海賊盤的な音源がリマスター化したUKライブ
Musician●UK
Title●Live in Boston(1978年)
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イギリスを中心に一大ムーブメントを巻き起こしたプログレッシヴロック(通称プログレ)は70年代終盤には次第に勢いを失い、80年代にはほぼ壊滅状態に陥ってしまった印象があります。もちろんKing CrimsonやYESなどの老舗的な大御所はメンバーや音楽性を微妙に変えながらしぶとく生き残っていきましたが、それ以外の新興勢はほとんど解散してしまいました。
1977年に突如として誕生した「UK」は元キンクリ、元YESのメンバー(John WettonとBill Bruford)に加えて、元ロキシー・ミュージックの鍵盤楽器奏者Eddie Jobsonと元Soft Machine、元Tony Williams New LifetimeのギタリストAllan Holdsworthを加えた4人でバンドを結成します。元はといえばキンクリ総帥のRobert Frippが1974年に「Red」をリリース後、キンクリの活動停止を宣言した結果、働き口をなくしたほかのメンバーがくっついたり離れたりしたことで生じた「分裂現象」で、Robert Frippがキンクリを続けていれば、状況も変わったことは確かです。
Bill BrufordとAllan Holdsworthとは1977年にジャス色が強いアルバム「Feels Good To Me」で共演しており、Eddie Jobsonはキンクリのライブ音源「USA」で後に大問題になったスタジオワークでヴァイオリン奏者として参加しているわけで、実は知り合い同士だったりするわけです。
「UK」はファースト「憂国の四士」(1978年)のプロモーションのために78年4月から10月にかけて英国と米国でツアーを行いましたが、うち北米ツアーの中でもベストといえる1978年9月11日、マサチューセッツ州ボストン、パラダイス・シアターでのギグを収録したライブ音源がこの作品です。この音源は99年に「コンサート・クラシックスVol4」というタイトルで一度CD化されましたが、メンバーの了解を得ていなかったという初歩的なミスのため即刻廃盤という憂き目に。以後、海賊盤としてコピー音源が出回っていました。今回は、正式なライセンスを得て、新規リマスタリング加工が施してあります。
個人的には前出の「コンサート・クラシックスVol4」や海賊盤で何度も聴いているので、音源そのものに新味は感じませんが、今回のリマスタリング効果は抜群で音質・音圧・バランスとも非のうちどころがありません。スタジオ盤を遥かに凌駕するド迫力のプレイとメンバーの超絶技巧ぶりは、30年以上経ったいまでも聴いていて鳥肌が立つほどです。
ところで、このアルバムがリリースされたとき、第1期メンバーによる未発表曲&アウトテイクを追加した「憂国の四士」が再発売されるという噂がありましたが、どうやら現時点では実現していないようです。残念というより、どうしてこうもゴタゴタと揉めるのでしょうね。まぁ、気長に待っていましょう。
●Musicians
John Wetton / lead vocals,bass
Allan Holdsworth / guitars
Eddie Jobson / electric violin,keyboards
Bill Bruford / kit drums and percussion
●Numbers
1. Alaska
2. Time To Kill
3. The Only Thing She Needs
4. Carrying No Cross
5. Thirty Years
6. Presto Vivace - In The Dead Of Night
7. Caesar's Palace Blues
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