David Fiuczynskiの出世作「Lunar Crush」
Musician●David Fiuczynski(guitar)
Title●Lunar Crush(1994年)
■ディスクユニオンで購入
NYの先鋭的なジャズシーンをリードし、最近では上原ひろみとの共演でも知られる変態ギタリストの第一人者David Fiuczynski(デヴィット・フュージンスキー。しかし、この人のファミリーネームって一向に定まりませんね)とJohn Medeski(ジョン・モデスキー。キーボード)による双頭ユニットが1994年年に発表した作品です。フュージンスキーの名前はJohn Zoneのアルバムなどで1990年前半から見られましたが、本格的にフロントに出てきたのはこの作品が最初のはずです。したがって勝手に「出世作」と銘打ってみました。
さて、たとえばFiuczynskiが展開している「Screaming Headless Torsos」などを聴いたことがある方ならご承知のように、ここで繰り広げられている演奏をジャズ、ロック、パンクなどの固定的なカテゴリーで論じることはあまり意味をもたないと思います。非常に幅広い活動領域と、固定的な観念を見事に裏切る豪放磊落ぶりと変態サウンドは、驚くことにすでに完成の域に達しています。変態性という点では、Bill FriselやAllan Holdsworthと比較する人がいますが、2人がある一定の音楽カテゴリーの中での変態性を追究しているのに対して、Fiuczynskiはまずジャンルを破壊することからスタートします。そのうえで暴力性と変態性を忍ばせつつ自分なりのジャンルを構築するというスタイルなので、比較すること自体がまるで無意味なのです。
こうして作られたFiuczynskiの奇天烈極まる音楽は、後に「Punk Jazz」や「Screaming Headless Torsos」で昇華するわけですが、すでに変態性が完成形にまで昇華されていること自体が驚きです。
●Musicians
David Fiucynski / guitar
John Medeski / keyboards
Fima Ephron / bass
Jojo Mayer / drums
Gene Lake / drums
Michelle Johnson / vocals
Gloria Tropp / vocals
●Numbers
1. Vog
2. Pacifica
3. Gloria Ascending
4. Pineapple
5. Quest
6. Freelance Brown
7. Slow Blues For Fuzy's Mama
8. Lillies That Fester...
9. 122 St. Marks
10. Fima's Sunrise
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