Alex Machacekの奥さんのソロアルバム「Indian Girl」
Musician●Sumitra Nanjundan(vocal)
Title●Indian Girl(2004年)
■Guitar 9より購入
オーストリア出身のテクニカル系ギタリストであり、Allan Holdsworthフォロワーの急先鋒Alex Machacek(アレックス・マクヘイサク)がインド人女性と結婚していたとは知りませんでいた。Sumitra Nanjundanというシンガーがその人です。Alexのプロデュースのもと制作されたのがこのアルバムです。
いわば「夫唱婦随」の作品、昔でいえば田辺靖雄と九重佑三子、ヒデ&ロザンナ、チェリッシュということでしょうか。ポール&リンダマッカートニーも忘れてはいけません。夫婦2組で結成したABBAもそうですね。テクニカル系ギタリストでいえば豪州出身の変態ギタリストBrett Garsedがカントリー歌手の奥さんのアルバムに参加しています。おっと忘れていました、ジョン&アリス・コルトレーンもいました。
で、なにが言いたいかというと、こうした「夫唱婦随系」は往々にして気恥ずかしい結果になってしまう危険性があるということです。旦那や奥さんのファンであっても、その配偶者まで好きになることはそんなにないと思うのです。この「夫唱婦随系」の典型的な失敗例だと個人的に思うのは、ジョン・レノンと小野洋子の取り合わせで、かつてプラスティック・オノ・バンドとして数枚のアルバムを残しています。もちろん、素晴らしい楽曲を残しはしましたが、実際は「はずれ」のほうが成功例よりも遙かに多かったと思います。ファンは正直です。プラスティック・オノ・バンドはセールス的に致命的な不振に終わりましたが、バンドの呪縛から解放されてリリースした「イマジン」が爆発的なヒットになったのは、「そうなんだよ、レノンはこれなんだよ」というファンの正直な気持ちの表れだった思います。セルフプロデュースと言うと聞こえはいいのですが、自分たちを客観的に把握しないととんでもないことになるのです。
でも、表立って2人に向かって「あんたらつまらない」と言えなかったのは、やはりミュージシャンとしての「格」であり、バックについている大手資本への配慮もあると思います。小野洋子も某財閥のお嬢ですしね。これは関係ないか。
さて、このアルバムは「成功」しているかというと、かなり微妙なラインだと思います。Machacekのギターは相変わらず素晴らしいのですが、割り込んでくる奥さんのボーカルは可もなし不可もなしという感じで、特別に何かというものは感じられません。昔だったら奥さんがインド人というだけでそれなりに注目を浴びたかもしれません。でも、これだけ国際結婚が当たり前になっている状況では、アドバンテージとはなり得ないでしょう。どうせなら、コテコテのインド音楽とプログレとを融合するとか、大胆な冒険がほしかったところです。
●Musicians
Sumitra Nanjundan / vocal
Alex Machacek / guitar
Mario Lackner / drums
Tibor Kovesdi / bass
●Numbers
1. Indian Girl
2. If My Clothes Were Torn
3. Destiny 2001
4. I Know It's Late
5. 20 Years
6. I'm Afraid Of The Dark
7. At The End
8. My Love's Like A Red Rose
9. Can You Emagine?
10.Orange & Gold
11.No Words
12.One Life
13.Empty Fields
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