エレキギンギンからしっとりアコギへ転身Bill Connorsの1st
Musician●Bill Connors(guitars)
Title●Theme to the Gaurdian(1974年)
■ディスクユニオンで購入
1970年代に一世を風靡したChick Corea率いる「Return To Forever」(RTF)の初代ギタリストBill Connors(ビル・コナーズ)の初ソロアルバムです。1974年録音。
RTF時代の彼のプレイを耳にした方ならご理解いただけると思いますが、あれだけエレキをギンギンに弾いていた人がまるで正反対のタイプに変身してしまうこと自体が驚きです。アメリカから単身ノルウェーに渡り、オスロのスタジオでレコーディングされたこの作品ですが、なんとアコースティック1本で作られました。
ECMらしい内省的な魅力が満載と書いてしまうのは簡単ですが、北欧の森林をデザインしたジャケットといい、ひたすら悲しみと憂いが込められたプレイを聴くと、最近涙腺が弱くなってきた私にとって、癒しを通り越して悲しみの感情が高まってくるという作品です。RTF時代の華やかさを一切封印し、アコギのナイロンゲージから生み出されるサウンドは、氷のように冷え切った北欧の原野をあてもなく放浪する吟遊詩人が押し出す静かな叫びのようです。
Bill ConnorsがRTFを辞めた経緯は不明ですが、後釜ギタリストのアル・ディ・メオラが当時としては最速と呼ばれた早弾きと独自のミュート奏法を武器にして一躍スターギタリストに成り上がってことを考えると、Connorsも内心は複雑な思いを抱えていたのかもしれません。だからといって、それだけが理由でいきなり内省的なプレイに転向するとは思えませんが、聴く立場は勝手なもので限りなく妄想が膨らんできます。そう言えば、ジャケットに写る彼の「かんばせ」も若干悲しそうに見えてきます。
Connorsは「Swimming with a Hole in My Body」(1980年)までECMの諸作品に参加しますが、その後突然姿を消してしまいます。そして1984年に「Step It」で今度はAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)のそっくりさんとしてカムバックします。まるでジェットコースターのような変節ぶりで周囲を驚かせてくれるのです。
●Musician
Bill Connors / guitars
●Numbers
1. Theme to the Gaurdian
2. Childs Eyes
3. Song for a Crow
4. Sad Hero
5. Sea Song
6. Frantic Desire
7. Folk Song
8. My Favorite Fantasy
9. Highest Mountain
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