ソ連、いや違ったロシアのバンドにホールズワースが参加!
Musician●Gorky Park
Title●Stare(1996年)
■Gemm.comより購入
東欧圏リリースの音源を紹介します。ロシア共和国出身の「Gorky Park」(ゴーリキー・パーク)というバンドです。私世代(1960年代生まれ)からすると、ロシアというよりソビエト連邦共和国、ソ連のイメージが刷り込まれてしまっていて、未だにソ連と言ってしまいます。怖いですね、教育による刷り込みって。
出典は覚えていませんが若い頃に読んだ新聞記事では、ロックは反体制(この場合の体制はソ連共産党)の音楽であると同時に、享楽的で退廃的な西側文化である。だから、西洋のロックを公には聴くことは許されない。それでも、ロックに目覚めた若い人がゲリラ的にコンサートを開いたり、彼らの音源が地下的に流通している。官憲も彼らの摘発に乗り出していて、何度も逮捕されたロッカーもいる、などという内容だったと思います。これまた名前は覚えていませんが、ソ連の反体制ロッカーがアコースティックギターを抱えてダミ声でがなり立てる音楽を聴いたこともあります。記憶をたどると1970年代中盤の頃の話です。
確かにソ連政府が西洋文化の流入に制限を加えていたことは事実ですし、特に西側諸国からの海外放送(Voice Of Americaか現地駐留米軍対象のFENだったと思います)に対して、「ジャミング」と呼ばれる妨害電波を発信して、特定の放送からの情報をシャットアウトしていました。しかし、実際には地続きのヨーロッパですから短波放送はもちろん、夜間になれば中波(AM)放送も傍受は可能で、若者たちは存分に西洋発の「いかれた音楽」を聴いていたに違いありません。ちなみに妨害電波、ジャミングを流して異国の文化の流入を国家的に行っていたのは、アルバニア、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国が代表的なところ。アルバニアはホッジャ政権崩壊後はなくなりましたが、中国と北朝鮮は間違いなく現在でも行っているはず(違っていたらごめんなさい)。最近の「Google VS 中国政府」を見ても明らかですし、北朝鮮に至っては何をかいわんやです。
前置きが長くなりました。いまでこそ多くの西側ミュージシャンはロシアをはじめとした東欧圏でもコンサートを開いていますし、CDも普通に流通しています。ですから、少なくともヨーロッパでは東側も西側も音楽の世界では垣根はないといっていいでしょう。今回、紹介する「Gorky Park」(ゴーリキー・パーク)は当地ではそれなりのキャリアがあるようで、旧ソ連政権時の1987年に結成。このアルバムは3枚目になります。アメリカ遠征を企てたこともあるようですが、どうやら不発だったようで傷心のもと帰国して作られたのが本作品です。アメリカ時代では当時流行っていたLAメタルを志向したようですが、スラブ民族が脳天気なアメちゃんと互角に立ち回るなんて無理筋です。民族、宗教、気候、食べる物が違いすぎます。
で、なんでこのアルバムかというと、なんとギターにAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が参加しているのです。Holdsworthは時々妙な行動を起こしますが、このバンドへの参加はその最たるものでしょう。しかし、どういう経緯で知り合って、共演に至ったのでしょうか。まるでわかりませんが、何でもあり状態なら、日本のバンドでも試しにオファーしたら受けてくれるかもしれませんね。かなりの親日家であることは確かですから。Holdsworthは7曲目「Don't Make Me Stay」に満を持して登場します。プログレっぽい重厚な楽曲に、例のウネウネフレーズが妙にマッチしていてそれなりに聴かせます。この1曲のためにお金を出せるかはその人の金銭感覚によりますが、Holdsworthマニアなら少なくても「損」はないかと。
で、アルバム全体の完成度というと、メタルで行きたいのか、プログレに転向したいのかが、いまひとつ掴めず、旗色不鮮明の感が否めません。前後のアルバムを聴いていないので何とも言えませんが、過渡期的な作品なのでしょうか。
ついでに言いますと、特にメタルでは「ロシア盤」と呼ばれるものがけっこう流通しています。つまり別の国で作られたアルバムが、ロシアでコピー(レプリカ)され比較的安価(通常価格の6割くらい)で流通しているのです。元メーカーから正式なライセンスを受けているとは思いますし、品質的に劣るというわけではありません。私も数枚所有しています。しかし、なんでこんな「二重流通」がまかり通るのかは理解できません。
ところでジャケットには5人のメンバーが写っていますが、素性がわかったのが4人まで。すみません、あと1人はわかりません。
●Musicians
Alexander "Big Sahara"Minkov / vocal.bass
Alexei Belov / guitar
Alexander Lvov / drums
Jan Janenkov / guitar
Allan Holdsworth / guitar on Don't Make Me Stay
●Numbers
1. Stare
2. California Promises
3. Five Wheel Drive
4. Ego
5. Stop the World I Want to Get Off
6. Taiga
7. Don't Make Me Stay
8. Live for...
9. Scared
10.Animal Shelter
11.Ocean
ジャケット中面にはおそらく大型ショップの広告の広告が。アルバムジャケットで広告収入を得るビジネスモデルは初めて見ました。どのくらいの広告効果が期待できるかはわかりませんが、正直な話、こんなところに広告を入れるのなら、メンバー紹介くらいはきちんとしてほしいですよね。
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