渡辺香津美が高3の時にレコーディングした1st
Musician●渡辺香津美(guitar)
Title●Infinite(1971年)
■ディスクユニオンで購入
日本を代表するジャズ・フュージョンギタリスト、渡辺香津美による記念すべき1stです。1971年リリース。当時、香津美さんは弱冠17歳で、暁星高校の3年生だったとか。暁星高校といえば歌舞伎役者の子弟が通うことで有名ですが、ビジーフォーのお二人や藤村俊二など多彩な人材を送り出しています。卒業生に共通するのはいい意味のお坊ちゃん気質と品の良さを感じさせます。妙にガツガツとしない、おっとりとした人柄の人が多いように思えます。
さて、香津美さんは当時まだギターを手にしてから3年しか経っていなかったそうです。キャリアの短さはもちろん、一番驚くのは17歳という高校生がこんな大人びたギターを弾けるのかということです。どういう生活背景から、こんなフレーズが生み出されたのでしょうか。若くして完成されたテクニックよりも、そちらのほうに興味津々です。前半2曲(アナログではA面)が香津美さんオリジナルで、後半3曲(B面)がジョー・ヘンダーソン、ケニー・ドーハム、ジョニー・バークとジミー・ヴァン・ヒューゼンの共作のカバーです。選曲も渋すぎます。
演奏はというと香津美さんが最初に感化されたウェス・モンゴメリーの強い影響を感じさせます。いまの基準に当てはめてしまうと、さすがにプレイ自体も粗っぽさが見られます。それでもそんなハンディを補って余りあるほどの瑞々しい感性とアイディアが随所にあふれています。
さて、このアルバムは95年に一度CD化されましたが、その後は再プレスされていないようで、オークションなどでは異常な高値で取り引きされています。私は偶然のぞいたディスクユニオンお茶の水店の中古コーナーで、1000円で売り出されているのを発見し入手しました。ディスクユニオンには申し訳ない言い方ですが、この盤の希少価値をご存じでない店員さんのおかげでゲットできた次第です。さらにいえば、こんな貴重な盤を売り出してしまった人に感謝するとともに、「どうして売っちゃったんですか」と問いたいです。とは言いつつ、アナログ盤は比較的入手しやすいようです。気長に中古屋を巡ってみてはいかがでしょう。
もちろん、もっとも望ましいのは再プレスであることは言うまでもありません。渡辺香津美さんはTwitterでほぼ連日呟かれていますが、ファンからの呟きにフランクに対応されているようです。いっそのこと、今度ご本人に再プレスのお願いでもしようかと企てています。
余談ですが、あまりに早いプロデビューに対して香津美さんのお母さんは猛反対したそうです。思いあまってまったく面識がない渡辺貞夫さんに電話をかけて断念するよう貞夫さんから説得してくれないかと頼んだそうです。そこで渡辺貞夫さんがお母さんの願いを聞き入れていたら、のちのYMOなどもつまらないものになったいたでしょうね。
●Musicians
渡辺香津美 / guitar
植松孝夫 / tenor sax
市川秀男 / piano
鈴木良雄 / bass
日野元彦 / drums
●Numbers
1. Infinite
2. Cortly
3. Isotope
4. Blue Bossa
5. Here That Rainy Day
« John Abercrombieのソロデビューアルバム | トップページ | 低温火傷系ギタリストTim Millerの2ndソロ »
「ジャズギター」カテゴリの記事
- David Gilmore / Transitions(2017年)(2017.04.08)
- Kurt Rosenwinkel / Caipi(2017年)(2017.04.02)
- Wolfgang Muthspiel,Mick Goodrick / Live At The Jazz Standard(2010年)(2016.08.06)
- John Abercrombie / Within A Song(2012年)(2016.07.03)
- Albert Vila / The Unquiet Sky(2014年)(2016.06.25)
« John Abercrombieのソロデビューアルバム | トップページ | 低温火傷系ギタリストTim Millerの2ndソロ »
コメント