ジミヘンのラストイヤーライブ
Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●Band Of Gypsys(1970年)
■ディスクユニオンで購入
デビュー以来の「エクスペリエンス」を解消して、黒人のみのトリオで臨んだ「Band Of Gypsys」はいくつかのライブ音源を残しましたが、オフィシャルなスタジオ盤を残すことなく、ジミヘンの死をもって幻の存在になってしまいました。意外なことにジミヘンが残したオフィシャルアルバムはたった3枚で、ほかは彼の死後になってから「発掘」されたものです。
この音源は1969年の大晦日から元旦にかけて行われた「ニューイヤーコンサート」の模様を収録したもの。大晦日に2ステージ、元旦にも2ステージと計4ステージの音源を抜粋した形です。のちになって「完全版」として2枚組CDがリリースされましたが、完全版といってもすべての音源をコンプリートしたものではありません。とは言いつつ、80年代くらいまではこの「Band Of Gypsys」、ウッドストック、モンタレー、そして各地での音源を寄せ集めた「In The West」くらいしか彼のライブ音源は「発表」されておらず、その意味でも大変貴重な音源であることは間違いありません。
このアルバムを初めて聴いたのは高校生の頃でしたが、何といっても衝撃的だったのが、オープニングの「Machine Gun」。いうまでもなく当時現実に進行中だったベトナム戦争に反対の意を訴えるメッセージソングですが、空爆による爆撃音をギターで再現するという前代未聞のスーパープレイに度肝を抜かれました。エフェクターとトレモロアームだけで、これだけの世界観を現出させてしまうのですから、まさにギターがもつ可能性を極限にまで追究しているわけです。Buddy Milesのドラムも速射砲をイメージしているのでしょう。
いまではYou Tubeなどで映像を見ることができますが、音で聴いて凄いものは、当然のことですが映像でも凄まじい!キャッチーな「Message to Love」も素晴らしい仕上がりです。このニューイヤーコンサートの数が月後にジミヘンは他界してしまいますが、まるで自分の死を予感しているかのような鬼神的なプレイはいま改めて聴き直しても背筋がゾクゾクとします。
●Musicians
Jimi Hendrix / guitar, vocals
Billy Cox / bass, backing vocals
Buddy Miles / drums, vocals
●Numbers
1. Who Knows
2. Machine Gun
3. Changes
4. Power to Love
5. Message to Love
6. We Gotta Live Together
英語版ウィキに4ステージのラインアップが出ていましたので転載します。
* indicating inclusion on the Band of Gypsys album 1970
+ indicating inclusion on the Live At The Fillmore East CD 1999
*印の曲がオリジナル盤収録、+印の曲が2枚組「完全版」収録です。大晦日1ステージ目と翌元旦では10~11曲なのに対して、大晦日2ステージ目は15曲もプレイしています。おそらく気分が盛り上がって大盤振る舞いしたのでしょう。そのステージを見た人は大変ラッキーですが、同じ料金を払ってほかのステージを見た人は悔しかったでしょうね。
■Wednesday, December 31, 1969 (First Fillmore East set)
1. Power Of Soul
2. Lover Man
3. Hear My Train A-Comin' +
4. Them Changes +
5. Izabella +
6. Machine Gun
7. Stop
8. Ezy Ryder
9. Bleeding Heart
10.Earth Blues
11.Burning Desire
■Wednesday, December 31, 1969 (Second Fillmore East set)
1. Auld Lang Syne +
2. Who Knows +
3. Stepping Stone
4. Burning Desire
5. Fire
6. Ezy Ryder
7. Machine Gun +
8. Power Of Soul
9. Stone Free/Nutcracker Suite/Drum Solo/Outside Woman Blues/Cherokee
Mist/Sunshine Of Your Love
10.Them Changes
11.Message Of Love
12.Stop
13.Foxy Lady
14.Voodoo Child (Slight Return)
15.Purple Haze
■Thursday, January 1, 1970 (Third Fillmore East set)
1. Who Knows *
2. Machine Gun *
3. Them Changes
4. Power of Soul +
5. Stepping Stone +
6. Foxy Lady
7. Stop +
8. Hear My Train A-Comin
9. Earth Blues
10.Burning Desire +
■Thursday, January 1, 1970 (Fourth Fillmore East set)
1. Stone Free/Little Drummer Boy +
2. Them Changes *
3. Power of Soul *
4. Message Of Love *
5. Earth Blues +
6. Machine Gun +
7. Voodoo Child (Slight Return) +
8. We Gotta Live Together * +
9. Wild Thing +
10.Hey Joe
11.Purple Haze
« 第2期DPの序章にして怪作 | トップページ | Aホールズワース在籍時の貴重な発掘ライブ音源Floating World Live »
「ロックギター」カテゴリの記事
- Jeff Beck / Loud Hailer(2016年)(2016.07.23)
- ROBIN TROWER / BEYOND THE MIST(1985年)(2016.01.17)
- ROBIN TROWER / ROCK GOES TO THE COLLEGE 1980(2015年)(2016.01.16)
- JIMI HENDRIX / FREEDOM ATLANTA POP FESTIVAL(2015年)(2015.12.26)
- 小川銀次さん亡くなる(2015.08.05)
この記事へのコメントは終了しました。
« 第2期DPの序章にして怪作 | トップページ | Aホールズワース在籍時の貴重な発掘ライブ音源Floating World Live »
コメント