80年代型キンクリ第2弾「Beat」
Musician●King Crimson
Title●Beat(1982年)
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1981年にリリースされた「Discipline」(鍛錬)に続いて発表された1980年型キンクリの第2弾です。通算では9枚目になります。キンクリとしては珍しく同一メンバーで連続して作られた初の作品ということです。したがって、前作との正当な比較が可能になっています。
と書きましたが、路線としては完全に前作の延長線上にありますが、あえて「違い」を見つけるとアルバムタイトル「Beat」にあるように、一段と「ポリリズム」が強調されています。したがって楽曲自体はややシンプルになり、リズム隊の存在感がより際だって感じられます。前作から加入した変態ギタリストAdrian Below(エイドリアン・ブリュー)の存在感もかなりのもので、御大フリップ卿と対等に渡り合うまでに。1曲目「Neal And Jack And Me」からして、凄まじいばかりの破壊力満点のポリリズムにはただただ驚くばかり。前作から全面的に押し出されている「正確無比なアルペジオ攻撃」も、一段と磨きが掛かってきたように思えます。それに加えて、Talking Heads時代から磨いてきたブリューの変態ソロが渾然一体となって絡まりあい、キッチュで奇天烈なサウンドに仕上がっています。
ところで「60年~70年代型キンクリ」のファンにとっては、「Discipline」から始まった「80年型キンクリ」はまるで異質のものとして語られることが多いように思います。なかにはあからさまに毛嫌いする人も多いように感じます。つまりは「こんなアルバムはキンクリとは認めるわけにはいかん」「これでキンクリは終わった」などという評価です。
両者を比べると確かに全く別モノだとは思いますが、なにもそこまでして嫌う必要もないと思うのです。語弊があることを百も承知で申し上げますが、どうもプログレファンは「教条主義」に走る人が多いように思えます。音楽を聴くスタイルは人によって千差万別、好きなように聴けばいいわけですが、何も排他的になることもないのに、自由に聴けばいいのに、と感じます。個人的には「また違ったバンドが出てきた」程度の認識ですから、まったく苦にはしていません(笑)。
もしかしたらそんな「論争」が起きることも、フリップ卿にとっては事前に織り込み済みなのかもしれませんね。たぶんあのニヒルな表情で「ニヤリ」とほくそ笑んでいるに違いありません。
●Musicians
Adrian Below / guitar,lead vocal
Robert Fripp / guitar,organ,frippertronics
Tony Levin / stick,bass.support vocal
Bill Bruford / drums
●Numbers
1. Neal And Jack And Me
2. Heartbeat
3. Artori In Tangier
4. Waiting Man
5. Neurotica
6. Two Hands
7. The Howler
8. Requim
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