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2010年8月

2010年8月31日 (火)

ジャーマン・ジャズロックの基本JAZZSICK

Dscf2223







Musician●Jazzsick
Title●same(1995年)
■Gemm.comより購入

ドイツ出身の硬派系フュージョンギタリスト、Philipp Van EndertとAlex Guniaが中心になって結成されたジャズロックユニット「JAZZSICK」による唯一の作品です。1995年リリース。いまは閉鎖されてしまったようで残念なのですが、ジャズフュージョンの名作を紹介している某サイトで存在を知って以来、10年近く捜し求めてきた私にypっての「幻の名盤」です。でも、必死で捜し求めているときは一向に見つからず、何となく眺めているとポンという感じで発見できるものなのですね。まるで、人生のようです。「押してもダメなら引いてみな」ですね。

さて、なぜこのアルバムが重要なのかというと、参加メンバーがのちにジャズフュージョン界で大活躍していたりするからです。ざっと参加メンバーを紹介すると、前述のPhilipp Van EndertとAlex Guniaというドイツ人ギタリストを中心メンバーに、Danny Gottlieb(drums)、Mike Stern(guitar)というビッグネームから、Rene Engel(drums)やStefan Rademacher(bass)、Rick Peckman(guitar)などの知る人ぞ知るというミュージシャンの名前が見られたりと、綺羅星のような豪華メンバーです。Alex Guniaは後にMat Junior(keyboard)と組んで「MATALEX」を結成し、これまた硬質な魅力が満載の傑作を残しています。

さて、肝心の音のほうですが、これまたギター好きの人間なら悶絶しそうな音の洪水です。とにかく弾きまくること、弾きまくること。そして、プレイはあくまでもハードに徹しても少しの妥協も一切許さない鉄の意志であふれています。きょうびの軟弱なフュージョンシーンに喝を何度も入れる一種の爽快さ。何事も徹底して究極を求めるジャーマン魂を十二分に感じることができます。ハード&テクニカル系フュージョン界の「裏名盤」と言っても過言ではありません。

●Musicians
Philipp Van Endert / guitar
Alex Gunia / guitar
Danny Gottlieb / drums
Mike Ster / guitar
Rene Engel / drums
Stefan Rademacher / bass
Rick Peckman / guitar
Jey-Tee Teterissa / bass
Daniel Moreno / percussions
Bob Hall / soprano sax
Bret Willmott / guitar
Katrin Birrer / percussions

●Numbers
1.  Shortline
2.  Apple's Blues
3.  Moon ,Mouuse and Bears
4.  Gimmes Never
5.  Heavy Scrapple From My Apple
6.  The Esher
7.  Capn' Crunch
8.  Kathy
9.  Sweet And Sour
Dscf2224

2010年8月30日 (月)

幻のテクニカル系ギタリストJan Cyrka最後の(?)作品

Dscf2113






Musician●Jan Cyrka(guitar)
Title●Prickly Pear(1997年)
■Gemm.comより購入

イギリス出身のテクニカル系ギタリスト、Jan Cyrka(ヤン・サーカ)による第3作目です。1997年発表。デビュー作、2作目とオールインストによる全編「泣きのフレーズ」で押し通したヤン・サーカですが、3作目にあたるこの作品では、キャロル・デッカーという女性ボーカリストやキーボード、サックスなどを取り入れて、さらに広がりのある音の世界を見せています。また曲調も従来の叙情的なネオクラ風から、レゲエなどを取り入れてさらに多彩な内容になっています。

しかしながら、これらの新しい試みによって、ヤン・サーカ本来の魅力である「恥ずかしいまでの泣きのフレーズ」が相対的に希薄になってしまったことは否めません。レゲエのリズムを刻む彼の姿に驚くとともに、何だか「迷っているな」と感じた人も多いはずです。個人的には武骨にネオクラ路線を押し通して欲しかったと感じます。

そのせいだとは思いたくはありませんが、この作品を最後にヤン・サーカは活動を停止してしまっているようです(その後の彼の活動はデビュー作の記事で触れたように、Guthrie Govanなどのプロデューサー業に転向したようです)。なお、日本盤にはボーナストラックが2曲ついています。

●Musicians
Jan Cyrka / guitars
Pet Riley / drums
Giles McCormic-Smith / bass
Pete Giles / keyboard
Carol Decker / vocals
Gary Plumley / sax
Evan Davies / tromborne
David Mead / guitar
Alan Jones / guitar

●Numbers
1.  Road To Glory
2.  In A Broken Dream
3.  Back In The Saddle
4.  Je T'embrasse
5.  Yours Is Mine
6.  Hard Rain Falls
7.  Scratching The Fixture
8.  Gonna Make It Happen
9.  This Land
10. One Whole Heart
11. Dear Heart ※bonus
12. The Strut ※bonus
Dscf2114

2010年8月29日 (日)

Meshuggahのギタリスト、奇天烈ソロアルバム

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Musician●Fredrik Thordendal(guitar)
Title●Sol Niger Within(1999年)
■ディスクユニオンで購入

暑い日には「メタル」を聴くに限ります(笑)。不惑という年齢を超えたころから急に「メタル」に目覚めてしまったわけですが、考えてみれば幼少のミギリにはDeep Purpleなどの正統派HRに慣れ親しんでいたわけですから、別に唐突なことではなく、実は互いに親和性があったりするわけです。また、メタルと一口に言っても、現在ではかなり細分化されていますから、私のような後発組にとっても意外にもかなり間口が広いのです。たとえばProg Metalと呼ばれるジャンル(?)では、ジャズやハード&テクニカルフュージョン、プログレあたりとの相性がいいようですし、実際に相互影響を受けているミュージシャンも見かけます。

今回ご紹介するスウェーデンが生んだカルト的人気を誇るデスメタルバンド、Meshuggah(メシュガー)のキーマンであり、変態系ギタリストの雄Fredrik Thordendal(フレドリック・トーデンダル)による1999年のソロアルバムです。国内盤は97年に発表されていますが、輸入盤は収録曲数が増えてヴァージョンアップしているそうです(国内盤は廃盤につき詳細は不明)。私が所有しているのは輸入盤です。ちなみにMeshuggahとはイディッシュで「Crazy」とかそんな意味だったと思います。

冒頭でメタルの中でもProg MetalやDeath Metalはほかのジャンルと相互影響を受けていると書きましたが、このFredrik Thordendalは明らかにテクニカル系ギタリストの影響が大です。特にAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)からの強い影響が随所に感じられます。全29パートから構成されるこの「怪作」は、Fredrik Thordendalがまさにやりたい放題にやり尽くしたという感の「超変態サウンド」で支配されています。本体Meshuggahではデスメタルがゆえに「デス声」がどうしても気になってしまいますが、そうした「シガラミ」がなくなったこの作品では、まさに未来派ハイパーサウンドという感じで疾走を続けます。突如、巻き起こるパイプオルガンのような宗教的境地、そしてすべてをブチ壊す狂気のサックス、あくまでも人の気配を感じさせない歪み切ったボーカル。これまでの音楽的なジャンルのいずれにも属さない、予測不可能な変態ワールドがこれでもかと展開されています。

Fredrik Thordendalのつかみどころのないギターは、バンドという枠が取り払われたことでまさに「野放し状態」で、Holdsworthの強い影響を感じさせる個性的なレガート奏法による超絶技巧が炸裂します。とにかく変態音楽好きにとって堪らないご馳走がテンコ盛りのこの作品。あまりにも救いがない暗黒世界を思わせる超過激な作品ですから、心臓が弱い人、体力気力に自信がない人は、手を出さないほうがいいと思います(笑)。

●Musicians
Fredrik Thordendal / guitar
Jonas Knutsson / sax
Jerry Ericsson / bass
Kantor Magnus Larsson / church organ
Victor Alneng / yidaki
Morgan Gandharva Agren / drums

●Numbers
1.   The Beginning Of The End Extraction (Evolutional Slow Down)
2.   The Executive Furies Of The Robot Lord Of Death
3.   Descent To The Netherworld
4.   ...Och Stjarnans Namn Var Malort
5.   Dante's Wild Inferno
6.   I. Galactus
7.   Skeletonization
8.   Sickness And Demoniacal Dreaming
9.   UFOria
10.  Zet 1 - Reticuli
11.  Transmigration Of Souls
12.  In Reality All Is Void
13.  Krapp's Last Tape
14.  Through Fear We Are Unconscious
15.  Death At Both Ends
16.  Bouncing In A Bottomless Pit
17.  The Sun Door
18.  Vitamin Experience (A Homage To The Scientist/John Lilly)
19.  Sensorium Dei
20.  Zeta 2 - Reticuli
21.  De Profundis
22.  Existence Out Of Joint
23.  On A Crater's Verge
24.  Solarization
25.  The End Of The Beginning Of Contraction (Involutional Speed Up/Preparation For
    The Big Crunch)
26.  Tathagata
27.  Missing Time
28.  Ooo Baby Baby
29.  Tathagata
Dscf2215

2010年8月28日 (土)

1970年代ジャズロックブームの幕開けDreams

Dscf2074







Musician●Dreams
Title●Same(1970年)
■ディスクユニオンで購入

1960年代後半から巻き起こった「ジャズロックブーム」。このジャズロックに関してはさまざまな見解・解釈があるようです。「ロック寄りのジャズなのか」または「ジャズ寄りのロックなのか」という永遠の議論もありますが、ジャズ畑からなのか、逆にロック畑からなのか、どちらサイドからのアプローチなのかによってかなり変わると思います。ジャズからロックに近づくのは比較的簡単だけど、その逆はけっこう悲惨な結果になりやすいという議論もあります。それはロックのほうがそれほど高度な音楽テクニックをもっていなくても、なんとかできてしまうという面が大きいようです。

さて、このアルバムは若きミュージシャンが一堂に会して作られたもの。若きブレッカー兄弟を中心に、まだ無名の存在だったBilly Cobham(ドラム)、John Abercrombie(ギター)などの名前も見られます。サウンドとしては全曲がボーカル入りでロックというよりもファンク色が濃厚な仕上がりに。シカゴなどのブラスロックといってもいいかもしれません。

このアルバムは廃盤扱いになってからは、「まぼろしの名盤」としてコレクターが躍起になって漁盤していましたが、数年前にアナログで復刻し、追ってCD化されました。ブレッカー兄弟ファンにとってはマストアイテムだと思いますが、ECM時代とはまるで正反対のAbercrombieの暴れぶりには大いに興味をそそられます。ちなみに続編「Dreams2」にはAbercrombieは不参加です。

●Musicians
Michael Brecker / ts, fl
Randy Brecker / tp, flh
Bill Cobham Jr / drums,percussion
Jeff Kent / keyboards,guitar,vocal
Doug Lubahn / bass,vocal
Barry Rogers / tb,wagner tuba
Edward Vernon / vocal
John Abercrombie / guitar

●Numbers
1. Devil Lady
2. 15 Miles To Provo
3. The Maryanne
4. Holli Be Home
5. Try Me
6. Dream Suite(A Asset Stop)
7. Dreams Suite(B Jane)
8. Dream Suite(C Crenchy Grenola)
9. New York
Dscf2075

2010年8月27日 (金)

数字シリーズの最終章、Soft Machineの7

Dscf2185







Musician●Soft Machine
Title●7(1973年)
■ディスクユニオンで購入

カンタベリー系ミュージックの大物、Soft Machine(ソフト・マシーン)の通算7作目です。1973年リリース。ご存じのように前作「6」からニュークリアス人脈からカール・ジェイキンスがグループに加入したことで、Softsオリジナルメンバーとニュークリアスの残党の合体ユニットの様相を呈してきています。7作目の本作からヒュー・ホッパーが脱退してニュー・クリアスからベース奏者のロイ・バビングトンが新規加入することでサウンド志向ががらりと変わります。結局、真正Softsメンバーはマイク・ラトリッジ1人ということに。簡単に言ってしまうと、従来の長尺の曲がコンパクトになり、ジャズロック色からフュージョンサウンドに変わりはじめたことでかなり聴きやすく仕上がっています。そんなポピュラリティーが往年のファンにとっては敬遠される材料になっていることは事実です。事実、CBSでは最後の作品になり、次作「Bundles」はハーヴェストというマイナーレーベルに移籍します。

先に記しましたが、楽曲自体が非常にコンパクトになり、聴きやすくなっています。一時はアナログ盤片面全部で1曲という「大作主義」であったことを考えると、隔世の感です。リフを延々と繰り返す無間地獄のようなリフレイン攻撃は相変わらずです。

Soft Machineは次作「Bundles」(1974年)でグループとしては初めてギタリスト(アラン・ホールズワース)を迎えて、さらにフュージョン色を増します。グループの音楽的志向がガラリと転換する分岐点的な作品として、重要な位置づけを担っているといえるでしょう。

●Musicians
Mike Ratledge / organ,synth,electric-piano
Karl Jenkins / oboe,soprano-sax, electric-piano
John Marshall / drums
Roy Babington / bass

●Numbers
1.  Nettle Bed
2.  Carol Ann
3.  Day's Eye
4.  Bone Fire
5.  Tarabos
6.  D.I.S
7.  Snodland
8.  Penny Hitch
9.  Block
10. Down The Road
11. The German Lesson
12. The French Lesson
Dscf2186

2010年8月26日 (木)

70年代型Miles Davisの幕開け「Black Beauty」

Dscf2171







Musician●Miles Davis(trumpet)
Title●At Fillmore West(1970年)
■HMVで購入

帝王Milesのことをあれこれ書くことは少しばかり勇気が必要です。私なんぞより遙かに多くの方々が聴き込んでいるわけですし、実際多くのレビュー記事が溢れているわけですら。では、何で帝王、何でこのアルバムなのかというと、高校生の時、友人宅に遊びに行ったときに「これがオススメ」と聴かされたのがこのアルバムだったからです。本格的なジャズ体験としては初めてで、しかもエレクトリックマイルズがスタートというのも幸運であり、不幸のはじまりだったかもしれません。いま思えば。

さて「Black Beauty」というサブタイトルがついたこのライブ盤ですが、1970年4月10日、サ
ンフランシスコにあるフィルモア・ウエストで収録されています。ご存知のとおり当地は「ロックの殿堂」と呼ばれているライブハウスで、ジャズ畑のミュージシャンが演奏すること自体が異例中の異例。ジャスではほかにチャールズ・ロイドが何回か舞台を踏んでいるくらいです。

この4月10日というタイミングは、3日前にアルバム「Jack Johnson」が吹き込まれた時期で、70年代型エレクトリックマイルズがいよいよ本格稼働を始めたことを示しています。また、少し時間を遡ると、1969年2月に「In A Silent Way」を、1969年8月に「Bitches Brew」、そして1970年4月に「Jack Johnson」と精力的に作品を作り出していた時期のライブということに。さらにいうと、1968年から参加した鍵盤楽器奏者Chick Coreaによる「1人キーボード時代」の貴重なライブでもあります。同年6月にもう1人の鍵盤楽器奏者、Keith Jarrettの参加によって「ツインキーボード時代」が到来するわけですが、Coreaは帝王の冷たい仕打ちに耐えかねてか(?)、Return To  Foreverを結成するべく楽団を脱退します。また、サックス奏者Steve Grossmanも加入直後だったようですね。

さまざまな意味で過渡期にあるアルバムといえますが、演奏内容は実に強烈!この時期から使い始めたワウワウブローが聴く者の五臓六腑をかきむしり、Coreaのエレピが慌ててフォローするという「サドマゾ連携プレイ」がすでに完成型を迎えています。

●Musicians
Miles Davis / trumpet
Steve Grossman / soprano sax
Chick Corea / electric piano
Dave Holland / bass
Jack DeJohnette / drums
Aiato Moreira / percussion

●Numbers
1. Black Beauty Pt 1,2
2. Black Beauty Pt 3,4
Dscf2172

2010年8月25日 (水)

メジャー移籍第1弾!JBUのFree Lancing

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Musician●James Blood Ulmer(guitar)
Title●Free Lancing(1981年)
■ディスクユニオンで購入

フリージャズの帝王オーネット・コールマンが提唱する「ハーモロディック理論」の継承者、James Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)による初期ソロ作品です。1981年リリース。Ulmerが世に知られるようになったのは1981年リリースの「Are You Glad To Be In America?」あたりからだと思われますが、実はそれ以前のキャリアが大変長いようで、実は1960年代前半からプロ活動をスタートし、ジャズオルガン奏者の大御所、Jimmy Smithあたりともセッション活動をしていたとのこと。生年は1942年ですから、ビートルズと同世代なわけです。

その後、ジョー・ヘンダーソン、ケニー・ドーハム、ポール・ブレイなどと活動を共にしますが、やはり前述のコールマンとの邂逅がUlmerの音楽性に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。コールマンが提唱する「ハーモロディック理論」の内容ですが、私の筆力では実に説明が難しいのですが、大変簡単に表現してしまうと、バンドの各メンバーが即興で生み出すサウンドに対して、お互いが既成のスケールにとらわれることなく、自由なハーモニーを得るべし、ということ。各楽器との緊張関係を保ちながら、音の瞬間、瞬間を鋭敏に感じ取り、セッションならではの即興演奏(インプロヴィゼーション)を繰り広げるというもの。と、書くと何だか大袈裟ですが、要はフリーミュージックを作り上げるうえで、あくまでも各メンバーの個性と演奏の自由性を尊重し、自らも自由になりなさいということなのでしょう。まさに、フリージャズの発想です。

前置きがやたらと長いのはいつものことですが、前出「Are You Glad To Be In America?」で注目を浴びるようになり、CBSとメジャー契約を交わし制作されたのがこの作品です。彼のキャリアから考えると完全フリーのジャズギターを想像しますが、ここで繰り広げられているのは、R&B、ファンク、フリージャズのごった煮的なサウンドです。R&B、ファンク色が強いのはもしかしたらCBSサイドの意向もあるかもしれませんね。ただ、表姿はメジャー音楽の衣をまといながらも、Ulmerのギターはあくまでもフリーかつ天衣無縫。異常に強いアタック音で聴く者の心を揺さぶりながら、バリバリと珍妙なフレーズを連発してくれます。彼のプレイを聴きながら先の「ハーモロディック理論」のなんたるかを探り出そうと試みるのですが、妙チクリンなギターに耳を奪われているうちに、そんなことはどうでもよくなってしまいます。それだけUlmerのギターはあまりに個性的で、強烈なインパクトを放っているのです。

加えてUlmerは優れたボーカリストでもあります。R&B色が強いといえば簡単ですが、若い頃は教会でゴスペルを歌っていたとかいなかったとか。味があるとかそんな生やさしいボーカルではなく、強力な破壊力をもつと同時に何となく哀愁が漂うのは、ゴスペル、黒人霊歌のニュアンスが随所に感じられるからなのでしょう。

独特のしゃがれ声に妙なギター。この作品で一躍注目を厚め、翌年1982年にリリースされた「Black Rock」で人気が決定的に(もちろん限られた人気ですが)。日本でもあちこちのメディアで彼の名前を見るようになったのは、ちょうどこの時期です。

●Musicians
James Blood Ulmer / guitar,vocals
Amin Ali / bass
G.Calvinn Weston / drums
Ronnie Drayton / second guitar
David Murray / tenor sax
Oliver Lake / alto sax
Olu Dara / trumpet

●Numbers
1.  Timeless
2.  Pleasure Control
3.  Night Lover
4.  Where Did All The Girls Come From ?
5.  High Time
6.  Hijack
7.  Free Lancing
8.  Stand Up To Yourself
9.  Rush Hour
10.Happy Time
Dscf2217

2010年8月24日 (火)

若き渡辺香津美の3rdアルバム「Endless Way」

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Musician●渡辺香津美(guitar)
Title●Endless Way(1975年)
■Tower Recordで購入

日本を代表するジャズギタリスト、渡辺香津美によるソロ3作目、1975年の録音作品です(発売は1977年)。70年代後半からフュージョン色を強めていく前のジャズ寄りのギターを聴くことができる貴重な作品です。長いこと廃盤状態にありましたが、2004年にCD化されています。参加メンバーは、井野信義(ベース)、倉田在秀(ドラム)、向井滋春(トランペット)、土岐英史(ソプラノサックス)とこれまた当時としては黄金メンバー。

渡辺香津美に関しては私のような人間がああだこうだ書き連ねること自体が僭越なのですが、個人的には70年代後半にYMO加入前の音源が好きであらためて聴き漁っています。その中でももっともロック色が強く、もっともワイルドな作品がこの作品だと思います。特にタイトル曲「Endless Way」では井野、倉田の強力リズム隊をバックに暴れに暴れまくる香津美氏のソロは、なかなか聴きごたえがあります。極端な話、この曲を聴くためだけにこのアルバムを手にする価値、十分です。いや、決して大げさでなく。

ちなみにこのアルバムに参加のソプラノサックス奏者、土岐英史のデビューアルバム「TOKI」(1975年)には、香津美氏がゲスト参加していますが、いわゆるスピリチュアル系ジャズの名盤として、これまた大傑作です。紙ジャケットになって復刻されていますので、興味のある方はこちらもぜひ♪70年代の「和ジャズ」もかなり頑張っていたのですね。

●Musicians
渡辺香津美 / guitar
井野信義 / bass
倉田在秀 / drums
向井滋春 / trumpet
土岐英史 / soprano sax

●Numbers
1. On The Horizon
2. Sadness
3. Endless Way
4. The Second Wind
Dscf2170

2010年8月23日 (月)

ジミヘンとマクラフリンのセッション音源

Dscf1278











Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●The Mclaughlin Sessions Record Plant.NYC 1969(1969年)
■ディスクユニオンで購入

1970年に27歳という若さで亡くなった不世出の天才ギタリスト、Jimi Hendrix。実質的にはわずか3年間という短い活動期間のなかで、オフィシャル音源としては3枚のスタジオ盤があるだけ。しかし、ご存じのように死後になって多くの「未発表音源」が発掘されて、リリースされるたびにファンの心を揺さぶってくれています。もちろん、正規盤としてリリースされても不思議ではない優れモノの音源もありますが、まあ、大体は期待はずれに終わることも少なくありません。それでも手を出してしまうのは、一種のジミヘン中毒にかかっているからにほかなりません。そんな発掘音源に加えて、ブート盤にまで手を出していたらそれこそ経済的にも大変なことになりかねません。

ジミヘンは晩年の1969年に、多くのミュージシャンとセッション活動を精力的に行っており、その多くがお蔵入り状態にありました。今回ご紹介するのは、当時売り出し中だった英国のギタリスト、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)とのセッション音源です。データによると1969年の7月はじめにニューヨークのレコードプラントスタジオで録音されています。

ロックギターの寵児と英国ジャズロック界の新進ギタリストが結びついた経緯ですが、ジミヘンと親交があったMiles Davisがおそらく橋渡しになって実現したのだと想像されます。ご存知のようにMiles Davisは自身の「In The Silent Way」「Bitches Brew」「Jack Johnson」などで若きマクラフリンを抜擢。帝王からの突然のご指名に大いにビビるマクラフリンに対して、帝王は一言だけあのダミ声で言ったそうです。

「ジミヘンのように力強くギターを弾きたまえ」

その一言が奏功したかはわかりませんが、肩の力が抜けたマクラフリンは数々の名演を繰り広げ、それをきっかけに一躍有名になっていきます。また、Miles楽団での共演をきっかけに地下鉄ドラマーTony WilliamsとのちにLifeTimeを結成した事実も押さえておかないといけません。そんな経緯もあって、「今度はジミヘン君とセッションしてくれたまえ」という帝王の指示があったことは想像に難くありません。

さて、この音源が「鑑賞に耐えうる作品」かというと、答えは即座に「否」です。発表を前提としていないセッション音源、つまり顔合わせ的な練習音源を聴いて誰が素晴らしいと言うのでしょう。繰り広げられているのは長閑とも思えるセッション音源ですし、作品性うんぬんを語ることは無理筋というものです。仮にJimiがMcLaughlin寄りなアプローチを聴かせてくれたり、あるいはその逆のプレイが聴かれたらそれこそ喜び勇んで書き連ねるところですが。問題は、このスーパーギタリストが同じ空間であいまみえたという事実であり、それ以上でもそれ以下でもないように思えます。

この歴史的なセッション音源を含めたボックスセットが、国別に割り当て販売されていますが、果たして購入した日本人はどのくらいいるかは不明です。

●Musicians
Jimi Hendrix / guitar
John McLaughlin / guitar
Billy Cox / bass
Mitch Mitchell / drums
Buddy Miles / drums
Larry Young / organ
Roland Robinson / bass

●Numbers
1.  Livin' At Burwood
2.  World Traveler
3.  World Traveler(reprise)
4.  My Brother's Dead
5.  Tribute to Donna
6.  Tarnia
7.  Doin' Gern
8.  You Wouldn't Understand
9.  Uncommon Ground
10. Tarot Mistress
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2010年8月22日 (日)

Jeff Beckのオフィシャルブート盤第1弾

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Jeff Beck Live at B.B.King Blues Club & Grill(2003年)
■ディスクユニオンで購入

65歳を超えてもいまなおロックギターの頂点を極める孤高のギタリスト、Jeff Beck。つい最近「Emotion & Commotion」という待望のスタジオ盤をリリースしましたが、それまではライブ盤がリリースされるだけでファンをヤキモキとさせてきました。このアルバムはそのヤキモキの第1弾ともいえるライブ音源です。ご存知のようにJeff Beckはオフィシャルなライブ音源が極端に少なく、このアルバムは何と「Live Wired」(1975年)以来、28年ぶりの音源になります。

さて、このライブ音源が特異な存在といえるのは「一切のオーバーダビングなどのスタジオでの加工が行われていない」ことに尽きます。ご存知のように、世間で流通しているライブ盤は生の素材がそのままリリースされるケースは希で、多くはいくつもの音源から選りすぐり、時には後から音源を追加した「お化粧後」の姿で我々の前に姿を現します。有名な例で言えばKing Crimsonの「USA」は、本来その場にいなかった鍵盤楽器奏者Devid Crossがスタジオでプレイした音源を追加したうえでリリースされましたが、それが御大Robert Frippの逆鱗に触れてしまい、長らく廃盤状態に追い込まれるという「悲劇」まで引き起こしています。

いわばライブ音源の常識を覆すような「生Beck」を堪能できるライブ盤ですが、録音そのものは2003年9月10日、NYにあるLive at B.B.King Blues Club & Grillで行われました。もちろんB.B.Kingと一緒というわけではありません。メンバーはUKで一躍有名になったTerry Bozzio(dr)、Tony Hymas(key)というトリオ構成。これ以上望めないという豪華な中身なのですが、なぜかファンの間では評価が極端に分かれているようです。というのも、このライブ音源は当初はオフィシャルHPでのみ販売され店頭発売は一切なかったので、いわば「ファン限定」の扱いでした。それなのに、のちになって「正規盤」としてリリースされたわけで、いわばファン心理を逆撫でするような販売戦略には確かに違和感を感じます。

この「オフィシャルブート先行発売」→「正規盤リリース」作戦は、2006年の「Official Bootleg USA」でも展開され、さすがの私も「またかよ、いい加減にせんかい」の印象を受けました。さすがにこれでは旗色が悪いと判断したかどうかはわかりませんが、2007年リリースの「ロニー・スコッツ・クラブ」では、「オフィシャルライブCD」→「ボーナストラック付きDVD」作戦に転じました。どちらにしても、ファンは2度買いを強いられるわけで、阿漕といえば阿漕な商売です。もちろんJeff Beck本人が考え出した商法ではないと思いますが、ファン心理をあまり弄ぶようなことはしないでほしいと思います。

こうした大いに問題ありの商法は別としても、ライブ自体は素晴らしいの一言です。やはりTerry Bozzioの加入はとてつもない大きなパワーを作品に吹き込んでいます。重低温のように五臓六腑を刺激するリズム隊の破壊力は、80年代から世間を浸食した軟弱なフュージョンブームをあざ笑うような気概を感じさせます。先に触れたように一切のスタジオワークを施していない生々しいライブ。ところどころで生じるミストーンもそのまま収録されています。逆に、そんなところまで含めて「ギターの現人神」の生の声、ご託宣に触れることができる希有な作品だと思います。

言わずもがなですが、14曲目「A Day In The Life」はご存知ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ~」のラスト曲です。Beckがこの曲を好んで演奏し始めたのは、この頃からではないでしょうか。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Tony Hymas / keyboard
Terry Bozzio / drums

●Numbers
1.  Roy's Toy
2.  Psycho Sam
3.  Big Block
4.  Freeway Jam
5.  Brush With The Blues
6.  Scatterbrain
7.  Goodbye Pork Pie Hat
8.  Nadia
9.  Savoy
10. Angel(Footsteps)
11. Seasons
12. Where Were You
13. You Never Know
14. A Day In The Life
15. People Get Ready
16. My Thing
Dscf2213

2010年8月21日 (土)

高速アルペジオがますます映えるBen Mondr「Oceana」

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Musician●Ben Monder(guitar)
Title●Oceana(2005年)
■Amazonより購入

NYの先進的なジャスギター界をリードする奇才、Ben Monder(ベン・モンダー)によるソロ第4枚目です。レコーディングされたのが2004年で、翌2005年リリース。前作「EXcavation」が2000年リリースでしたから約5年ぶりの作品ということですが、別にその間は働いていなかったということではなく、ファンの方ならご存じのように夥しい数のセッション活動を行っていたので、当時も今も「最も働き者のギタリスト」と言っても過言ではないと思います。前作から本格的に活動を共にしているドイツ出身の奇才、Theo Bleckman(テオ・ブレックメン)が継続して参加しています。

さて、Ben Monderのギター奏法の際だった特徴として、何と言っても「高速アルペジオ」があげられますが、もちろんこのアルバムでも健在です。いきなり1曲目「Still Motion」から∞地獄のようなアルペジオが延々と聴かれますが、前作までは12弦ギターを使っていたのに対して、ここではアコースティックギターで実に渋く責め立ててきます。転調のたびにフッレット移動の音が聴こえてきて、静寂な中にも奇妙な緊張感が漲ります。そこにTheo Bleckmanのファルセット的な不思議なボイスが被さってきて、えも言われぬ不思議な空間が目前に広がります。

さて、Ben Monderのアルバムには必ず1曲だけギターソロを全面に押し出した曲が入るのが恒例になっています。6曲目「Rooms Of Light」がそれに当たりますが、従来聴かれなかったプログレ風のリフにTheo Bleckmanの幻想的なファルセットとが怪しく絡み合って、かなり凄い感じの曲に仕上がっています。そうこうしているうちに極めて攻撃的なギターソロが鳴り響きますが、これまでのBenderのアルバムの中では個人的にベストテイクではないかと思います。この曲で聴く者を限界まで煽っておいて、最後の曲で一挙にクールダウンさせる。この見事すぎる展開には、正直に言って「まいった!」の言葉しか出ません。

発売当初はほぼ毎日のように聴きまくりましたが、いまあらためて聴き直しても凄い作品だと思います。多くのセッション活動をこなしているうちに、「こんなことをやってみたい」という欲求が高じて、マグマのよう噴出した結果ではないかと思います。

動画は珍しくアルペジオを使わない珍しいものです

●Musicians
Ben Monder / guitar
Theo Bleckman / voice
Kermit Driscoll / bass on Oceana,Echolalia
Skui Sverrisson / bass on Room Of Light,Spectre
Ted Poor / drums

●Numbers
1. Still Motion
2. Light
3. Oceana
4. Echolalia
5. Double Sun
6. Room Of Light
7. Spectre
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2010年8月20日 (金)

VIRGIL DONATI / JUST ADD WATER(1996年)

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Musician●Virgil Donati(drums)
Title●Just Add Water(1996年)
■HMVより購入

オーストラリア出身のドラム奏者といえば、ハイテクフュージョン集団「Planet X」に在籍したVirgil Donati(ヴァージル・ドナティ)か、Allan HoldsworthやFrank Zappaとの共演で知られるChad Wackerman(チャド・ワッカーマン)あたりが有名でしょうか。おっと、Bobby Rockという人もいましたね。仲間がソロアルバムを出すと聞くや、よってたかってゲスト参加で盛り立てるという互助精神に満ちているのがオージー人脈の特徴です。

今回、ご紹介するのはVirgil Donatiによるソロ第2弾です。メンバーがすごいですよ。ギターに今をときめくScott Henderson、ベースにPlanet X時代の同僚Ric Fierabraciというトリオ構成。1996年にハリウッドのスタジオで録音されていますが、まったくオーバーダブが施されていない、完全な一発録り。つまり、セッションアルバムです。ちなみにレコーディングエンジニアにはBrett Garsedとの共演で有名な両手タップの奇才、T.J.Helmerichの名前がクレジットされています。おっと編集作業はそのBrett Garsedですね。

中身はというと、完全なハード&テクニカルフュージョンという趣で、ドラムは叩きまくること、ベースは弾きまくること、ギターも負けじと弾き倒すこと。一切の妥協を許さない凄まじいインプロヴィゼーションの応酬なのです。ギターのHendersonは自身のユニットであるTribal Techでのプレイよりも若干ブルース寄りのフレーズを連発していますが、これがまた素晴らしい! トレモロアームを多用する例のグニャグニャフレーズはここでも健在です。

先に触れたように作り込まれた作品ではなく、完全なセッションアルバムですから、楽曲云々を語るのは野暮というものです。とにかくあふれ出る音の洪水にひたすら身を任せましょう。軟弱なフュージョンに飽き飽きとしている諸兄にぜひともお勧めしたい作品です。スコヘンファンの方も意外と盲点になっている作品のようですから、この機会にぜひ!

●Musicians
Virgil Donati / drums
Scott Henderson / guitar
Ric Fierabraci / bass

●Numbers
1. The Arithmetic Of Sun
2. Concerning Femail Beauty
3. The Morals Of Chess
4. On Manners
5. A Small Opening
6. A Dispute
7. Extrme Dirty
8. How To Grow Great Woman
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2010年8月19日 (木)

これでアナログ1枚、旧式CD1枚に加えて3枚目!後期Soft Machine「Softs」

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Musician●Soft Machine
Title●Softs(1976年)
■Amazonより購入

ここにきて、リマスター&再発売が続く「Soft Machine」。前回は名盤「Bundles」の再発売のお知らせをいたしましたが、今度はグループとしては9作目にあたる「Softs」が再発売されました。すでにアナログとCDを所有しているのですが、リマスター化されているという情報から、当然のように購入しました。今回気がついたのですが、Amazonの予約注文は申し込みの時期が早いほど安価で入手できるケースが多く、事実、1000円台後半で購入したのが、いまでは2000円台にまで高騰しています。

さて、あらためてこの作品に関してひとくさり。Karl Jenkinsがグループ内でイニシアティヴをとるようになってから急速に「フュージョン化」を果たしていったカンタベリー系の雄Soft Machine。第9作目にあたる本作品では、元「WOLF」の英国出身ギタリスト、John Etheridge(ジョン・エサーリッジ)を迎えています。1976年リリース。前作「Bundles」では正式加入としては初ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)を迎え入れ素晴らしい作品に仕上がりましたが、前任者Holdsworthとはタイプこそ違えど、これまた超絶技巧の限りを尽くしたギタープレイを堪能できます。

前作「Bundles」と同様に1990年に一度CD化されたものの、廃盤状態でけっこうなプレミアで中古品が取引されていましたが、このたび「Bundles」に続いてリマスター化のうえ20年ぶりに再発売です。「Bundles」と同様、Esotericというメーカーから。さて、注目のリマスター効果ですが音の分離が明らかに向上し、抜群にクリアな仕上がりに。当然、音圧も改善されているので大変聴きやすくなりました。最近流行り(?)の「いままで聴こえなかった音まで聴こえる」ほどではありませんが、大変良質なリマスターではないでしょうか。

作品の内容についてはオリジナル盤で多くの方がレビューを寄せていますので割愛しますが、70年代ジャズロックを語るうえで、やはり欠くことのできない重要作品であることは間違いありません。特にほとんどの音をフルピッキングで弾きこなすEtheridgeのギタープレーはいまの水準で考えても驚異的と言えます。特に「The Tale of Taliesin」から「Ban-Ban Caliban」への見事なメドレーとエサーリッジが生みだす溜め息が出るような速射砲的なソロは、あらためてリマスター盤を聴き直してもゾクゾクとしてきます。

古くからのソフツファンにとっては買い直しは当然のことですが、良質なジャズロック&フュージョンに興味がある人、ギター好きの人にとってもマストアイテムではないでしょうか。そして、再発売に踏み切ったメーカーさんには感謝の言葉が見つかりません。さらにうれしいお知らせが。Soft Machineのラインアップの中で廃盤扱いの「Alive & Well ; Recorded in Paris」 も順次リイシューされるとのこと。ますます目が離せません。ちなみに以前、当欄で酷評した「Land Of Cockayne」は8月発売だそうですが、まったく興味がありません(笑)。

●Musicians
Roy Babbington / bass
John Etheridge / guitar
John Marshall / drums
Alan Wakeman / soprano & tenor sax
Karl Jenkins / piano,string,mini-moog synthesizers

●Numbers
1.  Aubade
2.  The Tale Of Taliesien
3.  Ban-Ban Caliban
4.  Song Of Aeolus
5.  Out Of Season
6.  Second Bundle
7.  Kayoo
8.  The Camden Tandem
9.  Nexus
10. One Over The Eight
11. Etika
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2010年8月18日 (水)

これは面白いJan Garbarekの「Paths Prints」

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Musician●Jan Garbarek(soprano & tenor sax)
Title●Paths Prints(1982年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表するサックス奏者で「北欧のコルトレーン」の異名をもつJan Garbarek(ヤン・ガルバレク)による1981年の作品です。メンバーはギターにBill Frisell(ビル・フリゼール)、ベースにEberhard Weber(エバーハード・ウェバー)、Jon Christensen(ヨン・クリステンセン)とアメリカ人のFrisellを除けば北欧人脈で固めています。1981年12月にオスロのTalentスタジオで収録されています。プロデューサーは例によってマンフレッド・アイヒャー。

1970年代のGarbarekはどちらかといえば北欧の冷たい氷原を想起させるような冷徹でクールな印象が強かったのですが、キース・ジャレットなどとの共演を通して次第にプレイスタイルが変化していったように思えます。1980年代に入ってからは北欧土着の音楽的要素を取り入れつつ独自の世界観を作り上げていきます。1982年にリリースされたこのアルバムでは「浮遊系ギタリスト」Bill Frisellを迎えてECM本来の透徹された音楽観に加えて、北欧の民族音楽的な要素を合体させることで、これまた奇天烈な世界を作り上げることに成功しました。

何と言ってもギターのFrisellの存在が大きく、ウネウネ、クネクネ、フワフワと捕らえどころのない唯一無比のギターとGarbarekのブロウとが渾然一体となってマカ不思議な作品に仕上がっています。

ECMのファンならばもちろん、Frisellのその後のプレイスタイルを語るうえでも重要な作品といえるのではないでしょうか。

●Musicians
Jan Garbarek / soprano & tenor sax,wood flutes,percussion
Bill Frisell / guitar
Eberhard Weber / bass
Jon Christensen / drums,percussion

●Numbers
1. The Path
2. Footprints
3. Kite Dance
4. To B.E.('80)
5. The Move
6. Arc
7. Considering THe Snail
8. Still
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2010年8月17日 (火)

良きジャズロックのナビゲーター

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Writen by●中山康樹+ピーター・バラカン+市川正二
Title●ジャズロックのおかげです(1994年)
■有隣堂で購入

これは、あくまでも個人的な考え方です。

音楽にしても映画にしても、それらを楽しむにあたって必ずといって存在するのが「入門書」です。特にJAZZと呼ばれるジャンルは一般的にはあまり情報がないため、いざJAZZを聴きたいと思っても、いったいどんなミュージシャンの、どんな作品を聴きたいのかがわからないケースが多いのではないかと思います。なかには私がJAZZ好きということを聞きおよんで「どんなJAZZを聴いたらいい?」と直接尋ねてくる人もいます。

でも、そんなこと私に聞かれても困るんだよね、というのが偽らざる思いです。だって、そもそも音楽に限らずおよそ芸術に親しむということは、受け手の問題、感性のありようの問題であって、私は相手の「感性の代弁者」ではないわけですから。だから、答える「手がかり」がまったくないわけです。

しかし、私が返答に躊躇していると、多くの人は怪訝な表情をするばかりか、なかには「あんたは不親切だ」と言わんばかりの反応を見せる人も。いやいや、あたしゃそんなつもりではないわけですよ、と。それにあたしゃ一介の勤め人であって、その道のオーソリティーでもなんでもない。それに、あんたの感性どころか人となりだったわかっていないんだよ、と。そんなやりとりが面倒になってきたので、最近では自分の音楽的趣向はあまり表明しないようにしています。

話がそれかけています。とは言いつつ、日本人は「知識から入る人」が多いように思います。だから、音楽に限らず「入門書」の類が相変わらずもてはやされるのでしょう。しかも、入門書はクラシック音楽に多いようです。クラシックは歴史が長いだけに現在進行中の作品を除けば「完成系音楽」として年代別、国別、流派別(?)などにカテゴライズが容易です。ですから、タテにヨコに整理して割っていけばドンドン書籍化、商品化が可能なわけです。ディアゴスティーニ戦略ではありませんが、細分化された「音楽的知識」を定期的に少しずつ獲得していくと、最終的には「音楽的教養」が身につきますよ、という塩梅です。

誤解を恐れずに言いますと、そうやって一生懸命に獲得した「音楽的教養」っていったい何だろうと思います。音楽ってそれほどまでに「努力」しないと、楽しむことができないのでしょうか。そもそも音楽を楽しむにあたって「入門」「初心者」という定義付けが必要なのでしょうか。じゃあ「上級者」っていったいどんな人なのでしょうか。要は自分のそのときの気分に任せて、好きな音楽を聴けば、それがその人にとって「ベストチョイス」なのではないでしょうか。中学・高校の音楽の授業で「音楽史」の時間がたまらなく退屈に感じられたのは、根本的にそんな思いがあったからではないかと思います。そんなことをするよりも、たくさん音楽に触れて、歌ったり楽器に親しむことのほうが重要ではないでしょうか。

さて、JAZZというジャンルが生まれてからおそらく1世紀が経とうとしています。最近ではクラシックと同様に、JAZZをカテゴライズ化したうえで「JAZZ的音楽的教養」として商品化しようという動きが顕著になってきています。これは関連書籍に限らず、たとえば店側が用意した「JAZZ名曲100選」なんていうパッケージ商法も同じ発想から生まれたものではないでしょうか。これらを一通り聴けば、あなたもイッパシの「JAZZ通」ですよ、という塩梅です。

こうした流れを全面的に否定するつもりはありませんが、一方でお店が用意した器にそのまま乗ってどうするのよ、という思いもあります。JAZZって本来、そんなに窮屈で狭いものでしたかね、という素朴な疑問です。豊かな知識=豊かな教養と考えがちな人にとって、本来はJAZZって対極の位置にあると思うのですが。

前書きが長くなってしまいました。本書はJAZZの中でも世間的には「亜流」と捉えられがちな「ジャズロック」の名盤をカタログ的に紹介したものです。中山康樹、ピーター・バラカン、市川正二の3人がそれぞれ自分が好きなジャズロックのアルバムを紹介するという内容です。あえて亜流としてのは、JAZZのメインストリームを語るうえで、必ずといっていいほ「キワモノ扱い」されるのがジャズロックだからです。

この本が素晴らしいと思うのは、2点。「ジャズロックとは」をまとめて定義付けしようとしていない編集方針です。3人がそれぞれ好きなアルバムを羅列だけしておいて、後は読者の好き勝手に委ねようという考えです。そして3人はもちろん、編集サイドもこのうえなくジャズロックを愛しているという点です。何というJAZZ的で自由な編集方針なのでしょう。したがって定型的、網羅的にジャズロックの知識を獲得したうえで、教養的に接しようという人にとってはお勧めできません。「ジャズロックってどんな音楽なの?」「どんなミュージシャンがお勧めなの?」という視点で読むと、確実に混乱してしまうからです。いろいろな意味を含めて、JAZZやジャズロックを教養化しようという悪しき風潮に対して強烈なアンチテーゼを投げつける痛快な一書です。

ちなみに見返しのサックス奏者はSteve Marcusです。チョイスが渋い!
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2010年8月16日 (月)

John Abercrombieの「Gateway」第2弾

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Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Gateway 2(1978年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表する知性派ギタリストJohn Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)による1978年の作品です。1975年リリースの「Gateway」の続編ということで、Dave HollandJack DeJohnetteによるトリオ構成で臨んでいます。録音は1977年7月にオスロのスタジオで行われています。

やや手探り状態の印象が強かった前作「Gateway」との比較ですが、音の空間や奥行きの表現力が抜群に向上していて、いわゆる「ECMらしさ」が十分に感じられるようになりました。この頃からAbercrombieはギターのほかにエレクトリック・マンドリンを使い始めていますが、高音部はエレクトリック・マンドリン、中音部以下はギターと使い分けることでバラエティーに富んだ音作りが可能になりました。特に1曲目「Opening」と4曲目「Nexus」はマンドリン効果が如実に表れていると思います。

第1弾もなかなかいいのですが、より完成度が高まった第2弾も捨てがたい魅力をもっています。ジャケットデザインはご覧のように実にECMらしく爽やかですが、中身は相当エグいです。ただラスト「Blue」で聴ける中途半端に巧いJack DeJohnetteのピアノは蛇足かな、と。だって彼のピアノなど、ほとんどの人は興味なしだと思うのですが。

●Musicians
John Abercrombie / guitar,electric-mandolin
Dave Holland / bass
Jack DeJohnette / drums,piano

●Numbers
1. Opening
2. Reminiscence
3. Sing Song
4. Nexus
5. Blue
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2010年8月15日 (日)

Mr.Siriusのギタリスト釜木茂一さんの唯一のソロ

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Musician●Kehell
Title●Galileo(1998年)
■Made In Japan Recordsより購入

関西を代表するシンフォ系プログレバンド「Mr.Sirius」でギタリストを務めた釜木茂一さんが自ら率いるバンド「Kehell」(ケッヘル)としてリリースした唯一のアルバムです。1998年リリース。バンドの活動歴としては13年だそうですが、おそらく最初にしてラストアルバム。メンバーは釜木茂一さん(ギター、ギターシンセ)のほか、濱田亨さん(ドラム)、広瀬泰行(ベース)という最小ユニットです。手持ちのCDはフランスのプログレ専門レーベルMUSEAからリリースされていますが、おそらくライセンス販売なのでしょう。日本盤は例によっておなじみの「ベル・アンティーク」から。

さて、釜木氏は「Mr.Sirius」在籍当時のアルバム「Dirge」(1990年)で華々しいデビューを飾りますが、YESのSteve HoweやAllan Holdsworthなどのテクニカル系ギタリストあたりからの強い影響を感じさせます。彼らよりもよりメタリックに、よりソリッドにした感じでしょうか。そしてMr.Sirius時代に培ったあくまでもドラマティックな展開力はさすがとしか言えません。

釜木さんをはじめKehellのメンバーはほかの仕事をもった社会人だそうで、おそらく仕事の合間に時間を見つけてレコーディング作業を重ねたのだと思われます。そんなことを微塵にも感じさせない完成度です。

Kehellは残念ながら現在は活動停止状態だそうです。無理を承知で言えばできることならば、Mr.Siriusこと宮武和宏さんを加えた新構成で次作をリリースしていただけないでしょうか。とてつもない名作が誕生することは間違いないのですから。

●Musicians
釜木茂一 / guitar,guitar-synse
濱田亨 / drums
広瀬泰行 / bass

●Numbers
1. Prologue-Behind the Earth
2. Galileo
3. Colony #2
4. Replica
5. Presepe
6. Paranoid
7. Kaiper Belt
8. Campanas
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2010年8月13日 (金)

ギターシンセとキーボードの共演(Holdsworth & Beck)

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Musician●Allan Holdsworth(synthaxe)
Title●With A Heart In My Song(1988年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が旧友である鍵盤楽器奏者Gordon Beck(ゴードン・ベック)と組んだデュオアルバムです。

Gordon Beckをご存じのない方のためにひとくさり。1960年代からプロ活動を始めたBeckですが、60年代後半にはジョン・マクラフリンと組んで作品を残しています。70年代の入って大物トランペット奏者Ian Carr(イアン・カー)率いる「ニュー・クリアス」に加入し、ここで若きHoldsworthと出会っています。また、70年代には映画「フレンチ・コネクション」のサウンドトラックを担当してから広く名前が知られるように。70年代後半にはJohn Stenensらと組んだフリーフォームのセッションアルバムを数枚残します。ここでもHoldsworthと共演しています。80年代に入ってからもHoldsworthとの交流は継続し、85年にHoldsworthが2度目の来日を果たしたとき、一緒に来日して華麗なエレピを聴かせてくれました。

このアルバムを語るにあたっては、1987年にリリースされた「Sand」を避けては通れません。昔からのHoldsworthファンの間では「Sand」から導入されたギターシンセ「synthaxe」は賛否両論で、アルバムに対しても評価が真っ二つに分かれました。私を含めたギター原理主義者(?)にとってギターの音をわざわざシンセに置き換える意味が理解できず、「もっとギターを!」と大ブーイングが起きたことは言うまでもありません。一方で、シンフォ系プログレファンやギターにそれほど拘りがない人からは一定の評価を受けたようです。

さて、この作品も1曲を除きすべてsynthaxeを使用。対するGordon Beckもキーボードですから、冷静に考えてみるとこれは結果的に鍵盤楽器のデュオではないですか。何だよとブツブツ言いながら聴いてみると、これが意外にも(?)素晴らしい出来映えです。何とも心優しいメロディーの連鎖、聴く者を知らず知らずのうちに桃源郷へと導く素敵なヴォイシング。鍵盤楽器のデュオアルバムと割り切れば、かなりの秀逸ぶりです。「Sand」の評価が真っ二つに分かれたのは、synthaxeという楽器に対するアレルギーもあったと思いますが、Holdsworth自身がまだこの新しい楽器を十分に使いこなせていなかったことも大きな要因として挙げられるのでは。Gordon Beckが生み出す速いパッセージに対して、あくまでもクールに渡り合う高度なテクニックはやはり尋常ではありません。

ただ、これはあくまでも「鍵盤楽器のデュオ」としての評価です。やはりギタリストはギターを持ってナンボという私の考え方は変わりません。このアルバムはフランスのJMSからフランス盤とUSA盤でのみリリースされ、日本盤も1989年にやっとリリースされたので、存在自体があまり知られていないようです。放っておくと埋もれてしまいそうばマイナーな作品なのであえて取り上げてみました。

●Musicians
Allan Holdsworth / synthaxe,guitar on 54,Duncan Terrace
Gordon Beck / keyboards

●Number
1. Equus
2. 54,Duncan Terrace
3. Ain't No Grief
4. With A Heart In My Song
5. 999
6. Sundays
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2010年8月12日 (木)

70年代ジャズロックの代表作「Barefoot Boy」

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Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Barefoot Boy(1972年)
■Tower Recordで購入

1960年代から活躍するジャズギター界の大御所、Larry Coryell(ラリー・コリエル)による1972年の作品です。70年代はCoryell自身が実に精力的に活動していた時期で、実に多数のアルバムを残しています。このアルバムもそのうちの1枚です。メンバーはSteve Marcus(soprano-sax)、Lawrence Killian(conga)、Roy Haynes(drums)、Harry Wilkinson(percussion)、Mervin Bronson(bass)、Michael Mandel(paino)という構成。打楽器奏者がやたらと多いのも特徴的です。

何と言ってもこのアルバムの聴きどころは、サックス奏者Steve Marcus(スティーヴ・マーカス)とのソロの掛け合いです。Coryell自身もSteve Marcusのソロアルバムにゲスト参加するなど親交が深い2人ですが、純粋なジャズサックス奏者というよりクロスオーバー的なアプローチのSteve Marcusと、ロック的なプレイを得意とするCoryellとの相性はやはり抜群です。

1曲目「Gypsy Queen」はハンガリーのギタリストGabor Szaboによる曲。Steve Marcusの激しいブローとCoryellお得意のフィードバック奏法とが妙にマッチしてかなりの高揚感を味わえます。リズム隊が連打するポリリズムに身を任せていると妙なトランス状態に陥りそうです。70年代ジャズロックの醍醐味ですね。

2曲目「The Great Escape」はCoryellの曲。ファンキーなリズムに乗ってCoryellのギターが縦横無尽に暴れまくります。リズム隊を強化したのは、この曲のためだったのではないでしょうか。一発録りっぽいスタジオライブ的な感覚が生々しいですね。

3曲目「Call To The Higher Consciousness」は何と20分に及ぶ大作。Coryellによるブルース感覚あふれるソロとMarcusによるフリーキーなブローとの緊張感あふれる応酬は70年代ジャズロック史上に残る名演だといっても過言ではありません。やはりCoryellは純然たるジャズギタリストというよりこういうクロスオーバー的なアプローチが似合うギタリストです。ところで、15分くらい経過するといったんフィナーレ的な展開に持ち込まれますが、ゾンビ的の復活するひつこさが70年代っぽいです。あくまでも濃くて熱いプレイの連続です。

そんなわけで、いまあらためて聴き直してみるとさすがに時代を感じさせてしまいますが、40年近く前にはこんな「熱い音楽」があったのかと妙に感心してしまいます。きょうびの軟弱な音楽に辟易としている諸兄には強力推薦いたします。

●Musicians
Steve Marcus / soprano-sax
Lawrence Killian / conga
Roy Haynes / drums
Harry Wilkinson / percussion
Mervin Bronson / bass
Michael Mandel / paino

●Numbers
1. Gypsy Queen
2. The Great Escape
3. Call To The Higher Consciousness
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2010年8月11日 (水)

D.I.M. / NATURAL NEEDS(1995年)

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Musician●D.I.M.
Title●Natural Needs(1995年)
■Amazonより購入

最近はどうしても新しい音楽事情に疎くなってしまいます。もちろん音楽は大好きなのですが、結局、好んで聴くのは昔聴いたお気に入りのものばかり。せいぜい周辺人物をチェックする程度の広がりでお茶を濁してしまいがちです。音楽は極めて個人的な嗜好ですし、聴くスタイルも人それぞれ。何がいいとか悪いとかなどと考えることはあまり意味がないと思います。音楽を職業としているのならともかく、好きな音楽を好きなタイミングで聴けばいいと思います。ところが、そんな感じで開き直ってしまうと、せっかくの良質な新しい音楽を聴き逃してしまうことも事実です。

また、気がつくと音楽ジャンルも最近では非常に細分化されていることに驚きます。たとえば古(いにしえ)は「ヘビーメタル」と言われていた分野も、スラッシュ、ブラック、ゴシック、デス、フィメール、パワー、ドゥーム、バイキングなどと多岐にわたって細分化されていて、しかもかなり厳密な定義付けのもとに分類されているのです。

1995年にリリースされたアルバムをもって「新しい音楽」とするのもどうかと思いますが、「オルタナティヴ」「ミクスチャー」「グランジ」などと呼ばれる新たな分野のアルバムです。「オルタナティヴ」「ミクスチャー」の意味するところをストレートにネット検索してみても、腑に落ちる解説が見あたらないのですが、要するにファンク音楽を中心にして、ハードロック、メタル、ジャズなどの要素を混ぜ合わせたもの。なんだ、それって昔で言う「クロスオーバー」や「フュージョン」と同じ発想じゃないかと、納得。ただし、ただいろいろな音楽的要素を混ぜればいいというわけではなく、確固たる音楽的要素が必要になることは言うまでもありません。

ノルウェー出身の「D.I.M.」(Diaboloa In Musika)もそんなムーヴメントの中から登場した4人編成のバンドです。一言で言ってしまえば、かなりヘヴィーなメタルサウンドですが、ところどころに「オルタナティヴ」「ミクスチャー」「グランジ」の肝とも言える多様な音楽性が伺え、けっこう刺激的な仕上がりです。目まぐるしい曲展開、変拍子の多用によってマニア筋も納得の出来映えではないでしょうか。個人的な興味の的はギタリストのRonny Heimdal(ロニー・ヘンドル)。ソロ転向後は、テクニカル系ギタリストに変貌を遂げ「完全Holdsworthy化」しますが、ここでもその予兆が感じられます。

●Musicians
Ronny Heimdal / guitars,keyboards,programming
Fritz A. Aga / bass,keyboards
Oliver Wees-Eide / vocals
Zsolt Mezaros / drums,percussins

●Numbers
1. Interpassive
2. Got To Got To
3. Dig This
4. Kathmandu
5. Luther
6. Tribal Serenade
7. Warzone / Harmonic Profanity
8. Methods & Talents
9. If You Take Me...
10.Disorder
11.Live's Alive
12.Thinking Wondering
13.Gradually Going "AGURK"
14.Hor Doch Auf Zu Klagen
15.Love-Lust
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2010年8月10日 (火)

渡辺香津美の幻のアルバムを入手!Mermaid Boulevard

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Musician●渡辺香津美(giutar)
Title●Mermaid Boulevard(1978年)
■Yahoo!オークションで入手

最近はクラシック畑でご活躍の日本を代表するJAZZギタリスト、渡辺香津美さんの1978年の作品。アナログ盤は中古屋で比較的容易に入手できるのですが、なぜだかCDは廃盤のうえに極端な品薄で、大変貴重です。先日、ヤフオクを巡回していたところ札幌の方が出品されていて、何とか入手しました。値段はC万G千円とCDとしてはかなりの高値なのですが、中古CD屋ではオーバーD万円以上で売られていることを考えれば、むしろ私は恵まれているのかもしれません(もちろん、常識的には高い買い物であることは痛いほど認識しています)。

1970年代中盤、ジョージ・ベンソンの「ブルージン」の大ヒットをきっかけに巻き起こったフュージョンブームは、これまでとかく冷遇されてきたギターを一躍メジャーな楽器へと引き上げました。ラリー・カールトンやリー・リトナーあたりが注目を集めるようになったのもこの時期。ECMからはパット・メセニーがデビューしています。渡辺香津美も初期のストレートなジャズギターから次第にフュージョン色を強めていきます。「Kazumi & The Gentle Thoughts」と名づけられたこのユニットには、ラリー・カールトン(ギター)やアンソニー・ジャクソン(ベース)などの一線級のミュージシャンが招集され、渡辺香津美が世界で通用する実力派ギタリストとして認められるようになったことを象徴しています。バックボーカルとして、盟友ともいえる吉田美奈子とキーボードに深町純が参加しています。

サウンドはまさに「黄金期のフュージョンサウンド」。アメリカ修行の成果が存分に発揮されたNYのフュージョンシーンを意識したプレイの数々は、「世界のKAZUMI」としての堂々たる風格さえ感じさせます。個人的には無限ループのように盛り上がり続ける4曲目「Q」が好みです。

渡辺香津美はこのアルバムを発表した後、坂本龍一の誘いで「Yellow Magic Orchestra」(YMO)に参加します。その後の世界的な活躍については、あらためて語らなくともみなさんがご存じのことです。

●Musicians
渡辺香津美 / guitar
吉田美奈子 / backing vocals
Lee Ritenour / guitar
Patrice Rushen / piano
Ernie Watts / tenor sax & flute
Anthony Jackson / bass
Harvey Mason / drums
Jun Fukamachi / synthesizer

●Numbers
1. Mermaid Boulevard
2. Neptune
3. Waltz For Sweet
4. Q
5. Suger Loaf Express
6. Poppy's Walk
7. Gentle Afternoon
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2010年8月 9日 (月)

Alex MachacekとTerry Bozzioとのコラボ「BPM」

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Musician●BPM
Title●Delete And Roll(2002年)
■Amazonより購入

オーストリア出身の新進気鋭のテクニカル系ギタリストAlex Machacek(アレックス・マクヘイサック)と「UK」などで活躍したドラム奏者Terry Bozzio(テリー・ボジオ)が組んだユニット「BPM」による2002年の作品。Gerald Preinfalkというサックス奏者が加わったトリオ構成で、3人の名前の頭文字がそのままユニット名になっています。ベース奏者がいないわけですが、Gerald Preinfalk氏がバスクラリネットを駆使することで低音部をカバーするという変則構成です。

3人の中ではBozzioが圧倒的に有名ですが、へそ曲がりの当欄の興味の的は当然ながらギターのAlex Machacekであることは言うまでもありません。Machacekはテクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth系で括られることが多いのですが、個人的には元祖変態系ギタリスト、Frank Zappa(フランク・ザッパ)の影響もかなり受けていると思います。さすがにZappaのような演劇的要素にまでは手を出してはいませんが、予測不能な楽曲展開、ユニークすぎる独自の奏法は、まさにZappa的です。

さて、変則トリオが生み出すサウンドですが、期待通りの変態フレーズの連発。どこから飛んでくるのかまったく予測不可能で奇天烈なソロの数々は、この手の音楽好きに堪らないご馳走のてんこ盛りでしょう。逆に言えばかなり聴く人間を選ぶ音楽であることは事実。このトリオによるライブDVD「Out Trio」もありますので、怖いもの見たさ、聴きたさの人はチャレンジしてみては?

●Musicians
Alex Machacek / guitar,guitar-synthsizer
Terry Bozzio / drums,percussions
Gerald Preinfalk / bass clarinet,Alto & soprano sax

●Numbers
1. Dicht → M.
2. Strafe → M.
3. Austin Powers → M.
4. Invisible → P.
5. Aug Um Aug → M./ P.(Live)
6. Bulgarianish Folkdance → B.
7. I Remember Edison → P./ M.
8. S150 → M.
9. What She Never Heard → B.
Dscf2087

2010年8月 8日 (日)

泣きに泣きまくる哀愁のギター、Jan Cyrkaの2nd

Dscf2115






Musician●Jan Cyrka(guitar)
Title●Spirit(1993年)
■Gemm.comより購入

イギリス出身のテクニカル系ギタリスト、Jan Cyrka(ヤン・サーカ)の2ndアルバムです。1993年にリリースされています。

デビュー作の「Beyond the Common Ground」では、テクニカル系あり、スティーヴ・ヴァイ系あり、ストレートなハードロック系ありと、さまざまな面を見せたヤン・サーカですが、この作品ではほぼ全編「泣きのフレーズ」1本で押し通しています。タイトルでは思わず「哀愁のギター」と書いてしまいましたが、もちろん決してカルロス・サンタナのようなラテン系特有のベタついた哀愁感ではなく、北部イギリスの冬景色を彷彿とさせる、ひたすらドライでダークな世界観です。

したがって、デビュー作で感じられたテクニカルな部分は影を潜め、その代わりと言ってはなんですが思い切り感情を込めた「泣きのフレーズ」がコレでもか!という感じで炸裂します。いまあらためて聴いてみると何だか気恥ずかしくなる感じですが、泣きのフレーズの連発が日本人の心の琴線に触れまくっているのも事実です。

そう考えながらナルシストぶりが全面に押し出されているジャケットデザインも、何だか納得できる感じです。

●Musicians
Jan Cyrka / guitar,programming
Pete Riley / drums
Mo Foster / bass
Pete Giles / keyboards
Simon Gregory / vocals
Giles McCormick-Smith / bass
Pascal Mulot / bass
Paul Harvey / rythmn guitar

●Numbers
1. Angel
2. Breaking Point
3. All Cats Are Grey At Night
4. Brief Encounter
5. Problem Child
6. Spirit
8. White Suit
9. Fierce
10.THe Migrant
11.After School
12.Thump
13.In The End
Dscf2116

2010年8月 7日 (土)

破壊力満点のバリトン!John Surman「The Trio」

Dscf2131






Musician●John Surman(baritone & soprano sax,bass clarinet)
Title●The Trio(1970年)
■ディスクユニオンで購入

英国フリージャズ界を代表するバリトンサックス奏者、John Surman(ジョン・サーマン)による傑作中の傑作です。1970年リリース。メンバーはBarre Phillips(ベース)、Stu Martin(ドラム)というこれ以上望めない強力メンバーです。しかも2CDというお腹が満腹になりそうなボリュームです。

John Surmanは60年代後半から70年代前半にかけて同国のミュージシャンを集めて夥しい数のセッション活動を行っていますが、そこにはJohn Taylor(ピアノ)やJohn McLaughlin(ギター)などの英国ジャズロックシーンを語るうえで欠くことのできない重要人物が参加し、まさに百花騒鳴、百花繚乱の様相を呈していました。そんな先鋭的なセッション活動から生まれたこの最強トリオは、ジャズ、ロック、フリーなどという既成のジャンルの壁を木っ端微塵に破壊してしまう強烈なパワーが漲っています。

まあ、まずはオープニング「Oh,Dear」をお聴きいただければ、答えは簡単です。のたうち回るBarre Phillipsのベース、ドタドタと強引なリズムを打ち刻むStu Martinに割って入るように響きわたるJohn Surmanの雄叫び。ジャズの常識を完全に打ち砕く強烈な上昇&下降フレーズは、コルトレーンなどが生み出したフリーフォームとは、また違った斬新な音空間を作り上げています。

アナログ盤はかなりのプレミアがついて入手困難なのですが、CDは比較的容易に見つかると思います。知らない間に日本盤も出ているようですね。70年代ジャズロックを愛してやまない人にとっては、かなりの強力推薦アルバムです。

●Musicians
John Surman / baritone & soprano sax,bass clarinet
Barre Phillips / bass
Stu Martin / drums

●Numbers
CD 1
1. Oh,Dear
2. Dousing Rod
3. Silvercloud
4. Incantation
5. Caractacus
6. Let's Stand
7. Foyer Hall
8. Porte Des Lilas
9. Veritably

CD 2
1. In Between
2. 6's And 7's
3. Green Walnut
4. Billie The Kid
5. Dee Tune
6. Centering
7. Joachim
8. Drum
Dscf2132

2010年8月 6日 (金)

3人の名手による素敵な語らいGarbarek「Eventyr」

Dscf2125






Musician●Jan Garbarek(tenor & soprano sax,flutes)
Title●Eventyr(1981年)
■ディスクユニオンで購入

ECMレーベルを代表する名手3人が集まって作られた「奇跡のような1枚」ともいえる傑作です。メンバーは「北欧のコルトレーン」の異名をもつJan Garbarek(ヤン・ガルバレク)、ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)、ヴォイスとトーキングドラムを担当するNana Vasconcelos(ナナ・バスコンセロス)という豪華布陣です。1980年12月、オスロのTalentスタジオで収録されています。プロデューサーはECMの総帥、マンフレッド・アイヒャー。

Garbarekといえば寂寥感あふれる北欧の氷原を想起させる叫びが特徴的ですが、80年代に入ってからは本来の持ち味に加えて北欧のフォークトラッドや民族音楽などの要素を取り入れて独自の境地を切り開いています。このアルバムは、その端緒とも言えるかもしれません。

絶え間なく響きわたるGarbarekの雄叫びに、Abercrombieのエレキマンドリンが独自の浮遊感を加え、さらにVasconcelosのエスニカルなトーキングドラムがスパイス的な絶妙な味付けをもたらしています。悲愴感一辺倒ではなく、ところどころになぜかホッとさせる空間が用意されているのが、心憎いところです。

それにしても相変わらずジャケットは美しいの一語に尽きますね。ジャケットも作品の一部であるという徹底した考え方はECMならではのもの。もちろん作品が高い水準であることが大前提の話ですが。いわゆる「ジャケ買い」をしてしまっても、決して後悔をさせない美しい作品です。

●Musicians
Jan Garbarek / tenor & Soprano sax,flutes
John Abercrombie / guitar,electric-mandlin
Nana Vasconcelos / berimbau,talking drum,percussin,voice

●Numbers
1. Soria Maria
2. Lillekort
3. Eventyr
4. Weaving A Garland
5. Once Upon A Time
6. The Companion
7. Snipp,Snapp,Snute
8. East Of The Sun And West Of The Moon
Dscf2126

2010年8月 5日 (木)

ソ連、いや違ったロシアのバンドにホールズワースが参加!

Dscf2088






Musician●Gorky Park
Title●Stare(1996年)
■Gemm.comより購入

東欧圏リリースの音源を紹介します。ロシア共和国出身の「Gorky Park」(ゴーリキー・パーク)というバンドです。私世代(1960年代生まれ)からすると、ロシアというよりソビエト連邦共和国、ソ連のイメージが刷り込まれてしまっていて、未だにソ連と言ってしまいます。怖いですね、教育による刷り込みって。

出典は覚えていませんが若い頃に読んだ新聞記事では、ロックは反体制(この場合の体制はソ連共産党)の音楽であると同時に、享楽的で退廃的な西側文化である。だから、西洋のロックを公には聴くことは許されない。それでも、ロックに目覚めた若い人がゲリラ的にコンサートを開いたり、彼らの音源が地下的に流通している。官憲も彼らの摘発に乗り出していて、何度も逮捕されたロッカーもいる、などという内容だったと思います。これまた名前は覚えていませんが、ソ連の反体制ロッカーがアコースティックギターを抱えてダミ声でがなり立てる音楽を聴いたこともあります。記憶をたどると1970年代中盤の頃の話です。

確かにソ連政府が西洋文化の流入に制限を加えていたことは事実ですし、特に西側諸国からの海外放送(Voice Of Americaか現地駐留米軍対象のFENだったと思います)に対して、「ジャミング」と呼ばれる妨害電波を発信して、特定の放送からの情報をシャットアウトしていました。しかし、実際には地続きのヨーロッパですから短波放送はもちろん、夜間になれば中波(AM)放送も傍受は可能で、若者たちは存分に西洋発の「いかれた音楽」を聴いていたに違いありません。ちなみに妨害電波、ジャミングを流して異国の文化の流入を国家的に行っていたのは、アルバニア、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国が代表的なところ。アルバニアはホッジャ政権崩壊後はなくなりましたが、中国と北朝鮮は間違いなく現在でも行っているはず(違っていたらごめんなさい)。最近の「Google VS 中国政府」を見ても明らかですし、北朝鮮に至っては何をかいわんやです。

前置きが長くなりました。いまでこそ多くの西側ミュージシャンはロシアをはじめとした東欧圏でもコンサートを開いていますし、CDも普通に流通しています。ですから、少なくともヨーロッパでは東側も西側も音楽の世界では垣根はないといっていいでしょう。今回、紹介する「Gorky Park」(ゴーリキー・パーク)は当地ではそれなりのキャリアがあるようで、旧ソ連政権時の1987年に結成。このアルバムは3枚目になります。アメリカ遠征を企てたこともあるようですが、どうやら不発だったようで傷心のもと帰国して作られたのが本作品です。アメリカ時代では当時流行っていたLAメタルを志向したようですが、スラブ民族が脳天気なアメちゃんと互角に立ち回るなんて無理筋です。民族、宗教、気候、食べる物が違いすぎます。

で、なんでこのアルバムかというと、なんとギターにAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が参加しているのです。Holdsworthは時々妙な行動を起こしますが、このバンドへの参加はその最たるものでしょう。しかし、どういう経緯で知り合って、共演に至ったのでしょうか。まるでわかりませんが、何でもあり状態なら、日本のバンドでも試しにオファーしたら受けてくれるかもしれませんね。かなりの親日家であることは確かですから。Holdsworthは7曲目「Don't Make Me Stay」に満を持して登場します。プログレっぽい重厚な楽曲に、例のウネウネフレーズが妙にマッチしていてそれなりに聴かせます。この1曲のためにお金を出せるかはその人の金銭感覚によりますが、Holdsworthマニアなら少なくても「損」はないかと。

で、アルバム全体の完成度というと、メタルで行きたいのか、プログレに転向したいのかが、いまひとつ掴めず、旗色不鮮明の感が否めません。前後のアルバムを聴いていないので何とも言えませんが、過渡期的な作品なのでしょうか。

ついでに言いますと、特にメタルでは「ロシア盤」と呼ばれるものがけっこう流通しています。つまり別の国で作られたアルバムが、ロシアでコピー(レプリカ)され比較的安価(通常価格の6割くらい)で流通しているのです。元メーカーから正式なライセンスを受けているとは思いますし、品質的に劣るというわけではありません。私も数枚所有しています。しかし、なんでこんな「二重流通」がまかり通るのかは理解できません。

ところでジャケットには5人のメンバーが写っていますが、素性がわかったのが4人まで。すみません、あと1人はわかりません。

●Musicians
Alexander "Big Sahara"Minkov / vocal.bass
Alexei Belov / guitar
Alexander Lvov / drums
Jan Janenkov / guitar

Allan Holdsworth / guitar on Don't Make Me Stay

●Numbers
1. Stare
2. California Promises
3. Five Wheel Drive
4. Ego
5. Stop the World I Want to Get Off
6. Taiga
7. Don't Make Me Stay
8. Live for...
9. Scared
10.Animal Shelter
11.Ocean

ジャケット中面にはおそらく大型ショップの広告の広告が。アルバムジャケットで広告収入を得るビジネスモデルは初めて見ました。どのくらいの広告効果が期待できるかはわかりませんが、正直な話、こんなところに広告を入れるのなら、メンバー紹介くらいはきちんとしてほしいですよね。
Dscf2089

2010年8月 4日 (水)

第2期RTFの幻のライブ音源が聴けるアンソロジー

Dscf2129






Musisian●Return To Forever
Title●Return To Forever The Anthology(1996年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代にフュージョンブームの火付け役を担った「Return To Forever」(RTF)は御大Chick Coreaの大きな存在感は言うに及びませんが、多くの若手ミュージシャンをを発掘し、育て上げ、一人前に仕上げたという点でも後世に残る素晴らしいバンドだと確信します。最近になって、第2期RTFが「Reunion」していますが、大ベテランと言えるキャリアながら実にパワフルな演奏を聴かせてくれています。ふつうはベテランになればなるほど手を抜きたがるものですが、そんな雰囲気は微塵も感じさせません。

さて、CD2枚に収められたこの貴重なライブ音源ですが、内容的には第1期と第2期のものです。とは言いつつ、一応は「編集盤」という扱いでスタジオ録音とライブ音源が混在する形で年代別に編纂されています。したがって、スタジオ盤をすべて所有している人にとっては「重複」が多いわけですが、それでも4曲の「未発表ライブ音源」の魅力には抗しがたいものがあるわけです。

個人的にはCD1に収録された「初代ギタリスト」Bill Connors在籍時のライブ音源が興味の的です。ご存じのとおり2代目ギタリストのAl DimeolaがRTFを踏み台にして一躍スターダムにのし上がったのに対して、Bill ConnorsはRTF退団後はStanley Clarkeのソロアルバムに参加した後、単身ヨーロッパに渡りECMレーベルでアコギ中心の地味な活動に転向しました。2人のギタリストの余りに対照的な生き方にはある種の感慨を覚えずにはいられないのです。

●Musicians
Chick Corea / electric piano
Stanley Clarke / bass
Joe Farrel / tenor sax,flute
Airto Moreira / drums,percussion
Flora Purim / vocals,percussion
Bill Connors / guitar
Steve Gadd / drums
Mingo Lewis / percussion
Lenny White / drums
Al DiMeola / acoustic & electric guitar

●Numbers
[CD 1]
1. 500 Miles High
2. Captain Marvel
3. Light As A Feather
4. Spain(live #1)
5. After The Cosmic Rain(live #1)
6. Bass Falk Song(live #1)
7. Hymn Of The Seventh Galaxy
8. Captain Senor Mouse
9. Theme To The Mothership

[CD 2]
1. Vulcan World
2. Beyond The Seventh Galaxy
3. Earth Juice
4. The Shadow Of Lo(live #2)
5. Where Have I Known You Before
6. Song To The Pharoah Kings
7. Dayride
8. No Mystery
9. Flight To The Newtown
10.Celebration Suite(pt1,pt2)

live #1 Live at Quiet Village,1973
live #2 Live at Electric Lady Studio,1975
Dscf2130

2010年8月 3日 (火)

おそるべしオージー人脈!Sam Arianoのソロ

Dscf2103


Musician●Sam Ariano(drums)
Title●Emalgamation(2004年)
■ディスクユニオンで購入

オーストラリアを代表するフュージョン系ドラム奏者、Sam Ariano(サム・アリアノ)による初ソロアルバムです。おそらく日本では無名に近いのではないかと思われますので、ライナーを頼りに簡単な人物紹介を。

Sam Arianoは1972年オーストラリアはメルボルン生まれ。10代からプロ活動を開始し、96年に渡米しフランク・カッツやジョー・モレノなどと共演しています。また豪州を代表するプログレバンド「Planet X」や何とAllan Holdsworthのツアーサポートメンバーも務めています。2000代に入るとあの「Gongzilla」のツアーにもサポートとして参加しています。ざっとキャリアをチェックすると、ジャズフュージョンの王道を歩んできたセッションドラマーということが判明します。

さて、今年38歳という若さに似合わない豊富なキャリアを誇るSam Ariano。記念すべきソロデビューということで、豪州の凄腕ミュージシャンがよってたかってサポートしています。メンバーがとにかく凄いですよ。ギターにFrank GambaleとBrett Garsedというオーストラリア出身の2大ギタリストをはじめ、売れっ子サックス奏者Brandon Fieldsの名前も。コアなメンバーを見ると、Evripides Evripidou(ベース)、Simon Hosford(ギター)、Phil Turcio(キーボード)の名前が見られますが、この3人は豪州出身の超絶ドラマーでテクニカルジャズロック集団「Planet X」のメンバーVirgil Donati(ヴァージル・ドナティ)が結成した「On The Virg」の面々です。つまりは、ほとんどがオージー人脈なのです。

肝心の音ですが、大変心地よいジャズフュージョンサウンドに仕上がっています。メタル的、プログレ的なハードなアプローチもあれば、ちょっと南国風、カリプソ的なハートウォーミングなサウンドもあり。一般的には内容がバラエティーに富むと散漫になる傾向がありますが、それぞれの楽曲の完成度が高いため、そんなことは微塵にも感じさせません。素直に表現すれば、「格好良い!」に尽きます。Sam Arianoも豊富なセッション歴を誇るだけに、変拍子もありストレートアヘッドもありと、実に変幻自在。リード楽器の魅力を十分に引き出すプレイには感心しきりです。良質なジャズフュージョンサウンドをご所望の方に強力推薦します。

●Musicians
Sam Ariano / drums
Evripides Evripidou / bass
Simon Hosford / guitar
Phil Turcio / keyboards

Frank Gambale / guitar
Brett Garsed / guitar
Brandon Fields / sax

●Numbers
1. Worm Holes
2. Blue Skies On Mars
3. New Life
4. Suicide
5. Legion
6. Language Of The Angels
7. Orgasmic Eggs
8. Going Back(Go Back)
9. Icefields
10.Slanky Panky
Dscf2104

2010年8月 2日 (月)

Kenny Wheelerの貴重なECM作品

Dscf2121






Musician●Kenny Wheeler(trumpet,fluegelhorn)
Title●Deer Wan(1977年)
■ディスクユニオンで購入

イギリスを代表するベテラントランペット&フューゲルホルン奏者Kenny Wheeler(ケニー・ホイーラー)によるECM作品です。1977年リリース。Kenny Wheelerは60年代後半からジャズロックシーンで頭角を現しはじめ、自身初のリーダーアルバム「1976」では典型的なジャズロックサウンドを聴かせてくれました。その後、ECMに活動の場を移しますが、一転して耽美的な作風へと変わっています。本作品は記念すべきECM移籍第1弾にあたります。そんなわけで、参加メンバーも大変豪華な布陣です。Jan Garbarek、John Abercrombie、Dave Holland、Jack DeJonette、Ralph TownerというECMオールスターの様相です(Ralph Townerは1曲のみ参加)。

注目するべきはGarbarekとWheelerという管楽器2トップの競演ですが、Wheelerはおもにハートウォーミング部門、Garbarekはクール&スマート部門担当とそれぞれ棲み分けているようです。しかし、その役割分担も形式的なもので楽曲が盛り上がるにつれて2人のブローが渾然一体となって絡み合い、融合し、解け合っていき、えも言われぬ桃源郷の世界を現出させています。この2人に絡むギターのJohn Abercrombieも負けじと浮遊感いっぱいのソロで応酬。強力リズム隊の活躍も相まって、「Deer Wan」で大団円を迎えるという黄金の展開に身を任せていると、どんどん彼らの音楽観に引き込まれていく自分に気がつきます。1曲のみ参加のTownerの精緻なアコギも、作品に対して見事なスパイスとして効いています。山椒的な感じでしょうか。

●Musicians
Kenny Wheeler / trumpet,fluegelhorn
Jan Garbarek / tenor & soprano sax
John Abercrombie / guitar,electric-mandlin
Dave Holland / bass
Jack DeJonette / drums
Ralph Towner / 12-strings guitar

●Numbers
1. Peace For Five
2. 3/4 in the Afternoon
3. Sumother Song
4. Deer Wan
Dscf2122

2010年8月 1日 (日)

知られざるテクニカル系ギタリスト、Jan Cyrka

Dscf2111






Musician●Jan Cyrka(guitar)
Title●Beyond the Common Ground(1992年)
■Gemm.comより購入

イギリス出身のテクニカル系ギタリスト、Jan Cyrka(ヤン・サーカ)のデビューアルバムです。1992年リリース。ヴォーカル抜きのオールギターインストで当時「スティーヴ・ヴァイの再来!」のような宣伝コピーに惹かれて購入しました。

確かに全体を通して聴くとヴァイやジョー・サトリアーニといったテクニカル系のギタリストの影響を感じられます。でも、彼らほど弾きまくりのテクニック至上主義という感じではないように感じます。特にスローな曲になると、ソロは泣きに泣きまくりの状態に。その意味では、日本人受けしそうなテイストで一杯です。しかし、印象としてはほかのテクニカル系ギタリストと比べると、大技を繰り出すわけでもなく、ビジュアル面で目立つわけでもなく、地味といえばかなり地味。だから「知られざるギタリスト」と書かざるを得ないのです。

この原稿を書くためにあらためて聴き直してみると、たとえばピッキング・ハーモニックスが異常に多用されていたり、派手すぎるウラメロの連続に少しだけ気恥ずかしくなりますが、デビュー作ということで大目に見ましょう(笑)。少しだけ懐かしいギターインストアルバムという感じで臨めばそれなりに楽しめると思います。特に1曲目「Horse Of Another Colour」のひつこ過ぎるハーモニックスは時代を感じさせます。

Jan Cyrkaはその後2枚ほどアルバムを出しています。特に3枚目では女性ヴォーカルを導入したり、イギリス古来の民話をモチーフにした組曲に挑戦するなど、意欲的な作品でした。しかし、それ以降の活動については実はよく分かりません。彼自身のホームページもずっと更新されていません。いったい彼はいま何をしているのでしょうか。

と気になっていたところ、いまをトキメクGuthrie Govan(ガスリー・ゴヴァーン)などのテクニカル系ギタリストのプロデュースをしているようです。何気なくGuthrie Govanの作品クレジットを見ていてJan Cyrkaの名前を見つけたときはけっこう嬉しかった!

●Musicians
Jan Cyrka / guitars,keyboards,bass
Giles McCormick / bass
Jack Ryan / drums
Pete Giles / keyboards

●Numbers
1. Horse Of Another Colour
2. The Equaliser
3. Two Wheels Are Better Than Four
4. In Search Of Common Ground
5. On The Contrary
6. From Your Lips
7. Western Eyes
8. Missing The Motive
9. I Remember
10.Sitting On Eggs
11.The Hoodlum
Dscf2112

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