フリーキーな世界、Marc Ducret「Qui Parle?」
Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Qui Parle?(2004年)
■ディスクユニオンで購入
フランス出身のフリージャズ系ギタリスト、Marc Ducret(マルク・デュクレ)による2004年のアルバムです。日本盤は「澤野工房」からリリースされています。
いきなり1曲目から、ギターの弦をかきむしるような不協和音で始まるこのアルバムは、デュクレが多くのミュージシャンとの共演で培ってきたキャリアを集大成したかのように、実に多面的な魅力をもつ作品に仕上がっています。
メンバーは「Live」 「Live2」 で共演した、Bruno Chevillon(bass)とEric Echampard(drums)を基本にして、複数のトロンボーン、バリトン、トランペット、サックス奏者と非常に管楽器の比重が高く、一見すると胃がもたれるように思われがちです。しかし、実際に聴いてみると管楽器系はサブ的な存在として音の空間を埋めるだけにとどめ、基本はギター、ベース、ドラムによるトリオが中心。「Live」「Live2」で聴かれたように、常に飛び跳ねるような躍動感あふれるアグレッシブな楽曲が中心です。
デュクレと言えば、フリー系サックス奏者Tim Berne(ティム・バーン)との共演作でも知られていますが、おそらくこの作品では複数の管楽器奏者を「仮想ティム・バーン」に見立てているのでしょう。絶妙なバランス感覚が感じられます。
途中、いきなり始まるフランス語によるチャットがやたらと不安感を煽りますが、これもフリー系ならではの絶妙なアレンジだと思います。シンプルなジャケットデザインといい、なにからなにまで「さまになっている」作品です。
ちなみにタイトル「Qui Parle?」は「あんた誰?」という意味のようですが、フランス語をまったく解さないので自信がありません。
●Musicians
Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass
Eric Echampard / drums
Benoit Delbecq / piano
Thierry Madiot / trombone
Helene Labarriere / contrebass
Alain Vankenhove / trumpet
Michael Massot / tuba,trombone
Yves Robert / trombone
Julian Lourau / tenor sax
Francois Verly / percussions
Christophe Monniot / alto sax
Anne Magouet / chat
Leslie Sevenier,Philippe Agael,Laurence Blasco / voice
●Numbers
1.On Ne Peut Pas Danser L-Dessus
2.Menteur
3.Annexe (Rurale)
4.Annexe
5.Qui Parle?
6.Emportez-Moi
7.Double Entendre
8.Ce Sont Les Noms des Mots
9.Double,Simple
10.Emportez-Moi
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