YMO在籍時の渡辺香津美の貴重映像「Trans Atlantic Tour」
Musician●Yellow Magic Orchestra
Title●Trans Atlantic Tour(1979年)
■ディスクユニオンで購入
1970年代後半から80年代前半にかけて一斉を風靡したテクノポップユニット「Yellow Magic Orchestra」。リアルタイムな印象としてはその音楽性云々というよりも、日本人アーティストの実力が海外でも十分に通用することが証明されたという意味で大変驚いた記憶が鮮明です。なにせ、YMO登場以前に海外で通用した唯一のアーティストといえば坂本九ですから。
私が言うまでもなく国内で十分な手応えを得た彼らは1979年に大規模なワールドツアーを展開しています。この映像作品はそのツアーに帯同して収録された映像の数々です。ロンドン、パリ、ニューヨークという音楽的には「厳しい目」をもつ土地柄ばかりをセレクトしたツアーは無謀さと無限大の可能性の両方を秘めていました。結果から言ってしまえば、ツアー自体は大成功裡に終わり、彼らが一躍スターダムにのし上がる重要なステップになりました。それは映像を見れば一目瞭然です。
ギター好きの当欄としては、やはり一番の注目はギターの渡辺香津美の動く姿です。ご存じのとおり渡辺香津美は彼らのライブ盤「公的抑圧」にもサポートメンバーとして参加しましたが、レコード会社の契約上の問題から仕上がりのアルバムではせっかくの音源がすべてカットされるという不幸な出来事が起きました。つまり、そのステージ上に存在していたにも関わらず「いないもの」とされたのです。しかし、ここでの映像では渡辺氏の「動く姿」を存分に観ることができます。それだけでも、十分な価値があると言っても過言ではありません。
作品そのものは「Greek Theatre」「Theatre In Palace」「Hurrah」の3カ所でのライブ映像を中心に、ロンドン、パリ、NYでのプライベートショットをちりばめたもの。1979年当時の撮影技術を考慮しても、映像の質はお世辞にも褒められた出来ではありません。カメラアングルや安定度も不安定ですし、合間合間で挟まるソラリゼーションや反転などの映像処理も実に邪魔です。つまり、不満を言い出せばキリがないのですが、それでも渡辺香津美氏がYMOに在籍時に残した唯一の映像作品としての希少価値はすべての不満を解消してくれます。
演奏としてはツアー終盤の「Hurrah」でのテイクが秀逸の出来です。「Hurrah」の映像は単独作品としても発売され、VHFテープなら比較的容易に入手できるようです。
●Musicians
坂本龍一 / keyboard,voice
高橋幸宏 / drums,vocal
細野晴臣 / keyboard,bass
矢野顕子 / keyboard,piano,vocal
渡辺香津美 / guitar
●Numbers
[Live At Greek Theatre]
1. Behind The Mask
2. Cosmic Surfin'
3. Rydeen
4. 1000 Knives
[Live At Theatre In Palace]
1. Radio Junk
[Live At Hurrah]
1. Behind The Mask
2. Zai Kung Tong Shonen
3. Technopolis
4. Solid State Survivor
5. Day Tripper
6. Firecracker
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