プログレライブの最高傑作「USA」
Musician●King Crimson
Title●USA(1974年)
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プログレの至宝King Crimson(キング・クリムゾン)が「Red」のレコーディングに入る前、1974年のアメリカラストツアーの模様を収めたライブ音源です。
これほどの名盤が長らくCD化されなかった理由の一つに、がEddie Jobsonがヴァイオリンとピアノの音を後からスタジオワークで加えたため、そのことが御大Robert Frippの逆鱗に触れたから、というのが定説になっています。というのも本来のメンバーであるDavid Crossがツアー終了後の脱退してしまったため、後のスタジオワークのために当時ロキシー・ミュージック在籍のEddie Jobsonを急遽呼んで完成させたのですが、どうやら御大Frippの了解を得ないままに行ってしまったようです。やはり筋を通さないと偉い人は怒りますよね。音楽業界も会社と同じです。
しかし、このスタジオワークについては「後になってから」話題になったことであり、当時このライブ音源を聴いたときは大袈裟でもなく「これは奇跡のライブだ!」と驚嘆の声を上げたものです。実際、オーバーダブのことなど露知らずに、聴いていた人がほとんではないでしょうか。ちなみに4曲目「Exiles」ではスタジオワークが施されていませんので、完全に生の演奏が楽しめます。
その後、CDが登場してキンクリの各作品が続々とCD化されていくのにもかかわらず、このアルバムだけがなぜかCD化されないので、多くのファンが「なぜ?」と疑問を持ちはじめたところ、初めて上記の事情が明るみになったのです。それでもやはりCDで聴いてみたいのが人情です。そんな人間の弱みにつけ込んで(?)一時期はアナログ盤をそのままCDに移植したと思われる粗悪な海賊盤まで出回っていました。たぶん悪評高いロシア盤でしょう。
ところでドラムはWilliam Brufordとクレジットされていますが、もちろんBill Brufordのことです。なぜ変名なのかというと、Fripp卿がYESから強引に引き抜いた経緯が関係しているのでしょう。契約上で変名を使っているのだと思います。
●Musicians
David Cross / violin,keyboard
Robert Fripp / guitar,mellotron
John Wetton / bass,vocal
Bill(William) Bruford / drums
Eddie Jobson / violin on Larks' Tongues in Aspic, Pt. 2,21st Century Schizoid Man
●Numbers
1. Walk on...No Pussyfooting
2. Larks' Tongues in Aspic, Pt. 2
3. Lament
4. Exiles
5. Asbury Park
6. Easy Money
7. 21st Century Schizoid Man
8. Fracture
9. Starless
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コメント
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出た~、懐かしの名盤!
これ、僕がクリムゾンで最初に買ったアルバムなんです。それだけに思い入れが満点。
あらためて見ても選曲がいいですよね。
しかし、オーバーダブの件はたった今まで知りませんでした(汗)
久しぶりに聴いてみたいのでCD買おうかな?オーバーダブに注意して聴いてみます(笑)
しかし、リッチー・バイラークといい、今回のクリムゾンといい、人間関係のもつれは怖いですねぇ(汗)
投稿: Nicola | 2010年6月15日 (火) 13時58分
あちこちに分散してライブが入ってるんですよね、コレ。ズベリーパークのライブだから…、ってことで。そりゃもちろんオーバーダブなしでしょうが。
でもそのせいか、アナログ盤が激安になってきていて少し寂しい気分です。
投稿: フレ | 2010年6月15日 (火) 22時32分
>Nicolaさま
コメントありがとうございます。私もアナログ時代は知りませんでした。
一応、クレジットでは3曲のみなんですが、実際はどうなんでしょうね。
よくわかりません。
記事にも触れたロシア盤ですが、なぜか「キング・クリムゾン USA」と日本語が印刷されてました。
ますますよくわかりません。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年6月16日 (水) 01時23分
>フレさま
コメントありがとうございます。
Twitterでもお世話になっています。
そうなんです、BOXセットまで手を伸ばす余裕がないので、これでシノイデいます(笑)。
おっしゃる通りで、アナログ盤を初めて聴いた時の衝撃が値段の下落とともに薄らいでいるのも確かです。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年6月16日 (水) 01時35分