2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

« 坂本冬美にインスパイアされてキンクリの1stを買い直す | トップページ | 若き渡辺香津美のギターが冴える日野元彦のライブ »

2010年5月 5日 (水)

個性派弾丸ギタリストPat Martinoのライブ

Dscf1950






Musician●Pat Martino(guitar)
Title●Live!(1972年)
■ディスクユニオンで購入

たまには正統派のジャズギタリストのご紹介を。ジャズギターの歴史をひもとくと、1960年代のスターギタリストがJim Hall(ジム・ホール)だとすると1970年代のスターはPat Martino(パット・マルティーノ)ではないかと思います。これは知名度とかセール面での分析ではなく、後のギタリストたちに与えた影響度の大きさという観点からです。

ギターに興味がない方には説明が難しいのですが、たとえばウェス・モンゴメリーあたりのビッグネームはコード展開によるバッキングとオクターブ奏法と呼ばれるソロワークが中心で、それがジャズギターの「定番」とされてきました。しかし、1950年代後半から頭角を現したJim Hallが単音でフレーズをつないで聴かせる「ワントーンフレーズ」を多用してみせたことで、いわゆる「歌うジャズギター」が注目されるようになりました。

すでにロックではギターがバンドの中心楽器になりつつあった頃の話ですが、一方のジャズでは相変わらずピアノなどの鍵盤楽器とサックス・トランペットなどの管楽器が幅をきかせていました。そこにきてやっとギターなどの弦楽器も「第三の楽器」として認知されるようになったのです。今日に見る「コンテンポラリー系ジャズギター」の始まりです。

Pat Martinoは「ワントーンフレーズ」の申し子的な存在で、正確無比かつ人知を凌駕した速さで弾きまくる「弾丸ピッキング」の使い手です。Jim Hallがハートウォーミングでリリカルなフレーズを得意とするタイプなのに対して、Pat Martinoはとにかく弾きに弾きまくります。また、Jim Hallがビル・エヴァンスやアート・ファーマーなどの抒情派ミュージシャンとの共演が多いのに対して、Pat Martinoの場合、これといった特定の共演者がいないため「孤高のミュージシャン」として、妙な神秘性を高めています。たぶんプレイスタイルが我があまりにも強いので、うまいことマッチするミュージシャンがいないのだと思います。そんな意味では、唯我独尊系ギタリストのハシリだともいえます。

1972年に録音されたこのライブ音源は、Pat Martinoがそろそろ円熟期に入ろうかという時期のもの。フォーク音楽の殿堂「Falk City」という場所で録音されたそうです。とにかく凄まじい勢いでギターが歌いまくります。まるで無間地獄のように延々と叩き出されるフレーズを聴いてしまうと、これからギターを始めようかという人は絶望感にかられるのではないでしょうか。特にラスト「Sunny」で聴かれる5分以上にも及ぶソロは後世に残るであろう名演です。ちなみに「Sunny」は1966年に黒人シンガーソングライターBobby Hebb(ボビー・ヘブ)が大ヒットさせた曲で、和田アキ子、勝新太郎、最近では加護亜依までも(笑)カバーしている名曲。日産サニーのCM曲に使われたのでご存じの方も多いのでは?

 ♪ Sunny / Bobby Hebb

 Sunny,yesterday my life was filled with rain.
 Sunny,you smiled at me and really eased the pain.
 Oh,the dark days are done,and the bright days are  here,
 My sunny one shines so sincere,
 Oh Sunny one so true,I love you.

 Sunny,thank you for the sunshine bouquet.
 Sunny,thank you for your love you've brought my way.
 You gave to me you all and all.
 Now I feel ten feet tall.
 Oh Sunny one so true,I love you.
 Sunny,thank you for the truth you've let me see.
 Sunny,thank you for the facts from A to Z.
 My life was torn like wind blown sand,
 Then a rock was formed when we held hands,
 Sunny one so true,I love you.

 Sunny,thank you for that smile upon your face.
 Sunny,thank you for that gleam that flows with grace.
 You're my spark of nature's fire,
 You're my sweet complete desire.
 Sunny one so true,I love you.

ところでわずか3曲のみで収録時間も38分程度というこのライブ音源。当然「捨てられた曲」も存在するはず。いまからでもかまいません。どうかまとめて「完全版」をリリースしてくれないでしょうか。

●Musicians
Pat Martino / guitar
Ron Thomas / piano
Tyrone Brown / bass
Sherman Ferguson / drums

●Numbers
1. Special Door
2. The Great Stream
3. Sunny
Dscf1951

« 坂本冬美にインスパイアされてキンクリの1stを買い直す | トップページ | 若き渡辺香津美のギターが冴える日野元彦のライブ »

ジャズギター」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 個性派弾丸ギタリストPat Martinoのライブ:

« 坂本冬美にインスパイアされてキンクリの1stを買い直す | トップページ | 若き渡辺香津美のギターが冴える日野元彦のライブ »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

いろいろ検索

  • Tower Records検索
  • HMV検索
    HMV検索
    検索する
  • iTunes検索
無料ブログはココログ