GARSED & HELMERICH / MOE'S TOWN(2007年)
Musician●Garsed & Helmerich
Titel●Moe's Town(2007年)
■Amazonより購入
1990年代は「Garsed & Helmerich」名義でハイパーフュージョンサウンドを聴かせてくれた名コンビが、「Uncle Moe's Space Ranch」として復活しました。前作が2002年リリースでしたから何と7年ぶりの新譜ということになります。Tone Centerレーベルからリリース。参加メンバーは前作に引き続き、Brett Garsed(g)、TJ.Helmerich (g)、Gary Willis(b)、Dennis Chambers(d)、Scott Kinsey(key)という現代のジャズ・フュージョン界での最強メンバーです。Garsedのオージー人脈からVirgil Danati(d)が1曲のみ参加しています。
基本的には前作の延長線上にはありますが、前作ではやや存在感に乏しかったScott Kinseyの役割分担が増えたような気がします。しかも、なぜかScott Kinseyはピコピコサウンド、つまりテクノポップ的なSEをやたらと多用しています。1曲目「Valentimes Day」からピコピコと始まるので何だか嫌な感じがするのですが、ほどなくGarsedの流麗なソロが鳴り始めるのでホッと一安心。実はテクノがあまり好きではないのです。Garsedが一通り鳴き終わると、Helmerichの両手タップの独壇場です。相変わらず変態フレーズのオンパレード。このコンビのアルバムはこれでなくてはいけませんね。ソロの順番ですがGarsedが先鞭をつけ、Helmerichが仕上げるというスタイルは不変のようです。
それにしても、やたら複雑な曲構成、変拍子の多用、そして隙間を縫うように入り込んでくるGarsedの流麗なレガートとHelmerichの変態タップ。前作にも増して音の圧力は確実に上がっています。凄腕集団ながら決してテクニックのみに走ることなく、それでいて水面下ではものすごいことになっているという奥深さは変わりません。ですから「弾きまくり状態」を期待する人にとっては一見するとやや物足りなく感じるかもしれませんが、そこら辺が「匠のワザ」なのです。
特に唯一無比の変態サウンドを生み出すHelmerichのタッピングは、ハーモニックスなどを駆使するなどさらに磨きがかかった感がします。この人、本来はスタジオエンジニアでScott Hendersonの作品に関わっている技術者なんですけど。何でもできる才能には本当に感心します。
しかしTone Centerのアルバムはことごとくジャケットデザインが悪趣味ですね。
●Musicians
Brett Garsed / guitar
TJ Helmerich / guitar
Dennis Chambers / drums
Gary Willis / bass
Scott Kinsey / keyboard
●Numbers
1. Valentimes Day
2. Moe Town
3. Ella's Hotel
4. Audio Rhumba
5. Dads Speakers
6. Inspired Weak
7. Snout!
8. Path to Aesthesis
9. Nitro squirrel (multiple moe)
« 何とも悲しげなブルースギターが泣かせるJBウルマーの意欲作 | トップページ | テクニカル系ギター好きは必携Machacek「Improvision」 »
「フュージョンギター」カテゴリの記事
- Cyril Achard / Confusion(1997年)(2016.08.28)
- 矢堀孝一 / Elevation(2001年)(2016.08.20)
- Larry Coryell / The Funky Waltz(1973年)(2016.08.14)
- Marco Sfogli / reMarcoble(2012年)(2016.07.18)
- Dewa Budjana / Hasta Karma(2015年)(2016.07.16)
« 何とも悲しげなブルースギターが泣かせるJBウルマーの意欲作 | トップページ | テクニカル系ギター好きは必携Machacek「Improvision」 »
コメント