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2010年6月

2010年6月30日 (水)

デンマーク出身の新進ギタリストTorben Waldorffの2nd

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Musician●Torben Waldorff(guitar)
Title●Squealfish(2004年)
■メーカーサイトより購入

デンマーク出身の新進気鋭のジャズギタリストTorben Waldorff(トーベン・ウォルドルフ)によるセカンドアルバムです。スウェーデンのマイナー系ジャズレーベルLJ Recordsから2004年にリリースされています。

1st「Hello World」(1998年)でも瑞々しいプレイを聴かせてくれましたが、2ndではさらにパワーアップ感が。基本的にはJohn AbercrombieやPat Methenyあたりのコンテンポラリー系ギタリストの流れを継承するスタイルですが、音数が多く饒舌なプレイスタイルに磨きがかかったように思えます。少しでも音の空間を発見すると、ガンガン入り込んでくる強引さは相変わらずです。北欧系のジャズギタリストはどちらかというと、空間の隙間や余白の美を重視するプレイヤーが多いように思えるのですが、Torben Waldorffのスタイルはまるで真逆ですね。ギターソロがまるで音のカーテンのように幾重にもなって襲いかかってくるイメージです。ギター好きにはたまりません。

若手ジャズギタリストといえば、一時期、やたらと持ち上げられていたスウェーデンのウルフ・ワケーニアスがすでに若くして老成してしまった今、北欧ジャズギター界を牽引する存在になってくれることを願ってやみません。

●Musicians
Torben Waldorff / guitar
Karl Martin Almqvist / tenor sax
Mattias Svensson / bass
P.A.Tollbom / drums

●Numbers
1. Quintroll
2. Linedown
3. Eye of The Cow
4. Ellabella
5. Squealfish
6. The Table Run
7. Big West
8. Sila
9. The Penguin Affair
10.Four Guys One Door
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2010年6月29日 (火)

海賊盤的な音源がリマスター化したUKライブ

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Musician●UK
Title●Live in Boston(1978年)
■Amazonより購入

イギリスを中心に一大ムーブメントを巻き起こしたプログレッシヴロック(通称プログレ)は70年代終盤には次第に勢いを失い、80年代にはほぼ壊滅状態に陥ってしまった印象があります。もちろんKing CrimsonやYESなどの老舗的な大御所はメンバーや音楽性を微妙に変えながらしぶとく生き残っていきましたが、それ以外の新興勢はほとんど解散してしまいました。

1977年に突如として誕生した「UK」は元キンクリ、元YESのメンバー(John WettonとBill Bruford)に加えて、元ロキシー・ミュージックの鍵盤楽器奏者Eddie Jobsonと元Soft Machine、元Tony Williams New LifetimeのギタリストAllan Holdsworthを加えた4人でバンドを結成します。元はといえばキンクリ総帥のRobert Frippが1974年に「Red」をリリース後、キンクリの活動停止を宣言した結果、働き口をなくしたほかのメンバーがくっついたり離れたりしたことで生じた「分裂現象」で、Robert Frippがキンクリを続けていれば、状況も変わったことは確かです。

Bill BrufordとAllan Holdsworthとは1977年にジャス色が強いアルバム「Feels Good To Me」で共演しており、Eddie Jobsonはキンクリのライブ音源「USA」で後に大問題になったスタジオワークでヴァイオリン奏者として参加しているわけで、実は知り合い同士だったりするわけです。

「UK」はファースト「憂国の四士」(1978年)のプロモーションのために78年4月から10月にかけて英国と米国でツアーを行いましたが、うち北米ツアーの中でもベストといえる1978年9月11日、マサチューセッツ州ボストン、パラダイス・シアターでのギグを収録したライブ音源がこの作品です。この音源は99年に「コンサート・クラシックスVol4」というタイトルで一度CD化されましたが、メンバーの了解を得ていなかったという初歩的なミスのため即刻廃盤という憂き目に。以後、海賊盤としてコピー音源が出回っていました。今回は、正式なライセンスを得て、新規リマスタリング加工が施してあります。

個人的には前出の「コンサート・クラシックスVol4」や海賊盤で何度も聴いているので、音源そのものに新味は感じませんが、今回のリマスタリング効果は抜群で音質・音圧・バランスとも非のうちどころがありません。スタジオ盤を遥かに凌駕するド迫力のプレイとメンバーの超絶技巧ぶりは、30年以上経ったいまでも聴いていて鳥肌が立つほどです。

ところで、このアルバムがリリースされたとき、第1期メンバーによる未発表曲&アウトテイクを追加した「憂国の四士」が再発売されるという噂がありましたが、どうやら現時点では実現していないようです。残念というより、どうしてこうもゴタゴタと揉めるのでしょうね。まぁ、気長に待っていましょう。

●Musicians
John Wetton / lead vocals,bass
Allan Holdsworth / guitars
Eddie Jobson  / electric violin,keyboards
Bill Bruford  / kit drums and percussion

●Numbers
1. Alaska
2. Time To Kill
3. The Only Thing She Needs
4. Carrying No Cross
5. Thirty Years
6. Presto Vivace - In The Dead Of Night
7. Caesar's Palace Blues
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2010年6月28日 (月)

新感覚派のギタリストTorben Waldorffの1st

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Musician●Torben Waldorff(guitar)
Title●Hello World(1998年)
■メーカーサイトより購入

デンマーク出身の素晴らしいジャズギタリストを見つけました。Torben Waldorff(トーベン・ウァルドルフ)はいわゆるコンテンポラリー系ギタリストですが、たとえて表現すると「大変饒舌なパット・メセニー」という感じのプレイが身上。パット・メセニーのソロにディストーションを目一杯かけて音数を3倍にしたイメージといえばいいでしょうか。ソロが歌いに歌いまくっていて、ギター好きにはたまらない魅力を放っています。ワントーンで弾きつないでいくギター奏法は元はといえばJim Hallが世に広めたものであり、John AbercrombieやBill Friselあたりがポピュラーなものにし、パット・メセニーなどの若手が継承している流れになるのだと思われます。そんな意味では、Torben Waldorffも正統派コンテンポラリー系ギタリストの系譜をキチンと受け継いでいます。Torben Waldorffは現在は北欧を離れてアメリカで演奏活動を展開しているようです。

おそらく初ソロだと思われるこのアルバムはスウェーデンのマイナーレーベル「LJレコード」からリリースされていますが、メンバーもおそらく北欧系だと思われます。北欧ジャズ特有のリリシズムと、饒舌なギターソロとが絡み合って何とも痛快な作品に仕上がっています。北欧を代表する鍵盤楽器奏者、Maggi Olin(マギ・オリン)が参加しています。

●Musicians
Torben Waldorff / guitars
Maggi Olin / piano
HenrikFrisk / sax,bassclarinet
P.A Tollborn / drums

●Numbers
1. Fulof
2. Hello World
3. Goldi
4. Femme
5. Detaille
6. Mickiday
7. Deleric
8. peach
9. On This Day
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2010年6月27日 (日)

イスラム色に包まれるThierry David

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Musician●Thierry David(synthesizer,paino)
Title●Khora(1994年)
■Gemm.comより購入

おそらくフランス出身と思われるシンセサイザー奏者Thierry David(ティエリ・デイヴィッド)による作品です。実は録音された年月日がクレジットされていないのですが、フランス語で書かれたスリーブを解読するとThierry Davidが1993年7月にトルコ共和国イスタンブールに旅行したときに得た音楽的な刺激をもとに書かれた作品ということになっています(たぶん)。メンバーはSteve Shehan(drums)、Nguyen Le(guitar,electric E Bow)、Philippe Nadaud(sax)というメンツです。勉強不足で申し訳ありませんが、ギターのNguyen Le以外は存じ上げず、というかThierry Davidという人もネットで調べても正体不明なんです。すみません。

さて「Khora」というドンズバなタイトル通り、もろにイスラム音楽に影響された内容で、のっけからもの寂しげなコーランの調べでスタートします。ゲスト参加のNguyen Le(グエン・レ)はフランス生まれのベトナム系ミュージシャンですが、彼が操る「lectric E Bow」という楽器が何とも怪しげでかつ繊細なソロを奏でています。オリエンタルな雰囲気と一言で片づけてしまうことには抵抗感を感じますが、とにかく素敵な作品です。目を閉じてじっくり耳を傾けるとイスタンブールの風景が目前に広がります(もちろん行ったことはありませんが)。

個人的なことを申し上げますと、私が小中学生の頃に海外のラジオ局放送を傍受するという趣味が男子の間で大流行しました。彼らはBCL、つまりBroadcasting Listner(放送傍受者)と呼ばれていました。何を隠そう、私もしっかりブームに乗ってしまい、夜ごと短波ラジオにかじりついていましたが、夜に傍受するのは、夜間だと短波の伝播力がアップするためで、より遠方の外国の放送が聴けるためです。決して宵っぱりなわけではありません。

そんな傍受活動に従事するなか、特にイスラム圏諸国の放送を傍受するのが好きでした。信仰心に厚いイスラム諸国の放送では、番組の前後に「コーラン」が流れます。そうです、コーランに始まりコーランに終わるのです。もちろん子どもですからイスラム教の何たるかはまったく知識がありませんでしたが、どことなく寂しげで心に沁み入るコーランの調べには心打たれるものがありました。

余談ですが、そんなBCL野郎を対象にしたラジオ番組というものが当時あって、まだ売り出し中のタモリがパーソナリティを務めていました。タモリが海外放送を好んで聴いていたことは有名で、「四カ国語マージャン」をはじめとした出鱈目外国語ネタのほとんどは、海外放送からヒントを得ているはずです。つい先日、タモリ自身が「コーラン好き」であることを告白していましたが、イスラム圏の放送がきっかけだったと言ってました。お笑いビッグネームと少しでも感性的に共通項があることに少しうれしく思います。

脱線ばかりで申し訳ありません。

●Musicians
Thierry David / synthesizer
Nguyen Le / guitar,electric E Bow
Philippe Nadaud / sax
Steve Shehan / drums

●Numbers
1. Kami Ramallat
2. Dinjir-An(Khora 1)
3. Ibrim Ba'al
4. Wakan-Atom
5. Dinjir-Enki(Khora 2)
6. Kiririsha
7. Kudai-Enlik
8. Inanna Ishtar
9. Dinjir-Enlill(Khora 3)
10.Gaia-Tswana
11.Karusa Kaibe
12.Shugendo El Shamash
13.Dingir-Ea(Khora 4)
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2010年6月26日 (土)

カブト虫たちが大人になったRevolver

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Musician●Beatles
Title●Revolver(1966年)
■ディスクユニオンで購入

たまにはメジャーなアーティストも。ビートルズのリマスターボックス盤が昨年発売され、3万円近くする高価な商品にもかかわらず売れに売れて、一時期は店頭から姿を消したことで大いに話題になりました。モノが売れないとどの業界でも青息吐息の状況でも、やはり買いたいモノ、良質なモノは売れるのだと感心しました。

私はビートルズ同時体験世代ではありませんが、それでも中学の頃は聴きに聴きまくっていたので、洋楽体験のひとつの核になっていることは事実です。数ある彼らのアルバムの中で1作品だけ好きな作品をあげよと言われると、その奇天烈さ加減でこの「Revolver」が真っ先に思い浮かびます。ただし、「ボックスセット、大人買い」という中年男特有の行動をとれるほど財力に余裕があるわけではないので、気になるアルバムをバラで買い求めようと考えています。

私のような人間がいまさらとやかく述べるのも噴飯モノですが、このアルバムはアイドルとしての扱い、過酷なコンサートスケジュールに飽き飽きとしていた彼らがアーティストとして初めて志向して臨んだ作品です。アーティスト志向は何となくなく「ラヴァー・ソウル」で兆候が感じられましたが、このアルバムで本格化した印象です。どちらにしても中期ビートルズを語るうえで欠かせない問題作だと思います。

後に彼らが告白したように、すでにドラッグを通した精神世界を音楽で再現しようという試みが随所で見られます。ドラッグと音楽をリンクする試みは、後のヒッピームーヴメントを生み出し、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、ジャニス・ジョプリンなどの60年代後半を代表するアーティストに継承されるのです。また、音楽上での実験的なアプローチという点では、キング・クリムゾンやイエスなどのプログレッシヴ・ロックやヴァニラ・ファッジなどのアートロックにも影響を与えます。

ストリングスやブラスの導入、テープの逆回転、エフェクターの多用などは、さまざまなカテゴリーに分かれていったロックが取り入れた手法であり、それを1966年という時代でなしえた彼らの先見性にはただ驚くばかりです。

個人的には、後のハードロックにもつながる「Taxman」での強烈なリフとソロで脳天を打ち抜かれたような衝撃をいまでも覚えています。これはあくまでも噂ですが、ギターソロはJeff Beckであるという都市伝説が流れています。スタジオ裏口からトボトボと引き上げていくJeff Beckが目撃されたとか、されていないとか。そんな不名誉な噂が囁かれるほど、ジョージ・ハリスンは輝いています。

ドラッグ世界そのままの「Tomorrow Never Knows」のサイケデリックなアプローチもいま聴いても新鮮です。テープの逆回転を取り入れたギミックは「Revolver」以前もほかのミュージシャンが取り入れていましたが、元アイドルの彼らが導入したことで、以降、多くのグループがこぞって真似をしました。サイケムーヴメントの夜明けですね。

<追記>Twitter仲間の方から「Taxman」のギターソロはPマッカートニーだとご指摘をいただきました。確かにマッカートニーは何でもこなせますし。自分が作った曲での最大の見せどころを先輩に譲ったハリスンの心境はどんなものだったのでしょう。

●Numbers
1. Taxman
2. Eleanor Rigby
3. I'm Only Sleeping
4. Love You To
5. Here, There and Everywhere
6. Yellow Submarine
7. She Said She Said
8. Good Day Sunshine
9. And Your Bird Can Sing
10.For No One
11.Doctor Robert
12.I Want to Tell You
13.Got to Get You into My Life
14.Tomorrow Never Knows
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2010年6月25日 (金)

Huong Thanh / Dragonfly(2001年)

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Musician●Huong Thanh
Title●Dragonfly(2001年)
■ディスクユニオンで購入

フランス在住のベトナム系女性歌手Huong Thanh(フン・タン)による2001年の作品です。本人名義としては1999年「Moon and Wind」に次いで2作目になるはずです。前作に引き継いでプロデューサーとギタリストを務めるNguyen Le(グエン・レ)もベトナム系フランス人です。イタリア出身のトランペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)も継続参加しています。

全体としてはベトナムの民族楽器を多用したアジアンサウンドを基本に、ジャズともフュージョンともつかない彩りが加わり、実に独特な雰囲気が漂います。無理にジャンル分けする必要はないと思いますが、分かりやすく言えばワールドミュージックの範疇に入るのでしょうか。

Huong Thanhのボーカルは相変わらず実に美しくしかもチャーミングな魅力にあふれています。特に4曲目の「What the Bird Says」でのHuong ThanhとNguyen Leの繊細なギタープレイとの絡みは、この世のものとは思えない美しさです。同じことを欧米人がやってもこれほどまでに繊細な味わいは再現できないでしょうね。また、十分に理解できるのもアジア人の特権ではないでしょうか。説明不可能な「血のつながり」を感じさせるのです。

よくありがちな「エスニック趣味」とは一線も二線も画したくなるような不思議な魅力をもったこの作品。毎日聴いても全く飽きを感じさせません。東京砂漠を闊歩するときに、こっそりと聴きたいそんな作品です。

●Musicians
Huong Thanh / vocal
Nguyen Le / guitar,synths
Etienne Mbappe / bass
Richard Bona / bass
Paolo Fresu / trumpet

●Numbers
1. Ten Reasons For Loving You
2. Bakida
3. Dragonfly
4. What The Bird Says
5. Two Sisters
6. The Betel Tray
7. Graceful Bamboo
8. Crossing The Valley
9. Drums In The Night
10.Scent Of My Childhood
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2010年6月24日 (木)

マッチョ系ジャズロック「Matalex」の96年ライブ

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Musician●Matalex
Title●Live(1996年)
■Gemm.comより購入

ドイツを代表するジャズロックユニット「Matalex」が1996年6月から7月にデュッセルドルフとローマで行ったツアーを収録したライブ音源です。Matalexとはメンバーの2大巨頭Mat Junior(マット・ジュニア/Keyboards)とAlex Gunia(アレックス・ガニア/guitar)の名前の一部を合成した言葉「Mat+Alex」をそのままバンド名にしています。

このライブツアーはアルバム「Jazz Grunge」のプロモーションのために行ったものですが、スタジオ盤を数段上回るハイテンションぶりには圧倒されます。正直、妙に畏まったスタジオ盤よりもこのライブ盤を聴くだけで十分ではないでしょうか。スタジオ盤でも参加したランディ・ブレッカーも同様にツアーに参加しています。

このグループの特徴は圧倒的なテクニックに裏づけられた緻密な構成力と、終始迫力満点で押しまくる凄まじいばかりのハイテンションかつ骨太プレイ。しかも一切の「手抜き」をしない生真面目さには、マイスターの国としての誇りと熱いゲルマン魂を感じさせます。Alex GuniaのギタープレイはAホールズワースとSヘンダーソン的な雰囲気に加えて、極めて硬質でメタルな要素も感じさせます。個人的には大変お気に入りのギタリストです。Matalexは日本ではいまひとつ知名度が低いようですが、硬質で骨太のジャズロックに興味がある人、きょうびの軟弱な音楽状況に辟易としている人はぜひチェックしてみてください。かなりの確率でぶっ飛びます。

そういえば後年になって第2ギタリストとして、あのジャン・ポール・ブレリが加入していました。しかし、前後してグループとしての活力も急激に低下してしまったように思えます。ジャン・ポール・ブレリが参加したのは確か「Freedom」というアルバムだったと思います。ところでこのグループはすでに解散してしまったのでしょうか。

●Musicians
Alex Gunia / guitars
Mat Junior / piano,organ,synthesizer
Arnd Geise / bass
Jost Nickel / drums
Till Erd / mixing engineer
Randy Brecker / trumpet

●Numbers
1. Matalex
2. Beauty of the Beast
3. X-Perience
4. First Time Intro
5. First Time
6. Who Plays First?
7. Apples Blues
8. No Merci
9. Secret Intro
10.Secret of My Dreams
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2010年6月23日 (水)

Mahavishnu Orchestraの発掘音源

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Musician●Mahavishnu Orchestra
Title●The Lost Trident Sessions(1973年)
■ディスクユニオンで購入

第1期Mahavishnu Orchestraの発掘音源です。1999年に突然発売されました。私がもっているのは輸入盤ですが、確か日本盤帯には「四半世紀の時空を超えてついに明らかになる」というようなコピーが書かれていました。まあ、そこまで大げさに考える必要はないと思いますが、グループの活動期間がわずか2年間ということもあって、こうした発掘音源は大いに歓迎するところです。

クレジットを見ると1973年6月25日から29日にかけてイギリス・ロンドンのトライデントスタジオで録音されたもの。本来は「Birds Of Fire」(1973年)に続くサードアルバムのためのセッションですが、ご存じの通りマクラフリンのやり方に反感を募らせていたほかのメンバーは、全員がそろって「退団」してしまいます。そんな事情もあって、これまで「お蔵入り」していたのでしょう。

そんな状況ですから、肝心の音のほうも気になります。しかし、そこは超がつく一流ミュージシャン集団ですから、相変わらずのバカテクと尋常でないハイテンションぶりをい全曲で発揮しています。

ちなみにグループとしてのオフィシャルライブ音源として「Between Nothingness & Eternity」(虚無からの飛翔)がリリースされていますが、ここでの1曲目「Dream」「Trilogy」「Sister Andrea」が演奏されているので耳覚えがある人も多いのではないでしょうか。「Between Nothingness & Eternity」は1973年8月12日、セントラルパークでの録音です。

●Musicians
John Mclaughlin /guitar
Jan Hammer / piano
Jerry Goodman / violin
Rick Laird / bass
Billy Cobham / drum

●Numbers
1. Dream
2. Trilogy;The Sunlit Path / La Mer de la Mer / Tomorrow's Story Not the Same
3. Sister Andrea
4. I Wonder
5. Stepping Tones
6. John's Song
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2010年6月22日 (火)

なんとTony WilliamsとJonas Hellborgの共演作

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●The Word(1991年)
■Gemm.comより購入

スウェーデン出身の超絶ベース奏者Jonas Hellborgによる1991年の作品です。Jonasと言えば夭折の天才ギターモンスターShawn Laneとの共演作がもっとも知られていると思いますが、今回は弦楽四重奏と天才ドラム奏者Tony Williamsという凄まじい取り合わせです。

「Soldier String Quartet」といういかにも怪しげな名前のストリングスがキッチュで奇天烈な雰囲気を作り出すなか、Tony Wliiiamsがタイトなリズムで応酬すると妙な緊張感が漂います。そこにHellborgが強引に割り込んできて暴れまくるという変な作品です。ベースとストリングスという意外すぎる組み合わせに加えて、Tony Williamsというビッグネームが参加しているだけで、心臓に悪そうです。おっとプロデュースの名前を見たらあまりお近づきになりたくないBill Laswellの名前を発見してしまいました。

●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Tony Williams / drums
Soldier String Quartet

●Numbers
1. Akasha
2. Zat
3. Saut-E Sarmad
4. Two Rivers
5. Be! And All Became
6. Poets
7. Black Rite
8. Cherokee Mist
9. Miklagaard
10.Path Over Clouds
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2010年6月21日 (月)

Aホールズワース在籍時の貴重な発掘ライブ音源Floating World Live

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Musician●Soft Machine
Title●Floating World Live(1975年)
■ディスクユニオンで購入

近年、未発表ライブ音源などが続々と発掘されているカンタベリー系ミュージックの大物「Soft Machine」ですが、アルバム「Bundles」時代のものはあまり出回っていないように思えます。当然、個人的なお目当てはギタリストのAllan Holdsworthであり、「どんどん発掘してくれよ」というのが偽らざる思いなわけです。

そんな声なき声に応えてくれたのか、ドイツのラジオ・ブレーメンでのライブ音源が発掘されました。1975年1月 29日に収録されたもので、1974年7月に録音された8枚目のアルバム「Bundles」のプロモーションツアーの一環として出演したものです。メンバーは Mike Ratledge、Karl Jenkins、Roy Babbington、John Marshallに加えて、「Bundles」から加入のAllan Holdsworthが参加しています。

「Bundles」時代のライブ音源は、BBCでの発掘音源がオフィシャルなものとして先行発売されているので、まったくの「お初」ではありませんが、BBCライブはわずか3曲のみ収録と、いささか消化不良の感がありました。しかし、この70分以上にも及ぶラジオライブは、「Bundles」時代のSoft Machineの全容を余すことなく伝えてくれています。また、ギターファンにとってはAllan Holdsworthが参加した貴重なライブ音源として、マストコレクションとしての価値も十分すぎるほどあるはずです。

曲は「Bundles」からの選曲がほとんど。5曲目の「The Man Who Waved At Trains」では、ホールズワースがスタジオ盤では聴かれなかったバイオリンを披露しています。ただ惜しむらくはラジオ収録時間の都合で「Hazard Profile Part 1」でのホールズワースのギターソロがフェイドアウトしてしまう点です。オリジナル音源そのものが原因だけに仕方がないのですが、せっかく盛り上がっていくところだけにかなり興ざめしてしまいます。「どうせ騙し続けるのなら最後まで騙してほしかった」という心境でしょうか。用法が少し違うか。

このように「第2の絶頂期」を迎えようかとしていたバンドですが、ご存じのようにホールズワースは75年4月に脱退してしまい、Tony WilliamsのNew Lifetimeへと参加します。そして代わりにJohn Etheridgeを迎えて新たなスタートを切るとともにさらにフュージョン色を強めていくことになります。

ちなみに日本盤を買ったところ写真のような紙ジャケットがオマケでついてきました。保存するうえで意外と不自由な紙ジャケットなので、実はあまりありがたいとは思えないのですが…。私の場合はCDというと従来のプラケースのほうが使い勝手や保管の面でありがたいのですが、みなさんは紙ジャケットをどうやって保存していますか? 特に大判の紙ジャケットは、従来規格に合わないことがほとんどなので実はあまりうれしくないのです。

●Musicians
Mike Ratledge / organ,piano,synthesizers
Karl Jenkins / oboe,soprano sax,recorder,piano
Allan Holdsworth / guitar,violin
Roy Babbington / bass
John Marshall / drums

●Numbers
1. Floating World
2. Bundles
3. Land of the Bag Snake
4. Ealing Comedy
5. Man Who Waved at Trains
6. Peff
7. North Point
8. Hazard Profile, Pt. 1
9. J.S.M.
10.Riff III
11.Song of Aeolus
12.Endgame
13.Penny Hitch (Coda)

下2枚がオマケの紙ジャケです
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2010年6月20日 (日)

ジミヘンのラストイヤーライブ

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Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●Band Of Gypsys(1970年)
■ディスクユニオンで購入

デビュー以来の「エクスペリエンス」を解消して、黒人のみのトリオで臨んだ「Band Of Gypsys」はいくつかのライブ音源を残しましたが、オフィシャルなスタジオ盤を残すことなく、ジミヘンの死をもって幻の存在になってしまいました。意外なことにジミヘンが残したオフィシャルアルバムはたった3枚で、ほかは彼の死後になってから「発掘」されたものです。

この音源は1969年の大晦日から元旦にかけて行われた「ニューイヤーコンサート」の模様を収録したもの。大晦日に2ステージ、元旦にも2ステージと計4ステージの音源を抜粋した形です。のちになって「完全版」として2枚組CDがリリースされましたが、完全版といってもすべての音源をコンプリートしたものではありません。とは言いつつ、80年代くらいまではこの「Band Of Gypsys」、ウッドストック、モンタレー、そして各地での音源を寄せ集めた「In The West」くらいしか彼のライブ音源は「発表」されておらず、その意味でも大変貴重な音源であることは間違いありません。

このアルバムを初めて聴いたのは高校生の頃でしたが、何といっても衝撃的だったのが、オープニングの「Machine Gun」。いうまでもなく当時現実に進行中だったベトナム戦争に反対の意を訴えるメッセージソングですが、空爆による爆撃音をギターで再現するという前代未聞のスーパープレイに度肝を抜かれました。エフェクターとトレモロアームだけで、これだけの世界観を現出させてしまうのですから、まさにギターがもつ可能性を極限にまで追究しているわけです。Buddy Milesのドラムも速射砲をイメージしているのでしょう。

いまではYou Tubeなどで映像を見ることができますが、音で聴いて凄いものは、当然のことですが映像でも凄まじい!キャッチーな「Message to Love」も素晴らしい仕上がりです。このニューイヤーコンサートの数が月後にジミヘンは他界してしまいますが、まるで自分の死を予感しているかのような鬼神的なプレイはいま改めて聴き直しても背筋がゾクゾクとします。

●Musicians
Jimi Hendrix / guitar, vocals
Billy Cox / bass, backing vocals
Buddy Miles / drums, vocals

●Numbers
1. Who Knows
2. Machine Gun
3. Changes
4. Power to Love
5. Message to Love
6. We Gotta Live Together

英語版ウィキに4ステージのラインアップが出ていましたので転載します。

* indicating inclusion on the Band of Gypsys album 1970
+ indicating inclusion on the Live At The Fillmore East CD 1999

*印の曲がオリジナル盤収録、+印の曲が2枚組「完全版」収録です。大晦日1ステージ目と翌元旦では10~11曲なのに対して、大晦日2ステージ目は15曲もプレイしています。おそらく気分が盛り上がって大盤振る舞いしたのでしょう。そのステージを見た人は大変ラッキーですが、同じ料金を払ってほかのステージを見た人は悔しかったでしょうね。

■Wednesday, December 31, 1969 (First Fillmore East set)
1. Power Of Soul
2. Lover Man
3. Hear My Train A-Comin' +
4. Them Changes  +
5. Izabella  +
6. Machine Gun
7. Stop
8. Ezy Ryder
9. Bleeding Heart
10.Earth Blues
11.Burning Desire

■Wednesday, December 31, 1969 (Second Fillmore East set)
1. Auld Lang Syne +
2. Who Knows +
3. Stepping Stone
4. Burning Desire
5. Fire
6. Ezy Ryder
7. Machine Gun +
8. Power Of Soul
9. Stone Free/Nutcracker Suite/Drum Solo/Outside    Woman Blues/Cherokee

Mist/Sunshine Of Your Love
10.Them Changes
11.Message Of Love
12.Stop
13.Foxy Lady
14.Voodoo Child (Slight Return)
15.Purple Haze

■Thursday, January 1, 1970 (Third Fillmore East set)
1. Who Knows *
2. Machine Gun *
3. Them Changes
4. Power of Soul +
5. Stepping Stone +
6. Foxy Lady
7. Stop +
8. Hear My Train A-Comin
9. Earth Blues
10.Burning Desire +

■Thursday, January 1, 1970 (Fourth Fillmore East set)
1. Stone Free/Little Drummer Boy +
2. Them Changes *
3. Power of Soul *
4. Message Of Love *
5. Earth Blues +
6. Machine Gun +
7. Voodoo Child (Slight Return) +
8. We Gotta Live Together * +
9. Wild Thing +
10.Hey Joe
11.Purple Haze
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2010年6月19日 (土)

第2期DPの序章にして怪作

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Musician●Deep Purple
Title●Cocerto for Group & Orchestra(1969年)
■ディスクユニオンで購入

グループとしてはまったくマイナーではありませんが、Deep Purpleというグループは第1期、第2期初頭はけっこう奇天烈なグループだったと思います。第1期は時代にピッタリと迎合したアートロック、そしてメンバーチェンジ後ぼ第2期はグループ内のイニシアティヴの移行のゴタゴタから妙な作品が生まれています。この作品がリリースされたのはちょうど第2期DPの始動時期にあたり、グループ内イニシアティヴがジョン・ロードからリッチー・ブラックモアへと移ろうかというタイミングです。

そもそもはクラシック好きのジョン・ロードがクラシックとロックとの融合を試みようと思いから生まれた企画で、ロンドン・フィルハーモニー・オーケストラとロックバンドの共演という前代未聞のライブ音源が収録されています。1969年9月24日、ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールでの収録。音源自体はかなり昔から出回っていましたので、決して珍しいものではありませんが、2003年になんとDVDが発売されました。当時は「よくぞ貴重な映像を!」と大興奮していました。画質も時代を考えれば、奇跡のような美しさです。

さて、映像を見ながら気がついた点をいくつか書いてみます。音だけの時代では、たとえばリッチー・ブラックモアはオーケストラの存在を無視して天衣無縫に弾きまくっていたのかと勝手に想像していましたが、予想に反してきちんと楽譜を見ながらプレイしているにまず驚きました。アドリブ部分は当然楽譜とは離れますが、次章への移行などではジョン・ロードや指揮者の指示に従っているのです。まるでキャラと違いますね~。また、ステージ狭しと暴れ回ることもなく、指定された場所できまじめにプレイするブラックモアの姿は、それなりに興味深いです。やれば出来る子なのですね。ちなみにブラックモアのギターはこの時期の十八番、ギブソンES335のセミアコタイプです。

それでも尋常でない睨み方をするブラックモアの肩越しにいかにもオーケストラ楽員といった感じのオジサンが映り込んだり、イアン・ペイスが生み出す複雑なシンコペーションに合わせてリズムをとる楽員の姿が映ったりと、ある意味興味深いクラシックとロックとの融合を見ることができます。

これはあまり知られていないようですが、この歴史的な共演当日、先立つ形でDPだけの単独ライブも開かれました。単独ライブの音源はアルバム「Power House」で聴くことができますが、ここで初めて披露されたのが名曲「Child In Time」。ギランの雄叫びとブラックモアの火の出るようなソロの連発で、観客も度肝を抜かれたのではないでしょうか。曲が終わった後、しばらく沈黙があり、やがて万雷の拍手が巻き起こる様子を聴くと、正直、その場にいた観客が羨ましくてたまりません。まさに、第2期DPの記念するべきスタートの瞬間であり、70年代ハードロック黄金期の前夜という記念するべき音源です。後半の部のオーケストラとの共演はジョン・ロードの長年の夢だったそうですが、BBCと共同企画によって夢が実現したと同時に、バンドの主導権がブラックモアへと移行した分岐点でもあるわけです。

くどくて申しわけありませんが、生のライブでロックバンドとオーケストラが共演したのは、これが世界で初めてであり(スタジオ共演はけっこうありますが)、こんな貴重な瞬間を観ることができるいまの世の中は捨てたものではありません。長生きしてよかったです。

●Musicians
Jon Lord / organ
Richie Blackmore / guitar
Ian Paice / drums
Roger Glover / bass
Ian Gillan / vocal
with Royal Philharmonic Orchestra

●Numbers
1.   Concerto for Group and Orchestra,Movement 1
2.   Concerto for Group and Orchestra,Movement 2
     PT1
3.   Concerto for Group and Orchestra,Movement 2
     PT2
4.   Concerto for Group and Orchestra,Movement 3
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2010年6月18日 (金)

謎のプログレバンドにホールズワースが参加。Atlantis

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Musician●Atlantis
Title●Pray For Rain(2002年)
■Amazon USAより購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)の客演作品です。(おそらく)アメリカ出身の「Atlantis」というシンフォ系プログレバンドの「Pray For Rain」という作品です。欧文で書くともっともらしいタイトルですが、要は「雨乞い」ということですね。中国なら人工的に雨を降らせてくれるのにと余計なことを考えてしまいます。

この「Atlantis」というバンドは勉強不足で存じ上げなかったのですが、聴くかぎりはよくあるシンフォを中心としたプログレバンドです。ただ欧州系プログレのような特有の湿度感はほとんど感じられず、サウンドはあくまでも爽やか。いわゆる敷居の低いプログレですね。ただ録音自体は1994年から2001年にかけてなんと7年間も醸成してきたようで、実に丁寧な仕上がりです。

Holdsworthは「Secret Realm」1曲のみに参加。重層的なシンフォサウンドに乗って、うねりにうねっています。Holdsworth抜きの「Atlantis」も悪くはないのですが、上述のようにあくまでも爽やか系プログレなので、申し訳ないのですがあまり印象に残りません。まぁ、聴いていて邪魔にならない程度という感じです。Holdsworth参加の1曲のためにこのアルバムを買えるかといいますと、中古で安ければ買うかな、という程度です。あとはその人の金銭感覚とHoldsworth関連作品への執着度の高さによるのではないでしょうか。

●Musicians
David Bodnar / vocals
Karl Jaquess / bass
Karl Johnson / guitar
Hank Wicke / drums
Teknobudd X / keyboards
Bob Craft / drums
Allan Holdsworth / guitar

●Numbers
1. Pray for Rain
2. Magnificent Desolation
3. Lelune
4. Again
5. The One
6. Hills of Time
7. Secret Realm
8. Forest Cathedral
Dscf1885

2010年6月17日 (木)

イタリア出身のGreg Howe系テクニカルギタリストAlessandro Benvenuti

Dscf1892






Musician●Alessandro Benvenuti(guitar)
Title●Sonic Design(2002年)
■Guitar 9より購入

イタリア出身のギタリストもけっこう面白い人が見つかったりします。ただ日本で紹介されるのは米国か英国出身の人が圧倒的に多いので、盲点になりやすいと思われます。

今回紹介するのはイタリアのテクニカル系ギタリスト、Alessandro Benvenuti。例によって詳細なプロフィールがよくわからないのですが、ジャケットに写る「かんばせ」はけっこう若くてしかも男前ですね。テクニカル系ギタリストと一口に言いますが、ジャズ寄り、フュージョン寄り、メタル寄り、ネオクラシック寄りなどと細分化されるように思えるのですが、この人は正統派フュージョン系です。かなりGreg HoweやFrank Gambaleからの影響を感じさせます。

ソロ回しの疾走感もかなりのもので、ところどころにネオクラ的要素を忍ばせていわゆる「泣きのフレーズ」聴かせるワザも秀逸で、日本人にも相当アピールするのではないでしょうか。かなりのテクニシャンぶりです。作曲能力も優れているので、テクニカル系ギタリストにありがちの「聴いていて飽きる」ということはありません。ただ、あまりに巧すぎるのでかえって印象が薄くなってしまうのも確かです。この人ならではの強烈な個性がほしいところです。名前から受ける響きから判断して、バックはすべてイタリア人で固めているようです。

ゲストギタリストとしてFrank Gambaleが2曲、Greg Howeの愛弟子でハワイ出身のテクニカル系ギタリストPrashant Aswaniが1曲のみ参加しています。大物Frank Gambaleが参加するあたりかなりの期待度を感じさせますね。Greg Howeあたりが好きな人にお勧めしたいアルバムです。

●Musicians
Alessandro Benvenuti / guitars
Gian Marco Benvenuti / keyboards
Mirco Bellini / bass
Armando Croce / drums
Pierpaolo Ferroni / drums on Time Has Come

Frank Gambale / guitar on Eternal Dream,EgoCentric
Prashant Aswani / guitar on 10 Km More

●Numbers
1. The Sence Of Changes
2. Eternal Dream
3. Time Has Come
4. EgoCentric
5. The Golden Cage
6. 7 Reasons To Love Her
7. 10 Km More
8. Jama'
Dscf1893

2010年6月16日 (水)

女スコヘン、スーザン姉さんの出世作(?)

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Musician●Susan Weinert(guitar)
Title●The Bottom Line(1996年)
■ディスクユニオンで購入

ドイツ出身の女性フュージョンギタリスト、Susan Weinert(スーザン・ワイナート)による1996年の作品です。レコーディングはケルンで行われています。

いまでこそロックやフュージョン界でも、たとえばマイケル・ジャクソンのバックに抜擢されたオリエンティさんや安達久美さんのように女性ギタリストの活躍が目立ってきていますが、当時は女性プレイヤーと言えば、ボーカルか鍵盤楽器に限られていたように思います。また、たまに女性が出てきてもその多くは「ランナウェイズ」のようなガールズバンドか、スージー・クアトロのようにプレイヤーよりもビジュアルが重視されていたように思えます。そんななかでは女性フュージョン系ギタリストの先駆者的存在ではないでしょうか。

Susan Weinert Bandと称するユニットは、旦那のMartin Weinert(bass)とHardy Fischotter(drums)が恒久的なメンバーで、今回はRachel Zという鍵盤楽器奏者がゲスト参加しています。

Susan姉さんを知ったきっかけは、某ディスクユニオンでサンプル演奏を偶然に聴いたことからですが、第一印象は「スコヘンそっくり」。実際、姉さんはScott HendersonAllan Holdsworthあたりのテクニカル系ギタリストをリスペクトしているようで、1曲目からスコヘンコピー丸出汁ぶりを十分に発揮しています。

楽曲も流行りのフュージョンという感じで確かに聴いた感じは心地よいのですが、肝心のSusan姉さんのギタープレイは、オリジナリティーとパワーが物足りなく、まだ成長段階という感じです。とくに決めに入った時の「押しの物足りなさ」が残念ながらところどころで感じられます。ただ、作曲能力はかなりのものではないかと思います。

Susan姉さんが本領を発揮し始めるのは、たとえば唯一のライブ音源くらいからで、この時点では温かく見守っていこうと心に決めたことを記憶しています。ただ最近はアコースティックに安易に走っているのではと、あえて苦言を呈しておきます。

●Musicians
Susan Weinert / guitar
Martin Weinert / bass
Hardy Fischotter / drums
Rachel Z / piano,keyboard

●Numbers
1.Hombe
2.Triple X
3.Tribute To Fitzgarraldo
4.Don't Smale Too Soon
5.Masters Of The Midiverse
6.That's For You
7.Kluski Theory
8.Dakota Kid
9.Nothing
10.Trabucco
11.Vinnie
Dscf1064

2010年6月15日 (火)

プログレライブの最高傑作「USA」

Dscf1869






Musician●King Crimson
Title●USA(1974年)
■Amazonより購入

プログレの至宝King Crimson(キング・クリムゾン)が「Red」のレコーディングに入る前、1974年のアメリカラストツアーの模様を収めたライブ音源です。

これほどの名盤が長らくCD化されなかった理由の一つに、がEddie Jobsonがヴァイオリンとピアノの音を後からスタジオワークで加えたため、そのことが御大Robert Frippの逆鱗に触れたから、というのが定説になっています。というのも本来のメンバーであるDavid Crossがツアー終了後の脱退してしまったため、後のスタジオワークのために当時ロキシー・ミュージック在籍のEddie Jobsonを急遽呼んで完成させたのですが、どうやら御大Frippの了解を得ないままに行ってしまったようです。やはり筋を通さないと偉い人は怒りますよね。音楽業界も会社と同じです。

しかし、このスタジオワークについては「後になってから」話題になったことであり、当時このライブ音源を聴いたときは大袈裟でもなく「これは奇跡のライブだ!」と驚嘆の声を上げたものです。実際、オーバーダブのことなど露知らずに、聴いていた人がほとんではないでしょうか。ちなみに4曲目「Exiles」ではスタジオワークが施されていませんので、完全に生の演奏が楽しめます。

その後、CDが登場してキンクリの各作品が続々とCD化されていくのにもかかわらず、このアルバムだけがなぜかCD化されないので、多くのファンが「なぜ?」と疑問を持ちはじめたところ、初めて上記の事情が明るみになったのです。それでもやはりCDで聴いてみたいのが人情です。そんな人間の弱みにつけ込んで(?)一時期はアナログ盤をそのままCDに移植したと思われる粗悪な海賊盤まで出回っていました。たぶん悪評高いロシア盤でしょう。

ところでドラムはWilliam Brufordとクレジットされていますが、もちろんBill Brufordのことです。なぜ変名なのかというと、Fripp卿がYESから強引に引き抜いた経緯が関係しているのでしょう。契約上で変名を使っているのだと思います。

●Musicians
David Cross / violin,keyboard
Robert Fripp / guitar,mellotron
John Wetton / bass,vocal
Bill(William) Bruford / drums

Eddie Jobson / violin on Larks' Tongues in Aspic, Pt. 2,21st Century Schizoid Man

●Numbers
1. Walk on...No Pussyfooting
2. Larks' Tongues in Aspic, Pt. 2
3. Lament
4. Exiles
5. Asbury Park
6. Easy Money
7. 21st Century Schizoid Man
8. Fracture
9. Starless
Dscf1870

2010年6月14日 (月)

ギターモンスターShawn Laneの2nd「The Tri-Tone Fascination」

Dscf1882






Musician●Shawn Lane(guitar)
Title●The Tri-Tone Fascination(1999年)
■Amazonより購入

いまは亡きギターモンスターShawn Lane(ショーン・レーン)が1999年にリリースしたセカンドソロです。当初は自身のHP限定公開でしたが、2000年になってCD化されたようです。

Shawn Laneは周知のようにスウェーデンの超絶ベース奏者Jonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)との一連の作品のプレイのほうが有名なようですが、対照的にソロアルバムではかなり聴きやすい仕上げになっています。ギター好きに人間の悪い癖でついつい「弾きまくり状態」を期待しますが、どちらかというと楽曲重視のアルバムです。ハード&変態チックというより、爽やか系フュージョンアルバムですね。前作「Powers Of Ten」を踏襲した形です。

ところで私が所有しているのは輸入盤ですが、日本盤にはボーナストラックが1曲ついているそうです。「I Only Want To Know」という曲です。輸入盤は何度か再発売されていますが、日本盤はその動きがないようです。このまま行ってしまうと、「幻の曲」になってしまいます。音楽業界が絶不調という状況で、このマニア向けの音源を再発売というのは難しいでしょうね。でも、何とかしてくれないでしょうか。

●Musicians
Shawn Lane / guitars,bass,drums,voice,keyboards
Sean Rickman / drums
Paul Taylor / bass
Cody Dickinson / drums
Luther Dickinson / guitar
Eric Phillips / bass
Buddy Davis / guitar

●Numbers
1.  Kaiser Nancarrow
2.  Peace in Mississippi
3.  Minarets
4.  Way It Has to Be
5.  Tri-7/5
6.  Art Tatum
7.  Hurt the Joy
8.  Maria
9.  One Note at a Time
10. Song for Diane
11. Epilogue, Bach (Ich Ruf Zu Dir)
Dscf1883

2010年6月13日 (日)

NY新感覚派ギタリストBen Monderの登場!

Dscf1815






Musician●Ben Monder (guitar)
Title●Dust(1997年)
■ディスクユニオンで購入

NYの先進的なジャズシーンでは超がいくつもつく売れっ子セッションギタリスト、Ben Monder(ベン・モンダー)のソロ第2弾です。1997年リリース。

この人、日本ではあまり知られていないようですが、新感覚派ジャズミュージシャンの登竜門とも言える「New Tarent」レーベルの主要作品には、ほとんど参加していることからわかるように、次代のジャズを語るうえでは欠かせない重要人物です。また、マーク・ジョンソン、リー・コニッツ、ポール・モチアンなどの大御所ミュージシャンからも出演オファーが相次ぎ、いまNYジャズシーンでは最も多忙な人のようです。

基本的にはJim Hallを祖とするシンプルなトーンをベースにして、John AbercrombieやBill Frisellなどのコンテンポラリー系ギタリストからの強い影響が感じられる独特の浮遊感・透明感を加えたプレイが身上です。その意味ではECMあたりの世界観にも通じるものを感じます。これだけだと、よくいるイマドキのギタリストですが、Ben Monderの最大の特徴は、「超高速アルペジオ」にあります。

したがって派手なソロ回しが売り物のギタリストとは違って一見印象が薄いのですが、まるで精密機械のように紡ぎ出される独特なアルペジオは、聴き込んでいくと次第に虜になっていく一種の麻薬的な魅力があります。変なトランス状態に陥る合法的なドラッグ感覚ですね。

プレイスタイルとしては「俺が俺が」的な我が強いタイプではなく、意外とさまざまなスタイルの楽曲にはまるので、そんな変幻自在の柔軟性がセッションギタリストとして重宝されるのだと思います。それでいて、一聴してすぐにBen Monderのプレイだとわかるのは、無個性のように見せかけて実は唯一無比の強烈な個性を放っているからです。目立たないけれど、気がついたら強い影響を放つので、まるで「ヌエ」みたいなプレイヤーですね。

ソロ2作目にあたるこのアルバムでも、いつもの高速アルペジオに加えて、珍しくソロも披露しています。このソロワークが結構暴力的でトンガッたフレーズだったりします。非常に鋭角的なソロはKing CrimsonのRobert Fripp卿を彷彿とさせます。これだけ実力があるギタリストが日本ではまるで無名なのが不思議でなりません。確かにギター好きの人の間では結構話題になってはいますが、では商業的に成功するかというと、やっぱり対極に位置するタイプだと言わざるを得ませんね。

●Musicians
Ben Monder / guitar
Ben Street / bass
Jim Black / drums,percussion

●Numbers
1. Sleep
2. Silent Neighbors
3. Third Eybrow
4. Dust
5. In Memoriam
6. I'll Remember April
7. Gemini
8. Late Green
Dscf1816

2010年6月12日 (土)

ホールズワース、ジャズスタンダートに挑戦

Dscf1821






Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●None Too Soon(1996年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの雄、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が1996年に発表したアルバムです。通算9枚目の作品になります。メンバーはかつての僚友、Gordon Beck(piano)、Gary Willis(bass)、Kirk Covington(drums)という構成で、ホールズワース自身は前作「Hard Hat Area」(1993年)に引き続いてギターとシンタックスの併用で臨んでいます。Kirk Covingtonはおそらく初共演ですね。

このアルバムの目玉は何といっても「ジャズスタンダードにホールズワースが挑戦」ということだと思いますが、ジャズスタンダードカバー集を制作するということではなく、懐かしのオールドナンバーの姿を借りて、結局はホールズワース節が響きわたる、と解釈したほうが正しいと思います。ファンにとっては予定調和の結果ですが。

ホールズワース自身のキャリアをひもとくと、彼自身もジャズとまったく無縁だったわけではありません。これはニュークリアスや70年代後半のJohn StevensやGordon Beckらとの共演歴からも理解できます。しかし、John StevensやGordon Beckにしてもメインストリームから遠く離れた辺境に属するミュージシャンです。単なる知名度というよりも、彼らの志向する音楽はことごとく「ニッチ」であるということです。

そういえばFrank Gambaleと組んだ「MVP」でジャズスタンダードにトライしていますが、あれは企画優先の作品ですから参考外と考えたほうがよさそうです。ただ、バックのメンバーにはよりジャズに近い人間がほしいということで、今回のGordeon Beckの起用なのだと思います。

ここで取り上げられているのは、コルトレーン、ジャンゴ・ラインハルト、ジョー・ヘンダーソン、ビル・エヴァンス、そして何故かレノン=マッカートニーの代表曲が並びます。Norwegian Wood、「ノルウェーの森」ですね。そういえばギタリストたちの「ビートルズカバー集」がかつてありましたが、そこでは「ミッシェル」を弾いていました。やはり同じ英国人としてリスペクトしているのでしょうね。

この作品は賛否両論あるようですが、結局は、テーマをジャズスタンダードに置き換えただけで、聴こえてくるのは、あくまでもホールズワース節にしかすぎません。これを良しとするかは意見が分かれるところだと思いますが、偏愛的ファンにとっては、ホールズワースがどんな曲を演奏しようが、そこにホールズワースが存在することに意味があるのです。ここまでくれば一種の宗教に近く、気まぐれなタイミングでリリースされるアルバムは、神からのご託宣であり、神と信者の交流、交信なのでしょう。

しかし、相も変わらずジャケットデザインのセンスは最悪ですね。「Then!」では居酒屋でのオフショット写真が載ってましたが、今回はなぜか生ビールの写真が。妙におどけた表情の御大の姿も見られます。たぶん、周囲の想像とは別に、本人としては何も考えていないのではないでしょうか。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar,synthaxe
Gordon Beck / piano
Gary Willis / bass
Kirk Covington / drums

●Numbers
1.  Countdown
2.  Nuages
3.  How Deep Is The Ocean
4.  Isotope
5.  None Too Soon Part I
6.  Interlude
7.  None Too Soon Part II
8.  Norwegian Wood
9.  Very Early
10. San Marcos
11. Inner Urge
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2010年6月11日 (金)

貴重なホールズワースの1990年ライブ

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Then! Live In Tokyo(1990年)
■ディスクユニオンで購入

2002年に突如としてリリースされた「All Night Wrong」は同年の六本木ピットインでのライブ音源を収めたものでしたが、間髪入れずにリリースされたこのライブ盤は遡ること12年、1990年5月に行われた東京でのライブを収録したものです。ですから、新作というよりも「発掘音源」といったほうが正しいでしょう。参加メンバーはGary Husband(drums)、Jimmy Johnson(bass)、Steve Hunt(keyboard)といういつもの面子です。

あまりに素晴らしい出来映えだった「All Night Wrong」と比較されてしまうのでそれだけでも結構不運な作品ですが、膨大なライブアーカイヴが存在するにもかかわらず、商品化に消極的なホールズワースを説得するために、何と12年の歳月を要したとか。しかし一度納得するとすべての作業を自分で行いたくなるのが職人気質。元はといえばSteve Huntがこの発掘音源の商品化に積極的だったそうですが、最終的にはホールズワース自身がミキシングやトラックダウンなどのスタジオワークをすべてこなしたようです。

それが吉と出たか凶と出たかはわかりません。ただ、好セールスだった「All Night Wrong」ほどは注目されなかったようです。このライブが行われた1990年は、自身の創作活動をまったくせずにセッションとライブ活動のみを行っていた時期。その意味でも(?)貴重と言えば貴重です。

また、後に「Wardenclyffe Tower」(1992年)で初めて披露された「バリトンギター」をライブで聴くことができる唯一のアルバムでもあります。しかし、手にしてまだ間もない時期だったのでしょう。決して使いこなせているとは思えません。そんな諸々な事情を含めて決して強くお勧めできません。ただ、個人的にはTony WilliamsのNewLifetimeでの名曲「Proto-Cosmos」が取り上げられていることと、「I.O.U」の名曲「White Line」のボーカル部分をすべてギターで弾いているのが面白いと思います。

ライナーには当時のオフショットが載っていますが、おそらく打ち上げの時の写真でしょう。笑顔全開のホールズワースの後ろに一升瓶が写り込んでいます。「あじの造り、1皿980円」というお品書きも見えます。非社交的、偏屈、人見知り、尋常になくシャイ。この超人的なテクニックをもつ世界的なギタリストに対してさまざまな風評が飛び交っていますが、どれもあながちデタラメとも思えません。しかし、気を許した仲間、部下の前ではこんな素敵な笑顔を見せるのですね。ギターの神様の「人間宣言」ですか(笑)。しかし、ギターの神様が我々のような庶民も通えるようなふつうの居酒屋で打ち上げとは…。もうちょっとお金をかけましょうよ。

またジャケットデザインの悪趣味さには定評がありすぎるのですが、今回はなぜかフロントに「生」の漢字が。ライブ音源ということで「生(演奏)」なのか、それとも打ち上げ会場で見かけた「生(ビール)」の文字がいたく気に入ってしまったのか。ちょっとわかりませんね。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar,synthaxe
Gary Husband / drums
Jimmy Johnson / bass
Steve Hunt / keyboard

●Numbers
1.  Zone Ⅰ
2.  Proto-Cosmos
3.  White Line
4.  Atavachron
5.  Zone Ⅱ
6.  Pud Wud
7.  House Of Mirrors
8.  Non-Brewed Condiment
9.   Zone Ⅲ
10.. Funnels
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2010年6月10日 (木)

女ホールズワースという表現はダメでしょうか。Catherine Delgadillo

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Musician●Catherine Delgadillo(guitar)
Title●Paradise Swamp (2007年)
■Amazonより購入

一部のホールズワースマニアで話題になっていましたが、ついに女性にもHoldsworthyが登場しました。Catherine Delgadillo(キャサリン・デルガディーロ)というアメリカ出身のギタリストです。満を持してのデビューアルバムのようです。

ジャケットを見ると、いまどき珍しい「紗(しゃ)」がかかったソフトフォーカスのポートレートで、中の写真を見ても写っているのは横顔ばかりで正直この人の正体がわかりません。素顔をどんどん晒していく風潮にあって真逆の露出方法ですが、素顔を出したくないのか、出したくない素顔なのか、それとも巧妙な戦略なのかはわかりません。また、ベース奏者として同じファミリーネームの人がクレジットされていますが、「such a great husband/father/musician/magician」などと謎めいたコメントしか書かれていないので、本人との続柄も不明です。兄か従兄弟か、まさか祖父ということはないと思いますが。

さて、肝心のサウンドのほうは「Holdsworty」的な弾きまくりを期待すると結構裏切られます。確かにトーンやフレーズ回しからは御大ホールズワースの影響を感じますが、同じフォロワーでもNico StufanoやAlex Machacek、Richard Hallebeekなどのような強烈な印象は感じさせません。うっすらとしたHoldsworthyというイメージでしょうか。

それでも変拍子を多用したり、クラシカルな要素を取り入れているあたりは、高いセンスを感じますし、諸先輩方の良き伝統を正当に受け継いでいるなという印象です。メロディアスな曲も個人的には好みです。

あえて苦言を呈しますと、曲テンポが速くなるとややもたれ気味になるという点。これはバックのリズム隊によるところも大きいと思います。さらに苦言を呈すると、ぜひ素顔を全開にしてほしいという点。Mジャクソンのバックを務める女性やJベックのお気に入りタル・ウィルケンフェルド、露出過剰気味の安達久美さんのように実力に加えて美貌までをも手に入れた人もいますが、やはり外見よりは実力が優先される世界です。恥ずかしがっていないで、次作ではガツンとお披露目を期待しています。

●Musicians
Catherine Delgadillo / guitars,keyboards
Kevin Delgadillo / drums
Bill Hare / bass
Mark Hokenson / bass
Mac Hine / bass

●Numbers
1. Paradise Swamp
2. Turning Point
3. Drifted Away Pt1
4. Drifted Away Pt2
5. Catch Me
6. Bad Hair Day
7. Against The Grain
8. Through The Window
9. Abother Level
Dscf1860







Dscf1861

2010年6月 9日 (水)

ソノシートでBコナーズを聴く

Dscf1172






Musician●Bill Connors(guitar)
Title●Never Say Goodbye variation on "layla"(1985年)
■Gemm.comより購入

デジタル音源が当たり前の環境になっている若い世代にはピンとこないと思いますが、アナログ時代はレコードの素材として塩化ビニール(vinyl)、松ヤニ入り酸化アルミニウム(シェラック、バイナル)などが使用されていました。前者はいわゆる33回転、45回転のLP盤やEP盤、後者は78回転のSP盤に使われていました。しかし、どちらも製品としてはそれなりの値段がし、また重量もそれなりにあるので、誰もが気軽に扱うような代物ではありませんでした。ちなみにLPはLong Playing、EPはExtended Playing、SPはStandard Playingの略だそうですが、本日初めて知りました。SP盤は50年代には姿を消したそうですが、我が家には数枚存在していた記憶があります。

そこで考案されたのが「ソノシート」です。レコード盤より薄手のビニール盤に音声が記録された溝が掘ってあるのですが、いかんせん作りがペラペラなので耐久性と音の再現力に問題がありました。また、通常のアナログ盤のように「両面記録」ができないので、収録時間も自ずと限られていました。ちなみにレコードはほとんどが「黒」なのに対して、ソノシートは赤、青、緑など色が付くのが通例。

軽量なソノシートはハンドリングが容易なので子どもでも気楽に扱うことができ、しかも比較的安価にできるのでおもに雑誌、書籍の付録などとして流通していました。具体的には子ども向け学習誌・学年誌の付録、少年向けマンガ週刊誌の付録などでアニメ主題歌や英語教材の音源として流通していましたので、記憶に残っている方も多いと思います。その代表格が朝日ソノラマ発行の「月刊朝日ソノラマ」でしたが、やがてCDの普及によって雑誌、書籍の付録としても姿を消してしまいソノシートはもちろん会社自体も朝日新聞出版へと吸収されています。

今回紹介するのは「ギタープレイヤー誌」(現地版)の付録ソノシートです。発行は1985年ですからちょうどCDが普及し始めた時期であり、逆にソノシートが衰退しつつあるタイミングです。このソノシートにはAllan HoldsworthフォロワーであるBill Connors(ビル・コナーズ)のプレイが収められています。演奏曲はなんとEクラプトンの代表曲「レイラ」! わずか5分程度でこの1曲のみの収録です。もちろんボーカルはなし。コナーズはギターの多重録音であの有名すぎるフレーズを弾きまくっています。

「ギタープレイヤー誌」の付録ですから、おそらく本誌本体でビル・コナーズ特集があってこの付録ソノシートと連動しているはずですが、いかんせん肝心の本体がないので真相は不明です。しかし、いちばん興味をそそられるのはコナーズ自身がこの付録のためにわざわざ「レイラ」をレコーディングしていることです。しかも、なぜ自身のオリジナルではなく、あえての「レイラ」なのでしょう。もしかしたら本体特集が「ビル・コナーズがクラプトンに挑戦!」「レイラ、俺ならこう弾くぜ!」などという企画だったのでしょうか。どうして「Never Say Goodbye variation on "layla"」というタイトルにしたのでしょうか。しかも、私が見てきた数々のソノシートはレコードと同様に円型でしたが、これは正方形です。プレス加工のみで、断裁加工は省略ということでしょうか。円形と正方形とでは音質も変わるのでしょうか。どんどん妄想が広がっていきます。

音質ですがもちろんそれなりの仕上がりです。1985年ということはエレクトリック・コナーズの第2弾「Double Up」(1986年)より前、「Step It」よりは後。ドラム奏者はDave WeckleでもなくKim Plainfieldでもなく、スパイロ・ジャイロなどで活躍したRichie Moralaesという人。どちらも都合がつかず急遽かり出されたのでしょうか。

ちなみに日本最後のソノシートは、パンクバンド「スターリン」が2005年にリリースしたものだそうです。これも初耳でした。

●Musicians
Bill Connors / guitar
Tom Kennedy / bass
Richie Moralaes / drums

●Number
Never Say Goodbye variation on "layla"
Dscf1173







Dscf1174

2010年6月 8日 (火)

オタク系HoldsworthフォロワーWhoopgnashの1st

Dscf1807






Musician●Whoopgnash
Title●Whoopgnash(1999年)
■メーカーサイトより購入

アメリカ出身のジャズロックユニット「Whoopgnash」によるファーストアルバムです。1999年リリース。例によって日本ではほとんど無名で、情報がほとんどありませんが、リーダー兼ギタリストJohn Ericksonによるワンマンバンドでトリオ構成。これまでスタジオ盤3枚とライブDVDをリリースしています。Whoopgnashとは痰を吐くとかゲップをするとか、確かそんな下品系のスラングだったと思います。このアルバムは南部ミネアポリスのスタジオで録音されていますが、彼らの出身もそのあたりなのでしょうか。

ギターのJohn Ericksonは聴けばすぐわかる「Holdsworthy」で、しかも本家をさらに粘着質にしたようなプレイです。まあ、よく弾くこと弾くこと。呆れるばかりのフレーズの嵐をここぞとばかりにブチまけています。Holdsworthが好きな人にとっては興味深いとは思いますが、ほかのメンバーとの連携や楽曲との完成度はどうなのかというと、これがかなり微妙。よく言えば超絶技巧の嵐ですが、悪く言えば本家Holdsworthに負けないくらいの唯我独尊ぶりが目立ちます。密室でギターばかり弾いていた人間が、これまでの欲求不満を一気に解消したような感じがありあり。つまり、自分が興味のあることには周囲がドン引きするほど饒舌になる「オタク系フォロワー」ではないかと思います。バンド名の趣味の悪さ、一切の「間」がない息苦しさといい、どうしてもB級の臭いが漂ってきます。

同じオタク系フォロワーでも、Alex Machacekほどの才能に恵まれればと思いますが、残念ながら一朝一夕に身につくものではありません。

●Musicians
John Erickson / guitar
Bill Paul / drums,synth
Keith Norton / bass

●Numbers
1. Short Term Memory
2. Desomo
3. Too Hammered To Be Legit
4. Moderately Priced
5. Reunions
6. Tony
7. Sissy-Boy Slap Party
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2010年6月 7日 (月)

幻の名盤Soft Machine「Bundles」がリイシュー!

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Musician●Soft Machine
Title●Bundles(1975年)
■Amazonから購入

カンタベリー系ミュージックの大物「Soft Machine」による8枚目のアルバム「Bundles」(邦題は「収束」)がデジタルマスタリング加工のうえリイシューされたので入手しました。前回CD化されたのは1990年ですから20年ぶりの「復活」ということに。Esotericというメーカーが発売しています。

内容に関しては以前の記事で詳報したので割愛しますが、リマスター効果は「そこそこ」という印象。際だって音質が向上したとか、いままで聴こえなかった音が聴こえてきたなどという「うれしいレポート」をお届けできず申し訳ありません。もちろん音質・音圧とも確実に向上しています。たぶんオリジナル音源自体がかなりの高水準にあったということなのでしょう。

今回のリイシューの意義は、間違いなく「幻の名盤」の復活であり、往年のジャズロックが再評価されつつあることにあります。いままで入手したくても願いが叶わなかったファンの方々も、この機会を逃してはいけません。

さらにうれしいお知らせが。Soft Machineのラインアップの中で廃盤扱いになっていた 「Softs」 「Alive & Well ; Recorded in Paris」 なども順次リイシューされるとのこと。Amazonでは「Softs」が7月に発売予定となっています。「Bundles」を含めてまだ入手されていない方は、いますぐ予約注文へ!

ちなみに私はこのアルバムが好きすぎてアナログ2枚(フランス盤とイタリア盤)とCD1枚(See For Miles Records)を所有しています。これで4枚目。つくづく物好きだなと自分でもあきれています。もちろん、「Softs」 「Alive & Well ; Recorded in Paris」も購入の予定です。

●Musicians
Roy Babbington / bass
Allan Holdsworth / guitar
Karl Jenkins / oboe,piano,soprano sax
John Marshall / drums
Mike Ratledge /organ,piano,Synthesizer
RaY Warleigh / flute on"The Floating World"

●Numbers
1. Hazard Profile Part1
2. Hazard Profile Part2
3. Hazard Profile Part3
4. Hazard Profile Part4
5. Hazard Profile Part5
6. Gone Sailing
7. Bundles
8. Land Of The Bag Snake
9. The MMan Who Waved At Trains
10.Peff
11.Four Gongs Two Drums
12.The Floating World
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2010年6月 6日 (日)

Jeff Beckの新譜を再度入手!

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Emotion & Commotion(2010年)
■Yahoo! オークションで購入

昔は「ギター殺人者」(「Blow By Blow」)、いまは「ギターの現人神」Jeff Beckの新譜「Emotion & Commotion」を入手してしまいました。以前の記事では輸入盤をご紹介しましたが、今回は日本盤です。輸入盤との違いはボーナストラック2曲とギターピックがおまけとしてついていることです。もちろんライナーは日本語で書かれています(当たり前か)。

さて、2曲のボーナストラックですが「Poor Boy」と「Cry Me A River」という曲。Imelda Mayのボーカル入りの「Poor Boy」は往年のブルースマン、ハウリン・ウルフのカバー曲。Imelda Mayのはすっぱなボーカルに黒っぽいBeckのギターが豪快に絡むというある意味お得意のナンバー。「Cry Me A River」はジュリー・ロンドンが50年代にヒットさせた名曲のカバー。オーケストラをバックに、繊細すぎるBeckのギターがこれでもかと泣きに泣き叫びます。聴いていると本当にとろけてしまうのではないかと、怖くなってしまいます。2曲のボーナストラックのうち、やはり肝はこちらの曲ですね。

タチの悪いことにボーナストラックが収録されているのは日本盤のみということで、コレクター好きが多いわが国ニッポンがターゲットにされていることは明らかです。それでも買ってしまう悲しいファン気質。6月23日には、日本盤の音源に加えて、クロスロード・ギター・フェスの未公開映像が納められたDVD付きバージョンがリリースされます。もちろん、予約注文済みです。「だったら最初からDVD付きバージョンを買えばいいじゃん」という声はあまりに理性に勝りすぎたご意見であることはいうまでもありません。理屈ではないのです。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Pete Murray / keyboard,Orchestral Arrangement
Alessia / drums
Tal Wilkenfeld / bass
Jason Rebello / keyboards
Vinnie Colaiuta / drums
Luis Jardim / percussins
Clive Deamer / drums
Pino Palladino / bass
Joss Stone / vocal on I Put A Spell On You,There's No Other Me
Olivia Safe / vocal on Serene,Elegy For Dunkirk
Earl Harvin / drums
Chris Bruce / bass
Imelda May / vocal on Lilac Wine,Poor Boy

●Numbers
1.  Corpus Christi Carol
2.  Hammerhead
3.  Never Alone
4.  Over The Rainbow
5.  I Put A Spell On You
6.  Serene
7.  Lilac Wine
8.  Nessun Dorma
9.  There's No Other Me
10. Elegy For Dunkirk
11. Poor Boy ※bonus
12. Cry Me A River ※bonus
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写真はおまけのピックです。サイン入りです。最近のBeckはピックをいっさい使わないんですが、と軽く突っ込んでおきますね
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2010年6月 5日 (土)

これは買い!Bobby PreviteとMarc Ducretのデュオ

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Musicians●Bobby Previte(ds,key,p)& Marc Ducret(g)
Title●In the Grass(1996年)
■ディスクユニオンで購入

フランス出身のフリージャズ系ギター奏者Marc Ducret(マルク・デュクレ) とアメリカ出身のニューエイジ系ドラム奏者Bobby Previte(ボビー・プリヴァイト)によるデュオアルバムです。ボビーさんはビル・フリゼールなどとの競作で知られていますね。

フリージャズ畑のデュオアルバムと聞くと、好きな人にとってはたまらなく素敵な音源となりますが、あまり馴染みがない人やフリーやアヴァンギャルドと聞いて先入観をもってしまう人にとっては「敷居の高い」作品かもしれません。ましてや命の次に大切なお金を払って購入することは、かなりの冒険であることは間違いありません。そうです、「一見さまお断り」的で排他的なイメージが強いのです。聴き方にも独自の作法があって、うっかりと禁じ手を使うとジロリと睨まれるような予感がします。

しかし、先入観で作品を判断するのはあまり良いこととは思えません。デュオアルバムということで退屈で、冗漫なのではという先入観は1曲目から吹っ飛んでしまいました。ライナーを見るとMarc Ducret は普通のエレキギターに加えて、フレットレスギター、バリトンフレットレスギターなどを使い分けて、多彩な音を出しています。対するBobby Previteもドラム、ピアノ、キーボードなどを巧みに使い分け、聴く者を退屈させることのない、非常にバラエティーに富んだ音の世界を作り出しています。ですから、最初の心配は完全に杞憂に終わったのです。

少し時代は異なりますが、聴き込んでいくとマイルス・デイビスの「In Concert」を聴いたときのような妙な高揚感、トランス感覚を味わうことができます。定型的なフォーマットに収まらないフリーならではの魅力です。

というわけで、確かに体力的に弱っている時にはキツいのですが、体力・気力的に充実している人には、ぜひチャレンジしていただきたいアルバムです。

ちなみにこの2人はライブ盤「My Man in Sydney」(1997年)や「Dangerous Rip」(1998年)でも共演しています。ボビーさん主宰の「Latin For Travelers」名義での作品です。こちらもお勧めですから興味がある方はぜひどうぞ。

●Musicians
Bobby Previte / drums,keyboard,piano
Marc Ducret / guitar

●Numbers
1. Fifty Is a Hundred, a Hundred Is a Thousand...
2. 7 Familles
3. Handy
4. Very Handy
5. Tight Lipstick
6. Du Du
7. Walking in the Dust
8. Very Handy Indeed
9....And the Rest Are What They Are
10.Qui Parle?
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2010年6月 4日 (金)

ホールズワースが参加。David Hinesのソロ

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Musician●David Hines(bass)
Title●Nebula(2005年)
■Guitar 9より購入

ジャズフュージョン界で活躍するベース奏者David Hinesによるおそらく初ソロ作品です。2005年リリース。不勉強のためこのプレイヤーのことはよく知らないのですが、Allan Holdsworthが参加しているという理由で購入しました。ホールズワースの盟友Steve Huntが鍵盤楽器で参加していますが、調べてみるとSteve Huntがプロデュースに絡んでいるので、そのツテからホールズワースが呼ばれたのではないかと思われます。ほかのメンバーは、Steve Kirby(guitar)とSteve Michoud(drums)という感じでSteveさんが3人もいます。お互いを呼び合うときはどうすればいいのでしょうね。

全8曲中、ホールズワースは最初と終わりの2曲に参加。相変わらずのホールズワース節が全開という感じですが、曲がかなり格好いいので御大のギターも実に気持ちよさそうに踊っています。そうです、このDavid Hinesという人の作曲能力はかなりの力量だと思います。特に3曲目「Toe Nail」は往年のWeather Reportを思わせる実に躍動感あふれるリズミカルで素晴らしい曲です。

もう1人のギタリストSteve Kirbyに関しては、2枚のソロを出していてふだんはギタークリニックの講師をしているという情報しかありません。つまりかなりマイナーな存在ですが、この人のプレイも実に素晴らしい!基本的にはJohn Abercrombieあたりに通じるコンテンポラリー系のギタリストだと思いますが、御大ホールズワース参加を意識してか若干Holdsworthyなエッセンスも加えた流麗なソロを聴かせてくれます。個人的にはドがつくストライクなプレイヤーです。

というわけで、御大の参加もあり、楽曲もかなりツボで、Steve Kirbyという新たなギタリストを発掘できたということで、かなりお得感あふれるアルバムです。

●Musicians
David Hines / bass
Allan Holdsworth / giutar
Steve Hunt / keyboard,piano
Steve Kirby / guitars
Steve Michoud / drums

●Numbers
1. Skippy
2. Q
3. Toe Nail
4. Nebula
5. Lucia
6. No Loops
7. Neuro Man
8. Antlla
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2010年6月 3日 (木)

お得な2CDinOneのTempestの1stと2nd

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Musician●Tempest
Title●Tempest & Living In Fear(1973年&1974年)
■ディスクユニオンで購入

英国ジャズロックを語るうえで欠かせないのがジョン・ハインズマン率いる「Tempest」の2枚のアルバムです。特に1st「Tempest」はギタリストにロニースコッツ・ジャズクラブで行われたギターコンテストで見事グランプリを獲得したAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)を迎えています。

1973年当時の音楽状況はというと、JベックがちょうどBBAを結成したころで、またEクラプトンはソロ活動を充実させようかという時期。第2期ディープ・パープルが始動し始めたころでもあります。また、KクリムゾンやYES、ELPなどのプログレバンドが台頭していた時期とも重なります。音楽愛好家の志向が従来の楽曲重視から、楽器重視、テクニック重視へと変化してきたのです。

そんな状況ですから、いま考えると売り出し方によってはスーパーグループに大化けしても何ら不思議ではなかったのですが、不幸にして埋もれてしまったのは残念です。

さて、まず1stですが何といってもギターのホールズワースの八面六ピの大活躍に注目です。ハードなリフが印象的な「Gorgon」、ホールズワースのバイオリンが聴ける「Upon Tomorrow」などが印象的ですが、個人的にお好みなのがホールズワースが珍しくロックタッチの激しいソロを弾きまくる「Brothers」です。Jベックあたりと比べても何ら見劣りがしない素晴らしいプレイなのですが、いかんせん印象が地味なのですね。   

さて、この1stをリリース後、ホールズワースとウィリアムスは脱退し、ホールズワースは「Soft Machine」に加入し「Bundles」(収束)制作に参加します。急遽、元Pattoのギタリスト、Ollie Halsall(オリー・ハルソール)を迎えて2nd「Living In Fear」<邦題「目眩」>(1974年)が作られますが、この作品に関してはあまり語る言葉をもちません。典型的なブリティッシュロックとして色彩が明確だった1stに対して、2ndはアヴァンギャルドポップという感じで作風もガラリと変わってしまい、かなり戸惑った記憶があります。

後任のOllie Halsallは巧いのかヘタなのかがよくわからないとらえどころのないギタリスト。唯一といっていい彼の功績は、一時期ホールズワースとハルソールとのツインギター体制だったころ、ホールズワースにアームの手ほどきをしたことです。ホールズワースはさらに研鑽を重ねて、のちのウネウネフレーズを生み出しました。ハルソールとの邂逅がなければ、ホールズワースフォロワーも生まれなかったかもしれません。この2人が揃った音源はBBCライブなどで聴くことができますし、1st、2ndとBBCライブがまとめられた「アンソロジー」でも聴くことができます。興味のある方はどうぞ。

どちらにしても、CD化されるまではアナログ盤は大変稀少で、手に入ったとしても5000~6000円くらいしました。私も中古屋を探しまくってやっと手に入れたと思った矢先に、CD化されました。結局、CDも買ってしまうのですが、間が悪いときは本当に間が悪いですね。

●Musicians
John Hiseman / drums
Allan Holdsworth / guitar,violin
Ollie Halsall / guitar
Mark Clarke / bass,vocal
Paul Williams / vocal

●Numbers
(以下、Tempest)
1.  Gorgon
2.  Foyers of Fun
3.  Dark House
4.  Brothers
5.  Up and On
6.  Grey and Black
7.  Strangeher
8.  Upon Tomorrow
(以下、Living In Fear)
9.  uneral Empire
10.Paperback Writer
11.Stargazer
12.Dance To My Tune
13.Living In Fear
14.Yeah Yeah Yeah
15.Waiting For A Miracle
16.Turn Around

何だか悔しいのでアナログ盤ジャケットも。上3枚が1stで下3枚が2ndです
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2010年6月 2日 (水)

オランダ人脈のテクニカルフュージョン「One Spirit」の2nd

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Musicians●One Spirit(Frans Vollink,Sebastiaan Cornelissen)
Titel●Go For It!(2009年)
■Abstract Logixより購入

オランダ出身のミュージシャンが集まって作られたユニット「One Spirit」によ2ndアルバムです。ユニットの中心になっているのはFrans Vollinkというベース奏者とSebastiaan Cornelissenというドラム奏者。Sebastiaan Cornelissenはソロアルバムも出していますね。この2人にやはりオランダ出身でGTIの優等生かつHoldswortyの若手筆頭、Richard Hallebeekが加わっています。3人ともさまざまなアルバムで共演しているので、まさに息がピッタリと合ったプレイが聴かれます。

ゲストにSusan Weinert姉さんと大御所Randy Breckerが入っているのでかなり豪華絢爛な面子です。

ユニット企画としては2作目にあたるこの作品。前作の作風と同様、ハイパー&テクニカルフュージョンの最前線という音作りは個人的にはドンぴしゃ。特にギターのRichard Hallebeekのソロは冴えに冴えわたっています。この人、ギターシンセも操るのですが、弦楽器としての良さを残しつつ鍵盤楽器特有のスペイシーな空間を作り出すワザは天下一品だと思います。ともすれば、ギターシンセを使うプレイヤーは、ギター本来の表現力をないがしろにはしないものの、忘れがちです。Hallebeekはギターと鍵盤楽器との微妙なラインを巧みについています。その意味では、大師匠のAllan Holdsworthをギターシンセの上では凌駕しているといっても過言ではないでしょう。

ギター好き、フュージョン好きの方には自身をもってお勧めしたい快作です。

●Musicians
Frans Vollink / bass,keyboard,vocal
Sebastiaan Cornelissen / drums
Richard Hallebeek / guitar,G10 synth Controller
Susan Weinert / guitar,guitar-synth on Wrong Format
Rob Van Bavel / piano
Martin Verdonk / percussion
Steve Hunt / keyboard on Done
Lalle Larsson / keyboard
Randy Brecker / trumpet on Leo's Dance
Ada Rovatti / tenor sax
Martin Gort / percussion

●Numbers
1.  Trick's Tales
2.  Demo Of Demontration
3.  Purpurama
4.  Done
5.  If So
6.  Port
7.  Go For It MF
8.  Maybe-Interlude
9.  Leo's Dance
10. 25-8
11. Sergio's Pants
12. TBA
13. Paraquats
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2010年6月 1日 (火)

Holdsworthy最右翼Alex Machacekのソロ「(Sic)」

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Musician●Alex Machacek(guitar)
Title●(Sic)(2006年)
■Abstract Logixより購入

テクニカル系フュージョンの殿堂Abstract Logixがいま一番押しているギタリストというと、Alex Machacek(アレックス・マクヘイサク)。オーストリア出身の彼は大御所変態Allan Holdsworthの熱心なフォロワーとしても有名で、オランダ出身のRichard Hallebeekと並びHoldsworthyの最右翼的な存在です。

参加メンバーはUKで活躍したスーパードラム奏者Terry Bozzio(3曲に参加)、Raphael Preuschl(bass)、Habert Pirker(drums)、Mario Lackner(drums)のトリオ構成に加えて1曲のみ彼の奥さんでインド出身の歌手Sumitra Nanjundanが参加しています。逆に奥さんの「Indian Girl」というアルバムに、夫のMachacekが参加しています。Terry Bozzioとは「BPM」というプロジェクトでも共演していますね。

マクヘイサックは「Featuring Ourselves」というアルバムで、聴く者のド肝を抜くような超絶技巧を披露してくれましたが、次作であるこのアルバムでは一転して内省的なサウンド志向に変わっています。どちらかと言えば「BPM」やTerry BozzioとのライブDVD「Out Trio」で聴かれたアブストラクトで変拍子を多用した未来派プログレッシヴ・フュージョンという感じです。

時にはハードでプログレッシヴな楽曲があれば、インド風味の無国籍サウンド(奥さん参加の「Indian Girl」)もありと、相変わらず捉えどころのないのですが、変拍子の間を縫うように襲いかかってくるマクヘイサックのソロはやはり絶品です。まさに変態ギタリストの若き後継者ともいえる、ねじ曲がった超絶ソロはギターマニアにとっては堪らないご馳走という感じです。

前作 があまりにも素晴らしい出来ばえだったので、このアルバムでの暗く内に篭る音作りには、いささか違和感を感じないわけではありません。また、ギター弾きまくり状態を期待するなら、やはり前作「Featuring Ourselves」のほうがお勧めかも。動くマクヘイサクを見たい人は、DVD「Out Trio」をぜひご覧ください。

●Musicians
Alex Machacek / guitars
Terry Bozzio / drums
Raphael Preuschl / bass
Habert Pirker / drums
Mario Lackner / drums
Sumitra Nanjundan / vocal on Indian Girl (Meets Austrian Boy)

●Numbers
1. (sic)
2. Indian Girl (Meets Austrian Boy)
3. Miss Understanding
4. Yellow Pages
5. Djon Don
6. Piano
7. Out of Pappenheim
8. Austin Powers
9. Ballad of the Dead Dog
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