高速アルペジオがますます映えるBen Mondr「Oceana」
Musician●Ben Monder(guitar)
Title●Oceana(2005年)
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NYの先進的なジャスギター界をリードする奇才、Ben Monder(ベン・モンダー)によるソロ第4枚目です。レコーディングされたのが2004年で、翌2005年リリース。前作「EXcavation」が2000年リリースでしたから約5年ぶりの作品ということですが、別にその間は働いていなかったということではなく、ファンの方ならご存じのように夥しい数のセッション活動を行っていたので、当時も今も「最も働き者のギタリスト」と言っても過言ではないと思います。前作から本格的に活動を共にしているドイツ出身の奇才、Theo Bleckman(テオ・ブレックメン)が継続して参加しています。
さて、Ben Monderのギター奏法の際だった特徴として、何と言っても「高速アルペジオ」があげられますが、もちろんこのアルバムでも健在です。いきなり1曲目「Still Motion」から∞地獄のようなアルペジオが延々と聴かれますが、前作までは12弦ギターを使っていたのに対して、ここではアコースティックギターで実に渋く責め立ててきます。転調のたびにフッレット移動の音が聴こえてきて、静寂な中にも奇妙な緊張感が漲ります。そこにTheo Bleckmanのファルセット的な不思議なボイスが被さってきて、えも言われぬ不思議な空間が目前に広がります。
さて、Ben Monderのアルバムには必ず1曲だけギターソロを全面に押し出した曲が入るのが恒例になっています。6曲目「Rooms Of Light」がそれに当たりますが、従来聴かれなかったプログレ風のリフにTheo Bleckmanの幻想的なファルセットとが怪しく絡み合って、かなり凄い感じの曲に仕上がっています。そうこうしているうちに極めて攻撃的なギターソロが鳴り響きますが、これまでのBenderのアルバムの中では個人的にベストテイクではないかと思います。この曲で聴く者を限界まで煽っておいて、最後の曲で一挙にクールダウンさせる。この見事すぎる展開には、正直に言って「まいった!」の言葉しか出ません。
発売当初はほぼ毎日のように聴きまくりましたが、いまあらためて聴き直しても凄い作品だと思います。多くのセッション活動をこなしているうちに、「こんなことをやってみたい」という欲求が高じて、マグマのよう噴出した結果ではないかと思います。
●Musicians
Ben Monder / guitar
Theo Bleckman / voice
Kermit Driscoll / bass on Oceana,Echolalia
Skui Sverrisson / bass on Room Of Light,Spectre
Ted Poor / drums
●Numbers
1. Still Motion
2. Light
3. Oceana
4. Echolalia
5. Double Sun
6. Room Of Light
7. Spectre
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