2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2010年7月

2010年7月31日 (土)

80年代型キンクリ第2弾「Beat」

Dscf2135






Musician●King Crimson
Title●Beat(1982年)
■ディスクユニオンで購入

1981年にリリースされた「Discipline」(鍛錬)に続いて発表された1980年型キンクリの第2弾です。通算では9枚目になります。キンクリとしては珍しく同一メンバーで連続して作られた初の作品ということです。したがって、前作との正当な比較が可能になっています。

と書きましたが、路線としては完全に前作の延長線上にありますが、あえて「違い」を見つけるとアルバムタイトル「Beat」にあるように、一段と「ポリリズム」が強調されています。したがって楽曲自体はややシンプルになり、リズム隊の存在感がより際だって感じられます。前作から加入した変態ギタリストAdrian Below(エイドリアン・ブリュー)の存在感もかなりのもので、御大フリップ卿と対等に渡り合うまでに。1曲目「Neal And Jack And Me」からして、凄まじいばかりの破壊力満点のポリリズムにはただただ驚くばかり。前作から全面的に押し出されている「正確無比なアルペジオ攻撃」も、一段と磨きが掛かってきたように思えます。それに加えて、Talking Heads時代から磨いてきたブリューの変態ソロが渾然一体となって絡まりあい、キッチュで奇天烈なサウンドに仕上がっています。

ところで「60年~70年代型キンクリ」のファンにとっては、「Discipline」から始まった「80年型キンクリ」はまるで異質のものとして語られることが多いように思います。なかにはあからさまに毛嫌いする人も多いように感じます。つまりは「こんなアルバムはキンクリとは認めるわけにはいかん」「これでキンクリは終わった」などという評価です。

両者を比べると確かに全く別モノだとは思いますが、なにもそこまでして嫌う必要もないと思うのです。語弊があることを百も承知で申し上げますが、どうもプログレファンは「教条主義」に走る人が多いように思えます。音楽を聴くスタイルは人によって千差万別、好きなように聴けばいいわけですが、何も排他的になることもないのに、自由に聴けばいいのに、と感じます。個人的には「また違ったバンドが出てきた」程度の認識ですから、まったく苦にはしていません(笑)。

もしかしたらそんな「論争」が起きることも、フリップ卿にとっては事前に織り込み済みなのかもしれませんね。たぶんあのニヒルな表情で「ニヤリ」とほくそ笑んでいるに違いありません。

●Musicians
Adrian Below / guitar,lead vocal
Robert Fripp / guitar,organ,frippertronics
Tony Levin / stick,bass.support vocal
Bill Bruford / drums

●Numbers
1. Neal And Jack And Me
2. Heartbeat
3. Artori In Tangier
4. Waiting Man
5. Neurotica
6. Two Hands
7. The Howler
8. Requim
Dscf2136

2010年7月30日 (金)

地味に地味に。Coryellのアコギ作品Standing Ovation

Dscf2133






Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Standing Ovation(1987年)
■Amazon Germanyより購入

1970年代のジャズロックシーンを牽引したギタリスト、Larry Coryell(ラリー・コリエル)による1987年の作品です。アルバムタイトルが示しているように、オベーションギター1本で作り上げた作品です。これまでも、一部ではアコースティックギターを使用することもあったCoryellですが、やはり彼の真骨頂はギンギンのエレキギターでグイグイ引っ張るプレイが身上ではないかと思っていました。そこにきてのアコギ1本のアルバムですから、やはりファンにとっては戸惑うのは無理もないかもしれません。

そんなわけで、一見かなり地味に映るこの作品ですが、オベーションギターから紡ぎ出される表情豊かなサウンドの数々は、一聴の価値があります。そういえば1980年代はCoryellをはじめとして多くのギタリストがこのオベーションを使っていて、一世を風靡していたような記憶があります。ギター小僧にとっては憧れの的でした。

時にロック調、時にスパニッシュ調、時にクラシカル調と、変幻自在、自由自在に弾き分けられたこの作品は、聴く者はもちろん、Coryell自身も存分に楽しみながらプレイしていることが十二分に伝わってきます。

わずか30数分という小粒な作品ですが、後の「ボレロ」などに代表されるアコースティック路線への導入的な意味をもつはずです。そのことはアルバムジャケットに書かれた「The Best LP I Ever Made」というコリエルによる自信の言葉で裏づけられているのではないでしょうか。

ところで、アナログ盤は比較的容易に入手できるのですが、CDはドイツのメーカーが細々と制作している模様です。したがって国内で探すよりも、海外サイトをチェックされてみては? 私はあっさりとAmazonドイツで発見しました。意外と安かったと思います。

●Musician
Larry Coryell / guitar

●Numbers
1. Discotexas
2. Excerpt
3. Ravel
4. Wonderful Wolfgang
5. Piano Improvisation
6. Sweet Shuffle
7. Moon
8. Park It Where You Want
9. Spiritual Dance
Dscf2134

2010年7月29日 (木)

ギターにBコナーズが参加のStanley Clarkeソロ

Dscf2149






Musician●Stanley Clarke(bass)
Title●S
ame(1974年)
■ディスクユニオンで購入

Return To Forever(RTF)の2代目ベース奏者Stanley Clarke(スタンリー・クラーク)による2ndソロアルバムです(1stは「Children Forever」)。1974年発売ということでまだRTF在籍中ですが、ほんのちょっとしたアルバイト気分で録音したという感じではないと思います。というのも、参加メンバーがあまりに凄いからです。まずは説明不要のドラム奏者Tony Williams(トニー・ウィリアムス)、チェコ出身のJan Hammer(ヤン・ハマー)、そしてギターに第2期RTFの同僚、Bill Connors(ビル・コナーズ)という最強のメンバーです。さらにサウンドに厚みを持たせるためにストリングスとブラス軍団が加わります。NYのElectric Ladylandスタジオで録音されています。

第2期RTFももちろん素晴らしいのですが、やはり御大Chick Coreaの指導下に置かれていることには違いありません。そんな監視の目から解放されたStanley Clarkeは実に伸びやかな音を出しています。まるで課長が早退した午後の一時ですね。まず、1曲目の「Valcan Princess」からして秀逸の出来映え。RTFではあまりできなかったファンク色全開のClarkeをリードにメンバー全員が凄まじいプレイを炸裂させています。どうしてもRTFとの比較になりますが、サウンドがよりヘヴィーになっているのはブラスの導入とTony Williamsの加入の影響大であることは間違いありません。ギターのConnorsも課長の監視下から逃れて実に伸びやかなプレイを炸裂させています。Connorsはこの後にECMへ移籍しアコギ路線へと転向してしまいますので、エレクトリック時代の最後のプレイとなってしまいます。

親分の影響がありありと出ていた1stに比べると「Clarkeらしさ」が出ている作品だと思いますが、個人的な好みでいえば4曲目「Power」での見事過ぎる曲展開がベストです。ファンク色満開から、一転して未来派フュージョンへと転調するあたりはため息が出るほどの素晴らしさです。

ClarkeはJeff Beckとの共演作のほうが知名度が高いようですが、気合いの入り方といい、作品の出来としてはこちらのほうが数段上ではないかと勝手に思っています。

●Musicians
Stanley Clarke / bass,piano,vocals
Jan Hammer / moog synthesizer,piano,organ
Tony Williams / drums
Bill Connors / guuitars

●Numbers
1. Vaccan Princess
2. Yesterday Princess
3. Lopsy Lu
4. Power
5. Spanish Phases For String & Bass
6. Lifr Suite
Dscf2150

2010年7月28日 (水)

日本を代表するシンフォ系プログレバンド「Mr.Sirius」のデビュー作

Dscf2139






Musician●Mr.Sirius
Title●Barren Dream(1986年)
■ディスクユニオンで購入

日本を代表するシンフォ系プログレバンド「Mr.Sirius」(ミスター・シリウス)のデビューアルバムです。1986年リリース。バンマスの宮武和宏さんは、ページェントなどでも活躍しています。ほかのメンバーとして永井博子(大木理沙、ボーカル)、藤岡千尋(ドラム)などをコアなメンバーに、ゲスト参加として大谷礼文(元MARINO、ギター)、小川文明(元ブラック・ペイジ、ピアノ)などが参加し、関西プログレ&ハードロック集団が大同団結という様相です。

何と言っても宮武和宏さんが生み出す幻想的なシンフォニックサウンドが秀逸で、加えて永井博子さんの何とも表現しがたいほどの美しさをたたえたボーカルとの絡みは、まるで一幅の名画を愛でるような感覚になります。ともすれば、プログレはキンクリやYESなどの欧米系が幅を利かせているような認識が一般的ですが、ところがどっこい、このアルバムを聴けば「日本のプログレも侮れないぞ」という思いに至るはずです。

Mr.Siriusは1990年にギタリストを迎えてセカンド「Dirge」をリリース。また、抱腹絶倒のライブアルバムもリリースしますが、その後は活動停止状態に。現在、バンマスの宮武さんは地元大阪で和傘のネット販売業をしていますが、良質な製品ときめ細かいサービスが効を奏し、ネット企業家として各種講演会やマスコミ取材対応などでよくお名前を拝見します。でも、一度だけでもいいですから、バンド復活を切にお願いしたい次第です。

●Musicians
宮武和宏 / flute,keyboards,mellotron,guitar
永井博子 / vocal
藤岡千尋 / drums
大谷礼文 / guitar
清水義央 / guitar
高山 博 / flute
小川文明 / piano

●Numbers
1. All The Fallen People
2. Sweet Revenge
3. Step Into Easter
4. Intermezzo
5. Eternal Jealousy
6. Lagrima
7. Barren Dream
Dscf2140

2010年7月27日 (火)

凄まじいCrosswindの未発表ライブ音源

Dscf1654






Musician●Crosswind
Title●Live Unknown Days(1982年)
■Amazonより購入

知る人ぞ知る超絶ギタリスト小川銀次が率いるフュージョンバンド「クロスウインド」。70年代後半から80年代初頭にかけて活躍していました。RCサクセションのギタリストとしても有名ですね。「クロスウインド」は3枚のスタジオ盤を残していますが、ライブ音源はまったく初めてです。詳細な録音日時は不明とのことですが、 1982年ということですからアルバム「そして夢の国へ」と同時期だと思われます。場所は銀座の「Lo-D PLAZA」。収録曲は「クロスウインド1」「クロスウインド2」「そして夢の国へ」からが中心ですが、「いたずらリス」「とても大きなジャングルジム」という2曲が未発表曲です。

徹底的に作り込まれたスタジオ盤と違って、ライブでの小川氏のギターはラフで猛々しく、ときにジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせます。圧巻はなんといってもラストの「そして夢の国へ」。スタジオ盤と同様に丸尾めぐみの優しくささやくような歌声でスタートする壮大な楽曲は、スタジオ盤を遥かに凌ぐド迫力! ライブということで時間の制約がないだけに、小川氏はまるで鬼神のごとく弾きまくっています。

この壮絶なライブはもとよりプライベートで録音されたということです。CD化にあたっては膨大な量のカセットやらMDから小川氏自らがセレクトしたとのこと。したがって音質という点では普通のライブ盤と比較はできませんが、超ド級のプレイが音質面のハンディを十分すぎるほどカバーしてきます。また、小川氏自らが書いたライナーも妙な味わいがあるだけでなく、クロスウインドのレコーディングの裏話が初めて披露されています。

クロスウインドや小川氏のプレイに触れたことがない人はもちろん、ギター好きの人にもぜひ聴いていただきたいものです。ちなみに「クロスウインド1」「クロスウインド2」「そして夢の国へ」のスタジオ盤3作も紙ジャケット仕様で再発売されています。このライブ音源を含めて4枚ともおそらく2度と発売されることはないと思います。興味がある人は早めに…。

●Musicians
小川銀次 / guitars
小林一夫 / Bass
そうる透 / drums
安西史孝 / keyboard
丸尾めぐみ / keyboard,vocal

ジミー林 / keyboard
樋沢達彦 / bass
日山正明 / drums

●Numbers
1. クロスウインド
2. 脱走
3. みのむし
4. 天まで昇れ
5. いたずらリス(未発表曲)
6. とても大きなジャングルジム(未発表曲)
7. 流氷
8. そして夢の国へ
Dscf1655

2010年7月26日 (月)

Band Of Gypsysの全貌が明らかに!

Dscf1809






Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●Live at the Fillmore East(1970年)
■ディスクユニオンで購入

黒人のみで結成されたJimi Hendrixのユニット、Band Of Gypsysのライブ音源はかなり昔から出ている「Band Of Gypsys」が有名です。ニューイヤーコンサートと題されたFillmore Eastでのライブは実際には1969年の大晦日から1970年の元旦にかけて4ステージが行われ、このアルバムは1曲を除き「Band Of Gypsys」以外のライブ音源をまとめたものです。したがって、このアルバムを聴くことによって、さらに全貌に迫ることができるのです。ちなみに重複しているのは、元旦の2ステージ目「We Gotta Live Together」です。何も考えずに、大晦日とか元旦と書いていますが、元旦はいいとして大晦日って英語ではどう表現するのでしょうね。ついでにいうと、このライブが行われた数ヶ月前、同地ではMiles Davisがコンサートを行っています。

Jimi Hendrixのライブ盤は、「いいとこ取りの音源」ばかりで、ひとつのステージとしての連続性が感じられなかったのですが、ここでは実際の演奏順ではないにせよ、2日間のステージを収めただけに、当時のライブのリアル感が直に伝わってきます。これは演奏ではありませんが、いちばん印象的なのがDisc2の冒頭に収録されている新年のカウントダウン。まさに「1970年よ、こんにちは♪」(三波春夫)です。新しい時代への期待感とは裏腹に、この数ヵ月後にはヘンドリックス本人が夭折するという現実との狭間に、無常感を感じえずにはいられません。

オリジナル「Band Of Gypsys」で驚異の爆音で驚かせた「Machine Gun」は2テイク収められていますが、ベストはやはりオリジナルテイクだと思います。聴き慣れていることもありますが、やはりオリジナルでの高ポテンシャルには及びません。でも考えてみれば、これだけ濃い演奏を1日2ステージもこなしているわけです。そうでなくても体調の好不調の波が激しいHendrixだけに、通して聴いてみるとそんな「アラ」も確かに聴こえてきます。

でもそんな部分をも含めて、生のHendrixを感じたい人にお勧めです。出費はややかさみますが、まずオリジナル「Band Of Gypsys」を聴いてから、本作を聴くと全体の流れがわかってより深く楽しめると思います。

●Musicians
Jimi Hendrix / guitar, vocals
Billy Cox / bass, backing vocals
Buddy Miles / drums, vocals

●Numbers
Disc 1
1. Stone Free
2. Power of Soul
3. Hear My Train a Comin'
4. Izabella
5. Machine Gun
6. Voodoo Child (Slight Return)
7. We Gotta Live Together

Disc 2
1. Auld Lang Syne
2. Who Knows
3. Changes
4. Machine Gun
5. Stepping Stone
6. Stop
7. Earth Blues
8. Burning Desire
9. Wild Thing

英語版ウィキに4ステージのラインアップが出ていましたので転載します。

* indicating inclusion on the Band of Gypsys album 1970
+ indicating inclusion on the Live At The Fillmore East CD 1999

*印の曲がオリジナル盤収録、+印の曲が2枚組「完全版」収録です。

■Wednesday, December 31, 1969 (First Fillmore East set)
1. Power Of Soul
2. Lover Man
3. Hear My Train A-Comin' +
4. Them Changes  +
5. Izabella  +
6. Machine Gun
7. Stop
8. Ezy Ryder
9. Bleeding Heart
10.Earth Blues
11.Burning Desire

■Wednesday, December 31, 1969 (Second Fillmore East set)
1. Auld Lang Syne +
2. Who Knows +
3. Stepping Stone
4. Burning Desire
5. Fire
6. Ezy Ryder
7. Machine Gun +
8. Power Of Soul
9. Stone Free/Nutcracker Suite/Drum Solo/Outside    Woman Blues/Cherokee Mist/Sunshine Of Your Love
10.Them Changes
11.Message Of Love
12.Stop
13.Foxy Lady
14.Voodoo Child (Slight Return)
15.Purple Haze

■Thursday, January 1, 1970 (Third Fillmore East set)
1. Who Knows *
2. Machine Gun *
3. Them Changes
4. Power of Soul +
5. Stepping Stone +
6. Foxy Lady
7. Stop +
8. Hear My Train A-Comin
9. Earth Blues
10.Burning Desire +

■Thursday, January 1, 1970 (Fourth Fillmore East set)
1. Stone Free/Little Drummer Boy +
2. Them Changes *
3. Power of Soul *
4. Message Of Love *
5. Earth Blues +
6. Machine Gun +
7. Voodoo Child (Slight Return) +
8. We Gotta Live Together * +
9. Wild Thing +
10.Hey Joe
11.Purple Haze
Dscf1810







Dscf1811

2010年7月25日 (日)

「New Tony Williams Lifetime」誕生前夜の「Wildlife」

Dscf1118






Musician●Tony Williams(drums)
Titel●Wildlife(1975年)
■購入先不明

1970年代にリリースされた多くのジャズロックアルバムは、メジャー、マイナーを問わす大変興味深い作品が多く、個人的には大好きなジャンルです。かつてMデイヴィスの楽団で一躍名を馳せた「地下鉄ドラマー」Tony Williamasは「第1期Lifetime」ではジョン・マクラフリンと組んでカオスの世界を追求し、メンバーを入れ替えて装いも新たに再出発した「第2期Lifetime」とも言える「New Lifetime」では、イギリスのジャズロックバンド「Soft Machine」で活躍していたギタリスト、Allan Holdsworthを招へいする形で新たなスタートを切りました。

この「New Lifetime」ではオフィシャルなアルバムとしては「Believe It」(1975年)と「Million Dollar Legs」(1976年)の2枚がリリースされていますが、実はグループ結成に先立ってセッションが行われています。そのメンバーを見てびっくり! ベースには何とJack Bruceが参加しているのです。スウェーデンのストックホルムで行われたため「ストックホルム・セッション」と言われる「幻の音源」ですが、あとはキーボードのオーバーダビングを施せば完成一歩手前という段階になって「お蔵入り」してしまいました。したがってオフィシャルなルートではなく、海賊盤でのみ聴くことができます。

このセッションがユニークなのは、女性ボーカル(Luara "Tequila" Logan)が大胆にフューチャーされている点です。この人、いままでよく知らなかったのですが、ラリー・ヤングの作品に参加していて、かなりソウルフルな歌声のシンガーです。

楽曲はというと「Believe It」の前夜という感じで、たとえば「Believe It」収録の「Fred」は「The Spirit」というタイトルでプレイされています。コンセプトとしてホールズワースの個性を全面に押し出すという考え方があったようで、とにもかくにもホールズワースは弾きまくり状態。「Believe It」もかなりの暴れようでしたが、このアルバムは優にその2倍は弾きまくっているのではないでしょうか。また、現在の感覚ですと、ソウル&ファンクとホールズワースとの組み合わせは、水と油の関係だと思いますが、意識的にロックタッチなプレイをすると、このLuara "Tequila" Loganとの相性は素晴らしいものに変わります。不思議ですね。

通称「Wildlife」と呼ばれるこの幻のアルバムですが、スタジオワークさえキチンと施せば、オフィシャル音源として十分に通用する完成度とポテンシャルをもっていると思います。「New Tony Williams Lifetime」誕生前夜という資料的な価値も十分高いはずです。

Recorded at Stockholm, Sweden, 1975 Studio Sessions
Unreleased Album "Wildlife"

●Musicians
Tony Williams / drums
Allan Holdsworth / guitars
Webster Lewis / keyboards
Jack Bruce / bass
Luara "Tequila" Logan / vocals

●Numbers
1.Scirocco
2.Hot And Sticky
3.Little Zorro
4.Happy Tears
5.The Spirit

右奥にジャック・ブルースが写っています
Dscf1119

2010年7月24日 (土)

現代フュージョンのオールスター戦。Sebastiaan Cornelissenのソロ

Dscf1756






Musician●Sebastiaan Cornelissen(drums,guitar)
Title●U-Turn(2009年)
■Abstract Logixより購入

オランダ出身で多くのジャスフュージョンアルバムで活躍しているドラム奏者Sebastiaan Cornelissenによる2ndソロ(たぶん)。2009年リリース。

彼の豊富なキャリアと幅広い人脈を証明するかのごとく、参加メンバーが凄いことになっています。Allan Holdsworth系人脈ではGary Husband、Steve Hunt、Richard Hallebeek、Alex Machacekが、Scott Henderson系ではScott KinseyとGary Willisが参加。おっと、Bill Connorsと共演したTom Kennedyの名前も見られます。ドイツからはSusan Weinert姉さんも駆けつけています。もっとも、それぞれが重複してさまざまなアルバムに参加しているので、ほとんどが顔見知りなのでしょうね。

さて、メンバーの音楽性とキャリアから期待できるように、展開されるのはガチンコ勝負のテクニカルフュージョン。間違いないというやつです。特にさまざまな個性派ギタリストが何人も参加していますから、それぞれのプレイを堪能できるという楽しみも大きいですね。個人的なお勧めは何といってもRichard HallebeekAlex Machacekの2人の若手ギタリストの共演です(実際は共演してはいませんが)。

●Musicians
Sebastiaan Cornelissen / drums,guitar
Gary Husband / keyboards
Steve Hunt / keyboards
Scott Kinsey / keyboards
Richard Hallebeek / guitar on Up There,Squash
Alex Machacek / guitar on Last One
Susan Weinert / guitar on Snox!
Leonardo Amuedo / guitar
Mike Outram / guitar
Jimmy Earl / bass
Tom Kennedy / bass
Frans Vollink / bass
Hadrien Feraud / bass
Johnny Copland / bass
Gary Willis / bass
Ruud Cornelissen / bass
Gerard Presencer / bass

●Numbers
1.  Can Do
2.  Fruits And Fibre
3.  Uturn
4.  Casper
5.  U Hands
6.  Stello
7.  England Green
8.  All So Familiar
9.  Stevenage
10. Up There
11. Bread Maker
12. Squash
13. Snox!
14. Last One
Dscf1757







Dscf1758

2010年7月23日 (金)

John Abercrombieの「Gateway」第1弾

Dscf2054






Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Gateway(1975年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)による「Timeless」(1974年)に続くソロ第2弾です。前作ではギター、シンセ、ドラムという変則トリオ構成でしたが、ヤン・ハマーが抜けて代わりにベース奏者Dave Holland(デイヴ・ホランド)が加わり「真っ当なトリオ」になりました。考えてみれば、ドラムのJack DeJohnette(ジャック・デジョネット)にしても「エレクトリックマイルズ楽団」を抜けてまだ日が浅く、まだバリバリの若手です。

さてロックタッチの前作との比較になりますが、早くも「アバクロらしさ」が見え隠れする作品に仕上がっています。浮遊感いっぱいの捕らえどころのないサウンドが全体を支配しています。いわゆるコンテンポラリー系というやつですね。外面は一見静かですが、水面下での3者の攻防は実に激しく、いったい誰がリーダーなんでしょうかと思ってしまうほどです。

この3人による作品は続く「Gateway2」に引き継がれ、さらに「In The Moment」「Homecomming」というアルバムでも共演を果たしています。個人的な思い出で恐縮ですが、ちょうど「In The Moment」「Homecomming」の頃に来日公演を果たしたので、「生Gateway」を拝むことに成功しました。いまから15、6年くらい前の話です。場所はブルーノート東京です。当地に行かれた方はご存じのとおり、飲食をしながらジャズのライブ演奏が聴けるというお店です。演奏がスタートする前はお酒が入っていることもあって、適当にざわついていました。しかし、一見するとかなり凶暴にも映るアバクロ先生が何とも繊細でリリカルなギターを弾き始めると場の雰囲気が一転。ため息ともつかない空気感が漂っていたことを鮮明に覚えています。なぜか「ミュージシャンの希望により本日は禁煙でお願いします」という貼り紙が貼られていました。私はいちばん単価が安かった生ビールを呷りながら3人の演奏に聞きほれていました。

●Musicians
John Abercrombie / guitar
Jack DeJohnette / drums
Dave Holland / bass

●Numbers
1. Back-Woods Sound
2. Waiting
3. May Dance
4. Unshielded Desire
5. Jamala
6. Sorcery 1
Dscf2055

2010年7月22日 (木)

ジミー・ギャリソンの息子Matthew Garrisonのソロアルバム

Dscf2052






Musician●Matthew Garrison(bass)
Title●Same(2000年)
■Guitar Nineから購入

誰とは言いませんが野球選手をはじめとしてスポーツ選手の「2代目」はあまり成功例がないように思えます。しかし、ミュージシャンや俳優などの芸術分野の2代目、3代目はけっこう活躍しているように感じます。かつてJohn Coltraneと組んで1960年代に活躍したベース奏者Jimmy Garrisonの息子Matthew Garrison(マシュー・ギャリソン)も成功例のひとつです。おそらく彼にとっての初ソロになるアルバムをご紹介します。作曲、プロデュース、アレンジと彼自身がすべてこなしています。

かつての大ミュージシャンのご子息のデビュー作だから、ということもあるのでしょうか。とにかく参加メンバーが豪華です。David Gilmore(ギター)、Scott Kinsey(キーボード)、Ben Perowsky(ドラム)、Adam Rogers(ギター)、David Binney(サックス)など、現代ジャズフュージョンシーンを代表する強者ばかり。温かく未来のスターの門出を祝っています。

音のほうはというと、バックのメンバーから想像できるようにいま今風のジャズフュージョンサウンド。バリバリのフリーだった初代との比較では、かなり洗練された2代目という感じです。ちなみに初代は1976年に他界しています。お母さんはモデルだったようです。お姉さんはスタイリストというやはり芸術系一家ですね。

個人的にはギターのAdam Rogersがお目当てで、相変わらずクセがあって尖ったギタープレイは秀逸です。肝心のMatthew Garrison君もかなりの腕達者で6弦ベースをブンブンと弾き倒しています。

ところで「2代目」はものにならないことが多いと冒頭で書きましたが、それでは企業の2代目は…怖いので書けません。

●Musicians
Matthew Garrison / bass
David Gilmore / guitar
Scott Kinsey / keyboards
Ben Perowsky / drums
Adam Rogers / guitar
David Binney / sax

●Numbers
1. Family
2. Groove Tune
3. Shapeless
4. Dark Matter
5. Manifest Destiny
6. Duet
7. Lullaby
8. Say What?
9. Time
10.Solitude
Dscf2053

2010年7月21日 (水)

宗旨変え?のBen Monder新作Bloom

Dscf2027






Musician●Ben Monder(guitar)
Title●Bloom(2010年)
■Amazonより購入

NYの先鋭的ジャズシーンでいま一番忙しいギタリスト、Ben Monder(ベン・モンダー)による最新作を入手しました。2010年リリースの最新作。

Ben Monderといえばほかに類を見ない「高速アルペジオ」という唯一無比の武器を持っているギタリストですが、最新作のこの作品ではなんとその高速アルペジオをほとんど封印してしまうという「荒技」に出てきました。浮遊感あふれるアンビヴァレンツな作風は相変わらずですが、やはりあのアルペジオが聴こえてこないと、何となく収まりが悪いような気がします。というわけで言ってみれば、よりBill Frisel的に、よりフリーキーになってきていると思います。

共演はBill McHennyというサックス奏者とのデュオ構成というパターンも従来になかったように思います。そのせいか、実にただでさえ内省的な芸風が、よりいっそう沈んだアブストラクトなものに。何だかなぁと思いながら最後まできてしまいました。もしかしたら夥しい数のセッション活動で、若干お疲れ気味なのかもしれません。私も仕事帰りの電車で聴きながら、気がついたら寝入ってしまいました。ちょっと辛い感じになってきました。

<追記>
Ben Monderのサイトをチェックしたら、実はこのアルバムは10年前、つまり2000年に録音されたものとのこと。ですから「新譜」と表現することはちょっと違うかもしれません。
どうして10年前の録音が今ごろになってリリースされたのかわかりませんが、ほかの作品とあまりに芸風が異なるので、発売が見送られたのかもしれません。
ちなみにライナーにはレコーディングデータは一切記載されていません。
以上、Twitter仲間の方からのご指摘です。ありがとうございます。

 

●Musicians
Ben Monder / guitar
Bill McHenny / tenor sax

●Numbers
1. Bloom
2. Ice Fields
3. Chiggers
4. The Shadow Casts it's Object
5. Winter
6. Heliogabalus
7. Food Chain
8. Crocodiles
9. Poppies
10.The Shimmering Now That Breathes You
Dscf2028

2010年7月20日 (火)

イタリアのフュージョン系ベース奏者Pippo Matino

Dscf2044






Musician●Pippo Matino(bass)
Title●Bass Terrione(1993年)
■Jazzoss.comより購入

イタリアの超絶ベース奏者Pippo Matino(ピッポ・マルティーノ)によるリーダー作です。1993年リリース。なぜこの人の作品に目を付けたかというと、ギターにMike SternとイタリアのスコヘンRocco Zifarelliが参加しているからで、それ以上でもそれ以下でもありません。例によってこの人の正体は不明ですが、イタリアジャズを紹介する「Jazz Italia」というサイトを見るとかなりの売れっこミュージシャンのようで、多くの作品に参加しています。当地イタリアでは「イタリアのジャコ・パストリアス」と呼ばれているとか、いないとか。

さて、肝心の音のほうですが典型的なジャズフュージョンという感じですが、このPippo Matinoさんのベースが歌うこと、歌うこと。かなり饒舌なベースを弾く人です。ジャコパスもジェフ・バーリンもここまで弾き倒す感じではありませんよね。ギタリストとしては先に触れたようにMike SternとRocco Zifarelliが参加していますが、Mike Sternはまあ「いつもの感じ」です。ただ、饒舌で陽気なイタリアンに囲まれていつもよりは頑張っているという印象。一方、Rocco Zifarelliは同じイタリア人同士ということもあって、さらに饒舌なギターを弾き倒しています。

ところで7曲目「Teen Town」はご存じジャコ・パストリアスの曲で、ジャコパスもライブでは必ず取り上げていた名曲です。この曲のみローマのジャズクラブでのライブ音源になっていますが、偉大なベース奏者を偲んでという意味でしょう。そういえばハイラム・ブロックも2年前に亡くなってしまいましたね。

ベース好きの方はもちろん、珍しく弾きまくるMike Sternを聴きたい方にはお勧めできると思います。ただ、ラストの「Heavy Bagary」という曲だけがなぜか「デスメタル調」なのが、まるで理解できません(笑)。

●Musicians
Pippo Matino / bass
Mike Stern / guitar
Rocco Zifarelli / guitar
Haracio Hernandez / drums
Tommy De Paola / keyboards
Javier Girotto / sax
Pietro Lodice / drums
Claudio Colasazza / keyboards
Maurizio Giammarco / sax
Fabrizio Aiello / percussion
Arnaldo Varcca / percussion
Paolo Dieni / percussion
Daniela Velli / vocal
Luca Trolli / drums
Antongiulio Frulio / vocal

●Numbers
1. Doctor Mike
2. An Idea
3. Tensioni Pacifiche
4. Bass-Song For Napoli
5. No Smorking
6. Song For Joe
7. Teen Town
8. Emotion
9. Softly
10.Tarantella For Jeff
11.Heavy Bagary
Dscf2045

2010年7月19日 (月)

Aホールズワースの初期セッションアルバム「Belladonna」

Dscf2021






Musician●Ian Carr(trumpet,Flugellhorn)
Title●Belladonna(1972年)
■Amazonより購入

英国ジャズロックシーンを代表するトランペット奏者Ian Carr(イアン・カー)率いるニュー・クリアスによる1972年の作品です。よくよくクレジットを見たら、のちにやはりブリティッシュジャズロック界のスーパーグループ「Tempest」を結成するJon Hisemanがプロデュースを務めています。メンバーもスゴいですよ。Allan Holdsworth(guitar)、Roy Babbington(bass)、Gordon Beck(electric-piano)、Dave Macrae(piano)、Brian Smith(tenor & soprano sax)、Trevor Tomkins(percussions)という英国ジャズロック界のスターばかり。

ギター好きの私のお目当ては、当然ギターのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)なわけですが、アルバムの完成度、ジャズロックとしての格好良さとしても、このアルバムは抜きん出ていると思います。たとえば、ダーティハリーや刑事コジャックなどの刑事もの映画のサウンドトラックにそのまま使えそうです。

Allan Holdsworthはこのアルバム制作に参加する前、地元のミュージシャンと一緒に結成した「イギンボトムズ」というアートロック志向のバンドに在籍していましたが、所詮はまだ無名の存在。そんな彼を発掘してきたIan CarrとJon Hisemanの慧眼ぶりには感心させられます。

Allan Holdsworthのギターソロが聴けるのは3曲目「Remadione」とラスト「Hector's House」の2曲。ほかの曲では「おとなしく」バッキングに徹しています。リズムカットを真面目にこなすHoldsworthというのも面白いかもしれません。「Remadione」ではややスローな展開からエフェクターを切り替えた瞬間から早弾きソロへチェンジする華麗なソロ回しが見事の一語。20代前半の若者が編み出したとは到底思えない、妙な色気さえ漂っています。アップテンポな「Hector's House」では最後になってやっと登場しますが、これがまた火が出るような凄まじいソロを聴かせてくれます。Holdsworthのギタープレイの凄さは「Tempest」への参加によって明らかになるわけですが、すでにこのアルバムでも、その片鱗を見せています。

のちのTempestやSoft Machineへとつながる重要な作品としても、ただ純粋に英国ジャズロックの名盤としてもお勧めしたい作品です。ご存じのようにベース奏者のRoy BabbingtonはのちにSoft Machineに加入しHoldsworthと共演していますし、鍵盤楽器のGordon Beckは映画「フレンチ・コネクション」のサントラを手がけたほか、Holdsworthと組んで数枚の作品を送り出しています。いわばこの作品は「若手ミュージシャンの虎の穴」的存在だったわけですね。

●Musicians
Ian Carr / trumpet,Flugellhorn
Allan Holdsworth / guitar
Roy Babbington / bass
Gordon Beck / electric-piano
Dave Macrae / piano
Brian Smith / tenor & soprano sax
Trevor Tomkins / percussions

●Numbers
1. Belladonna
2. Summer Rain
3. Remadione
4. Mayday
5. Supension
6. Hector's House
Dscf2022

2010年7月18日 (日)

イタリアのテクニカル系ギタリスト、William Stravatoの2nd

Dscf2038






Musician●William Stravato(guitar)
Title●Cyber Tones(2002年)
■Guitar Nineより購入

イタリア出身でGreg Howe系のテクニカル系ギタリスト、William Stravatoの2ndです。基本的には前作「Survivor」と同様に、Greg Howe系の痛快なフュージョンギターアルバムに仕上がっています。また、前作に引き続きサポートメンバーとして豪州出身の凄腕ギタリスト、Brett Garsedが1曲のみですが参加しています。Brett Garsedマニアの方も要チェックです。

さて、勢いに任せて作った感があった前作「Survivor」と比較すると、丁寧にじっくりと作り込んだ印象を受けますが、逆に面白味という点では前作のほうに軍配が上がるように思えます。確かにギターは弾きに弾きまくっていますが、きれいにきれいにまとめ過ぎたかな、という感じです。それに不思議なのが、録音状態が前作よりも悪化しているという点。もしかしたらスタジオワークに問題があったのでしょうか。

ところでラストの「Isollation」という曲は1stのラストにも収録されていた曲で、いわば「セルフアンサーソング」。どのような意味が隠されているかはわかりませんが、よほど本人お気に入りの楽曲なのでしょう。うん、確かに疾走感満載のスゴい曲です。

●Musicians
William Stravato / guitars,keyboards
Mario Mazzenga / bass
Tom Rotho / drums
Luigi Mas / keyboard

Brett Garsed / guitar on Invisible

●Numbers
1. Invisible
2. KC1
3. Moster Mind
4. Hot Mushroom
5. No Left No Right
6. Two As One
7. Cheffile
8. Party At Will's
9. Isollation(pt2)
Dscf2039

2010年7月17日 (土)

第2期RTFの大傑作「第七銀河の讃歌」

Dscf2042






Musician●Return To Forever
Title●Hymn Of The Seventh Galaxy(1973年)
■ディスクユニオンで購入

ジャズフュージョン界の大御所Chick Coreaが手がけたスーパーグループ「Return To Forever」(RTF)といえばなんと言っても「かもめ」が有名でまさに一世を風靡しましたが、かもめの大成功に飽きたらず大幅なメンバーチェンジのうえに再出発したのが第2期RTF。いちばんの肝はグループとしては初めてギタリストを迎えたことで、それによってロック色が一挙に強まりました。それによってジャズファンに加えてロック好きをファンに取り込むことに成功しました。いわゆるクロスオーバー、フュージョンブームに火を付けた名盤なわけです。

そんなわけで一大モデルチェンジを果たしたRTFの記念すべき作品ですが、個人的に気になるのはギタリストの存在です。RTFとしての初代ギタリストに指名されたのはアメリカ・サクラメント出身の無名ギタリスト、Bill Connors(ビル・コナーズ)。ロックに触発されてギターを手にし後にジャズへ転向後、Joe Passに師事したConnorsですがジャズだけでなくロックテイストのプレイもこなせるという理由から、異例の抜擢を受けました。いわばシンデレラボーイです。雲の上のような存在のChick Coreaのご指名です。Connorsは懸命に期待に応えるべく熱演を繰り広げています。特にアルバムタイトル曲「Hymn Of The Seventh Galaxy」や名曲「Captain Senor Mouse」での華麗なプレイはジャズロック史上、永遠に語り継がれることでしょう。

しかし、ラテンの血をひくアメリカ人ギタリスト、アル・ディ・メオラの登場によって、Connorsはいとも簡単にその座を追われてしまいます。当時としては人類の限界を超えたと言われた超絶技巧と独自のミュート奏法、スパニッシュテイスト満載のソロ回しと、たくさんの武器を身につけたアル・ディ・メオラとの比較では分が悪すぎます。その後のRTFの躍進ぶりを検証すると、Chick Coreaの判断は正しかったと言わざるをえません。Chick Coreaの慧眼ぶりは、後に若きScott HendersonFrank Gambaleを起用したことからも、確かでであることは明らかですね。

そんな経緯から失意のもと(?)グループを去ったBill Connorsは、単身ヨーロッパに渡り新興レーベルECMと契約を交わします。そこでレコーディングされたのが「Theme to the Gaurdian」(1974年)というアコースティックギター1本による内省的な作品。華やかなRTF時代とはまるで正反対の芸風です。よく言えば叙情的、悪く言えば暗く沈みきったギターを聴くと、勝手な想像ですが彼の心の淵をのぞき込むような思いです。その後のConnorsの「変節ぶり」は別記事で詳しくまとめましたが、そもそものきっかけはRTF脱退にあるのではと個人的には思います。

●Musicians
Chick Corea / electric-piano,acoustic-paino,harpsichord
Stan Clarke / bass
Bill Connors / guitars
Lenny White / drums

●Numbers
1. Hymn Of The Seventh Galaxy
2. After The Cosmic Rain
3. Captain Senor Mouse
4. Theme To The Mothership
5. Space Circus pt1,pt2
6. The Game Maker
Dscf2043

2010年7月16日 (金)

ハイパーメタルフュージョンJ.K.Special

Dscf2023






Musician●Jorg(J.K.)Kleutgens(bass)
Title●J.K.Special(1994年)
■Gemm.comより購入

ドイツを代表するテクニカル系ベース奏者Jorg(J.K.) Kleutgensによるソロアルバムです。やはりドイツを代表するテクニカル系ジャズロックバンド「Matalex」が所属していたレーベル「Lipstick」よりリリースされています。参加メンバーはDirk.K(ギター)、Chris Erbstosser(キーボード)に加えて当時から売れっ子ドラム奏者Dave Weckl。日本ではJ.K.をはじめとしてほとんど名前が知られていないと思いますが、やはり現地でも知名度の点で不安があったのでしょう。アルバムサブタイトルに「Featuring Dave Weckl」とあります。つまりDave Weckl先生をお迎えして、という意味合いです。

さて、サウンドはというと「Lipstick」お得意の硬派でテクニカルなハードフュージョンという感じ。あくまでも生真面目に、テクニカルに、ハードにという感じです。個人的にはギターのDirk.Kが好みで、いまでこそロハス系のギタリストに変身してしまいましたが、当時はかなり尖ったプレイを披露していました。もちろんDave Weckl先生も好サポートで全体のサウンドを締めています。

まあ、これといって特徴がない作品なのですが、古き良きハード系フュージョンサウンドがお好みなら「だいたい買い」ですね。ところで、アルバムタイトルですが、わが名前に「Special」を付けるっていったいどんな意味なのでしょうね。たとえば「小林旭スペシャル」「美空ひばりスペシャル」と同じ意味合いなのでしょうか。まさか、自分はSpecialだぜ、ではないと思いますが。

●Musicians
Jorg(J.K.)Kleutgens / bass
Dirk.K / guitar
Chris Erbstosser / keyboards
Dave Weckl / drums

●Numbers
1. Crossfire
2. S.W.L.
3. Bodega
4. Shine On Me
5. Special
6. I Still Love You
7. B.A.C.
8. Ride Home
Dscf1975

2010年7月15日 (木)

低温火傷系ギタリストTim Millerの2ndソロ

Dscf2046






Musisian●Tim Miller(guitar)
Title●Sides(2002年)
■Guitar Nineより購入

アメリカ出身のジャズギタリストTim Miller(ティム・ミラー)による作品です。Tim Millerはいわゆるコンテンポラリー系ギタリストとして語られることが多いようですが、テクニカル系ギタリストAllan Holdsworthとの類似性から「Holdsworthy系ギタリスト」とも括られるようです。

さてタイトルにつけたようにTim Millerのプレイは、基本的にはコンテンポラリー系にカテゴライズされると思います。John AbercrombieやBill Frisellあたりが得意とする浮遊感あふれるプレイを正しく継承しつつ、Allan Holdsworth的な変態&奇天烈フレーズを受け継いでいる…とこう書いている時点でかなりの「変態系」ということが十分におわかりいただけると思います。ソロデビュー作「...With The Distance」(1997年)は自主制作盤でしたので、これがオフィシャルなデビュー作ということに。

というわけで、いざ聴いてみると期待に違わぬ「変態フレーズ」のオンパレード。決して熱くはならず、肉体的にも精神的にも非常なクールな状態で、とんでもないヘンテコリンなフレーズを連発する点で、本家Holdsworthとの共通項が多々感じられますが、フレーズ的には本家よりもかなりジャズ寄りです。かといって同じ範疇に属するBen Monderほど自己主張が強いわけでなく、気がついたら隣にいたという「ヌエ」的な魅力を放っています。あれ?気がついたらAllan Holdsworthつながりで鍵盤楽器にSteve Huntが参加しています。この人はこの手の作品にはやたらと参加していますね。

このTim Millerがジャズギターの将来を背負って立つかというとかなり疑問を感じますが、かなり気になる存在であることは確かです。

●Musisians
Tim Miller / guitar
James Driscoll / bass
Rob Avsharian / drums
George Garzone / sax
Steve Hunt / keyboards

●Numbers
1. Sides
2. Looking To You
3. Improvisation
4. Sharp
5. The Night
6. Spark
7. Rubric
8. Improvisation 2
9. Passageways
Dscf2047

2010年7月14日 (水)

渡辺香津美が高3の時にレコーディングした1st

Dscf2019






Musician●渡辺香津美(guitar)
Title●Infinite(1971年)
■ディスクユニオンで購入

日本を代表するジャズ・フュージョンギタリスト、渡辺香津美による記念すべき1stです。1971年リリース。当時、香津美さんは弱冠17歳で、暁星高校の3年生だったとか。暁星高校といえば歌舞伎役者の子弟が通うことで有名ですが、ビジーフォーのお二人や藤村俊二など多彩な人材を送り出しています。卒業生に共通するのはいい意味のお坊ちゃん気質と品の良さを感じさせます。妙にガツガツとしない、おっとりとした人柄の人が多いように思えます。

さて、香津美さんは当時まだギターを手にしてから3年しか経っていなかったそうです。キャリアの短さはもちろん、一番驚くのは17歳という高校生がこんな大人びたギターを弾けるのかということです。どういう生活背景から、こんなフレーズが生み出されたのでしょうか。若くして完成されたテクニックよりも、そちらのほうに興味津々です。前半2曲(アナログではA面)が香津美さんオリジナルで、後半3曲(B面)がジョー・ヘンダーソン、ケニー・ドーハム、ジョニー・バークとジミー・ヴァン・ヒューゼンの共作のカバーです。選曲も渋すぎます。

演奏はというと香津美さんが最初に感化されたウェス・モンゴメリーの強い影響を感じさせます。いまの基準に当てはめてしまうと、さすがにプレイ自体も粗っぽさが見られます。それでもそんなハンディを補って余りあるほどの瑞々しい感性とアイディアが随所にあふれています。

さて、このアルバムは95年に一度CD化されましたが、その後は再プレスされていないようで、オークションなどでは異常な高値で取り引きされています。私は偶然のぞいたディスクユニオンお茶の水店の中古コーナーで、1000円で売り出されているのを発見し入手しました。ディスクユニオンには申し訳ない言い方ですが、この盤の希少価値をご存じでない店員さんのおかげでゲットできた次第です。さらにいえば、こんな貴重な盤を売り出してしまった人に感謝するとともに、「どうして売っちゃったんですか」と問いたいです。とは言いつつ、アナログ盤は比較的入手しやすいようです。気長に中古屋を巡ってみてはいかがでしょう。

もちろん、もっとも望ましいのは再プレスであることは言うまでもありません。渡辺香津美さんはTwitterでほぼ連日呟かれていますが、ファンからの呟きにフランクに対応されているようです。いっそのこと、今度ご本人に再プレスのお願いでもしようかと企てています。

余談ですが、あまりに早いプロデビューに対して香津美さんのお母さんは猛反対したそうです。思いあまってまったく面識がない渡辺貞夫さんに電話をかけて断念するよう貞夫さんから説得してくれないかと頼んだそうです。そこで渡辺貞夫さんがお母さんの願いを聞き入れていたら、のちのYMOなどもつまらないものになったいたでしょうね。

●Musicians
渡辺香津美 / guitar
植松孝夫 / tenor sax
市川秀男 / piano
鈴木良雄 / bass
日野元彦 / drums

●Numbers
1. Infinite
2. Cortly
3. Isotope
4. Blue Bossa
5. Here That Rainy Day
Dscf2020

2010年7月13日 (火)

John Abercrombieのソロデビューアルバム

Dscf2036






Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Timeless(1974年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercromie(ジョン・アバークロンビー)による記念すべきソロデビューアルバムです。1974年リリース。ほとんどのECMの作品はオスロのスタジオでレコーディングされるのですが、例外的にNYで録音されています。メンバーはチェコスロヴァキア出身の鍵盤楽器Jan Hammer(ヤン・ハマー)とマイルズ楽団で一躍有名になったドラム奏者Jack DeJonette(ジャック・デジョネット)というベースレスの変則トリオ構成。

John AbercromieはECMデビュー前にブレッカー兄弟のユニット「Dreams」やイタリアのトランペット奏者ガトー・バルビエリなどと共演歴がありましたが、どちらかと言えばロックテイストのプレイが中心でした。記念すべきECMデビューのこの作品でも、いまの彼からは想像できないくらいの激しいプレイを聴かせてくれます。Abercromieは次作「Gateway」では今度はDave Holandを迎え入れ、一転して内省的なサウンドを志向し始めます。その意味では2作目から「らしい」感じになるわけで、このアルバムはロックテイスト時代と「ECMらしい時代」との過渡期的な作品になると個人的には思っています。

●Musicians
John Abercromie / guitar
Jan Hammer / organ,synthesizer,piano
Jack DeJonette / drums

●Numbers
1. Lungs
2. Love Song
3. Ralph's Piano Waltz
4. Red And Orenge
5. Remembering
6. Timeless
Dscf2037

2010年7月12日 (月)

和洋折衷の妙な無国籍風アルバム。Bruno Heuze

Dscf2040






Musician●Bruno Heuze(synthesizers)
Title●Eurasie(1997年)
■Gemm.Comより購入

以前ここでご紹介したフランスのシンセサイザー奏者Thierry David(ティエリ・デイヴィッド)の弟子ではないかと想像されるBruno Heuzeのソロアルバムです。やはりこの人もシンセを扱いますが、プログラミング、打楽器などもこなすマルチミュージシャンのようです。なんと琴も弾くとか。ゲストミュージシャンとして、ベトナム系フランス人ギタリストNguyen LeSteve Shehan(drums,bass)、Didier Malherbe(flute,sax)、Eddy Nortn(bass)、Pierre Lefur(flute)、Emmanuel Leblanc(percussions)など、まったく馴染みのない名前が並んでいますが、「Chikako Inoue」という日本人女性がボーカルとして参加しています。この「Chikako Inoueさん」も勉強不足で存じ上げないのですが、どなたかご存じの方はいらっしゃいますか?

さて、想像通りというか、メンバー構成を見ても多国籍軍による無国籍なワールドミュージックという感がありありですが、基本的には中近東風音楽をベースに、フランス風フリージャズ、ベトナム風アジアンテイスト、そして雅楽的な要素がまさにごった煮になって、マカ不思議な音空間が目前に広がります。もっとも奇天烈とも言えるのが「Chikako Inoueさん」がボーカルをとった2曲で、「Chikako Inoueさん」作詞の妙に厭世的なポエムが彼女自身のお経のようなボーカルで歌われます。私たち日本人はもちろん歌詞の意味は理解できますが、これを聴いたフランス人はどんな印象を受けるのか、興味津々です。

●Musisians
Bruno Heuze / synthesizers,etc.
Nguyen Le / guitars
Steve Shehan / drums,bass
Didier Malherbe / flute,sax
Eddy Nortn / bass
Pierre Lefur / flute
Emmanuel Leblanc / percussions
Chikako Inoue / vocal

●Numbers
1. Garuda's Flight
2. Golden Triangle Strawberries
3. To The Highest Buddha
4. Halong Bay
5. Tet In Saigon
6. Samosir
7. Toba's Night Virtual Faces
8. Thousands Bells In Borobudur
9. Bromo Nebulae
10.Mia Jima No Torii
11.Rising Sirens-Batur1
12.Dawn Mysts On Batur Lake-Batur2
13.The Gates Of Puurakehen-Batur3
14.Celestial Lullaby-Batur4
Dscf2041

2010年7月11日 (日)

イタリアのテクニカル系ギタリスト、William Stravato

Dscf2017






Musician●William Stravato(guitar)
Title●Survivor(1996年)
■Guitar Nineより購入

イタリア出身のテクニカル系ギタリスト、William Stravatoのたぶんデビューアルバムです。いつもながらマイナー系のミュージシャンなので正体不明ですが、実際に聴いた感じは「まさにGreg Howe系」です。同じテクニカル系でもAllan HoldsworthやScott Hendersonよりも何となく取っつきやすいし、受け入れられる間口も広そうな感じですね。いわゆる現代型ハード&テクニカル系フュージョンギターの典型という感じでしょうか(何のこっちゃ)。

さて、ギター好きにとってはたまらない魅力が詰まったインストアルバムですが、スペシャルゲストに豪州の凄腕ギタリストBrett Garsedが参加(1曲のみ)しています。William Stravatoがガリガリ弾き倒す剛腕タイプなら、Brett Garsedは変化球を多投する変態技巧派。異なる個性をもつ2人のプレイを聴き比べるのも一興かと思います。

付け加えるとGreg Howeの弟子Prashant Aswaniもゲスト参加しています。ちなみに6曲目「'Cause We've Ended As Lovers」はJeff Beckの名曲「悲しみの恋人達」ですが、この人相当この曲が好きらしく、You Tubeなどでこの曲を演奏する動画を流れています。興味のある方はぜひご覧ください。

●Musicians
William Stravato / guitars,keyboards
Arcangelo Spina / bass
Francesco Ciacciarelli / drums
Gianluca Leone / keyboard

Brett Garsed / guitar on Cats
Prashant Aswani / guitar on Midnite Jam
Michael Angelo / guitar on No Turnin' Back

●Numbers
1. Icarus Suicide
2. Anthropomorphic Pancake
3. Cats
4. Brainstorm
5. Midnite Jam
6. 'Cause We've Ended As Lovers
7. No Turnin' Back
8. Isolation
Dscf2018

2010年7月10日 (土)

Bill Connorsのアコギ第2弾

Dscf1968






Musician●Bill Connors(guitars)
Title●Swimming with a Hole in My Body(1980年)
■ディスクユニオンで購入

かつてはReturn To Forever(RTF)の初代ギタリストとして名を馳せたBill Connors(ビル・コナーズ)はRTF脱退後に単身ヨーロッパに渡りECMへ移籍しました。1974年リリースの「Theme to the Gaurdian」ではRTF時代とは真逆のアコギ1本勝負に出て我々を驚かせてくれました。

Connorsはその後、「北欧のコルトレーン」Jan Garbarek(ヤン・ガルバレク)などとの共演で活躍し、また自身2作目のリーダーアルバム「水と感傷」では実に瑞々しいプレイを聴かせてくれました。3作目にあたるこの作品では、再びアコギ1本勝負を敢行しています。1979年8月、オスロでレコーディングされています。

1st「Theme to the Gaurdian」では北欧の原野を思わせるような何とも叙情的な作風でしたが、この作品もその延長線上にあるといえます。前作ではどことなくたどたどしく感じられた表現力も、格段に向上しています。たぶんに同じECMのギタリスト、ラルフ・タウナーを意識したかのようなプレイも随所に聴かれます。

ただ1stで感じられた「心の叫び」のような静かな熱情は、テクニックの向上に反比例して薄らいだような感じがしないわけでもありません。確かに綺麗に仕上がっているアルバムだと思いますが、何となく消化不良の感があります。そのせいだとは思いませんが、このアルバムを最後にビル・コナーズはECMと袂を分かち、行方不明になってしまいます。

しかし、数年後の1984年、トンでもないサプライズとともにConnorsは「復活」します。まさかの「Holdsworthy」として。そのあまりに鮮やかすぎる「変節ぶり」には驚きを通り越して感動さえ覚えましたが、「Holdsworthy路線3部作」を残して、三度Connorsは姿を消してしまいます。そして、まさかの「約20年のブランク」を経て、今度はオールドスタイルのジャズギタリストとして「再々復活」。まるでゾンビのような生命力と、気まぐれな作風には常に驚かせてくれます。さて、前回の復活劇から数年経ちましたが、Connorsはどんなスタイルで攻めてくるのでしょうか。

タイトルに「アコギ」としましたが、桃太郎侍(by高橋英樹)の「阿漕(あこぎ)の悪行三昧」ではありません。「アコースティック・ギター」の略称です。念のため。

●Musician
Bill Connors / guitar

●Numbers
1. Feet First
2. Wade
3. Sing and Swim
4. Frog Stroke
5. Surrender to the Water
6. Survive
7. With Strings Attached
8. Breath
Dscf1969

2010年7月 9日 (金)

Holdsworthフォロワーの最右翼、Alex Machacekの新譜

Dscf1972






Musician●Alex Machacek(guitars)
Title●24 Tales(2010年)
■Abstract Logixより購入

オーストラリア出身のテクニカル系ギタリスト、Alex Machacek(アレックス・マクヘイサク)による最新アルバムです。Alex Machacekはテクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworthのフォロワーとして有名ですが、実際に彼の作品を聴いてみると決してHoldsworty一辺倒ではなく、古くはFrank ZappaやSteve Vaiあたりの変態系ギタリストの系譜も汲んでいます。所属レーベルAbstract Logixからネット購入。Alex Machacekは同レーベルにとっては相変わらず一押しのミュージシャンのようです。

さて、すでに何枚かのリーダー作をリリースしている彼ですが、リリースの度に異なった作風を聴かせてくれます。変幻自在、予測不能な芸風なのですが、今回はいたって静的でプログレッシヴな雰囲気で攻めてきました。今回の相方はMarco Minnemannというドラム奏者のみで、ほかのパートはすべてAlex Machacekがこなすといういわば「密室芸」的な作品。ウネウネと内省的なフレージングは相変わらずですが、よくもまあ、こんなヘンテコな旋律を考え出すものかといつもながら感心というか、呆れてしまいます。ギター好き、変態フュージョン好きの人にとってはたまらない作品ですが、やはり万人にお勧めできる代物とは言い難いですね。

1曲のみAlex Machacekの奥さんであるインド人ボーカリストSumitraが。また、Martin Ptakというトロンボーン奏者が3曲に参加していますが、これまた本人と同様に異彩を放っています。ふと見るとプロデューサー名に元祖・変態両手タップギタリスト、T.J.Helmerich(ヘルメリッチ)の名前を発見。ミキシングはやはりフュージョン界では有名な鍵盤楽器走者Scott Kinseyが担当。なるほど、これだけ変態好きが集まれば奇天烈な音楽に仕上がるはずです。

●Musicians
Alex Machacek / guitars,everything else
Marco Minnemann / drums

Sumitra / vocals on Sit Back and Chillax
Martin Ptak / trombone on See you there,X-Mas,At the Club

●Numbers
1. On Your Marks
2. Sit Back and Chillax
3. Tour De France
4. Dancing with the Baby Bear
5. Anamika
6. Pros and Cons of Depression
7. Like Man
8. Tranquillo
9. Tranquilizer
10.Sweet Torture
11.She Likes it
12.See you there
13.X-Mas
14.Feel Me!
15.At the Club
16.Eau de Conlon
17.Doldrums
18.Minnemaus in da House
19.Run.Fusion!
20.Air
21.Sexy
22.Blender
23.Quotes
24.Ouer and Out
Dscf1973

2010年7月 8日 (木)

元祖変態歌手!? ミッシェル・ポルナレフ

Dscf2013






Musician●Michel Polnareff
Title●Polnareve(1973年)
■HMVで購入

最近では話題に上りませんが、1960年代から70年代にかけて一世を風靡した音楽ジャンルとして「フレンチポップス」というのがありました。シルヴィ・バルタン、フランス・ギャルあたりが日本でもよく知られていますが、そのフレンチ・ポップス界での異端児がMichel Polnareff(ミッシェル・ポルナレフ)ではないでしょうか。

1966年に「ノンノン人形」でデビューした彼ですが、独特な髪型とサングラス姿という特異な外見でも注目されました。初期の曲「シェリーに口づけ」は日本でも発売されヒットしましたが、10年ほど前にあるテレビドラマの主題歌に採用されて、ドラマの話題性と相まってこれが何と大ヒット。思わぬ「ポルナレフ再ブーム」を引き起こしたので、ご記憶にある人も多いかと思います。しかし、ポルナレフ関連のアルバムは当時あまりCD化されていない状況で、あったとしても輸入盤くらいでした。誰も予測できなかったポルナレフブームに乗じて、過去のヒットナンバーを集めたベスト盤が国内発売されたほどです。

リアルタイムでポルナレフフォロワーだったわけですが、今回ご紹介する「Polnareve」(1973年)は4作目のアルバムで最も彼が充実していた頃のものです。このアルバムからは「La Vie ,La Vie M'A Quitte」(邦題「悲しみのロマンス」)、「I Love You Because」(「愛の伝説」)、「Tibili」(「僕はロックンローラー」)の3曲がシングルカットされ、日本でもヒットしましました。当時、ラジオ音楽番組では「電話リクエスト」(略称「電リク」)という聴取者参加型の番組スタイルが全盛で、若者たちの心をムンズとキャッチしていました。隠れポルナレフファンの私もランキングを上げるためにラジオ曲に何度も電話攻勢をかけていたのです。リクエスト数によってその週のランキングが決まるシステムなので、贔屓のミュージシャンを応援したいというファン心理を巧みに利用した番組ですね。

さて、冒頭タイトルで「元祖変態歌手」と書きましたが、プロナレフが特異な存在とされるのは、まずフランス人にもかかわらず当時御法度とされた英語を歌詞に積極的に取り入れたことがまず上げられます。英語歌詞ばかりか、いまでも放送禁止の「F××K!!」を連発した前科も。いまでこそフランス語も英語も、音楽の世界では言語の垣根はほとんどありませんが、60年代のフレンチポップス界は保守的な状況で、そんななかにいきなり放送禁止用語を振りかざして登場したわけですから、かなりの衝撃です。

また、変態歌手たるゆえんは度重なる奇行があげられます。パリオリンピア劇場のライブ告知ポスターに、下半身丸出しの姿で登場して物議を醸すどころか危うく出入り禁止になったエピソードはあまりにも有名です。また、若い頃は痩身ぶりがコンプレックスだった彼は、空手に大変興味を示したあげく有段者にまで上りつめます。そして空手で鍛え上げた肉体美を誇示するために、意味なく上半身裸になってジャケットを飾るようになります。またPVでは多くの柔道家とともになぜか海岸で稽古に励む姿で登場します。まるで三島由紀夫の世界ですね。そんな極度のナルシストぶりから、なぜか「オカマ歌手」と呼ばれることも多く、ポルナレフファンもオカマ呼ばわりされることを恐れるあまり、深く地下に潜行していたわけです。

そんなわけで「フレンチポップスの異端児」と呼ばれるポルナレフですが、曲作りも当時としては実に斬新でした。何といっても抜群の作曲能力と歌唱力。また、デビュー作ではフォークロック的な感じでスタートしたと思いきや、2ndからは伝統の甘ったるいフレンチポップスに加えて、ロック、ジャズ、民族音楽などを導入し、常に意欲的な作品を送り出しています。1944年生まれということで今年66歳になる彼は、ジェフ・ベックやエリック・クラプトン、田村正和などと同世代。いまは何をしているのでしょう。

●Musician
Michel Polnareff

●Numbers
1. La Fille Qui Reve De Moi(ファンクラブの皆様へ)
2. Le Prince En Otage(囚われのプリンス)
3. Rosy(ロージーからの手紙)
4. La Vie ,La Vie M'A Quitte(悲しみのロマンス)
5. La Fille Qui Reve De Moi(ファンクラブの皆様へ・インスト)
6. Le Grand Chapiteau(サーカスへの誘い)
7. Il Est Gros(素敵な欲望)
8. I Love You Because(愛の伝説)
9. Polnareve(ポルナレフ革命)
10.Tibili(僕はロックンローラー)
11.L'homme Qui Pleurait Des Larmes De Verre(ガラスの涙)
Dscf2014

2010年7月 7日 (水)

まるでホールズワースの作品!Chad Wackermanのソロ

Dscf1712






Musician●Chad Wackerman(drums)
Title●Forty Reasons(1991年)
■ディスクユニオンで購入

フランク・ザッパバンドやアラン・ホールズワースとの共演で知られる豪州出身の凄腕ドラマー、Chad Wackerman(チャド・ワッカーマン)による初ソロです1991年リリース。参加メンバーはギターに職場の上司でもあるAllan Holdsworth、盟友であるベース奏者Jimmy Johnson、鍵盤楽器にJim Coxという布陣です。

チャドのソロアルバムといっても、メンバーは馴染みの面子ばかり、そして唯我独尊の権化であるホールズワースが加わったことからチャドとホールズワースの双頭バンドというイメージが濃厚です。それだけ、上司としての存在感をここでも誇示しているわけです。

全体からするとキメのほとんどをホールズワースが支配しているためか、チャドの変則ドラムも注意深く聴かないといけません。結果として、一番派手な楽器であるギターが目立ってしまうのですが、これはチャド自身が強烈に自我を押し出すこともなく、またいかにもドラム奏者が作りましたという作風ではなく、あくまでも楽曲中心で臨んでいるからだと思います。実際、すべての作曲にチャドが関与していますが、このような結果になることは想定の範囲なのでしょう。

さて、唯我独尊の上司ホールズワースのギターは相変わらずですが、曲というよりホールズワースの速弾きを聴かせるためだけの「House On Fire」は、人類の限界を遙かに越えた凄まじいプレイが聴かれます。この曲というか、このプレイを聴けただけでも満足です。

この1991年という時期はホールズワースが1989年「Secret」から1992年「Wardenclyffe Tower」までアルバム制作をまったくしないでセッション活動にいそしんでいた時期です。このほかのセッション参加は「Level42」、Frank Gambaleとの共演作「Truth in Shredding」、やはりChad Wackermanの2nd「The View」(1993年)などがあります。

●Musicians
Chad Wackerman / drums
Allan Holdsworth / guitar
Jim Cox / keyboard,organ
Jimmy Johnson / bass

●Numbers
1. Holiday Insame
2. You Came Along
3. Forty Reasons
4. Fearless
5. Quiet Life
6. Waltzing On Jupiter
7. Tell Me
8. House On Fire
9. Hidden Place
10.Go
11.Schemes
Dscf1713

2010年7月 6日 (火)

世界的な廃盤!? Greg Howeのお友達Larry Mitchellのソロ

Dscf2015






Musician●Larry Mitchell(guitar)
Title●same(1990年)
■Amazon USAより購入

Yahoo!オークションをご利用の方ならご存じと思いますが、気になる商品名やミュージシャン名などをキーワードとして登録しておくと、そのキーワードにマッチした商品が出品されると「アラートメール」で教えてくれるという便利な機能があります。このキーワード登録は商品紹介コメントなどにも適用できるので、関連の商品やミュージシャンを「釣り上げる」ことも可能です。

さて、アラートメールをチェックしていたら「世界的激レア、Greg Howeの友人Larry Mitchellのソロ」という大変気になるお知らせが。勉強不足で申し訳ありませんが、このLarry Mitchellというギタリストは存じ上げなかったのですが、Greg Howeのお友達なら信用できそうです。確かオークション価格は「激レア」の煽りコピーもあって、4000円スタートだったと思います。

気になって調べてみると、国内AmazonやHMVでは品切れ状態で確かに入手困難です。そこまで言われるとコレクター魂が黙っていません。ムキになって各国AmazonをチェックしていくとAmazon USAではふつうに取り扱っていました。新品はさすがにありませんでしたが、マーケットプライス扱いで中古盤が何点も出品されています。その中から一番安く、かつ海外発送が可能な中古盤業者を探し出して迷わずゲット。確か9米ドルで郵送料を含めても1200円程度。ならば「買い」です。

さて、届いたLarry Mitchellさんのアルバムですが、確かにGreg Howeのお友達だけに、典型的なテクニカル系フージョンです。ただ、どこかで聴いたようなフレーズ、楽曲ばかりで、強烈な個性をあまり感じません。まあ、買っても聴いても損はしない、という感じです。でも、4000円も出費する価値があるかといえばかなり微妙なラインです。

そう思いながらジャケットを見ると、かなり「まがい物」的な臭いがします。

●Musicians
Larry Mitchell / guitars
Yves Gerard / drums
Jim Fury / bass
Dave Wittman / keyboards

●Numbers
1. In God We Trust
2. Temporary Thing
3. Political Rain
4. The Seduction
5. People,Place,And Things
6. Lies
7. There Was A Time
8. Sun
9. Don't Forget Me
10.Evil
Dscf2016

2010年7月 5日 (月)

エレキギンギンからしっとりアコギへ転身Bill Connorsの1st

Dscf1970






Musician●Bill Connors(guitars)
Title●Theme to the Gaurdian(1974年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代に一世を風靡したChick Corea率いる「Return To Forever」(RTF)の初代ギタリストBill Connors(ビル・コナーズ)の初ソロアルバムです。1974年録音。

RTF時代の彼のプレイを耳にした方ならご理解いただけると思いますが、あれだけエレキをギンギンに弾いていた人がまるで正反対のタイプに変身してしまうこと自体が驚きです。アメリカから単身ノルウェーに渡り、オスロのスタジオでレコーディングされたこの作品ですが、なんとアコースティック1本で作られました。

ECMらしい内省的な魅力が満載と書いてしまうのは簡単ですが、北欧の森林をデザインしたジャケットといい、ひたすら悲しみと憂いが込められたプレイを聴くと、最近涙腺が弱くなってきた私にとって、癒しを通り越して悲しみの感情が高まってくるという作品です。RTF時代の華やかさを一切封印し、アコギのナイロンゲージから生み出されるサウンドは、氷のように冷え切った北欧の原野をあてもなく放浪する吟遊詩人が押し出す静かな叫びのようです。

Bill ConnorsがRTFを辞めた経緯は不明ですが、後釜ギタリストのアル・ディ・メオラが当時としては最速と呼ばれた早弾きと独自のミュート奏法を武器にして一躍スターギタリストに成り上がってことを考えると、Connorsも内心は複雑な思いを抱えていたのかもしれません。だからといって、それだけが理由でいきなり内省的なプレイに転向するとは思えませんが、聴く立場は勝手なもので限りなく妄想が膨らんできます。そう言えば、ジャケットに写る彼の「かんばせ」も若干悲しそうに見えてきます。

Connorsは「Swimming with a Hole in My Body」(1980年)までECMの諸作品に参加しますが、その後突然姿を消してしまいます。そして1984年に「Step It」で今度はAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)のそっくりさんとしてカムバックします。まるでジェットコースターのような変節ぶりで周囲を驚かせてくれるのです。

●Musician
Bill Connors / guitars

●Numbers
1. Theme to the Gaurdian
2. Childs Eyes
3. Song for a Crow
4. Sad Hero
5. Sea Song
6. Frantic Desire
7. Folk Song
8. My Favorite Fantasy
9. Highest Mountain
Dscf1971

2010年7月 4日 (日)

またまた懲りずにJeff Beckの新譜を購入

Dscf2159






Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Emotion & Commotion(2010年)
■Amazonより購入

さて、また懲りずにJeff Beckの新譜です。前回ではボーナストラック2曲が入った国内盤についてご報告しましたが、実はまだありました。ライブDVD付きの国内盤です。ファンの方ならすでにお気づきのように、2007年に開催された「Crossroads Guitar Festival」の未発表映像を収録したDVDがついた特別盤です。

音源については前回記事をお読みいただくとして、肝心のDVDです。この「Crossroads Guitar Festival」に関してはすでに2枚組DVDが発売されていますので、Jeff Beckの登場シーンをご覧になっている方も多いと思います。先行発売されているDVDでは2曲(「悲しみの恋人達」「Big Block」)が収められていましたが、今回は「未収録映像」として重複する「Big Block」を除く5曲分が日の目を見た形になっています。

そもそも「Crossroads Guitar Festival」はエリック・クラプトンの呼びかけによって薬物依存症の施設を作るために開催されたチャリティーコンサートで(開催地はシカゴ)、Jeff Beckは計11曲を演奏しています。そのうちの6曲が収められているのです。この日はTal Wilkenfeld(bass)、Jason Rebello(keyboards)、Vinnie Colaiuta(drums)という黄金の編成の初お披露目の日。Jeff Beck御大はともかく、美少女系ベース奏者Tal Wilkenfeldが大観衆の前に可憐な姿を現した日でもあります。とかくJeff御大ばかりに注目が集まってしまうのは仕方がないのですが、Tal嬢のキュートな姿とジャコ・パストリアスばりのステージアクションにすっかり魅了された人もさぞかし多かったのではないでしょうか。

残念と言えば残念なことに「Big Block」が重複しているのですが、「Crossroads」とは別カメラによる映像なので、まあ映像としては「初登場」と言ってもいいでしょう(無理筋ですが)。「Crossroads」はステージに向かって左サイドのカメラで撮影されていますが、この作品では中央寄りから撮影されています。

このステージの約半年後、彼らは観客数200人の前でライブを行いましたが、その模様は「ロニー・スコッツ・クラブ・ライブ」 DVDに収録されています。ロニー・スコッツを観てすっかりやられてしまった人は、ぜひこちらもご覧ください。

さて、結局「Emotion & Commotion」関連では輸入盤CD、国内盤CD、そして今回のDVD付き国内盤を手にすることになってしまいました。はっきり言って自分でも呆れるほどですが、ファン心理とはこういうもの、理屈では説明不可能なものだと、勝手に納得しています。ですから、つい数日前に不幸にして自らの命を絶った韓流スターのお葬式に、200人のファンが日本から参列したというニュースに接しても、「何でそこまでして」とは決して思えないのです。何であれ、夢中になれるものをもっていることは大切なことです。変な表現ですが、私はそういう人たちを愛おしくさえ思えます。

付け加えますと、ギターフィギュア付きの限定盤も同時リリースされています。Jeff Beckファンの中でも「鉄人級」の方はこちらも(笑)。私はフィギュア自体に興味がまるでないのと、経済的な理由からさすがに手を出すつもりはありません。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Pete Murray / keyboard,Orchestral Arrangement
Alessia / drums
Tal Wilkenfeld / bass
Jason Rebello / keyboards
Vinnie Colaiuta / drums
Luis Jardim / percussins
Clive Deamer / drums
Pino Palladino / bass
Joss Stone / vocal on I Put A Spell On You,There's No Other Me
Olivia Safe / vocal on Serene,Elegy For Dunkirk
Earl Harvin / drums
Chris Bruce / bass
Imelda May / vocal on Lilac Wine

●Numbers
1.  Corpus Christi Carol
2.  Hammerhead
3.  Never Alone
4.  Over The Rainbow
5.  I Put A Spell On You
6.  Serene
7.  Lilac Wine
8.  Nessun Dorma
9.  There's No Other Me
10. Elegy For Dunkirk
11. Poor Boy ※bonus
12. Cry Me A River ※bonus

[Bonus DVD]
1.  Stratus
2.  Behind The Veil
3.  Nadia
4.  Big Block
5.  Brush With The Blues
6.  A Day In The Life
Dscf2160







Dscf2161
Dscf2162

2010年7月 3日 (土)

長い間廃盤だったCrosswind「そして夢の国へ」

Dscf1651






Musician●Crosswind
Title●そして夢の国へ(1982年)
■Amazonより購入

極端な寡作のためにいつまでたっても無名な存在に甘んじているロックギタリスト小川銀次。一時期、かのRCサクセションの第2ギタリストとして在籍していたので、そのまま居残っていればメジャーな存在になれたのではかいかと思います。そんな小川氏が率いた「クロスウインド」の3作目「そして夢の国へ」が数年前に紙ジャケット仕様で発売されています。オリジナルは1982年発売です。

小川氏は「クロスウインド2」(1979年)に発表後、グループの活動をいったん停止し、RCサクセションヘ参加。RCでの活動がひと段落して、満を持して作られたのが本作です。すでに1、2で独自のスタイルを確立していましたが、ここで一気に才能が開花という感じです。ご機嫌な2曲目の「あそこへまっしぐら」、古くからのナンバー「みの虫」、「百獣の王」でのプログレっぽいアプローチとまさにライオンのような咆哮、そして3部作仕様になっているラストの「そして夢の国へ」での壮大な構成力。どれをとっても「日本にもこんなスゴイギタリストがいたのか!」と驚かされるはずです。ジミ・ヘンドリックスの強い影響を受けつつも、変幻自在のギミックを駆使する変態プレイはこの頃からでしょうか。そういえば、80年代型King Crimsonに加入した変態ギタリスト、エイドリアン・ブリューも同じような傾向のギミックが得意でしたね。

前2作がスタジオライブっぽい仕上がりだったのに対して、この作品は何回もオーバーダブを繰り返し、凝りに凝ったナカミに仕上がっています。バンドアンサンブルも緻密さを極めています。まだ聴いたことがない人はもちろん、ずーっとCD化を望んでいた人は廃盤にならないうちに入手を!ちなみにアナログ盤ではおまけとして「絵本」がついていましたが、CDではスリーブの形でついてきました。未発表ライブ音源2曲(1983年録音)のおまけCDもついてきました。

●Musicians
小川銀次 / guitars
小林一夫 / Bass
そうる透 / drums
安西史孝 / keyboard
丸尾めぐみ / vocal

(おまけCD)
小川銀次 / guitars
遠藤敬三 / bass
斉藤リョースケ / drums

●Numbers
1. 森は不思議なおもちゃ箱
2. あそこへまっしぐら
3. みのむし
4. 海太郎とりんご
5. クロスカントリー
6. 百獣の王
7. 川のほとりで一休み

(おまけCD)
1. Wildland
2. Milla
Dscf1652







Dscf1653

2010年7月 2日 (金)

ホールズワースフォロワー丸出しのLu 7ファースト

Dscf1649






Musician●Lu 7
Title●Efflorescence(2000年)
■HMVより購入

栗原努(guitar)と梅垣留奈(Keyboard)の2人ユニット「Lu 7」のファーストです。2000年リリース。ゲスト参加として永井敏己(bass)とバカボン鈴木(drums)が加わっています。

まったく先入観も予備知識もなく買ってしまったのですが、ギターの栗原氏のプレイはかなりというか、ほとんどテクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdswrthのそれとそっくりです。あまり有名でないのか私が知らないだけなのか、公正取引委員会が調査に乗り出しても決して不思議ではないほどの真似ぶりです。

CDの帯のキャッチコピーをそのまま借りると「煌めく完成を心豊かな技術で表現した至上の音楽」ということですが、確かに栗原氏のテクニックは盤石で、また梅垣氏のキーボードも表現力豊か。テイストとしては若干テクノ音楽の要素が残ったヒーリングミュージックという感じでしょうか。聴いていて心地よいのですが、ギター好きの私のとっては、ホールズワースそっくりのギターを延々と聴かされると、音楽性以前の問題で気もそぞろという感じです。

この「Lu 7」というユニットがパーマネントな存在なのかはわかりませんが、いったいどんなファン層なのかが大いに気になるところです。ちなみにセカンドアルバムもこのアルバムと同じテイストです。

●Musicians
栗原努 / guitar
梅垣留奈 / Keyboard
永井敏己 / bass
バカボン鈴木 / drums

●Numbers
1. 12th Tree
2. Blue Planet
3. Crimson Carpet
4. Nusa Dua
5. Kesaran Patharan
6. Sonatine 1
7. Sonatine 2
8. Sonatine 3
9. Frying Seed (Landscape 37)
10.Soft Nothing
11.UT06(bonus track)
Dscf1650

2010年7月 1日 (木)

日本を代表するプログレバンド「美狂乱」のセカンド

Dscf1545






Musician●美狂乱
Title●Parallax(1983年)
■ディスクユニオンで購入

静岡出身のプログレバンド「美狂乱」が1983年に発表した2作目です。もとより「まどろみ」というバンド名でKing Crimsonのコピーバンドとして知る人ぞ知るという存在でしたが、制作期間があまり確保できずに消化不良の感があったファースト「美狂乱」よりも遙かに完成度が高く、2作目にして彼らの代表的な作品に仕上がっています。

そのそもキンクリのコピーバンドなので演奏技術的には申し分がないのですが、単なるコピーバンドで終わらないことを証明したのもこのアルバムのように感じられます。つまりアングロサクソン的なプログレから「和」が随所に感じられるプログレへの転換です。とはいいつつ、1曲1曲が異常に長い大作主義、変拍子の多用、そしてメロトロンと本家フィリップ卿直伝の正確無比なギターワークは、やはりキンクリの強すぎる影響を感じさせます。

個人的には2曲目「予言」のイントロで聴かれるあまりに美しいギターソロ、そして組曲「乱」での恐ろしく研ぎ澄まされて、かつ美しすぎる世界が好みです。

しかし、残念ながらこのアルバムがリリースされた1983年という時代は世界的には「プログレ終焉期」。さらにいえば70年代後半に巻き起こったパンクブームも下火になっていたわけで、まさにタイミングとしては遅すぎる登場なわけです。このアルバムも一部のプログレ信奉者からは熱い視線を浴びましたが、やはりセールス的には厳しかったのではないでしょうか。

4枚のスタジオ盤のほかに数枚のライブ音源がある「美狂乱」ですが、一時期は国内メーカーではなく、フランスのプログレ専門レーベル「Musea」からリリースされて逆輸入されるという妙な現象が起きていたことを考えても、我が国ではこうしたミュージシャンが活躍できるシーンはかなり限られていると思わざるをえません。

●Musicians
須磨邦雄 / guitar,voice
白鳥正英/ bass
長沢正昭 / drums

中西俊博 / violin
溝口肇 / cero
永川敏郎 / keyboard
岡野等 / trumpet

●Numbers
1. サイレント・ランニング
2. 予言
3. 組曲「乱」
Dscf1546

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

いろいろ検索

  • Tower Records検索
  • HMV検索
    HMV検索
    検索する
  • iTunes検索
  • Amazon検索
無料ブログはココログ