ポリドール移籍第2弾でホールズワースが回春?「Hard Hat Area」
Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Hard Hat Area(1993年)
■ディスクユニオンで購入
変態&テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)の1993年の作品です。ポリドールに移籍後の第1弾「Wardenclyffe Tower」(1992年)では変態ギターの極みとも言えるバリトンギターを導入しましたが、オールドファン(?)からは「どうしてよ」と酷評(?)を浴びるという結果になってしまいました。
作品と作品とのインターバルが異常に長いホールズワースとして珍しく間髪入れずに発表されたこの作品では、やや原点回帰の兆しがうかがえます。前作で不評だったバリトンギターを一切使わず、また賛否両論に分かれるシンタックスが使われているのは全7曲中、2曲のみ。本来の「ギター弾き」としてのホールズワースが帰ってきました。その意味では「Sand」の反動からギター中心に切り替えた「Secrets」に近い作風になっています。
ホールズワースの「復活」を確信したのが、1曲目「Prelude」。かつての輝きを取り戻したかのような超絶技巧で聴く者のド肝を抜きます。ぞっとするほどの美しさ&変態性は神ワザにまで昇華されています。ギターアルバムはかくあるべし、と溜飲を下げたファンも多かったのではないでしょうか。
参加メンバーをみると、レギュラー扱いだったChad WackermanとJimmy Johnsonがはずれ、Skui Sverrisson(スクリ・セバリソン)というベース奏者がスタメンに抜擢されています。一種のショック療法が好結果を生んだようです。
「Wardenclyffe Tower」でも触れましたが、80年代後半から90年代初頭にかけてホールズワースはほかのミュージシャンのアルバムに盛んに客演しています。この積極的な行動は外向的な性格になったこともありますが、ファンにとって永遠の謎と言えるのが、「ゲスト参加ではあんなに素晴らしいプレイができるのに自身のリーダー作は不発なのか」ということです。これはプロデュースの問題もありますが、残念ながら「作曲能力の欠如」によるところが一番大きな要因ではないかと思います。
一からすべてを作り上げる職人気質も素敵だと思いますが、いったん方向性を見失うと悲惨な結果をもたらします。それよりも、ゲスト参加のようにある程度環境が整った段階から参加して、ギター1本で勝負をかけるほうが遙かに結果が良いようです。
●Musicians
Allan Holdsworth / guitars,synthaxe
Steve Hunt / keyboards
Skui Sverrisson / bass
Gary Husband / drums
●Numbers
1. Prelude
2. Ruhkukah
3. Low Levels,High Stakes
4. Hard Hat Area
5. Tullio
6. House of Mirrors
7. Postlude
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