ジミヘンとマクラフリンのセッション音源
Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●The Mclaughlin Sessions Record Plant.NYC 1969(1969年)
■ディスクユニオンで購入
1970年に27歳という若さで亡くなった不世出の天才ギタリスト、Jimi Hendrix。実質的にはわずか3年間という短い活動期間のなかで、オフィシャル音源としては3枚のスタジオ盤があるだけ。しかし、ご存じのように死後になって多くの「未発表音源」が発掘されて、リリースされるたびにファンの心を揺さぶってくれています。もちろん、正規盤としてリリースされても不思議ではない優れモノの音源もありますが、まあ、大体は期待はずれに終わることも少なくありません。それでも手を出してしまうのは、一種のジミヘン中毒にかかっているからにほかなりません。そんな発掘音源に加えて、ブート盤にまで手を出していたらそれこそ経済的にも大変なことになりかねません。
ジミヘンは晩年の1969年に、多くのミュージシャンとセッション活動を精力的に行っており、その多くがお蔵入り状態にありました。今回ご紹介するのは、当時売り出し中だった英国のギタリスト、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)とのセッション音源です。データによると1969年の7月はじめにニューヨークのレコードプラントスタジオで録音されています。
ロックギターの寵児と英国ジャズロック界の新進ギタリストが結びついた経緯ですが、ジミヘンと親交があったMiles Davisがおそらく橋渡しになって実現したのだと想像されます。ご存知のようにMiles Davisは自身の「In The Silent Way」「Bitches Brew」「Jack Johnson」などで若きマクラフリンを抜擢。帝王からの突然のご指名に大いにビビるマクラフリンに対して、帝王は一言だけあのダミ声で言ったそうです。
「ジミヘンのように力強くギターを弾きたまえ」
その一言が奏功したかはわかりませんが、肩の力が抜けたマクラフリンは数々の名演を繰り広げ、それをきっかけに一躍有名になっていきます。また、Miles楽団での共演をきっかけに地下鉄ドラマーTony WilliamsとのちにLifeTimeを結成した事実も押さえておかないといけません。そんな経緯もあって、「今度はジミヘン君とセッションしてくれたまえ」という帝王の指示があったことは想像に難くありません。
さて、この音源が「鑑賞に耐えうる作品」かというと、答えは即座に「否」です。発表を前提としていないセッション音源、つまり顔合わせ的な練習音源を聴いて誰が素晴らしいと言うのでしょう。繰り広げられているのは長閑とも思えるセッション音源ですし、作品性うんぬんを語ることは無理筋というものです。仮にJimiがMcLaughlin寄りなアプローチを聴かせてくれたり、あるいはその逆のプレイが聴かれたらそれこそ喜び勇んで書き連ねるところですが。問題は、このスーパーギタリストが同じ空間であいまみえたという事実であり、それ以上でもそれ以下でもないように思えます。
この歴史的なセッション音源を含めたボックスセットが、国別に割り当て販売されていますが、果たして購入した日本人はどのくらいいるかは不明です。
●Musicians
Jimi Hendrix / guitar
John McLaughlin / guitar
Billy Cox / bass
Mitch Mitchell / drums
Buddy Miles / drums
Larry Young / organ
Roland Robinson / bass
●Numbers
1. Livin' At Burwood
2. World Traveler
3. World Traveler(reprise)
4. My Brother's Dead
5. Tribute to Donna
6. Tarnia
7. Doin' Gern
8. You Wouldn't Understand
9. Uncommon Ground
10. Tarot Mistress
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