日本にもいた!Greg Howe系テクニカル集団TRI-Offensive
Musician●TRI-Offensive
Title●TRI-Offensive(2009年)
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日本のジャズロックシーンも丹念に探していると結構な逸材を発見することがあります。Amazonレビューでやたらと高い評価を集めている「TRI-Offensive」もそのひとつではないでしょうか。元KENSOのドラム奏者、小森啓資とPRISMのベース奏者、岡田治郎という鉄壁をほこるリズム隊が、若きギタリスト、菰口雄矢を迎えて結成したガチンコ系ジャズロックバンドです。2009年リリース。と、もっともらしく書いておりますが、不勉強で3人とも存じ上げません。恥ずかしながら自分のために3人のデータを整理してみましょう。
小森啓資は1964年生まれのベテランミュージシャンで、難波弘之、和田アキラ、山本恭司などの国内トップはもちろん、Steve VaiやFrank Gambaleなどの海外トップミュージシャンとも共演歴がある実力派ドラム奏者です。ベースの岡田治郎は1967年生まれ。高橋真利子のサポートメンバーから和田アキラ率いるPRISMへ加入しています。Fragileの矢堀孝一などとの共演歴があるこちらもベテラン。
さて、このトリオの若き要といえるギターの菰口雄矢は何と1988年生まれ。このアルバムがレコーディングされた当時は何と21歳という「若き彗星」です。菰口雄矢が18歳ごろに岡田と知り合いますが、11歳からギターを始め14歳からジャズギターを習い始めたという経歴をもっています。影響を受けたギタリストとしてBrett GarsedやScott Hendersonの名前をあげています。
さて、そんな予備知識を仕入れながらアルバムを聴いてみると、期待に違わぬガチンコ系ジャズロックサウンドが展開されています。ちょうど、グレッグ・ハウ、デニス・チェンバース、ヴィクター・ウッテンによるガチンコトリオに近い感じです。若き天才・菰口雄矢はGreg Howeを元気にした感じのプレイが身上のようで、たまにScott HendersonやAllan Holdsworthに近い流麗なレガート奏法を披露します。早弾きはいまをときめくGathrie Governを思わせるものを感じます。要は一線級のギタリストが備えている資質を若くして身につけてしまっているわけで、末恐ろしいとはまさに彼のことですね。
興味の的は菰口雄矢自身がこれからどんな感じで成長していくかですが、単なる早熟で終わるのか、とんでもない成長力を見せつけるのか、こればかりはわかりませんが興味津々です。あえて注文をつけると単なるGreg Howeフォロワーではなく彼なりのオリジナリティが感じられると、まさに鬼に金棒ではないでしょうか。ジャケットに映る「かんばせ」もなかなかのビジュアルですし、彼の今後から目が離せません。
余談ですが3曲目「Neo Universe」はダービー馬と同名ですが、無関係かと思われます。
●Musicians
小森啓資 / drums
岡田治郎 / bass
菰口雄矢 / guitar
●Numbers
1. Fate Of The Azure
2. MIRV
3. Neo Universe
4. Revelation In A Dream
5. Parallel Ray
6. Particle In The Planet
7. Another One
8. Invisible Ray
9. War Of Nerves
10. Microburst
11. Holy Calling
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