70年代ジャズロックの代表作「Barefoot Boy」
Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Barefoot Boy(1972年)
■Tower Recordで購入
1960年代から活躍するジャズギター界の大御所、Larry Coryell(ラリー・コリエル)による1972年の作品です。70年代はCoryell自身が実に精力的に活動していた時期で、実に多数のアルバムを残しています。このアルバムもそのうちの1枚です。メンバーはSteve Marcus(soprano-sax)、Lawrence Killian(conga)、Roy Haynes(drums)、Harry Wilkinson(percussion)、Mervin Bronson(bass)、Michael Mandel(paino)という構成。打楽器奏者がやたらと多いのも特徴的です。
何と言ってもこのアルバムの聴きどころは、サックス奏者Steve Marcus(スティーヴ・マーカス)とのソロの掛け合いです。Coryell自身もSteve Marcusのソロアルバムにゲスト参加するなど親交が深い2人ですが、純粋なジャズサックス奏者というよりクロスオーバー的なアプローチのSteve Marcusと、ロック的なプレイを得意とするCoryellとの相性はやはり抜群です。
1曲目「Gypsy Queen」はハンガリーのギタリストGabor Szaboによる曲。Steve Marcusの激しいブローとCoryellお得意のフィードバック奏法とが妙にマッチしてかなりの高揚感を味わえます。リズム隊が連打するポリリズムに身を任せていると妙なトランス状態に陥りそうです。70年代ジャズロックの醍醐味ですね。
2曲目「The Great Escape」はCoryellの曲。ファンキーなリズムに乗ってCoryellのギターが縦横無尽に暴れまくります。リズム隊を強化したのは、この曲のためだったのではないでしょうか。一発録りっぽいスタジオライブ的な感覚が生々しいですね。
3曲目「Call To The Higher Consciousness」は何と20分に及ぶ大作。Coryellによるブルース感覚あふれるソロとMarcusによるフリーキーなブローとの緊張感あふれる応酬は70年代ジャズロック史上に残る名演だといっても過言ではありません。やはりCoryellは純然たるジャズギタリストというよりこういうクロスオーバー的なアプローチが似合うギタリストです。ところで、15分くらい経過するといったんフィナーレ的な展開に持ち込まれますが、ゾンビ的の復活するひつこさが70年代っぽいです。あくまでも濃くて熱いプレイの連続です。
そんなわけで、いまあらためて聴き直してみるとさすがに時代を感じさせてしまいますが、40年近く前にはこんな「熱い音楽」があったのかと妙に感心してしまいます。きょうびの軟弱な音楽に辟易としている諸兄には強力推薦いたします。
●Musicians
Steve Marcus / soprano-sax
Lawrence Killian / conga
Roy Haynes / drums
Harry Wilkinson / percussion
Mervin Bronson / bass
Michael Mandel / paino
●Numbers
1. Gypsy Queen
2. The Great Escape
3. Call To The Higher Consciousness
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