加しているということで数年前に購入したまま放置していました。改めて聴き直してみたのが、この作品です。勉強不足で大変申しわけないのですが、この「K2」の存在は知らなかったのですが、どうやら「Atlantis」というアメリカのシンフォ系プログレバンドのベース奏者によるソロプロジェクトのようです。HoldsworthはAtlantisのアルバムにもゲスト参加したことがあるので、その流れからのゲスト参加なのではないかと推測します。

肝心の音ですが一部では「UKの再来!」と喧伝されていましたが、そこまで期待してしまうと拍子抜けしてしまうのでは? まぁ、手堅い感じでまとまってはいますが、特段にこれといったインパクトがあるわけではありません。アルバムタイトル「Book Of The Dead」はイスラムの「死者の書」をまんまいただいているわけですが、かといってオリエンタル的な要素が満載というわけでもなく、何だか中途半端な印象を受けます。

さて、Holdsworth御大ですが、この人の唯我独尊ぶりはどこに行っても誰と共演しても、決してブレることを知りません。いつもながらのウネウネソロが満を持して高らかに奏でられるのです。したがって「K2」との絡みがどうのとか、楽曲がどうのという聴き方はあまり意味をなさないように思います。30年近くHoldsworthを追いかけている当欄としては、Holdsworthがそこに存在していることに意味があるのですが、「K2」ファンはどのように感じているのでしょうか。ちょっと意見を聞きたい気分です。ちなみにクレジットにもあるように、鍵盤楽器は日本人の「Ryo Okumoto」さんが担当しています。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Yvette Devereaux / violin
Shaun Guerin / vocals
Ryo Okumoto / piano,moog
Doug Sanborn / drums
John Miner / additional guitar

●Numbers
1.  Infinite Voyage
2.  Mirror To The Spirits
3.  The Edge Of Light
4.  Aten
5.  Cloak Of Antiquity
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2010年10月16日 (土)

McLaughlinとJohn Surmanの貴重な共演作

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Extrapolation(1969年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズロック界を代表するギタリスト、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)による記念すべきソロデビューアルバムです。先立つ形でMiles Davisのレコーディングで一躍スターダムにのし上がったマクラフリンですが、Miles楽団で聴かれた攻撃的なリフと、70年代初等に結成されたMahavishnu Orchestraでの当時としては驚異的なインタープレイとの「狭間的作品」と言えるのではないでしょうか。また、インド趣味に目覚める直前ということもあって、純然たるフリージャズ的な一面を伺い知ることができます。参加メンバーは英国フリージャズの重鎮であるサックス奏者John Surmanをはじめとして、Tony Oxley(ドラム)、Brian Odges(ベース)というカルテット構成。

やはり注目するべきはJohn Surmanとの共演で、アルバム「Where Fortunes Smile」と同様に、2人のガチンコ勝負が何とも言えない凄みを感じさせます。McLaughlinはMiles楽団やMahavishnu Orchestraで聴かれたようなディストーションを極限にまで利かせたプレイを封印し、あえて生っぽいギターでSurmanに戦いを挑んでいます。もちろんSurmanも負けじと凄まじいブロウで対抗し、リズム隊が2人の勝負を煽りに煽るという構造。60年代後半から70年代初頭での、ブリティッシュジャズロック黄金期の到来を強く感じさせます。

これは余談ですが、McLaughlinは元Creamのベース奏者、Jack Bruceのユニットに参加しますがこれには裏話があります。先立って元Miles楽団の「地下鉄ドラマー」Tony Williamsから新グループ「Tony Williams Lifetime」への参加要請を受けていたMcLaghlinは経済的に困窮していました。要は渡米しようにもお金がなかったのです。そんなMcLaughlinの状況を見かねたJack Bruceが渡米費用を肩代わりするバーターとして、自分のアルバムに参加させたとのこと。もし、Jack BruceがMcLaughlinに救いの手を伸ばさなかったら、Lifetimeの誕生はあり得ないことでしたし、さらに言えばNew Lifetimeもなかったわけです。Jack Bruceがブリティッシュジャズロックの陰の番長と言われるのはこんなエピソードがあるからなのかもしれません。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
John Surman / baritone and soprano sax
Brian Odges / bass
Tony Oxlay / drums

●Numbers
1.  Extrapolation
2.  It's Funny
3.  Arjen's Bag
4.  Pete The Poet
5.  This Is For Us To Share
6.  Spectrum
7.  Binky's Beam
8.  Really To Know
9.  Two For Two
10. Peace Piece
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2010年10月15日 (金)

櫻井哲夫さんとHowe & デニチェンのスーパーユニット「Gentle Hearts」

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Musician●櫻井哲夫(bass)
Title●Gentle Hearts(2001年)
■Amazonより購入

元カシオペアのベース奏者、櫻井哲夫さんが2001年にリリースした「驚異のパンク・ロック・フュージョン」(CD帯より)です。メンバーはフュージョンギター界の大御所にまでのし上がったGreg HoweとJohn McLaughlinの「Heart Of Things」などで活躍する超がいくつもつく売れっ子ドラム奏者、Dennis Chambersという至上最高とも思えるトリオです。

3人のキャリアについてはいまさらとう感じなので割愛しますが、興味の的はHoweとChambersの黒人2人に対して櫻井さんがどんな感じで臨み、どんな音楽が生み出されるかです。作曲はすべて櫻井さんが担当しています。

結論から言ってしまうと、帯コピーのような「驚異のパンク・ロック・フュージョン」を過剰に期待してしまうとちょっと肩すかしの感があります。確かに姿は「パンク・ロック・フュージョン」ではありますが、驚異とまでは言い過ぎだなというのが正直な感想です。というのも楽曲としてはこれまで我々が聴いてきたジャズフュージョンの枠内に入り切ってしまう内容なのです。また、あえて日本人ミュージシャンが黒人2人と共演することで新しい何かが生み出されたかというと、残念ながらそういう要素もあまり感じられません。水準以上の内容だけれども、あまり期待するとどうも…という感は否めません。私のハードルが高すぎるのでしょうか。

Greg HoweやDennis Chambersも櫻井さんを立てているのでしょう。いつもの豪快な一面がほとんど聴かれません。お互い遠慮などせずに3人のガチンコ勝負をみたいというのがファンの本音ではないでしょうか。どうも、本人たちと聴く立場との意識のズレを感じてしまいます。特にタイトル曲「Gentle Hearts」での牙を抜かれ切った音づくりを聴いてその思いが強くなってしまいました。ちなみに3曲目「Punk Jazz」は夭折の天才ベース奏者、Jaco Pastoriusのカバーです。

●Musicians
Tetsuo Sakurai / bass,programming
Greg Howe / guitar
Dennis Chambers / drums

●Numbers
1.  Samurai Faith
2.  Brain Storm
3.  Punk Jazz
4.  Gentle Hearts
5.  The Invisible Way
6.  Maximam
7.  Wonderland In The Sky
8.  Dandelion
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2010年10月14日 (木)

Chad Wackermanのソロ3弾「Scream」

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Musician●Chad Wackerman(drums)
Title●Scream(2000年)
■ディスクユニオンで購入

Frank Zappa楽団で名前を知られるようになり、また超絶ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)との共演で知られる豪州出身のテクニカル系ドラム奏者、Chad Wackerman(チャド・ワッカーマン)による2000年の作品です。ソロ名義としては3作目にあたります。

前2作は「職場の上司」であるAllan Holdsworthの「監修」のもとに作成されましたが、案の定、Wackermanのアルバムにもかかわらずすっかり「Holdsworth色」に染められてしまった嫌いがありました。もちろん、Holdsworthファンにとってはありがたいことには違いはないのですが、そこまでやるか!という思いもなきにしもあらず。ソロ3作目になって、やっと上司からの呪縛から解放されたWackermanは代わりのギタリストとして同郷のJames Muller(ジェームス・ミュラー)を指名します。日本でのJames Mullerの知名度はいまひとつですが、地元ではかなり有名なミュージシャンで、いわゆるコンテンポラリー系オージージャズの主要作品を見ると、かなりの割合でその名前を発見できます。

したがって、James Mullerの存在はさしずめHoldsworthファンにとっては「お手並み拝見」という塩梅ですが、これが実に素晴らしい!Holdsworthほどウネウネしませんし、繰り出すフレーズは本家よりはかなりジャズ寄りです。しかし、注意深く聴き込んでいくとかなり尖ったフレーズを連発しています。本家の「変態性」に食傷気味の方にとっては「良いお口直し」になりそうです(笑)。Holdsworth参加の前2作では妙にウェットでまとわりつくような湿度を感じましたが、この作品からはカラッとした作風に転向しています。

Wackermanは続くソロ第4弾「Legs Eleven」(2003年)でも、James Mullerと共演しています。同じオージーということもあるかと思いますが、それよりもミュージシャンとしての「相性の良さ」による部分も大きいのではないでしょうか。

●Musicians
Chad Wackerman / drums
Daryl Pratt / percussions,synthsizer
James Muller / guitar
Jim Cox / organ,synthesizer
Leon Gaer / bass
Walt Fowler / flugelhorn

●Numbers
1. Screams
2. Between The Dog And The Wolf
3. The City
4. Looking In
5. Days Gone By
6. Timeless
7. Cycles
8. The Way Out
9. Holland
10.THe Grey Chair
11.My Two Worlds
12.Youse From Here?
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2010年10月13日 (水)

Abercrombie,Erskine,Surman,Johnson名手4人の静かな邂逅「Novemver」

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Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●November(1992年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)の1992年のリーダーアルバムです。メンバーはPeter Erskine(ドラム)、Marc Johnson(ベース)という傑作「Current Events」の黄金トリオに加えて、英国が生んだバリトンサックスの名手John Surmanが特別ゲストとして参加しています。いずれもリーダーアルバムを何作もリリースしている豪華メンバーで、こんなゴージャスな共演に接することができるのもECMならではです。プロデューサーはECMの総帥、マンフレッド・アイヒャー氏でオスロのRainbowスタジオで収録されています。

それぞれがさまざまな作品で何度も共演しているだけに、メンバー間の意志の疎通は万全すぎるほどで、まさにアウンの呼吸のもと、惚れ惚れするほど美しいインターバルが繰り広げられるこの作品。70年代の彼らのように激しいやりとりこそ聴かれませんが、全体を覆う静寂な雰囲気なかにもピンと張りつめた緊張感が漂います。一見すると、静かなフリージャズという塩梅の作品ですが、水面下で展開される匠たちの静かなバトルには息を飲む迫力を感じるという二面性をもっています。不思議でアブストラクトな音に身を任せるのもよし、名手たちの静かな対話に耳を傾けるのもよし、聴くたびにさまざまな発見があります。

●Musicians
John Abercrombie / guitar
Peter Erskine / drums
Marc Johnson / bass
John Surman / baritone sax,soprano sax,bass clarinet

●Numbers
1.  The Cat's Back
2.  J.S.
3.  Right Brain Patrol
4.  Prelude
5.  November
6.  Rise And Fall
7.  John's Waltz
8.  Ogeda
9.  Tuesday Afternoon
10. To Be
11. Come Rain Or Come Shine
12. Big Music
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2010年10月12日 (火)

YMOの1stワールドツアー音源

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Musician●Yellow Magic Orchestra
Title●Faker Holic(1979年)
■Yahoo! オークションより入手

YMOが1979年に行った初めてのワールドツアーはロンドン、パリ、NY、ワシントンDCという音楽的にうるさガタが集まる都市を中心に行われました。その映像は「Trans-Atlantic Tour」というタイトルのDVDになっていますが、こちらは大変入手が困難です。ということで、てっとり早く音源を聴くにはこのCDが一番です。YMOが1979年10月16日、24日のロンドン公演、18日のパリ公演、11月6日のNYボトムライン公演の音源が2枚のCDに収められています。言うまでもなく、「公的抑圧」ではレコード会社の契約の関係で渡辺香津美のギターが全面カットされていましたが、ここでは「完全な状態」で聴くことができます。

ギター好きの当欄としてはギターの渡辺香津美がキモになるわけですが、DISC 1のロンドン、パリ公演はどちらかと言えばPAの不調もあってパッとしません。彼の本領がやっと発揮できているのはDISC 2でのNYボトムラインでのテイクです。1曲をのぞきほぼ完全収録のライブ音源は、ツアー最終日ということもあってバンド自体も一丸にまとまっている印象があります。渡辺香津美抜きの音源しか聴いたことがない人にとって、テクノとフュージョンギターの組み合わせはピンとこないかもしれません。しかし、実にこれが妙にマッチしているのです。一見すると無機質な電子音と香津美さんのエモーショナルなギターが渾然一体となってかなりの迫力ではないかと。また、細野さんが「Tong Poo」でキーボードベースではなく普通のベースを弾いていますが、とんでもないグルーヴ感を醸し出しているあたりにも注目です。

ちなみにこのCDはメンバーの写真を掲載すると使用料などで費用がかかってしまうので、このようなデザインになってしまったとか。オーバーダブなども行われていないようで、「生のYMO」に触れることができます。ミスタッチなども目立つわけですが、逆にかえって人間っぽい味わいが感じられます。このボトムラインの音源はFM放送で流れましたが、その録音テープがかなりの人気を呼んだことは言うまでもありません。

●Musicians
坂本龍一 / keyboard,voice
高橋幸宏 / drums,vocal
細野晴臣 / keyboard,bass
矢野顕子 / keyboard,piano,vocal
渡辺香津美 / guitar

●Numbers
DISC 1[London,Paris Side]
1.  Castaria +
2.  Rydeen +
3.  Behind The Mask +
4.  Cosmic Surfin' *
5.  Radio Junk ++
6.  Insomnia ++
7.  La Femme Chinoise ++
8.  Technopolis ++
9.  Solid State Survivor *
10. Day Tripper *
11. Firecracker *
12. The End Of Asia *
13. 1000 Knives *
14. Tong Poo +

+  London,Venue 10/16/1979
++ Theatre Le Palace 10/18/1979
*  London,Venue 10/24/1979

DISC 2[New York Side]
1.  Rydeen
2.  Behind The Mask
3.  Radio Junk
4.  Solid State Survivor
5.  Kang Tong Boy
6.  Tong Poo
7.  Day Tripper
8.  1000 Knives
9.  Rocket Facotry
10. La Femme Chinoise
11. Firecracker
12. Cosmic Surfin'
13. The End Of Asia

New York Boottom Line 11/06/1979
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2010年10月11日 (月)

マクラフリン&ジャコパス&ウィリアムスのガチンコライブ「Trio Of Doom」

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Musicians●John McLaughlin,Jaco Pastorius,Tony Williams
Title●Trio Of Doom(1979年)
■Amazonより購入

1979年3月、キューバで行われた「ハヴァナ・セッション」には多くのミュージシャンが参加しましたが、ジャズロックファンにとっての最大の目玉といえば何と言ってもこの「Trio Of Doom」でしょう。メンバーはJohn McLaughlin,Jaco Pastorius,Tony Williamsという当時としても考えられない豪華メンバーです。この3人を共演させたプロデューサーの剛腕ぶりには敬服いたします。

さて何と言っても一番の注目はこの3人による壮絶なバトルです。トラック1~5が3月3日のライブ音源で、トラック6以降は3月8日にNYのCBSスタジオで改めて収録された音源という構成ですが、これまでリリースされてこなかったライブ音源がとにかく凄まじい迫力です。やや前のめり気味にパストリアスが暴走し、それを叱りつけるかのごとくマクラフリンが挑発し、ウィリアムスがパストリアスに対する怒りのバスドラを強打しまくります。興奮のあまりはしゃぎ回るパストリアスの暴走は止まることを知らず、対するベテラン2人が「この若造めが!」とばかり持てるテクニックを余すところなくブチまけてくれます。これはライブとかセッションとかそんなヤワなものではなく、完全な喧嘩です。ライブという不可測な状況のなか、異能の3人が繰り広げる制限時間なしの公開格闘技です。実際、当日は両巨頭との共演に興奮したジャコパスがおふざけに走っていたところ、ウィリアムスが一喝したというエピソードがあるほどです。しかし、当事者2人とも鬼籍に入ってしまった今、真相はわかりません、

このハヴァナ・セッションの音源は2枚のCDに分かれてすでにリリースされていましたが、驚くことに当時の音源は実は3月8日にレコーディングされたスタジオテイクだったという事実。幸運にも(?)私は既出音源は聴いていないのですが、多くの人は「これはライブ!」と思い込んで聴いていたのではないでしょうか。とんでもないだまし討ちですね。

トラック6以降は前述のようにライブ5日後に収録されたものですが、明らかにテンションが下がっています。これは異常な緊張状態のなかで生まれた音と、後になって弛緩した雰囲気の中で作られる音との差であることは言うまでもありまません。ですから、トラック5までの貴重なライブ音源はありがたく拝聴し、ほかはご愛敬程度に受け流すのがこのアルバムの正しい聴き方だと思います。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Tony Williams / drums
Jaco Pastrius / bass

●Numbers
1.   Drum Improvisation
2.   Dark Prince
3.   Continuum
4.   Para Oriente
5.   Are You The One,Are You The One?
6.   Dark Prince [studio]
7.   Continuum [studio]
8.   Para Oriente-Attemate Take 1 [studio]
9.   Para Oriente-Attemate Take 2 [studio]
10. Para Oriente [studio]
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2010年10月10日 (日)

英国フリージャズの夜明け。John Surmanの発掘セッション音源

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Musician●John Surman(baritone sax)
Title●Way Back When(1969年)
■ディスクユニオンで購入

イギリスフリージャズ界の雄、John Surman(ジョン・サーマン)は1960年代後半から1970年代前半にかけておびただしい数のセッション活動を行っていますが、この作品はお蔵入りになっていた貴重音源です。収録は1969年10月ごろ。あの名盤「The Trio」結成前の友人達との「お別れセッション」の模様を収めたものです。メンバーはJohn Taylor(e-piano)、Brian Odgers(bass)、John Marshall(drums)、Mike Osborne(alto sax)。

この収録と前後してSurmanによるリーダー作「How Many Cloud Can You See?」やJohn McLaughlin名義の「Extrapolation」「Where Fortune Smiles」の冒頭で聴かれた例のテーマが高らかに鳴りわたるこのアルバムは、とてもセッションとは思えないほどの出来ばえです(「Where Fortune Smiles」での曲タイトルは「Glancing Backwards」)。前3作との比較では音質も格段に良好で驚くばかり。決め手は強力リズム隊が実に丁寧でキメ細かい仕事をしてくれている点で、ジョン・サーマンは自由自在に躍動しています。McLaughlinとの緊張感あふれるセッションも魅力的ですが、こちらはよりジャズ的ですね。また、John Taylorのエレピが絶妙なスパイスとして利いていることも見逃せません。

●Musicians
John Surman / baritone & soprano sax
John Marshall / drums
Mike Osborne / alto sax
Brian Odgers / bass
John Taylor / electric piano

●Numbers
1.  Way Back When pt1
2.  Way Back When pt2
3.  Way Back When pt3
4.  Way Back When pt4
5.  Owl Shead
6.  Out And About
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2010年10月 9日 (土)

日本にもいた!Greg Howe系テクニカル集団TRI-Offensive

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Musician●TRI-Offensive
Title●TRI-Offensive(2009年)
■Amazonより購入

日本のジャズロックシーンも丹念に探していると結構な逸材を発見することがあります。Amazonレビューでやたらと高い評価を集めている「TRI-Offensive」もそのひとつではないでしょうか。元KENSOのドラム奏者、小森啓資とPRISMのベース奏者、岡田治郎という鉄壁をほこるリズム隊が、若きギタリスト、菰口雄矢を迎えて結成したガチンコ系ジャズロックバンドです。2009年リリース。と、もっともらしく書いておりますが、不勉強で3人とも存じ上げません。恥ずかしながら自分のために3人のデータを整理してみましょう。

小森啓資は1964年生まれのベテランミュージシャンで、難波弘之、和田アキラ、山本恭司などの国内トップはもちろん、Steve VaiやFrank Gambaleなどの海外トップミュージシャンとも共演歴がある実力派ドラム奏者です。ベースの岡田治郎は1967年生まれ。高橋真利子のサポートメンバーから和田アキラ率いるPRISMへ加入しています。Fragileの矢堀孝一などとの共演歴があるこちらもベテラン。

さて、このトリオの若き要といえるギターの菰口雄矢は何と1988年生まれ。このアルバムがレコーディングされた当時は何と21歳という「若き彗星」です。菰口雄矢が18歳ごろに岡田と知り合いますが、11歳からギターを始め14歳からジャズギターを習い始めたという経歴をもっています。影響を受けたギタリストとしてBrett GarsedやScott Hendersonの名前をあげています。

さて、そんな予備知識を仕入れながらアルバムを聴いてみると、期待に違わぬガチンコ系ジャズロックサウンドが展開されています。ちょうど、グレッグ・ハウ、デニス・チェンバース、ヴィクター・ウッテンによるガチンコトリオに近い感じです。若き天才・菰口雄矢はGreg Howeを元気にした感じのプレイが身上のようで、たまにScott HendersonやAllan Holdsworthに近い流麗なレガート奏法を披露します。早弾きはいまをときめくGathrie Governを思わせるものを感じます。要は一線級のギタリストが備えている資質を若くして身につけてしまっているわけで、末恐ろしいとはまさに彼のことですね。

興味の的は菰口雄矢自身がこれからどんな感じで成長していくかですが、単なる早熟で終わるのか、とんでもない成長力を見せつけるのか、こればかりはわかりませんが興味津々です。あえて注文をつけると単なるGreg Howeフォロワーではなく彼なりのオリジナリティが感じられると、まさに鬼に金棒ではないでしょうか。ジャケットに映る「かんばせ」もなかなかのビジュアルですし、彼の今後から目が離せません。

余談ですが3曲目「Neo Universe」はダービー馬と同名ですが、無関係かと思われます。

●Musicians
小森啓資 / drums
岡田治郎 / bass
菰口雄矢 / guitar

●Numbers
1.  Fate Of The Azure
2.  MIRV
3.  Neo Universe
4.  Revelation In A Dream
5.  Parallel Ray
6.  Particle In The Planet
7.  Another One
8.  Invisible Ray
9.  War Of Nerves
10. Microburst
11. Holy Calling
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2010年10月 8日 (金)

北欧の鍵盤楽器奏者、Lalle Larssonの最新ソロ

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Musician●Lalle Larsson(piano,keyboards)
Title●Weaveworld(2010年)
■メーカーサイトより購入

スウェーデン出身のフュージョン系キーボード奏者、Lalle Larsson(ラレ・ラーション)による最新作です。例によって日本での知名度は低いようですが、オランダ出身のハイテクギタリスト、Richard Hallebeek(リチャード・ハレビーク)によるソロプロジェクトに参加したりとフュージョン系では割とよく目にする人です。今回も友人Richard Hallebeekの協力を得ています。

曲はというとかなり壮大かつ荘厳なイメージの曲が目立ちますが、このLalle Larssonという人はクラシックの素養があるとみました。クレジットはLalle Larsson本人名義ですが、バッハ、ショパンからの強い影響力を随所に感じさせます。さらには、John Coltrane、Yngwie Malmsteen、Shawn Lane、Eric Dolphyなどからインスパイアを受けて制作に臨んだとか。たとえばオープニング「Marionette」は完全にバッハを思わせるテーマを主体にしながら途中にジャズ的なアレンジを施しつつ、再度主旋律に戻るというダイナミックな構成。Lalle Larssonはエレピと生ピアノを巧みに使い分け、高らかに歌いあげるRichard Hallebeekとの凄まじいバトルを繰り広げています。2人を支えるリズム隊も強力の一語!

●Musicians
Lalle Larsson / piano,keyboars
Richard Hallebeek / guitar
Stefan Rosvist / guitar
Jonas Reingold / bass
Michael Walle Wahlgen / drums,percussions

●Numbers
1.  Marionette
2.  Dance Of The Dead
3.  Newborn Awakening
4.  Adagio
5.  Weaveworld
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2010年10月 7日 (木)

David Fiuczynskiの出世作「Lunar Crush」

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Musician●David Fiuczynski(guitar)
Title●Lunar Crush(1994年)
■ディスクユニオンで購入

NYの先鋭的なジャズシーンをリードし、最近では上原ひろみとの共演でも知られる変態ギタリストの第一人者David Fiuczynski(デヴィット・フュージンスキー。しかし、この人のファミリーネームって一向に定まりませんね)とJohn Medeski(ジョン・モデスキー。キーボード)による双頭ユニットが1994年年に発表した作品です。フュージンスキーの名前はJohn Zoneのアルバムなどで1990年前半から見られましたが、本格的にフロントに出てきたのはこの作品が最初のはずです。したがって勝手に「出世作」と銘打ってみました。

さて、たとえばFiuczynskiが展開している「Screaming Headless Torsos」などを聴いたことがある方ならご承知のように、ここで繰り広げられている演奏をジャズ、ロック、パンクなどの固定的なカテゴリーで論じることはあまり意味をもたないと思います。非常に幅広い活動領域と、固定的な観念を見事に裏切る豪放磊落ぶりと変態サウンドは、驚くことにすでに完成の域に達しています。変態性という点では、Bill FriselやAllan Holdsworthと比較する人がいますが、2人がある一定の音楽カテゴリーの中での変態性を追究しているのに対して、Fiuczynskiはまずジャンルを破壊することからスタートします。そのうえで暴力性と変態性を忍ばせつつ自分なりのジャンルを構築するというスタイルなので、比較すること自体がまるで無意味なのです。

こうして作られたFiuczynskiの奇天烈極まる音楽は、後に「Punk Jazz」や「Screaming Headless Torsos」で昇華するわけですが、すでに変態性が完成形にまで昇華されていること自体が驚きです。

●Musicians
David Fiucynski / guitar
John Medeski / keyboards
Fima Ephron / bass
Jojo Mayer / drums
Gene Lake / drums
Michelle Johnson / vocals
Gloria Tropp / vocals

●Numbers
1.  Vog
2.  Pacifica
3.  Gloria Ascending
4.  Pineapple
5.  Quest
6.  Freelance Brown
7.  Slow Blues For Fuzy's Mama
8.  Lillies That Fester...
9.  122 St. Marks
10. Fima's Sunrise
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2010年10月 6日 (水)

オーストラリア出身の凄腕James Muller「KABOOM」

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Musician●James Muller(guitar)
Title●Kaboom(2005年)
■Amazon USAより購入

オーストラリアを代表するジャズギタリストJames Mullerによる現時点での最新アルバムです。2005年発売。James Mullerの日本での知名度は低いようですが、Allan Holdsworthバンドで活躍するドラム奏者Chad Wackerman(チャド・ワッカーマン)のソロアルバムに参加しているので、プレイを聴かれた人もおられるのではと思います。また、同じ豪州を代表する鍵盤楽器奏者Sean Wayland(ショーン・ウェイランド)との共演作もかなりあります。

このアルバムJames Muller名義としては確か4作目にあたります。これまで同国人でメンバーを固めることが多かったのですが、今回はMatt Penman(bass)、Bill Stewart(drums)という米国産の強力リズム隊を迎える形で、NYでレコーディングを行っています。元来、明快で歯切れのよいプレイが身上のMullerですが、米国メンバーに力を吹き込まれたかのごとくタイトでストレートアヘッドなプレイを十二分に聴かせてくれています。

Mullerはかなり大まかな分類をするとPetheny系のコンテンポラリー系ジャズプレイヤーですが、諸先輩方と比べるとかなりロック寄り。ため息が出るほどのスピード感と超絶技巧の数々は、多くのギターファンを納得させるほどの切れ味をもっています。6曲目「Chick Corea」という曲ですが、もちろんCorea本人は参加していませんが、実にリリカルかつスピーディーなギタープレイは、この作品の中でも一番の聴きどころです。ラストの定番「All The Things You Are」での斬新な解釈も実に美しく、かつスリリングです。Methenyなどのコンテンポラリー系ギター好きの方、必聴!

●Musicians
James Muller / guitar
Matt Penman / bass
Bill Stewart / drums

●Numbers
1.  Honeycombos
2.  Kaboom
3.  Stacked
4.  D Blues
5.  Eindhoven
6.  Chick Corea
7.  Marcello
8.  All The Things You Are
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2010年10月 5日 (火)

第2期蠍団の傑作ライブ、TOKYO TAPES

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Musician●Scorpions
Title●Tokyo Tapes(1978年)
■ディスクユニオンで購入

すでに60年代半ばから活動を開始し、つい最近になって活動停止を表明したドイツを代表するHMバンドの雄「Scorpions」。人によってさまざまな意見があることは承知のうえで言いますと、個人的には第2期、つまりギターにUlrich Jon Roth(ウルリッヒ・ジョン・ロート)が在籍していた頃が一番充実していたのではないかと思います。そんな彼らが初来日を果たしたのが1978年。中野サンプラザでのライブ音源がこのアルバムです。メンバーはご存じKlaus Meine(ボーカル)、Rudolf Schenker(ギター)、Ulrich Jon Roth(リードギター、ボーカル)、Francis Buchholz(ベース)、Herman Rarebell(ドラム)という豪華メンバー。

第2期蠍団は合計4枚のアルバムをリリースしていますが、なかでも最高傑作とも言える「Virgin Killer」の大成功をひっさげての来日になりますが、当時の日本は大物アーティストの来日が相次いでいました。KISS、Rainbow、Aerosmithなどが続々と日本公演を行い多くの青少年たちを熱狂させましたが、同時期にいわゆるグルーピー、追っかけと呼ばれる人が大量発生し、各公演地に「帯同」して追いかける人たちのことが話題になった記憶があります。また、Rainbowの来日では札幌公演においてステージに向かって観客が殺到し、観客の1人が不幸にして圧死してしまうという痛ましい事故も起きました。

そんな状況のなか来日を果たした蠍団ですが、いわゆるHR&HMの王道を歩んでいたディープ・パープルやレッド・ツェッペリンに対して、キャッチーでメロディアスな楽曲とUlrich Jon Rothのテクニカルなプレイが女子ばかりでなく、ギター小僧までをも巻き込んで異常人気を呈していたように思います。Klaus MeineのハイトーンボーカルとUlrich Jon Rothのジミヘンばりの神がかったギターソロが何と言ってもバンドの2枚看板で、ほかのメンバーの存在感はどうして希薄なものに。本当はバンド創設者であり、Michael Schenkerの兄であるRudolf Schenkerはもう少し目立ってもいいものなのに、と今になって思います。

さて、当欄の注目はUlrich Jon Rothのギターがスタジオと比較してライブではどんな感じになるのだろうという点。しかして、ウリ仙人(Ulrich Jon Rothの風貌からいつからかファンの間ではこう呼ばれています)はスタジオ盤でのプレイを遙かに上回るド迫力で我々を驚かせてくれます。感心するのはウリ仙人は、どんな状況でも実に丁寧なプレイをすることで、一切の手抜きをせずに全力を出し切るあたりにドイツ職人、マイスター制度の心意気を感じさせます。有名になって金持ちになった途端に手抜きプレーになった北欧出身の某ギタリストは見習ってほしいですね。

ウリ仙人のギターはジミヘンからの強い影響がありありと表れていますが、インプロヴィゼーション主体で考える彼にとってバンドという枠組みは窮屈だったのでしょう。その後、ウリ仙人はバンドを去ることになります。ウリ仙人のジミヘン信者ぶりは徹底していて、バンド脱退後にジミヘンの最後の恋人でありドイツ人画家のモニカ・ダンネマンと結婚してしまういう究極のジミヘンフォロワーぶりを発揮します。いちおう仙人がダンネマンに接近したというのが定説ですが、ダンネマンが仙人をそそのかしてバンドを辞めさせたという説も。ダンネマンは数年後に自らの命を絶ってしまったので真偽のほどはわかりません。

そんなわけで、彼らの魅力が十分すぎるほど伝わってくるライブ盤ですが、CD2の「Kojo No Tsuki」とはご存じ滝簾太郎の「荒城の月」。Klaus Meineがたどたどしい日本語で歌っていますが、観客も戸惑いながらも一緒に歌うという実に牧歌的な様子を伺い知ることができます。まあ、ご愛敬ということで。残念なことに日本盤ではCDの容量の関係で、アナログ盤では収録されていたウリ仙人による「Polar Nights」がカットされていますが、「Taken By Force」のリマスター盤にボーナストラックとして収録されています。興味のある方はこちらもチェックしてみてください。輸入盤では全セットリストが収録されています。

●Musicians
Klaus Meine / vocal
Uli Jon Roth / lead guiitar,vocal
Rudolf Schenker / rhythm guitar
Francis Buchholz / bass
Herman Rarebell / drums

●Numbers
[CD 1]
1.  All Night Long
2.  Pictured Life
3.  Backstage Queen
4.  Polar Nights
5.  In Trance
6.  We'll Burn The Sky
7.  Suspender Love
8.  In Search Of The Peace Of Mind
9.  Fly To The Rainbow

[CD 2]
1.  He's A Woman ,She's A Man
2.  Speedy's Coming
3.  Top Of The Hill
4.  Hound Dog
5.  Long Tall Sally
6.  Steamrock Fever
7.  Dark Lady
8.  Kojo No Tsuki
9.  Robot Man
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2010年10月 4日 (月)

香港出身、米国育ちのJAZZギタリスト、Eugene Pao

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Musician●Eugene Pao(guitar)
Title●This Window(1999年)
■Yahoo! オークションで購入

アジアトップクラスの実力派ギタリスト、Eugene Pao(ユージン・パオ)による2ndリーダーアルバムです。例によって日本での知名度はそれほど高いとは言えませんが、経歴や参加ミュージシャンの豪華さをみると大変な実力者であることがわかります。

ライナーを頼りに簡単なプロフィール紹介を。Paoは香港生まれでシアトル育ち。生年は1959年ですから、世代的にはポール・ボーレンベックやスタンリー・ジョーダン、フランク・ギャンバレなどと同じくらいですね。21歳にアメリカでプロデビューを果たしますが、その後香港に帰り、当地ではポップミュージックや映画音楽の仕事をしていたとか。また、大物ミュージシャンのバックを務めることも多く、サイモン&ガーファンクルやマイケル・ブレッカー、そして渡辺香津美との共演で来日も果たしています。

さりげなく豪華なキャリアですが、この作品を聴くかぎりは割と正当派のコンテンポラリー系ギタリストとみました。パット・メセニー、ジョン・アバークロンビー、ジョン・スコフィールドなどの諸先輩方からよき伝統を受け継ぎ、現代風にアレンジしたスタイルですね。たとえれば、ポール・ボーレンベックをワイルドに、でもウォルフガング・ムースピールほど変態にはならないという絶妙なライン。でも、ジュリアン・コリエルよりはジャズっぽいというイメージです。

また、参加ミュージシャンの豪華さにも目を見張られます。ドラムに重鎮・ジャク・デジョネット、ベースにマーク・ジョンソンというこれ以上望めないベテランを据えていることからもPaoに対する高い期待値を感じさせます。ピアノは若手実力派、ジョーイ・カルデラッツォ。今回ベースはマーク・ジョンソンですが、ソロデビュー作ではチック・コリアとの共演で知られるジョン・パティトゥッチが参加した模様です。

肝心のプレイぶりですが、先に触れたように典型的なコンテンポラリー系の系譜を汲むものですが、時にロックタッチの激しいソロを聴かせるあたりは、「この人、アピールの仕方がわかっているな」と感じさせます。同じアジア系のギタリストとしては先輩格のNguyen Le(グエン・レ)を思い浮かべますが、Nguyen Leが自らの音楽的な出自であるベトナム音楽にこだわっているのに対し、Paoさんは現時点ではあまり民族的な要素に興味がないようです。音楽的にもプレイ的にも完全にアメリカナイズされているようです。その後のPaoさんの活動内容に関しては不明ですが、アジア音楽との融合を図っても面白いのではないかと思います。

●Musicians
Eugene Pao / guitars
Jack DeJohnette / drums
Marc Johnson / bass
Joey Calderazzo / piano,fender rhodes

●Numbers
1.  Off Side
2.  Free Spirits
3.  E Preciso Perdoar
4.  Milestones
5.  This Window
6.  Beautiful LOvee
7.  Are You Sure,You Are Sure
8.  Round Trip
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2010年10月 3日 (日)

マクラフリンによるマハヴィシュヌ前夜のジャムセッション「Devotion」

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Devotion(1969年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズロックギターの帝王、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)がジミ・ヘンドリックスのリズム隊とセッション活動を行った時の音源です。この時期のマクラフリンは英国フリージャズの新星John Surmanや「地下鉄ドラマー」Tony Williams、そして帝王Miles Davisなどとの共演で多忙を極めていますが、一方でMiles Davisの手引きでJimi Hendrix本人やその周辺のロックミュージシャンとのセッション活動を同時並行的に行っていました。この音源はそのセッション活動の一環の中で録音されたのだと推測されます。参加メンバーは、Buddy Miles(ドラムス)、Billy Rich(ベース)、Larry Young(オルガン)という構成。Buddy Milesはジミヘン後期の黒人ユニット「バンド・オブ・ジプシーズ」に在籍していましたね。Larry YoungはTony Williamsと組んだ「Emergency!」で共演したオルガン奏者です。

サウンドとしてはEmergency!やTony Williams Lifetimeあたりに共通するハードでフリーフォームを中心とした典型的なジャズロック。決して快活で明快とは言えないダーク&カオスな音世界が延々と続きます。マクラフリンはジミヘンを若干意識したのでしょうか。珍しくワウワウを多用していますが、これがLarry Youngが生み出す陰鬱なオルガンサウンドとBuddy Milesの重低音と妙にマッチしてさらに怪しげな雰囲気を生み出すことに成功しています。

どうやらこの音源はマクラフリン本人に断りもなくリリースされたようです。確かに公表を前提としていないセッション音源ですから、作品全体の完成度をこのアルバムに求めることは無理があります。しかし、のっけから炸裂するハイテンション極まるインタープレイの連続はそんな些細な事情などのすべてを吹き飛ばす破壊力を秘めています。間違いなく60年代後半から70年代初頭にかけて巻き起こったジャズロックブームの熱いエナジーが感じられるはずです。以前ご報告したジミヘンとマクラフリンとのセッション音源とともに、当時の英国ジャズロックを知るうえで資料的な価値を含めてお勧めしたい名盤です。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Buddy Miles / drums
Billy Rich / bass
Larry Young / organ

●Numbers
1.  Marbles
2.  Siren
3.  Don't Let The Dragon
4.  Purpose Of When
5.  Dragon Song
6.  Devotion
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2010年10月 2日 (土)

イタリアンJAZZの夕べ Paolo Fresu @ Kind Of Porgy & Bess

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Musician●Paolo Fresu(trumpet)
Title●Kind Of Porgy & Bess(2002年)
■Amazon UKより購入

イタリアのコンテンポラリー系ジャズにおけるトランペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)による2002年の作品です。Paolo Fresuは日本での知名度があまり高くないように思われますが、欧州コンテンポラリー系ジャズシーンではかなりの有名人で、多くの作品でセッション活動を展開しています。その幅広い人脈は参加メンバーの多彩ぶりからも推測することができます。ギターにベトナム系フランス人Nguyen Le、鍵盤楽器にAntonello Salis、ベースにFurio Di Castri、ドラムにRoberto Gatto、アルジェリア系のボーカルDhaffer Yousseffの名前が。つまりイタリアとフランス、アルジェリアの多国籍軍構成です。

アルバムタイトルを見るとガーシュインのカバーであり、オーソドックスなジャズカバーを連想しますが、凡庸に陥らないのがPaolo Fresuの凄いところ。スタンダードナンバーに対して斬新なアレンジを施すことによって、新しい生命を吹き込んでいます。Paolo Fresuのアレンジ力もさることながら、無国籍系ギターの第一人者Nguyen Leの存在も大きいですね。一見するとジャズギターを装いながらも、ロック、アジア系音楽のテイストを織り交ぜたNguyen Leのギターが加わると、楽曲の雰囲気もガラリと変わってしまいます。この作品では目立ちませんが、Dhaffer Yousseffのイスラム風ヴォイスも絶妙なスパイスとして効いています。Paolo Fresu、Nguyen Le、Dhaffer Yousseffの3人はそれぞれのソロアルバムで互いに共演し合っている間柄なので、アドリブパートに移行しても、実に息が合ったプレイを聴かせてくれます。

というわけで、タイトルから連想してお洒落なヨーロピアンジャズを期待する人はちょっと面食らうかもしれませんね。いまのコンテンポラリー系ジャズの一つのあり方として、興味のある方にはぜひお勧めしたい作品です。Paolpo FresuとNguyen Leの共演作ですと、1999年リリースの「Matamorfosi」もお勧めです!

●Musicians
Paolo Fresu / trumpet
Nguyen Le / guitar
Dhaffer Yousseff / voice
Antonello Salis / piano
Furio Di Castri / bass
Roberto Gatto / drums

●Numbers
1.   The Buzzard Song
2.   Fisherman,Strawberry And Devil Crab
3.   Gone,Gone,Gone
4.   My Man's Gone Now
5.   I Loves You,Porgy
6.   What You Want Wid Bess?
7.   Bess,You Is My Woman Now
8.   Summertime
9.   Oh,Doctor Jesus
10. Clara,Clara,Don't You Be DownHearted
11. Oh,Bess,Oh Where's My Bess
12. LO Bess Goin' To The Picnic?
13. I Got Plenty O' Nuttin
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2010年10月 1日 (金)

奇天烈ギタリストFUZEによるアヴァンギャルドファンクユニット「Screaming Headless Torsos」第1弾

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Musician●Screaming Headless Torsos
Title●Screaming Headless Torsos(1995年)
■ディスクユニオンで購入

最近では「上原ひろみ」との共演でも知られる変態ギタリストの旗手、David FUZE Fiuczynski(デヴィッド・フュージンスキー)が1995年に結成した「Screaming Hedless Torsos」プロジェクトの記念すべきファースト。それまでフュージンスキーは一部の好事家の間でまさに知る人ぞ知るという存在でしたが、このアルバムによって一定の芸風を築き上げたのではないでしょうか。メンバーはJojo Mayer(ドラム)、Daniel Sadownick(パーカッション)、Fima Ephron(ベース)に加えて驚異のヨーデルボーカルの使い手でこのアルバムを決定的に特徴づけているDean Bowman。

「一介の変態系ギタリストの一人」に過ぎなかったフュージンスキーが、ファンク色一杯の強力なリズム隊とヨーデルボーカルを手に入れることによって、無敵とも思える独自の世界観を構築しています。どの曲をとっても素晴らしい奇天烈ぶりですが、個人的には8曲目の「Smile On A Wave」でトドメを刺されました。言うまでもなくあの帝王マイルスの名曲「Jack Johnson」を独自の解釈によって変態ファンクに仕立てただけでなく、Deanのヨーデルとフュージンスキーのによる目にも止まらない高速ユニゾンは、いま聴いても鳥肌が立ってきます。フュージンスキーは奇天烈極まりないギターソロで知られますが、この曲で聴くことができる驚異のカッティングにも注目です。

そんなわけで(?)とても万人にお勧めできる代物ではありませんし、音楽に美しさや安らぎのようなものを求める人に対してはまるで真逆の作品であることは自信をもって断言できます。もっともフュージンスキーを密かに追いかけてきたファンにとっては、会心の一撃であり、またNYの先鋭的なジャズシーンにおいては一筋の道をつけたという意味で重要な作品です。ところでボーカルのDean Bowmanのクレジットにある「vox populi」ってどういう意味なのでしょうね。

●Musicians
David FUZE Fiuczynski / guitar
Jojo Mayer / drums
Daniel Sadownick / percussion
Fima Ephron / bass
Dean Bowman / vox populi

●Numbers
1.  Vinnie
2.  Free Man
3.  Cult Of The Eternal Sun
4.  Word To Herb
5.  Blue In Green
6.  Chernobyl Firebirds
7.  Graffiti Cemetary
8.  Smile In A Wave (Theme From Jack Johnson)
9.  Wedding In Sarajevo
10. Hope
11. Kermes Macabre
12. Another Sucka
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