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2010年4月

2010年4月30日 (金)

アジアとヨーロッパの絶妙な融合Huong Thanhの1st

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Musician●Huong Thanh
Title●Moon and Wind(1999年)
■ディスクユニオンで購入

フランス在住のベトナム系女性歌手Huong Thanh(フン・タン)による1999年の作品です。良質なジャズアルバムを多数送り出しているACTレーベルからリリース。プロデューサーとギタリストを務めるNguyen Le(グエン・レ)もフランス生まれのベトナム系ミュージシャンです。ゲスト参加にイタリア出身のトランペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)やアルジェリア出身の打楽器奏者Karim Ziadなどが参加していますが、ほとんどがNguyen Le人脈ですね。

メンバーから容易に想像できるように、多国籍軍によるまさにワールドミュージックですが、基本になるのはやはりベトナム音楽。そこにライ音楽(アルジェリアの民族音楽と欧米ポップの融合音楽)やジャズ、ロックなどが渾然一体となって実に不思議な音空間を作り上げています。

主人公のHuong Thanhの歌声はとてもチャーミングで可愛らしく、かつ耳に心地よい美声で知らず知らずのうちに聴き入ってしまう不思議な魅力を放っています。ライナーを読んでみるとベトナムの北部・中部・南部でそれぞれ古くから伝わる子守唄や恋歌、自然への賛歌などがベースになっているそうです。サブタイトルとして「New Sounds from The World」「New Sounds from Vietnam」とうたわれています。まさにタイトル通りの、ほかに類例をみないワールドミュージックですね。

音楽に対して「癒し」という陳腐な表現はあまり使いたくはないのですが、この作品を聴いていると世俗の煩わしさを少しの間でも忘れさせてくれるヒーリング効果に気がついたら満たされてしまいます。ストレスが充満する首都圏の通勤電車の中で、誰に知られることなく密かに聴いてみたい、そんな気持ちにしてくれる作品です。やはりNguyen Leがプロデュースした2nd「Dragonfly」もお勧めです。

ところで気の利いたCD屋ならメンバーから判断してジャズコーナーに置かれるのですが、不勉強な店員がいる店だと民族音楽コーナーに置かれていることも。確かにジャンル分けが難しいというかあまり意味をなさない作品なので、仕方がないのでしょうね。

●Musicians
Huong Thanh / vocal
Nguyen Le / guitars,bass,synths
Illya Amar / sanza
Paolo Fresu / trumpet
Karim Ziad / gumbri

●Numbers
1. The Soaring of The Heron
2. All Is Peace
3. One River,Two Streams
4. Lovers On The Mountain
5. Crossing The Bridge
6. Autumn Wind
7. Black Song
8. The Awaiting
9. Going Back To Hue
10.The Source
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2010年4月29日 (木)

1974年と1984年のモントルー映像(Mahavishnu Orchestra)

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Musician●Mahavishnu Orchestra
Title●Live At Montreux(1974年&1984年)
■Amazon USAから購入

いまなおジャズロック界の頂点に君臨する名ギタリスト、John Mclaughlin(ジョン・マクラフリン)率いるMahavishnu Orchestraによるライブ映像です。1974年、1984年とスイスで毎夏開催される「Montreux Jazz Festival」に出演したときの映像作品です。

1984年のメンバーはBill Evans(sax)、Marsha Westbrook(sax)、Mitchell Foreman(key)、Jonas Hellborg(bass)、Danny Gottlieb(drums)という構成。一方、その10年前のメンバーはMichael Walden(drums)、フランスの奇才Jean-Luc Ponty(violin)、チック・コリアの奥さんGayle Moran(key)をはじめとした総勢11名というまさに文字通りのオーケストラ構成。

1984年の映像はおそらく海賊盤を含めても初めての映像ではないでしょうか。オープニング「Radio-Activity」での凄まじいギターソロでまず驚かされます。極端に言ってしまえば、この1曲のためにこのDVDを購入しても十分なお釣りがくるのではないでしょうか。個人的にはのちにShawn Laneと名コンビを組むことになるJonas Hellborgの若い姿が大変印象的でした。

1974年の映像は「第2期Mahavishnu Orchestra」のもの。アルバム「火の鳥」をリリース後、第1期Mahavishnuはメンバーの逃亡という形で終焉を迎えますが、急遽新メンバーを迎えて再出発した直後の映像だと思われます。本音を言えば現状では海賊盤でしか見ることができない第1期のほうが魅力的なんですけどね。

いよいよインド思想に傾倒していったマクラフリンですが、その没頭ぶりがステージにも如実に表れています。ギターはもちろんギブソン・ダブルネック。6弦と12弦とを巧みに使い分けています。個人的にはMichael Waldenのトランス状態に陥ったかのような鬼気迫るドラミングが印象的。また、Gayle Moranの神秘的な姿も新鮮です。Jean-Luc Pontyの動く姿も珍しいのではないでしょうか。このDisc2には約50分の映像のほかに、マクラフリン自身がリマスターしたというオーディオトラックも収録されています。本音でいえば音声ではなくて映像も見たかったですね。

とはいえDVD2枚で収録時間は約220分間。濃密でしかも資料的価値としても貴重な作品です。私は廉価な輸入盤を購入しましたが、コストパフォーマンスとしても抜群だと思います。それにしても、モントルー物は新旧問わず内容が優れていますし、旧作がいきなりリリースされたりするので侮れません。

●Musicians
John Mclaughlin /guitar
Bill Evans / sax
Marsha Westbrook / sax
Mitchell Foreman / key
Jonas Hellborg / bass
Danny Gottlieb / drums
Michael Walden / drums
Jean-Luc Ponty / violin
Gayle Moran / key

●Numbers
Disc 1
1. Radio-Activity
2. Nostalgia
3. East Side,West Side
4. Clarendon Hills
5. Medley:Blues for L.W. / It's The Pits / Living on the Crest of a Wave / Jozy

Disc 2
1. Wings of Karma
2. Hymn to Him
3. Power of Love ※
4. Smile of the Beyond ※
5. Vision Is a Naked Sword ※
6. Sanctuary ※
7. Hymn to Him
8. Power of Love
9. Vision Is a Naked Sword
10.Sanctuary

※はAudio Disc
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2010年4月28日 (水)

究極の癒し系アコギ、Steve Eliovson

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Musician●Steve Eliovson(guitar)
Title●Dawn Dance(1981年)
■Amazonより購入

ドイツのコンテンポラリー系ジャズの専門レーベルECMは新人の発掘にも熱心です。ときどき誰も知らないよう実力者を連れてきて、「大穴」を開けたりします。

今回紹介するのはSteve Eliovson(スティーヴ・エリオヴソン)というギタリストの唯一のアルバムです。このSteve Eliovsonをご存じの人がいたら相当なギタリスト好き、ECM好きだと思います。何せこのアルバム1枚しか残していないわけですから。ライナーを元に若干の基本情報を記しましょう。Steve Eliovsonは1953年、南アフリカ共和国生まれ。10歳からクラシックピアノを学び、ギターを手にしたのはなんと21歳というかなりのスロースターターです。一時期、アメリカで活動したこともあるようです。次第にインド音楽に興味をもち始め、ジャズとインド音楽との融合的なサウンドを志向していきます。このあたりが「ECM的」ですね。

母国で地道な創作活動を続けていたSteve Eliovsonですが、ある時、デモテープをECMの総帥、マンフレッド・アイヒャー氏に送ったところ、いたく気に入られてめでたくメジャーデビューを果たしたのがこのアルバムです。1981年にドイツでレコーディングされています。共演者にはパーカッション奏者でOregonのメンバーCollin Walcottが指名されましたが、以前からインド音楽に傾倒していたSteve Eliovsonにとっては願ったりかなったり状態だったでしょう。

曲に関しては1曲を除いてSteve Eliovsonが手がけていますが、彼のプレイはたとえて表現すると「ハートウォーミングなラルフ・タウナー」という感じです。決してタウナーが冷徹というわけではありませんが、精緻に計算し尽くされクラシカルな志向をもつタウナーと比べると、実に温かく「ほっこり」する印象。やはりアジア人の耳には東洋的な調べは、実に心地よく感じられます。タウナーのギターは「凄い」という表現が似合いますが、Steve Eliovsonは威圧感がまるで感じられない代わりに、耳から流れ込んでくる音という音が細胞の隅々まで沁みわたるような感じです。これこそ、究極の癒し系、ヒーリング音楽の極致と言えないでしょうか。

Steve Eliovsonは結局このアルバム1枚をリリースしたのみでECMとは縁が切れてしまったようです。最高の相方であったCollin Walcottも不幸にして夭折してしまいました。したがって、二度とこの奇跡の邂逅は望めません。残念の一言です。

ところでECMの一連の作品は、そのジャケットデザインの美しさでも知られていますが、この作品も多分に漏れず素晴らしい出来映えです。いわゆる「ジャケ買い」もよし、聴いてもよしの珠玉の名作だと言っても過言ではありません。

●Musicians
Steve Eliovson / acoustic guitar
Collin Walcott / percussin

●Numbers
1. Venice
2. Earth End
3. Awakening
4. Song For The Masters
5. Wanderer
6. Dawn Dance
7. Slow Jazz
8. Africa
9. Memories
10.Eternity
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2010年4月27日 (火)

これからはネット配信へ移行?Bruce Bartlettの新作

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Musician●Bruce Bartlett(guitar)
Title●Live Standards(2002年)
■オフィシャルHPより購入

ボストンを中心に活躍するジャズ&ブルース系ギタリストBruce Bartlett(ブルース・バートレット)がライブ盤ばかり3作を一挙にリリースしました。驚くことに今回は3作とも、すべてネット配信になっていてリアルなCDはリリースしないようです。したがってネットからファイルをダウンロードし、さらに圧縮ファイルを解凍してAACファイルに変換する作業が必要になりました。支払いはPay Pal経由のみなのでPay Palアカウントを作る必要があります(クレジット決済)。ちなみに13米ドルでした。

内容は2002年のライブ音源でジャズスタンダードのカバーですが、相変わらずBruce Bartlettのソロが冴えわたっていてギター好きの人間にはたまりません。ただ、音質はあまり良好とはいえず、また一部に明らかにオリジナル音源が原因と思われる「音飛び」があります。デジタル音源に「音飛び」はもちろんありませんが、ほかに適当な表現がみつかりません。そんな問題もあってリアルCDとしてリリースできないと思われます。

最近では紙媒体に頼らない電子書籍が話題になっていて、ほどなく日本語の書籍がデジタル化されていくことになると思われます。それによって従来の「紙の書籍」も衰退するのではという予測もされています。しかし、音楽配信の場合は書籍のような「言語の壁」が一切ないので、リアルCDの市場は書籍以上の速さで縮小傾向に向かうことは確実です。特にニッチな市場を狙うマイナー系ミュージシャンは、売れないCDの在庫を抱えるリスクがないネット配信のほうが今後は主流になるでしょう。

しかし、問題点もいくつか考えられます。たとえばリアルCDに付き物のスリーブにはミュージシャン情報やレコーディングデータなどが詳細に記載されていますが、ネット配信に移行するとその点が疎かになってしまう危険性があるということです。「音だけ聴ければいいじゃん」という向きもありますが、いつ、どこで、誰が参加し、どんな楽器を弾き、どんな状況で録音されたかという情報はやはり欠かすことができません。事実、この作品も2002年のライブ音源ということはわかりますが、肝心の場所が記載されていません。

ついでにいえば、ライナーノーツと呼ばれるいわゆる解説文も、ネットに移行するとないがしろにされてしまう可能性も考えられます。そうなると、ミュージシャン本人の人となりや作品、楽曲の詳細な解説はもちろん、そのミュージシャンが影響を受けた人、逆に影響を与えた人などの人的な広がり、その作品を巡る当時の音楽や社会状況などの周辺情報を知る機会が減ってしまう危険性もあります。つまりライナー文を読んで、ほかのアルバムやミュージシャンも聴いてみたり、当時の時代を振り返ってみたりする楽しみが減ってしまうのではないでしょうか。

音楽のネット配信への流れはますます主流になることは間違いありませんが、単に音源だけを発信するのでなく、最低でもミュージシャン本人やアルバムの基本データも同時配信することは配信元の義務ではないかと思います。そうした付加情報を生み出して、いかにリスナー(消費者)の心をつかむかが生き残りの鍵ではないかと思います。

ついでにいえば、圧縮ファイルを配信する時は解凍方法も記載したほうが親切ですね。せっかくダウンロードしたのにファイルを解凍できずに途方に暮れてしまう「解凍難民」が今後多く発生する予感がします。事実、私も迷いました。

興味のあるかたはこちらへ。

●Musicians.
Bruce Bartlett / guitars
Marty Ballou / bass
Marty Richards / drums

●Numbers
1. All the Things You Are
2. Impressions
3. Have You Met Miss Jones
4. Turnaround
5. Blue Monk

2010年4月26日 (月)

ECMの名作の数々を彩ったジャケットデザイン集

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Title●Sleeves of Desire(1996年)
■ディスクユニオンで購入

1960年代後半にドイツで産声をあげた「ECMレーベル」。基本的にはコンテンポラリー系ジャズのレーベルですが、ジャズという狭い枠組みにとどまらず、さまざまな民族音楽やロック、クラシックなどとジャズとの融合を積極的にはかり、独自の音楽観を作り上げてきました。いわば「音楽上の異種格闘技」のパイオニア的な存在です。70年代中盤に巻き起こった「クロスオーバー」「フュージョン」ブームも、ECMの存在なしでは語れないはずです。ちなみにECMはEdition of Contemporary Musicの略称です。

このECMからキース・ジャレット、ヤン・ガルバレク、ジョン・アバークロンビー、パット・メセニー、ビル・フリゼールなどのスターミュージシャンが巣立っていきました。また、誰も知らないような無名ミュージシャンをスカウトしてきて、いきなりメジャーデビューさせるという「先見性」のうえでも傑出していると思います。また、90年代は「癒し系音楽」、つまりヒーリングミュージックの旗手として脚光を浴びた時期もありました。

ECMは独自の音楽観とともに、それぞれのアルバムジャケットの美しさにも定評があります。「ジャケットも作品のの一部である」という考え方は、おそらくビートルズが初めて世の中に提唱したのではないかと個人的には思っていますが、ECMではその考え方がすべての作品に徹底されています。店頭でジャケットを眺めているうちに音のほうも間違いなく素晴らしいだろうと思い込み音も聴かないで買ってしまうことを「ジャケット買い」(通称・ジャケ買い)といいますが、ECMに至ってはその作品のほとんどが「ジャケ買い」の対象になってしまうと思います。事実、私も何度かジャケ買いを敢行して、素敵な作品に巡り会うことができました。

1996年にスイスの出版社から突如発行された本書は、そのECMのジャケットをてんこ盛りにして掲載したものです。興味深いところがただジャケットを掲載するだけでなく、デザイン上のパーツや加工前の原画までも紹介している点です。いわゆるひとつのメーキングですね。さらにうれしいことに、ECMの総帥マンフレッド・アイヒャー氏と仲違いのうえに喧嘩別れしてしまったリッチー・バイラークの諸作品も掲載されています。音楽性とジャケットとは別物だという判断でしょうか。

ECMをこよなく愛する人にとっては本書のジャケットデザインを愛でながら湧き出るサウンドを脳内で反芻してもよし、単純に美しいデザインデザインに酔いしれるのもよし、デザインに興味がある人はメーキングを見ながら研究素材にしてもよし。私は仕事の関係上、グラフィックデザイン的な視点で眺めています。確か発行当時は日本円で7000円くらいしましたが、絶版になったいまは驚くほどのプレミアがついています。なかには10万円で売り出している中古品業者もあるほど。当時でも決して安い買い物ではありませんでしたが、あの時無理して買ってよかったといまになって思います。もちろん売値が高騰しているからといって、手放すつもりは毛頭ありませんよ。

本書を現時点で入手するのは確かに困難ですが、本書の続編的な写真集が現在出回っています。この続編も日本円で6000円前後とやはり安いとはいえませんが、間違いなくそのうちに絶版になってしまうことでしょう。入手できるうちに買い求めたほうが良さそうです。夏のボーナスが無事に出たら買おうかなと計画中です。

キース・ジャレット「ケルン・コンサート」も載っていますDscf1910

廃盤扱いのジャケットも掲載されているのがうれしいところです
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2010年4月25日 (日)

Allan Holdsworth / Live at Yoshi's(2008年)

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Live at Yoshi's (2008年)
■Amazon USAより購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)による久々のオフィシャルライブDVDです。前作「Live at the galaxy theatre」(2000年)は画質が悪いうえに収録時間も短くて大変欲求不満がたまる作品でしたが、今回は画質、内容とも十分に納得がいく作品だと思います。

この優れた映像作品は2006年9月29日、カリフォルニアにある名門ジャズクラブ「Yoshi's Jazz  & Sushi Club」でのプレイを収録したものです。メンバーはAlan Pasqua(キーボード)、Chad Wackerman(ドラム)、Jimmy Haslip(ベース)というカルテット構成。Alan Pasquaとは1970年代中盤にTony Williamsの「New Lifetime」で共演して以来、数々の作品で顔を合わせてきましたが、今回はいまは亡きTony Williamsを追悼する意味でのライブのようです。それはライフタイム時代の「Believe It!」から「Fred」「Proto Cosmos」「Red Alert」の3曲がピックアップされていることからもわかります。また、このライブのために書き下ろされたのでしょうか。「Blues for Tony」という未発表曲も披露されています。

映像、演奏とも非常にクオリティーが高い作品だと思うのですが、あえて言えば映像が目まぐるしく変わる編集に難があります。もう少し落ち着いて見たいのに、あまり意味を感じない性急なスイッチングで興ざめするシーンも。素材自体は素晴らしいだけに、編集作業で余計なことをしてくれたというのが正直な感想です。

ちなみに2009年に「Blues for Tony」という2枚組CDがリリースされていますが、こちらは2007年のライブ音源なので、まったく別物です。参加メンバーも同じなので「同じ素材なら要らないや」と考えている方、どうかご安心を。DVDとCDでは演奏曲などはかなりかぶっているのですが、ファンにとっては「別録音」というのは大変重要な情報です。ですから迷うことなく(?)両方購入されることをお勧めします。聴いてもよし、観てもよしという黄金の鑑賞スタイルですね。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Alan Pasqua / keyboard
Chad Wackerman / drums
Jimmy Haslip / bass

●Numbers
1.The Fifth
2.Looking Glass
3.Fred
4.Must be Jazz
5.Blues for Tony
6.San Michele
7.Pud Wud
8.Proto Cosmos
9.Red Alert

収録時間●約85分
リージョンフリー(安価な輸入盤がお勧めという意味です)
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2010年4月24日 (土)

マハヴィシュヌ・ジョン・マクラフリンの2nd

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Musician●Mahavishnu Orchestra
Title●Birds of Fire(1973年)
■ディスクユニオンで購入

アルバム「The Inner Mounting Flame」(1971年)で衝撃的なデビューを飾ったMahavishnu Orchestraによるセカンドアルバムです。前作では70年代ジャズロックの誕生を予感させる凄まじいテクニックの応酬と異常なまでのハイテンションなプレイで大いに驚かされましたが、このアルバムもその延長線上の作風にあると言えます。

インドの高僧スリ・チンモイに弟子入りして以来、インド思想に傾倒していったジョン・マクラフリンは、さらにインド思想的な要素を強く押し出していきます。したがって純粋にジャズロックを期待する人にとっては、そんな志向がむしろ邪魔に感じられるかもしれません。事実、その後はシャクティなどでよりインド志向が強まり、エレクトリックから次第にアコースティックな世界へと移行していき、彼の名前も次第に表舞台では聞かれなくなっていきます。また、ほかのメンバーもマクラフリンの志向についていくことができなくなり、ついには彼1人を残して「逃亡」してしまいます。

そんな事情もあって、まさに1枚岩のように強く結束していた1st と比較すると、ややまとまりに欠ける印象もないわけではありません。とはいってもそこは超がつく一流ミュージシャンの集団ですから、決して破綻しているわけではありません。特に1曲目「Birds of Fire」で聴かれるぶっ飛んだソロは、のちのジャズフュージョン界に強い影響を与えたのではないでしょうか。

とはいえ前作「The Inner Mounting Flame」のほうが評価が高く、ジャズロックの名盤とされている理由はよくわかります。インド思想に対し門外漢である人間にとっては、やはりそうした要素はあまり歓迎できないものであり、ときに冗漫に感じられることは強く否定できないからです。

●Musicians
John Mclaughlin /guitar
Jan Hammer / piano
Jerry Goodman / violin
Rick Laird / bass
Billy Cobham / drum

●Numbers
1.Birds of Fire
2.Miles Beyond
3.Celestial Terrestrial Commuters
4.Sapphire Bullets of Pure Love
5.Thousand Island Park
6.Hope
7.One Word
8.Sanctuary
9.Open Country Joy
10.Resolution
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2010年4月23日 (金)

Aホールズワースの傑作ライブ「All Night Wrong」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●All Night Wrong(2002年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)による当時としては初めてのライブ音源。2002年5月5日、いまはなき六本木ピットインでのライブ音源になります。

完璧主義者ゆえに、不確定要素が多いライブ音源のリリースを頑なに拒んできたホールズワースですが、そんな頑迷な彼が自信を持って(笑)世の中に送り出しただけに、彼の魅力が存分に発揮されている優れもののライブに仕上がっています。参加メンバーはJimmy Johnson(bass)、Chad Wackerman(drums)という「Road Games」時代のフォーマットです。

80年代後半からシンタックスの導入、スタンダードナンバーへの挑戦など、さまざまな可能性を求めてきたホールズワースですが、このライブでは原点回帰というわけでしょうか。トリオという最小フォーマットでギターという楽器の可能性を純粋に追究している感があります。そう、とにかく弾きまくっています!ギタリストはやはり弾いてこそナンボということを身をもって示しているかのように、まさに鬼神のごとく弾きに弾き倒しているのです。

特に1曲目の「Lanyard Loop」での凄まじいソロの連続は何度聴いてもため息が出てしまいます。

ところでアルバムタイトルの「All Night Wrong」は「Long」と「Wrong」の発音がうまくできない日本人を皮肉ったとか。皮肉にしても、キツいにもほどがあります。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jimmy Johnson / bass
Chad Wackerman / drums

●Numbers
1. Lanyard Loop
2. The Things You see
3. Alphrazallan
4. Funnels
5. Zone
6. Water On the Brain Part II
7. Above & Below
8. Gas Lamp Blues
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2010年4月22日 (木)

Rトロワーの会心BBCライブ音源

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●BBC Radio 1 Live In Concert(1975年)
■Tower Recordで購入

ジミヘンフリークかつ正統派フォロワー、Robin Trower(ロビン・トロワー)による1975年のライブ音源です。1975年1月29日、Paris Theatreでのライブの模様ですが、BBCの放送音源として収録されています。

Rトロワーのライブ音源といえばストックホルムライブ(1974年)がいちばん有名ですが、この作品も負けじと凄まじいポテンシャルで、70年代におけるロックライブ音源としてはかなりの出来具合だと思います。

曲としてはいつもながらの名曲ばかりで、「Daydream」での桃源郷へと誘うような幽玄のソロは相変わらず。アップテンポの「Fine Day」「Alethea」「A Little Bit Of Sympathy」などでの冴えわたるブルージーで完璧なソロはいつ聴いてもため息が出ます。James Dewarのソウルフルなボーカルもいつもながら素晴らしい!

これは余談ですが一応はParis Theatreでのライブ音源となっていますが、「Twice Removed From Yesterday」の1曲のみが明らかに別音源だと思われます。左右のチャンネルがこの曲だけが逆で、かつ観客の歓声も明らかに異なっているからです。おそらく別音源をドッキングさせたのでしょう。まあ、そんな些末なことはどうでもよいことです。

個人的にはこの時期のトロワーが最も脂が乗りきっていて、まさに旬ではないかと思っています。とにもかくにも素晴らしいライブをご堪能くださいまし。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewar / bass,vocal
Bill Lordan / drums

●Numbers
1. Day Of The Eagle
2. Bridge Of Sighs
3. Gonna Be More Suspicious
4. Fine Day
5. Lady Love
6. Twice Removed From Yesterday
7. Daydream
8. Alethea
9. A Little Bit Of Sympathy
10.Rock Me Baby
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2010年4月21日 (水)

70年代Lコリエルの傑作「Level One」

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Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Level One(1975年)
■バナナレコード横浜店で購入

1970年代を代表するジャズロックギターの大御所、Larry Coryell(ラリー・コリエル)による作品です。1975年、アリスタレコードからリリースされています。

ご存じのようにコリエルの音源はCD化されていないものがけっこう多く、とくにアリスタ時代のものは次第に「幻の音源」となりつつありますが、この作品もその1枚です。メンバーはMichael Lawrence(trumpet,Flugelhorn)、John Lee(bass)、Mike Mandel(keyboard)、Alphonse Mouzon(percussion)という「Eleventh House」時代の黄金メンバーです。

オープニングの「Level One」は静かなアルペジオから次第の盛り上がり最後はファズが効きまくったコリエルのソロギターが炸裂する実に格好いい曲。A面1曲目のつかみとしてはOKです。続く「The Other Side」は若干ブラスロック的な疾走感あふれる曲。Michael Lawrenceのペットが実に凛々しく様になっています。エフェクターをギンギンに効かせたロックタッチのソロがツボにはまります。

70年代ジャズロックの香りがプンプンと漂う作品でかなりお勧めなのですが、なぜかCD化されていません。このままにしておくと、記憶の底に埋もれてしまいそうです。どこか良心的な版元が復刻してくれないでしょうか。アナログ盤もひと昔はよく見かけましたが、最近では滅多に発見できません。

●Musicians
Larry Coryell / guitars
Michael Lawrence / trumpet,Flugelhorn
John Lee / bass
Mike Mandel / keyboard
Alphonse Mouzon / percussion
Steve Khan / 12 string guitar@Level One

●Numbers
Side A
1.Level One
2.The Other Side
3.Diedra
4.Some Greasy Stuff
5.Nyctaphobia

Side B
1.Suite:
  a.Entrance b.Repose c.Exite
2.Eyes Of Love
3.Struttin' With Sunshine
4.That's The Joint
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2010年4月20日 (火)

地味だけど味わい深いアバクロのデュオアルバム

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Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Upon A Time(1982年)
■ディスクユニオンで購入

ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)がドラム奏者George Marshと組んだギターとドラムという珍しい組み合わせのデュオアルバム。アバクロの作品の多くはほとんどがECMからリリースされていますが、この作品は珍しくNew Albion Recordsという他レーベルから。

このアルバムはそもそも「Drum Strum」というタイトルでアナログ盤でのみリリースされていましたが、後半6曲にMel Gravesというベース奏者とGeorge Marshのセッション音源を追加してCD化されました。今回はオリジナルの「Drum Strum」を中心にレポートします。

ギターとドラムのデュオといっても、実際はギター、エレキマンドリン、ピアノをアバクロ先生が担当、オーバーダブすることで作品に厚みと奥行きを与えています。ECMでの比較的きっちりとまとまった様式美とはテイストが違う、散文的でアバクロ先生の心情面がより濃厚に反映されたプレイが聴かれます。一言でいって顔に似合わず(?)大変メルヘンチックで、乙女の心情にも似た珠玉の小品という感じでしょうか。特に「Upon A Time」「Demi-Saison」でのあまりに美しいソロは、うっかりすると泣きそうになってしまいます。

レコーディングは欧州ではなくカリフォルニアで行われたようですが、いい意味でも悪い意味でも「ECMの呪縛」から解放された彼のプレイも捨てがたい魅力があります。

●Musicians
John Abercrombie / guitar,electric-mandolin,piano
George Marsh / drums,thumb piano
Mel Graves / bass

●Numbers
1.  My Scottish Heart
2.  Muchacha Dorada
3.  Upon A Time
4.  In The Woods
5.  Demi-Saison
6.  Baby Lucille
7.  Vincent
8.  Count
9.  Chuck Man Rivers
10.Camel Walk
11.Olay It Again
12.Moonfire
13.Gypsy Wand Song
14.McNabb The Crabb
15.Chelsea Bridge
16.Lullaby Of The Leaves

下の写真2枚は「Drum Strum」アナログ盤です
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2010年4月19日 (月)

ロンドンライブを加えたTempest完全版!

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Musician●Tempest
Title●Under The Blossom:Anthology
■Amazon USAより購入

ブリティッシュジャズロック界の大御所、John Hiseman(ジョン・ハイズマン)率いる「Tempest」が1973年、1974年に残した2枚のスタジオ盤音源、未発表曲2曲、そしてこれまで海賊盤として出回っていたBBCのライブ音源を収めた「Tempest完全版」です。

スタジオ盤2枚については改めてレポートしますが、興味の中心は未発表曲とBBCライブではないでしょうか。まず未発表曲ですが、CD2の冒頭2曲がそれです。Allan Holdsworthが脱退し、2代目ギタリストOllie Halsall(オリー・ハルソール)が加入した第2期Tempestのもので、音としてはスタジオ盤「Living In Fear」の路線で一応は「幻の3枚目」のために録音されたものです。アヴァンギャルドポップという位置づけは同じですが、エンディング処理などは「やりかけ状態」で、本当は最後の仕上げを待つつもりだったのでしょう。

もうひとつの興味の的はCD2の3曲目からの「BBCセッション」です。1973年6月2日、BBCラジオの人気番組「Pop Spectacular」に出演したときの音源で、以前から海賊盤でも聴くことができました。海賊盤でもかなりのクオリティーでしたが、正規盤としての安心感にはかないません。さて、曲間のMCに耳を傾けると、ライブ前日になってギターのオリー・ハルソールが加入したということがわかります。どちらにしても、ホールズワース(左チャンネル)とハルソール(右チャンネル)による貴重なツインリードが聴ける貴重な音源です。

おもにホールズワースがリードし、ハルソールが受けに回るというスタイルですが、やはりここでは「先輩格」のホールズワースが圧倒しています。特に「Brothers」での鬼神のように弾きまくるホールズワースのプレイは40年近く経ったいまでも鳥肌が立つほどの凄まじさです。ホールズワースとハルソールによるツインリード体制は短命に終わってしまいましたが、アームを使ったウネウネプレイをハルソールから教わったホールズワースは、Soft Machineの「Bundles」(1974年)やTony Williams New Lifetimeの作品でその妙技を十分に生かしています。

●Musicians
John Hiseman / drums
Allan Holdsworth / guitar,violin
Ollie Halsall / guitar
Mark Clarke / bass,vocal
Paul Williams / vocal

●Numbers
<CD 1>
1. Gorgon
2. Foyers of Fun
3. Dark House
4. Brothers
5. Up and On
6. Grey and Black
7. Strangeher
8. Upon Tomorrow
(以下、Living In Fear)
9. Funeral Empire
10.Paperback Writer
11.Stargazer
12.Dance To My Tune
13.Living In Fear
14.Yeah Yeah Yeah
15.Waiting For A Miracle
16.Turn Around

<CD 2>
1. You And Your Love
2. Dream Train
(以下、BBCライブ)
3. Foyers of Fun
4. Gorgon
5. Up And On
6. Grey And Black
7. Brothers
8. Drums Away
9. Strangeher
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2010年4月18日 (日)

世界的な珍盤Jon St.JamesのTrans-Atlanticを入手

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Musician●Jon St.James
Title●Trans-Atlantic(1984年)
■Music Stackより購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)を追い求めて約30年。そもそもが世間的にはマイナーなミュージシャンであることに加えて、決してメジャーとは言い難いバンドを転々としているので、彼が参加した音源を収集することはけっこう骨が折れます。それが嫌ならばさっさと諦めればいいのですが、一度乗りかかった舟。そう簡単には引きさがれません。半分というよりほとんどが意地の張り合いです。

そんなHoldsworth関連の音源で最も入手困難なのが、「SOMA」というフュージョングループの作品と今回紹介するJon St.James(ジョン・セント・ジェームス)の作品と言われています。「SOMA」に関してはレプリカCD-Rがけっこう出回っていますが、Jon St.James関連はオークションでもなかなか出品されません。しかもCD化されていないので難度はさらに上昇します。HoldsworthはJon St.Jamesの2枚の作品に客演していますが、「Fast Impressions」 (1986年)は首尾良くリアルタイムで入手しましたが、もう1枚の「Trans-Atlantic」に関してはどこをどう探しても発見すらできませんでした。

ところがちょいちょいお世話になっているMusic Stackを先日回遊していましたら、実にあっさりとヒット。探し物が見つかる時って、案外そんなもんですね。アメリカの業者さんで、アナログ盤本体はもちろんデジタル化したデータをCD-Rに焼いてつけてくれるそうです。郵送料を含めて7000円強と決して安い買い物とは言えませんが、ここで躊躇していたら、たぶん2度とお目にかかることはないでしょう。まだまだ続く円高も追い風となって、無事購入に至りました。これにて、Holdsworth関連の音源は海賊盤を除いてすべて手中に収めたことになります。

さて、肝心の作品ですが、前述「Fast Impressions」である程度は予想していたとおり、完全な80年代型エレクトリックポップスです。「Fast Impressions」は歌抜きのインストものでしたが、こちらは完全な歌ものです。たとえるならば、デュラン・デュランやカジャ・グーグーあたりのテイストでしょうか。時代特有の妙に粘っこく歌いあげるボーカルです。元をたどればデヴィッド・ボーイやロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーあたりの影響を受けつつ、当時まだ流行っていたテクノ音楽をふんだんに盛り込んだ「ニュー・ロマンチック路線」という感じです。バブル前夜ですね。

リーダーのJon St.Jamesは相変わらず正体不明ですが、ボーカルもギターもドラムもこなすマルチミュージシャン。Jon St.Jamesがほとんど曲を仕上げたうえに、お気に入りのミュージシャンが客演で加わるというスタイルです。全9曲中、Holdsworth御大はうち2曲に参加。「Playback」と「Soldier Of Love」という曲です。出来としては、相変わらずの凄まじいソロですが、あくまでも脳天気な曲調とまったく合わず、浮きに浮きまくっています。これも持ち味ですね。

このアルバムが録音された1984年、御大Holdsworth自身はちょうど「Road Games」をリリースし待望の初来日を果たした年で、「Metal Fatigue」を制作中の頃。どういう経緯、ツテからこのアルバムに参加したのかは不明ですが、ちょっとしたアルバイト感覚だったのでしょう。「Road Games」と「Metal Fatigue」はアメリカでレコーディングされましたので、その間隙を縫ったのだと思われます。

それにしても、何という悪趣味でチープなジャケットデザインなのでしょう。ジャケットだけでもC級ポップ認定です。参加メンバーも御大を除いてまるで存じ上げず、クレジットも明記されていないので誰がどんな楽器をプレイしているのかもわかりません。ちゃんと作りましょうよ(笑)。ちなみに8曲目「Nights In White Satin」はご存じ60年代後半に大ヒットしたムーディ・ブルースの代表曲「サテンの夜」のカバー。全体を漂うチープ感のなか、この曲だけがとてもまともに聴こえます。皮肉と言えば強烈な皮肉です。

というわけで冒頭で触れたように、約30年にも及ぶHoldsworth関連の収集作業に一応のピリオドを打つことができました。妙な満足感です。ひとり発泡酒で乾杯でもしましょうか。実はまだ2点ほど残っていますが、いつでも入手可能なので放置しています。しかし、ここまで来ると「素敵な音楽を聴きたい」という本来の目的から大きくそれて「是が非でも手に入れたい」というコンプリート志向を充足させたにしかすぎません。もちろん痛いほど自覚していますが、こればかりは理屈で解決できるほど単純ではありません。この「コンプリート志向」は男特有のもので女性にはあまり見られないとか。しかも、幼児も中年男もあまり大差がない一生物だそうです。そう、男児の石ころ集めが、中年男の音源収集にすり替わっただけの話なのです。

●Musicians
Jon St.James / vocals,guitar,synthesizer,drums
Allan Holdsworth / guitar
Donald Brawders
John Van Tongeren
Karl Moet
Keith Walsh
Melissa Hasin
Rich West
Scott Bowers
Skip Hahn
Stacy Swain
Tom Peterson

●Numbers
1.  Desperate Days
2.  Oogity Boogity
3.  Two Girls Dancing
4.  Trans-Atlantic
5.  All Shook Up In Love
6.  Playback
7.  The Girl Who Seduced The World
8.  Nights In White Satin
9.  Soldier Of Love
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アナログ盤本体に加えデジタル音源をCD-Rに焼いていただきました。しかもタイトル入りで2枚も。とても良心的な業者さんです。
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2010年4月17日 (土)

Soft Machine / British Tour 75(1975年)

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Musician●Soft Machine
Title●British Tour 75(1975年)
■ディスクユニオンで購入

カンタベリーミュージックの大御所「Soft Machine」がアルバム「Bundles」をリリース後に行った国内ツアーのライブ音源を収めたものです。1975年10月録音。「Bundles」参加のギタリストAllan HoldsworthはTony WilliamsのNew Lifetimeへと引き抜かれてしまい、代わりに元WolfのJohn Etheridge(ジョン・エサーリッジ)が参加しています。また、バンドのオリジナルメンバーの1人、Mike Ratledgeはこのツアーを最後に脱退します。輸入盤のスリーブにはエサーリッジとジョン・マーシャルの回顧録が収められていますが、英文ということもあってよく読んでいません。

さて、時期的にアルバム「Softs」リリース前ということもあって、演奏曲は「Bundles」からが中心になっています。ギター好きの人間にとっては前任者ホールズワースと後任のエサーリッジとの違いが気になるところです。結論からいうと、まったく遜色のないほど完全にコピーしています。ただ、前任者が流麗なレガート奏法だったのに対し、エサーリッジはほぼ完全なフルピッキング奏法とスタイルは正反対。当たり前ですが聴こえ方もかなり違います。

1曲目「Bundles」こそ何となくモタツいた印象を受けますが、次第にエンジンがかかり始めるとあとはエサーリッジ節が全開!すっかりバンドにとけ込んでいます。アルバム「Softs」の曲も2曲ほど披露しています。

収録時間78分とCDの容量いっぱいに収められたこの良心的な音源はギター好き人間にとっては大変なご馳走ですが、興味がない人にとってはかなり辛いかも。個人的には速射砲のように撃ち出されるエサーリッジのギターは大好きなので、いささかも飽きがきません。 

●Musicians
Karl Jenkins / piano,soprano sax
John Etheridge / guitar
Roy Babbington / bass
John Marshall / drums
Mike Ratledge / organ,synsesizer,piano

●Numbers
1.  Bundles
2.  Land Of The Bag Snake
3.  Out Of Season
4.  The Man Who Waved At Trains
5.  Jvh
6.  Floating World
7.  Ban-Ban Caliban
8.  Sideburn
9.  Hazard Profile Pt1
10.Hazard Profile Pt2
11.Hazard Profile Pt3
12.Hazard Profile Pt4
13.Hazard Profile Pt5
14.Song Of Aeolus
15.Sigh Of Five
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2010年4月16日 (金)

やっぱりいま聴き直しても名盤。キンクリの1st

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Musician●King Crimson
Title●In The Court Of The Crimson King(1969年)
■ディスクユニオンで購入

本ブログではあえてメジャーな作品やミュージシャンを避けてニッチな人やアルバムばかり取り上げてきましたが、ついに大メジャーな作品をご紹介します。といってもネタが切れたわけではなく、どうしてもこのタイミングでお伝えしたいことがあるのです。

King Crimson(キング・クリムゾン)の1stに関しては夥しい数のレビューが投稿されているので、何をいまさらという感がなきにしもあらずですが、一応はまず基礎情報を。このアルバムがリリースされたのは1969年10月10日で、当時絶対王者の名をほしいままにしていたBeatlesの「アビー・ロード」を全英ヒットチャートで抜き去ったことで話題になりました。その後のKing Crimson、キンクリの快進撃ぶりは周知の事実ですが、冷静に考えてみると「アビー・ロード」をチャートで抜いたといってもイギリス国内限定のことであり、全世界的にはまだまだマイナーな存在だったと思います。中身の質は別として音楽的マーケットの中心はあくまでもアメリカであり、アメリカで成功することがスターダムへの条件だったのです。その意味でもあえてアメリカからイギリスへ渡り、再度、アメリカへ再上陸したジミ・ヘンドリックスは特異な成功例だと思います。

プログレッシヴ・ロックの教科書的存在のこのアルバムですが、そもそもプログレッシヴ・ロックという言葉が生まれたのもこの作品以降だと思います。もちろん作品の素晴らしさに関しては言うに及ばず、特に「21st Century Schizoid Man including Mirrors」での凄まじいインプロの応酬、「The Court Of The Crimson King」でのあまりにも劇的な展開など、どの曲のどの部分をとっても高い完成度です。「Epitaph」が作り出す底知れぬ美しさには何度も涙腺を刺激されました。しかも40年以上経ったいまでも、経年劣化をまったく感じさせず、変わらぬ衝撃を与えてくれる希有な作品です。まさに孫子の代まで受け継がれていくべき珠玉の名盤です。

で、なんでいまさらこのアルバムなのかいうと、収録曲「Moonchild」を明らかにパクった曲がいま話題になっているのです。坂本冬美が歌う「また君に恋している」がそれです。イイチコのCMで流れているので聴かれた方も多いはずです。先日演歌部門としては美空ひばり「川の流れのように」以来、オリコンでチャートインしましたが、これはなんと20年ぶりの快挙だそうです。実はこの曲のサビと「Moonchild」の出だしがウリ二つなのです。「Call her Moonchild♪」と坂本冬美のサビの部分「また きみぃ に~ぃ♪」はまるで同じ旋律ではないですか。

気になって調べてみたら「また君に恋している」は1997年にビリーバンバンが作った曲ということ。坂本冬美はビリーバンバンをカバーしただけなので、パクったのはビリーバンバンなわけですが、パクリ曲をカバーしてオリコントップ10入りとは、あまりにも虫が良すぎる話です。平然とパクったビリーバンバンの非は当然として、知ってか知らずてか、カバーという最も安易な方法で金儲けをしている坂本冬美もどうかと思われます。

ついでに言うと「21st Century Schizoid Man」のイントロと梅沢富美男「夢芝居」のイントロもまるで同じです。このアルバムが珠玉の名盤と言われるのは、このように日本の演歌界からも熱い視線を集め、ついついパクりたくなるほど名曲がぎっしりと詰まっているからだとも言えるでしょう。

最後に。その梅沢富美男がパクった「21st Century Schizoid Man」ですが、以前は「21世紀の精神異常者」という曲タイトルで知られていました。しかし、ご存じのように数年前から欧文表記に変えたり、ひどいものでは訳のわからないカタカナ表記にして「逃げ」を打っています。おそらくその関係の患者や家族などへの配慮だと思いますが、果たして表記を変えただけで配慮したことになるのかは、誰にもわかりません。わからないけれど「逃げのポーズ」を打っておけば、問題が起きても言い訳ができるという考えなのでしょう。「精神分裂病」を「統合失調症」と言い換えた構造に似ています。ちなみに「統合失調症」はSchizophreniaと英語表記するそうです。

もちろん明らかな差別意識や偏見をもって表現活動をすることは、表現者側もかなりの覚悟とリスクを背負うべきですし、社会的な責任もとらないといけません。しかし、たかがプログレの楽曲といっては怒られますが、曲タイトルが「21世紀の精神異常者」だからといって誰がどんな理由で不快感を抱いたり、差別されたと感じるのでしょうか。私にはまるで理解できません。しかも、かなりの長い年月の中で認知されてきた曲タイトルをあっさり言い換えてしまう精神構造もわかりません。邦題とはいっても曲タイトルも重要な作品の一部であるはずです。もしも「さわらぬ神に…」という予防線を張ったうえでの言い換えならば、その奥底に潜む差別意識のほうが問題ありと思います。私が所有するCDは「旧版」なので、あえてそのまま掲載させていただきました。

●Musicians
Robert Fripp / guitars
Ian McDonald / reeds,woodwind,vibes,
keyboards,mellotron,vocals
Greg Lake / bass,lead vocal
Michael Giles / drums,percussion,vocals
Peter Sinfield / word,illumination

●Numbers
1.  21st Century Schizoid Man including Mirrors
2.  I Talk To The Wind
3.  Epitaph including March for No Reason and Tomorrow and Tommorow
4.  Moonchild including The Dream and The Illusion
5.  The Court Of The Crimson King including The Return of The Fire Witch and The Dance of The Puppets
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2010年4月15日 (木)

「The Trio」の再現、Barre PhillipsのECM作品

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Musician●Barre Phillips(bass)
Title●Mountainscapes(1976年)
■Amazonで購入

ベテランフリー系ベース奏者、Barre Phillips(バール・フィリップス)による数少ないECMでの作品です。1976年リリース。

Barre Phillipsといえば個人的には1970年に結成されたフリージャズユニット「The Trio」を思い出しますが、この作品のメンバーをみると、John Surman(baritone sax)とStu Martin(drums,synthesizer)の2人が参加しているので、「The Trio」メンバーの6年ぶりの再会ということになります。ただし今回は、Dieter Feichtnerというシンセサイザー奏者が加わり、さらにギターとしてECM所属のJohn Abercrombieが1曲のみ加わっています。

前作「The Trio」との比較では、全体的にシンセが大胆に導入されたことによって、フリーキーな音楽性に宇宙的な要素が加わっています。「Mountainscapes」の大タイトルのもとに組曲的に展開される演奏は、タイトル通りに山岳がもつさまざまな要素が、凄まじいプレイによって目前に再現されます。ときに牧歌的で、ときに母のように優しい一面を見せたかと思えば、ときに荒れ狂う自然の恐ろしさをかいま見せるのです。1曲目はサーマンの重厚なバリトンで厳かにスタートしますが、ドラムが機能し始めるととたんに荒れ狂うソロの応酬が。左右を飛び交うシンセが聴く者の不安感をさらに煽ります。ツカミはOKですね。とにかく曲と曲、全体の中での起承転結とドラマツルギーが実に鮮やかで飽きがこないのです。

ギターのJohn Abercrombieはラスト1曲のみ参加ですが、叙情派の彼にしては珍しく、フリー系の激しいソロを連発。また新しい一面を見せてくれています。

でも、改めて聴き直すとおよそECMのブランドイメージとはほど遠い、かなり攻撃的なアルバムだと思います。それだけが理由ではないと思いますが、なかなかCD化されずそのまま埋もれてしまうのではと、一人で気をもんでいました。

●Musicians
Barre Phillips / bass
John Surman / baritone sax
Stu Martin / drums,synthesizer
Dieter Feichtner / synthesizer
John Abercrombie / guitar

●Numbers
1. MountainscapesⅠ
2. MountainscapesⅡ
3. MountainscapesⅢ
4. MountainscapesⅣ
5. MountainscapesⅤ
6. MountainscapesⅥ
7. MountainscapesⅦ
8. MountainscapesⅧ
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2010年4月14日 (水)

フリーキーな世界、Marc Ducret「Qui Parle?」

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Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Qui Parle?(2004年)
■ディスクユニオンで購入

フランス出身のフリージャズ系ギタリスト、Marc Ducret(マルク・デュクレ)による2004年のアルバムです。日本盤は「澤野工房」からリリースされています。

いきなり1曲目から、ギターの弦をかきむしるような不協和音で始まるこのアルバムは、デュクレが多くのミュージシャンとの共演で培ってきたキャリアを集大成したかのように、実に多面的な魅力をもつ作品に仕上がっています。

メンバーは「Live」 「Live2」 で共演した、Bruno Chevillon(bass)とEric Echampard(drums)を基本にして、複数のトロンボーン、バリトン、トランペット、サックス奏者と非常に管楽器の比重が高く、一見すると胃がもたれるように思われがちです。しかし、実際に聴いてみると管楽器系はサブ的な存在として音の空間を埋めるだけにとどめ、基本はギター、ベース、ドラムによるトリオが中心。「Live」「Live2」で聴かれたように、常に飛び跳ねるような躍動感あふれるアグレッシブな楽曲が中心です。

デュクレと言えば、フリー系サックス奏者Tim Berne(ティム・バーン)との共演作でも知られていますが、おそらくこの作品では複数の管楽器奏者を「仮想ティム・バーン」に見立てているのでしょう。絶妙なバランス感覚が感じられます。

途中、いきなり始まるフランス語によるチャットがやたらと不安感を煽りますが、これもフリー系ならではの絶妙なアレンジだと思います。シンプルなジャケットデザインといい、なにからなにまで「さまになっている」作品です。

ちなみにタイトル「Qui Parle?」は「あんた誰?」という意味のようですが、フランス語をまったく解さないので自信がありません。

●Musicians
Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass
Eric Echampard / drums

Benoit Delbecq / piano
Thierry Madiot / trombone
Helene Labarriere / contrebass
Alain Vankenhove / trumpet
Michael Massot / tuba,trombone
Yves Robert / trombone
Julian Lourau / tenor sax
Francois Verly / percussions
Christophe Monniot / alto sax
Anne Magouet / chat
Leslie Sevenier,Philippe Agael,Laurence Blasco / voice

●Numbers
1.On Ne Peut Pas Danser L-Dessus
2.Menteur
3.Annexe (Rurale)
4.Annexe
5.Qui Parle?
6.Emportez-Moi
7.Double Entendre
8.Ce Sont Les Noms des Mots
9.Double,Simple
10.Emportez-Moi
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2010年4月13日 (火)

70年代ジャズロックの傑作「One of a Kind」

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Musician●Bruford
Title●One Of A Kind(1979年)
■ディスクユニオンで購入

イギリスを代表するプログレバンドKing CrimsonやYESに在籍したドラム奏者Bill Bruford主宰「Bruford」のセカンドです。前作「Fells Good To Me」(1977年)からいったんUKを挟んで再度メンバーが集結したのがこのアルバム。しかし、紅一点のAnnette Peacockが今回は不参加なので、「男祭り状態」での制作なりました。メンバーはDave Stewart(キーボード)、Allan Holdsworth(ギター)、Jeff Berlin(ベース)ですが、前作で妖艶な魅力を振りまいていたアネット・ピーコックは今回は不参加で野郎4人だけの集団になりました。

基本的には前作の流れを汲んでいますが、実験的な要素が強かった前作に対して、よりまとまった印象を受けます。また、よりジャズ色が濃厚になり、各プレイヤーの技量に頼る場面がより多くなった感があります。

1曲目「Hell's Bells」は華々しいオープニングから、一転してフリーフォームに移行した途端にホールズワースのウネウネギターが縦横無尽に暴れまくります。そういえば、のちにEヴァン・ヘイレンとホールズワースがステージ共演したときエディがこの曲のイントロをギターで弾いていました。2曲目「One of a Kind,Pt.1」と「One of a Kind,Pt.2」は荘厳なイメージのキーボードから始まる曲ですが、これもPart2では完全なフリーフォームになり、各人が思う存分にテクニックの限りを尽くしています。

5曲目の「Fainting in Coils」は若干不安感を煽るプログレっぽいイントロですが、次第にホールズワースとバーリンによる凄まじい応酬が始まります。浮遊感あふれるギターと動きまくるベースとの絡みがとてもスリリングです。

6曲目(アナログだとB面1曲目)「Five G」は何といってもバーリンの超絶チョッパーが最大の聴きどころ。いまでこそチョッパーは珍しくも何ともありませんが、70年代ではスタンリー・クラークと並び賞されるほどの名演だと個人的には思います。目まぐるしく変わる曲調と変拍子の嵐はこのグループが一番得意とするところです。

ラストの「The Sahara Of Snow」はやはりメドレー形式の壮大な曲。タイトル通りの雄大な流れと衝撃的なエンディングと、聴きどころは満載です。好んでライブでも演奏されていましたね。クリムゾンやYES時代には露にも見せなかったブラフォードの傑出した作曲能力と、個性派プレイヤーを牛耳りながら使いこなす力量には改めて感服します。

作品としては派手で色気があった「Feels Good To Me」と比較してしまうと、比較的地味な印象を受けるのは確かです。でも、楽器をたしなむ人にとっては、各パートの超絶技巧に触れて悶絶しまくることは受けあいです。輸入盤扱いになりますが、ボーナストラック付き(ただしギタリストは、ホールズワースの後釜「Unknownジョン・クラーク」)のリマスター盤も発売されていますので、興味のある人はそちらもお勧めです。

●Musicians
Bill Bruford / drums
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Dave Stewart / keyboard

●Numbers
1.Hell's Bells
2.One of a Kind,Pt.1
3.One of a Kind,Pt.2
4.Travels with Myself - And Someone Else
5.Fainting in Coils
6.Five G
7.Abingdon Chasp
8.Forever Until Sunday
9.Sahara of Snow, Pt. 1
10.Sahara of Snow, Pt. 2
11.Manacles [*] ボーナストラック
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2010年4月12日 (月)

日本のプログレの最高峰「Mr.Sirius」

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Musician●Mr.Sirius
Title●Dirge(1990年)
■メーカーサイトより購入(Mr.Sirius Records

宮武和弘氏(キーボード、ギター、フルート)が率いた「ミスター・シリウス」は間違いなく80~90年代の日本のプログレシーンを代表するバンドではないかと思います。

デビュー作「Barren Dream」(1986年)についで、1990年に発表されたこの作品は、基本的にはシンフォニックをベースにドラマチックで幻想的な世界が展開されています。前作と決定的に異なるのがギターに釜木茂一氏が正式加入することでバンドとして完成型になった点です。釜木氏が弾き出す疾走感といい、大木理紗の幻想的なヴォーカルといい、そして宮武氏のあまりに美しいメロディーラインといい、どれをとっても海外のプログレバンドに引けをとりません。このアルバムはほどなく廃盤になったようですが、のちにフランスのプログレ専門レーベル「Musea」がライセンス発売するほど海外でも高い評価を集めた名盤です。

デビュー作「Barren Dream」がシンフォを中心とした「静」のイメージなら、このアルバムは「動」のイメージ。どちらが好きかはまさに聴く人によりますが、ダイナミックな躍動感を求める人には、こちらをお勧めします。

残念なことに「ミスター・シリウス」は3枚のスタジオ盤と1枚のライブ盤をリリースした後に解散状態になってしまいます。この「Dirge」は実質的にはラストアルバムですが、Dirgeとは「葬送歌」という意味だそうです。自ら終止符を打ったということなのでしょう。バンドリーダーの宮武氏は、地元大阪で和傘の通信販売を営んでいますが、彼のサイトでもこのアルバムを購入することができます。

2006年にはリマスター化のうえ紙ジャケット仕様で全作品が再発売されていますので、興味のある方は「Mr.Sirius Records」まで。ちなみに全点セットで購入すると、写真のようなお洒落なボックスとともに、宮武さん、大木さん、藤岡さんの直筆サインが送られてきました(直筆サインは初回出荷分限定なのでいまは入手できません)。

●Musicians
宮武和広 / flute,guitar,keyboard
大木理紗 / vocal
藤岡千尋 / drums,percussion
釜木茂一 / guitar
村岡秀彦 / bass

●Numbers
1. FANFARE~LEGAL DANCE
2. LOVE INCOMPLETE
3. A LAND DIRGE
4. SUPER JOKER
5. A SEA DIRGE
6. THE NILE FOR A WHILE
7. REQUIEM
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上から宮武さん、大木さん、藤岡さんの直筆サインです。CDサイズのかわいい色紙です。
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CDボックスは婦人靴が納まりそうなデザインですね。
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開けるとこんな感じです。
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2010年4月11日 (日)

Jeff Beck / Emotion & Commotion(2010年)

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Emotion & Commotion(2010年)
■Yahoo!オークションで購入

Jeff Beck連投です。何と7年ぶりのスタジオ盤がリリースされています。実は某巨大通販サイトにはDVD&ボーナストラック付きの豪華盤を予約済みなのですが、あまりの評判の良さに我慢できずに通常盤(輸入盤10曲入り)を入手してしまいました。自分でも呆れるほど自制心に欠けています。

さて、ロニー・スコッツクラブでのライブDVDがあまりにも素晴らしかったので、この新譜もその延長線上にあると勝手に思いこんでいたのですが、かなりの振れ幅で裏切ってくれます。

ライブDVDは当たり前の話ですが「生のバンド」を強く打ち出していたのに対して、このスタジオ盤のテーマはストリングスとの融合が大きなテーマになっています。ベック御大のギターは限りなく繊細で、御大自身の感情の揺れ動きが6本のギター弦を媒体にそのまま直に伝わってきます。大げさではなく、話言葉や歌詞などでは伝達不可能なものを、ギターだけで伝えているのです。これほど感情が揺さぶられるようなギターは、久しぶりに聴きました。

非常にわかりやすい例が4曲目「Over The Rainbow」ですね。この曲はクロスロードライブでもプレイされていたので、どんな感じなのかは多くの方がご存じだと思います。しかし、わかっていてもやはり素晴らしく美しい。涙腺が弱い人は即座に泣き出してしまうのではないでしょうか。桃源郷をさまようとはまさにこのことかもしれません。では、全曲がそんな感じなのかというと、ハードにゴリゴリと攻めてくる「Hammerhead」などもありと、聴く者を飽きさせません。もちろん、あの美少女系ベース奏者、Tal Wilkenfeldも参加しています。

私が陳腐な表現を連ねるよりも、まずは「聴く」ことが先決でしょう。「マイルスを聴け!」もいいですが「ベックも聴け!」ですね。ボーナストラック入り限定盤を聴きましたら、再度レポートしたく思います。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Pete Murray / keyboard,Orchestral Arrangement
Alessia / drums
Tal Wilkenfeld / bass
Jason Rebello / keyboards
Vinnie Colaiuta / drums
Luis Jardim / percussins
Clive Deamer / drums
Pino Palladino / bass
Joss Stone / vocal on I Put A Spell On You,There's No Other Me
Olivia Safe / vocal on Serene,Elegy For Dunkirk
Earl Harvin / drums
Chris Bruce / bass
Imelda May / vocal on Lilac Wine

●Numbers
1.  Corpus Christi Carol
2.  Hammerhead
3.  Never Alone
4.  Over The Rainbow
5.  I Put A Spell On You
6.  Serene
7.  Lilac Wine
8.  Nessun Dorma
9.  There's No Other Me
10. Elegy For Dunkirk
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2010年4月10日 (土)

ジェフベックの1972年ライブ

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Beat Club(1972年)

昔、西ドイツ(当時)では「Beat Club」というテレビ音楽番組がありました。この番組の最大の特徴は「動くミュージシャン」を見ることができる点にあります。もちろん音楽番組としてはほかにもエド・サリヴァン・ショーなどもあったわけですが、幅広く多様なミュージシャンを紹介したエド・サリヴァン・ショーに対して、この「Beat Club」はロック、ハードロック、プログレ、ジャズロックとターゲットを絞ったアーティスト紹介をしていました。

先日、あるCS放送で1972年のJeff Beckスタジオライブを放送していたので早速チェックしてみました。映像ソースは前述の「Beat Club」ですが、これまで「Definitely Maybe」1曲のみしか公開されていなかったのが、今回は何と6曲も!それだけでも大変ありがたいことです。「Rough And Ready」「Jeff Beck Group」からの選曲です。ご存じのようにこの時期、ベック先生はR&Bやモータウンサウンドにハマっていて、ボーカルとベースに黒人プレイヤーを起用することで「黒いサウンド」を追究しています。ドラムは今は亡きコージー・パウエル。いまから40年近く前の映像ですが、逆に還暦を過ぎたいまも第一線で活躍していること自体が驚きですし、外見上の経年劣化も最小限に抑えていることも奇跡ですね。近年のベック先生人気の再燃現象は、その点も大きいと思われます。

この「Beat Club」の映像は10数年前にビデオ化されていますが、残念ながら現在は廃盤。またDVD化の動きもないようです。Amazonでは中古で購入できるようですから、ビデオ再生が可能な方はぜひチェックしてみてください。ちなみに私が見たのはCS放送「Music Air」で「大人の音楽専門TV」という素敵なキャッチコピーがついています。要は私のような音楽好きの中年オヤジをターゲットとしたプログラムで、見事に術中にハマっているわけです。Jazz系の貴重な映像も放送されるので、けっこう重宝しています。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Bobby Tench / vocal
Max Middleton / keyboards,piano
Cozy Powell / drums
Clive Chaman / bass

●Numbers
1. Got The Feeling
2. Situation
3. Morning Dew
4. Tonight I'll Be Staying Here With You
5. Going Down
6. Definitely Maybe

「Definitely Maybe」では何と2人のベック先生が登場。もちろん別に撮った映像を合成したものです。左側がオリジナル(?)ベックで右が合成ベックです。ボトルネックの使い方は今とほとんど変わらないのには驚きました。
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グループの中ではナンバー2のMax Middleton。およそロックミュージシャンとは思えないメタボ体型。いまはどうしているのでしょうか。
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右奥に控えるはCozy Powell。後にRichie BlackmoreがDeep Purple脱退後に結成した「Richie Blackmore's Rainbow」に加入しました。音楽をやめてレーサーになろうとしたほどの車好きでしたが、1998年運転中に中央分離帯に激突して死亡。酩酊状態だったそうですが、好きな車が原因で死んだのなら本望だったかもしれません。そういえば、Cozy Powellは顔も髪型もベック先生に似ています。あと俳優の斉藤洋介氏もベック顔ですね。
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2010年4月 9日 (金)

エレキ1本だけの奥深い表現力「Un Certain Malaise」

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Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Un Certain Malaise(1997年)
■Amazon Franceより購入

フランスを代表するフリージャズ系ギタリスト、Marc Ducret(マルク・デュクレ)が1997年7月に行ったライブ作品です。

今回、デュクレは何とエレキギター1本でのライブに挑戦しています。ギター1本でのライブアルバムというと、ECMの重鎮ラルフ・タウナーの「ソロ・コンサート」を思い起こしますが、精緻な計算のもとに作り上げられた様式美で勝負するタウナーに対して、あくまでもフリーフォームを貫くデュクレとではおのずと聴く側のスタンスも変わります。

ここでのデュクレは、時には激しく弦をかきむしり、時には打楽器のように叩きまくり、時には想像を絶するほどやさしく弦を奏でています。ギターという楽器がもつ可能性をとことん突き詰めた表現力と独創的なアイデアは、デュクレならではのものではないでしょうか。

とかくソロギターアルバムというと、途中で散漫になったり、集中力が途切れてしまいがちです。しかし、彼の無尽蔵とも思える引き出しから、凡人には想像もつかない圧倒的な表現力で聴く者を惹きつける演奏力にはただ驚きの一語です。

ところで私はフランス語をまったく解さないのですが、タイトルの「Un Certain Malaise」を翻訳サイトで調べると「不安」「何となく気分が悪い感じ」「収まりが悪い」と出てきました。ここで言う「不安」は誰によるものでしょうか。たった1本のギターでライブに臨むデュクレ自身の不安とも思えますし、聴衆サイドの「おいおい、ギター1本だけで大丈夫かよ」という不安とも受け取られます。また、デュクレが弾き出す不安感を煽るようなフレーズに対する不安かもしれません。どのように解釈するかは、聴く人間の自由性に委ねられているのでしょう。「残尿感がある」などと、自由に解釈してもいいでしょう。

ジャケットはおそらくデュクレ自身がデザインしたものではないかと推測されます(違っていたらごめんなさい)。決して素晴らしいとか美しいというデザインではありませんが、手作り感覚がとても味があって、個人的には大好きなジャケットです。厚紙仕様の素材もいいですね。

ところで1曲目「Old brown shoe」は今は亡きジョージ・ハリスンがビートルズ在籍時に書いた曲ですすね。いま初めて気がつきました。音だけ聴いていると、原曲がまったくわからず(まさかビートルズの曲が使われるなどないだろうという先入観もあり)、徹底的にフリーへと昇華し切っています。

●Musician
Marc Ducret / guitar

●Numbers
1. What did I forget? - Old brown shoe
2. (Detail)
3. Mefiance
4. Certain Malaise
5. Bruit Court
6. Mazurka
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2010年4月 8日 (木)

1970年代ジャズロックの傑作「Feels Good to Me」

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Musician●Bruford
Title●Feels Good to Me(1977年)
■ディスクユニオンで購入

King CrimsonやYESで活躍したスーパードラマー、Bill Bruford(ビル・ブラフォード)がクリムゾン脱退後、UKに参加する前の1977年にレコーディングした作品です。ブラフォード個人名義としては初めての作品であり、個人的のは最高傑作ではと思っています。メンバーはDave Stewart(keyboard)、Allan Holdsworth(guitar)、Jeff Berlin(bass)、そして特別参加としてゲイリー・ピーコックの元奥さんAnnette Peacock(vocal)という布陣。

1曲目「Beelzebub」はいきなり変拍子を駆使した超絶技巧がフルパワーで展開し、ド肝を抜かれます。ブラフォードを支える若きホールズワースとバーリンのプレイにもただ驚かされるばかり。ホールズワースはトニー・ウイリアムスのライフタイムあたりで完成したウネウネフレーズをこれでもか!と連発しています。ブラフォードの直線的な奏法はこういう変拍子を多用する曲にピッタリですね。

「Back To The Biginning」では妖艶な魅力を振りまくアネット・ピーコックが登場です。アンニュイなボーカルとホールズワースとの絡みも息を飲むほどの美しさです。

3曲目「Seems Like A Lifetime Ago」は一見牧歌的なPart1からプログレッシヴなアプローチのPart2への移行が何とも素晴らしく、ブラフォードの確かな作曲能力がここでも発揮されています。ちなみにPart1ではECMを代表するフリューゲルホルンの名手ケニー・ホイーラーが特別参加しています。豊潤な魅力をふりまき、作品の完成度をより高めるのに貢献しています。

この作品での最大のクライマックスは、何と言っても9曲目「Springtime In Siberia」からラストの「Adios A La Pasada(Goodbye To The Past)」に至るまでの見事すぎる展開でしょう。静から動、そしてクライマックスへの移行が何ともドラマティックで、かつ美しいメロディーによって彩られています。特にラストではピーコックとホールズワースが作り出す艶めかしいソロが交差し、得も言われぬ桃源郷の世界へと導いてくれます。途中聴かせるバーリンの超絶ベースにもため息が出ます。

●Musicians
Bill Bruford / drums
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Dave Stewart / keyboard

●Numbers
1.  Beelzebub
2.  Back to the Beginning
3.  Seems Like a Lifetime Ago, Pt.1
4.  Seems Like a Lifetime Ago, Pt.2
5.  Sample and Hold
6.  Feels Good to Me
7.  Either End of August
8.  If You Can't Stand the Heat...
9.  Springtine in Siberia
10.Adios a la Pasada [Goodbye to the Past]
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2010年4月 7日 (水)

Soft Machine / Alive & Well Recorded In Paris(1977年)

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Musician●Soft Machine
Title●Alive & Well: Recorded in Paris(1977年)
■ディスクユニオンで購入

カンタベリー系ミュージックの大物「Soft Machine」による通算10枚目にして実質的なラストアルバムです。1977年7月にパリ「Theatre Le Palace」で開かれたライブ音源が収録されています。

さかのぼって8枚目の「Bundles」(収束)でバンドとしては初めての正規加入のギタリスト、Allan Holdsworthを迎えフュージョン色を強め一大転換を図ったソフツですが、「Softs」でさらにフュージョン色を濃厚にします。しかし、結果としてバンドとしての求心力を失うことになり、実質的に解散状態になります。「Softs」発表後にベースのRoy BabbingtonとサックスのAlan Wakemanが脱退し、急遽BrandXのパーシー・ジョーンズなどをサポートメンバーとして招集するなど、バンドを維持するのに精一杯という状況でした。気がつけば結成時からのメンバーがすべて脱退してしまうという異常な事態に。

そんな混乱の中で行われたライブだからなのでしょうか。アルバム前半と後半ではまったく異なるグループのように聴こえます。そんなところからもバンドの混迷ぶりが感じられるのです。

壮大なオープニング曲「White Kite」はいかにもソフツらしいスペイシーな曲でツカミはOKな感じ。この曲から「Odds Bullets and Blades, Pt.2」までがメドレー形式になっていて次第に盛り上がるなかで、John Etheridge(ジョン・エサーリッジ)の超絶プレイがひときわ光ります。以前も書きましたが、前任者ホールズワースがピッキングに頼らないレガート奏法が身上なのに対し、エサーリッジはフルピッキングでゴリゴリと押しまくるという対照的なプレイです。

しかしグループとして完全な末期でのライブ盤だけに、メンバーの結束力としてもプレイでの集中力という点でも明らかに緊張感を欠くのは事実です。象徴的なのがラスト「Soft Space」で完全なテクノになっています。誰かが「先進的な音楽」と称していましたが、YMOのことを考えれば決してそんなに目新しい音楽的な手法とは思えず、むしろ時流におもねったアザとさも感じます。

聴き方によっては一時代を築いたグループの終焉を目の当たりにしているようで辛い作品ですが、全世界的に品薄なのが残念といえば残念です。このアルバム発表後ソフツは活動を停止し、エサーリッジとリック・サンダースは「Second Vision」を結成してアルバムを発表しました。

●Musicians
John Marshall / drums
Karl Jenkins / piano,keyboard,synthesizer
John Etheridge / guitar
Rick Sanders / violin
Steve Cook / bass

●Numbers
1.  White Kite
2.  Eos
3.  Odds Bullets and Blades, Pt.1
4.  Odds Bullets and Blades, Pt.2
5.  Song of the Sunbird
6.  Puffin
7.  Huffin
8.  Number Three
9.  Nodder
10.Surrounding Silence
11.Soft Space

何だか悔しいので高かったアナログ盤もアップします。
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2010年4月 6日 (火)

奇天烈系サウンドの宝庫!ジミヘンのElectric Ladyland

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Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●Electric Ladyland(1968年)
■Amazonより購入

数年前の報道で、ジミヘンが軍隊を除隊になった真相が出ていました。従来は、パラシュート訓練の際に着地に失敗して足を骨折したからという理由が定説になっていましたが、実はオカマのふりをして精神的に問題があるという理由で「強制除隊」になったとか。本当のところはまさに本人のみぞ知るという感じですが、そのお陰でジミの素晴らしい音楽に触れることができるのですから、理由は何でも構わない、というのがファン心理でしょう。それにしても死後35年にもなろうとしているのに、相変わらずジミヘンは話題を提供してくれます。

さて、1968年に発表された本作品は中期ジミヘンの最高傑作というより、当時ミュージックシーンを席巻していたサイケ音楽の代表的作品です。ドラッグとジミの音楽との関連性はいきなり「Purple Haze」であからさまに表現されていましたが、このアルバムである意味頂点を迎えたというか、完全に昇華した感があります。

さて、肝心の音のほうですが、「Crosstown Traffic」「House Burning Down」「Voodoo Chile'」などの代表曲を改めて聴いて感じることは、ドラッグを通して見えた幻影を完全に自分のものとして掌握しているという点です。歌詞や歌で幻影的な世界を表現したミュージシャンなら結構いますが、これがギターとなるとなかなかいません。というか、空前絶後なのです(ギミックなら何人かいますけど)。これは重要なことで、確かなテクニックがないと単なる薬物中毒のデタラメになってしまいますし、そこに天才的な閃きがないと単なるテクニック至上主義に陥ってしまいます。そこを完全に両立させている点がジミが天才と言われる所以なのでしょう。

注意深く聴いてみると、ジミはこの時期にジャズを意識した演奏に取り組んでいるという点に気がつきます。「Rainny Day,Dream Away」は一見するとジャムセッション風ですが、本来の自身の持ち味であるブルースに加えて、ジャズを融合することによって新しい音楽を創出しようとしたのではないでしょうか?ちなみにこの曲と「Still Raining, Still Dreaming」にはオルガン、ホーンなどのゲストプレイヤーが参加していて、本人がトリオ構成に必ずしもこだわっていないことを象徴しています。また、「Voodoo Chile」にはSteve Winwoodが、「Long Hot Summer Night」にはAl Kooperが参加しています。

これは余談ですが、このアルバムがリリースされた翌年、ジミヘンはなんとジョン・マクラフリンと非公開のジャムセッションを行っていて、ブート盤で聴くことができます。

いまの時代では、とんでもなくアナクロな音楽ばかりが詰まったアルバムかも知れませんが、今のギタリストは多かれ少なかれジミの影響を受けていることは厳然たる事実ですし、大仰にいえばロックのエッセンスのほとんどが凝縮されていると言っても過言ではありません。60年代はもちろんのこと、70年代、80年代の音楽のルーツをたどる意味でも大変重要な意味をもつ作品です。ただし、決して聴きやすい作品ではないので、ジミヘン初心者の方は代表曲が満載の「Smash Hits」から聴きはじめるほうがいいと思います。

ちなみにオリジナルの英国盤はジミヘン本人の意向が無視されて女性のヌード写真が一面を飾っていました。青少年にとってはむしろ「ありがたいジャケット」でしたが、リニューアル後のジャケットも決して嫌いなわけではありません。ちなみにアナログ盤は2枚組でした。

●Numbers
1. ...And the Gods Made Love
2. Have You Ever Been (To Electric Ladyland)
3. Crosstown Traffic
4. Voodoo Chile
5. Little Miss Strange
6. Long Hot Summer Night
7. Come On (Let the Good Times Roll)
8. Gypsy Eyes
9. Burning of the Midnight Lamp
10. Rainy Day, Dream Away
11. 1983... (A Merman I Should Turn to Be)
12. Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away
13. Still Raining, Still Dreaming
14. House Burning Down
15. All Along the Watchtower
16. Voodoo Child (Slight Return)

※Amazonレビューを補足改稿
下から3枚が英国オリジナル盤です
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2010年4月 5日 (月)

Soft Machine / Softs(1976年)

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Musician●Soft Machine
Title●Softs(1976年)
■ディスクユニオンで購入

カンタベリー系の雄、Soft Machine(ソフト・マシーン)による通算9枚目のアルバムです。ご存じのようにSoft Machneは7枚目までの作品では、単純に「ナンバリング」をアルバムタイトルにしてきましたが、テクニカル系ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)を迎えて制作された「Bundles」(1975年)から急激に「ジャズフュージョン」へと路線を変えました。Allan HoldsworthはTony Williamsの「New Lifetime」に参加するために1作だけに参加しただけでバンドを抜けてしまいますが、代わりに加入したのが同じ英国出身のギタリスト、John Etheridge(ジョン・エサーリッジ)です。

エサーリッジはすでに元カーヴド・エアのバイオリン奏者、ダリル・ウェイ主宰の「Wolf」で素晴らしい超絶技巧を披露していましたが、三顧の礼をもって迎えられた形です。

さて、どうしても前作「Bundles」との比較になってしまうのですが、前任者ホールズワースが流麗なレガート奏法中心だったのに対し、エサーリッジはフルピッキングでゴリゴリと弾きまくる弾丸ギタリストタイプ。同じ超絶技巧の使い手でもまったくタイプが異なります。論より証拠ではありませんが、エサーリッジの映像を見ると巨大で芋虫のような指が狭いフレットを縦横無尽に動きまくり、凄まじい弾丸フレーズを叩き出していて、聴いてもびっくり、見てもびっくりという感じです。

アルバム自体は「Bundles」から急速にジャスフュージョン色がさらに濃厚になった感じです。その意味では聴きやすくポピュラリティーが身についたとも言えますが、逆に言えばグループ本来がもっていたアングラ的で怪しい魅力は完全に払拭されてしまいました。これはKarl Jenkinsがグループ内のイニシアティヴを完全に掌握したことの表れです。そういえば創始者の1人Mike Ratledgeは2曲に参加したのみで、しかも「お客さま扱い」ですね。

とはいえ、ギター好きにとってはエサーリッジのプレイは大変魅力的で、特に「The Tale of Taliesin」から「Ban-Ban Caliban」への見事なメドレーとエサーリッジが生みだす溜め息が出るような速射砲的なソロはいつ聴いてもゾクゾクとしてきます。70年代のジャズロックの名盤といえば、やっぱり欠かすことができない作品です。

●Musicians
Roy Babbington / bass
John Etheridge / guitar
John Marshall / drums
Alan Wakeman / soprano & tenor sax
Karl Jenkins / piano,string,mini-moog synthesizers

●Numbers
1. Aubade
2. The Tale of Taliesin
3. Ban-Ban Caliban
4. Song of Aeolus
5. Out of Season
6. Second Bundle
7. Kayoo
8. The Camden Tandem
9. Nexus
10. One over the Eight
11. Etka

何だか悔しいので高かったアナログ盤をアップします。
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2010年4月 4日 (日)

偏愛的なファンはあえて支持するホールズワースの「Velvet Darkness」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Velvet Darkness(1976年)
■ディスクユニオンで購入

Tony Williamsの「New Lifetime」に加入するためにアメリカに渡ったAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は「New Lifetime」での2枚のアルバムに参加するかたわら、CTIレコードで初ソロアルバムをレコーディングしています。ホールズワースにとっては自身初のソロアルバムになります。CTIといえば当時はジム・ホールとジョージ・ベンソンという2大ギタリストを擁し、折からのフュージョンブームに乗って多くのい作品が作られていました。CTIからどんな経緯で声がかかったかは不明ですが、おそらく「New Lifetime」での活躍ぶりから白羽の矢が立ったのだと思われます。

ホールズワースは後になって述懐しているように、このアルバムはリハーサル時間がほとんどなく、やっつけ感覚で制作されたもの。したがって彼自身は「なかったことにしたい作品」だそうです。何でも曲の手直しをしている最中に赤ランプが点いてレコーディングが打ち切られるなど、何事にも完璧を期すホールズワースにとっては信じられない出来事の連続だったそうです。

確かに作品全体の統一感やメンバー同士の連携プレーも不十分で聴きづらい感じもあります。それでも「Kinder」「Floppy Hat」「Velvet Darkness」などの素晴らしい楽曲もなかにはありますから、本人がいうほど捨てたものでもないと思います。アコギが印象的な「Kinder」は「Believe It」に収録されていた「Fred」のアコースティックバージョン。なんでもTony Williamsのガールフレンドから借りたギターでプレイしたそうです。

「Velvet Darkness」はのちに「Gong」に加入した時の名曲の原曲。たぶんこのアルバムで満足できなかったホールズワースはタイトルを変更して「Shadows Of」というタイトルでリメイク&リベンジを果たした結果に。

ホールズワース本人が存在を否定しているだけに、忘れがちになるアルバムですが、「後につながった」という意味では無視はできない作品です。また「Alternate take」をボーナストラックとして収録したバージョンも出回っています。「Alternate take」と書けば聞こえはいいのですが、要は「NGテイク」なわけで、失敗作までも人気を当て込んで商売にしてしまうCTIのアコギな商法には、ホールズワースでなくても嫌気がしますね。もっともコアなファンにとってはたとえNGテイクでも貴重な発掘音源であることは言うまでもありません。

いま気がつきましたが、Alan Pasquaは「New Lifetime」の同僚、Alphonse Johnsonはラリー・コリエルなどと共演、Narada Michael Waldenはジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラやジェフ・ベック「Blow By Blow」に参加するなど、当時のトッププレイヤーばかりですね。そんな超一流を生かせなかったCTIの罪の重さは許せません。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar,violin
Alan Pasqua / piano
Alphonse Johnson / bass
Narada Michael Walden / drums

●Numbers
1.Good Clean Filth
2.Floppy Hat
3.Wish
4.Kinder
5.Velvet Darkness
6.Karzie Key
7.Last May
8.Gattox
9.Good Clean Filth(Alternate take)
10.Kinder(Alternate take)
11.Velvet Darkness(Alternate take)
12.Karzie Key(Alternate take)
13.Gattox(Alternate take)
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2010年4月 3日 (土)

TRIBAL TECH / NOMAD(1988年)

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Musician●Scott Henderson(guitar)
Title●Nomad(1988年)
■ディスクユニオンで購入

スコヘン3連発ですみません。

いまやテクニカル系ギタリストの最高峰「Tribal Tech」の1988年の作品です。最近でこそブルースフィーリングあふれるソロで渋みを増しているScott Henderson(スコット・ヘンダーソン)のギターですが、初期アルバムにあたるこのアルバムでは、若さにまかせた豪快なソロを全曲にわたってここぞとばかりに連発しています。いまのプレイのようにディストーションを効かせたソロではなく、ストラトから繰り出される音色はあくまでもクリアーで、フレット移動の音さえも聞こえてくるのではないかと思われるほど、粒が揃ったプレイが聴かれます。

全体としては未来派フュージョンという感じの作品ですが、すでにギタリストとしてのキャラクターは確固として確立されている点には、ただただ驚嘆の一語です。全力疾走する超絶技巧に身をまかせていると、まるでジェットコースターに乗っているような爽快感を味わうことができます。L+R Recordというドイツのマイナーレーベルからリリースされた関係から全世界的に品薄で、入手自体が大変困難なのが残念です。どこかのレコード会社が版権を買い取って再発売してくれないでしょうか。間違いなくその価値がある傑作です。

●Musicians
Scott Henderson / guitar
Gary Willis / bass
Brad Dutz / perc.
David Goldblatt / keyboard
Steve Houghton / drums

●Numbers
1.Renegade
2.Nomad
3.Robot Immigrants
4.Tunnel Vision
5.Elegy For Shoe
6.Bofat
7.No No No
8.Self Defense
9.Rituals
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2010年4月 2日 (金)

TRIBAL TECH / DR.HEE(1987年)

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Musician●Scott Henderson(guitar)
Title●Dr.Hee(1987年)
■ディスクユニオンで購入

いまをトキメくScott Henderson(スコット・ヘンダーソン)率いる初期「Tribal Tech」による1987年の作品です。「Spears」(1985年)につづくセカンドということになります。いまでこそブルースフィーリングあふれるプレイが中心になりつつあるスコヘンですが、ここで聴かれるプレイはまさに若さにまかせた豪快なプレイの連発で、スペイシーなフレーズが右に左に飛び交っています。特に1曲目のアルバムタイトル曲での超がつくウルトラプレイには、ただため息が出るばかりです。

この作品の時点では「Tribal Tech」としてのフォーマットはまだ定まっていなく(固定メンバーとなるのは4作目の「Ilictt」からです)、参加メンバーは超絶ベース奏者Gary Willisのほか、Pat Coil(キーボード)、Bob Sheppard(サックス)、Steve Houghton(ドラム)、Brad Dutz(パーカッション)という多人数の構成。そしてクレジットにはスペシャル・サンクスとして、なぜかアラン・ホールズワースの名前が見られます。実際、何をもってサンクスなのかは不明ですが、おそらく機材か何かを提供したのではないでしょうか。確かにスコヘン自身はホールズワースの強い影響を受けていることは確かです。

リリースは知る人ぞ知る「Passport」レーベルから。ご存知の通り、スコヘン初期のアルバムは全世界的に品薄で、この作品も大変入手困難です。たまにオークションなどで出品されていますが、1万円近くの値でトレードされているようです。どこか善意にあふれたレコード会社が版権を買い取って再リリースしてくれないでしょうか。それだけの価値は十分ある作品だと思うのですが。

そういえばこのアルバムと前作「Spears」に鍵盤楽器奏者として参加しているPat Coilのアルバムにスコヘンが参加していますね。こちらでも素晴らしいギタープレイを聴くことができます。

●Musicians
Scott Henderson / guitar
Gary Willis / bass
Pat Coil / keyboard
Bob Sheppard / sax
Steve Houghton / drums
Brad Dutz / perc.
Will Boulware / keyboard

●Numbers
1.Dr.Hee
2.Outskirts
3.Mango Prom
4.Solemn
5.Salsa Lastra
6.Twilight In Northridge
7.Seek And Find
8.The Rain
9.Ominous
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2010年4月 1日 (木)

Amazonnのレビューランキングが2つの表示形式に

6年くらい前から細々とAmazonに「商品レビュー」を書き込んでいます。ついこの間、自分の投稿数を見たら1500を超えていました。我ながらよく書いたものです。

この商品レビュー(Review)をご存じでない方のために簡単に説明しますと、Amazonが扱っている商品に対してアカウントをもっているカスタマー(利用者)が商品に対する「批評」を投稿できるシステムのことです。週刊誌などに載っている「書評」のようなものととらえていただけたらわかりやすいかもしれません。週刊誌の書評はそれなりの評論家なり、編集者なりの「プロ」が書きますが、このAmazonレビューはアカウントさえ取得すれば誰でも投稿可能なので、私のような「素人」でも気軽に参加することができます。

ところが、物事に対して何かを「批評」するという文化は、わが日本ではあまり根づいていないようです。自分の立場を明らかにして、主張するということに不慣れのような気がします。これは学校教育の中でそのようなプログラムが用意されていないこともありますが、そのような教育が社会的に必要とされてこなかったことも大きいのでは。互いに主張を戦わせるディベートが日本で根づかないことと似ているような気がします。何事もすべてを「よしな」におさめるのが、日本的な美学なのです。

話がどんどん横にそれていきそうです。Amazonのレビューシステムが本日(4月1日)から変わりました。Amazonでは投稿レビューに対して「参考になった」「参考にならなかった」と投票させることで、ある基準をもって投稿者をランキングしています。しかし、そのランキングの根拠が不明瞭で、「賛成票」が多ければいいのか、投稿数が多ければいいのか、全体の投稿数に対する「賛成票獲得率」が高ければいいのか、いずれにしてもランキングの根拠が明示されていません。だいたい人様を勝手にランク付けしながら、その根拠を示さないのは失礼にもほどがあります。そんなAmazonの非常識さを攻めたてることは簡単ですが、それでも成立してしまうのはレビューに対する意識が成熟していないからなのでしょう。同じことを欧米でしたら、クレームの嵐でしょう。

そんな声がAmazonに届いたかはわかりませんが、とにもかくにも新システムです。今日から「従来型ランキング」に追加する形で「新しいレビュアーランキング」というものが表示されるようになりました。この「新しいレビュアーランキング」がどんなものかというと、

---------------------------------------------------------------------------
(Amazonの説明を抜粋)
●「参考になった」の投票がランキングにより影響を与えるようになりました。ほかのお客さまの参考にならないレビューをたくさん投票しても、ランキングは上がりません。

●投票された日付が新しいほど、ランキングに影響するようになりました。これにより、最近のお客さまでもベストレビューのランキングに入りやすくなりました。

●お客さまの投票がより正確にランキングに反映されるように変更を加えました。適切に投票された場合だけ、ランキングに反映されます。

●ほかのお客さまのために参考になるレビューの投稿をお待ちしております。
---------------------------------------------------------------------------

ということです。

また、今回の変更点としてベストレビュアーのランキングは1日1回更新されるとのこと。新しく投稿されたレビューと「参考になった」の投票をもとにランキングが変更されるとのことです。

では「従来型ランキング」はいったいなんだったのかということになりますが、想像するに今回の「改善」のポイントは、

■「参考になった票」が多くついたレビューを優先的にランキングに反映するということは、より売れ筋の商品が注目されるということ。多くの投稿と賛成票を獲得した商品は結果としてマジョリティーによる「お墨付き」を得ることになる。

■「参考になった票」があまりつかない商品がランキングに反映されないということは、逆に考えれば市場での注目度も低いということに。マイナーな商品ということですね。ここで得られたデータを運用すればAmazonが商品ラインアップを決めるときの、在庫管理データとして利用する可能性も考えられる。要は投稿数も投票数も少ないマイナー商品は在庫整理されることも。

■「参考になった票」「参考にならなかった票」を意図的に組織投票することによって自分や他人のランキングをいたずらに操作することを防止できる。

■新規投稿をランキングに優先的に反映することで、積極的な投稿を促すことができる。投稿するためには商品を購入する必要があるわけで、販売促進に結びつく。また、レビュー数をたくさん確保することで、その蓄積コンテンツを商品化することも将来的に考えられる。また、過去に投稿したままで放置している「幽霊レビュアー」を整理することができるので、レビューとしての信頼度も上がる。

という感じになるのではないでしょうか。

しかし、といっても従来型ランキングを一足飛びに廃止すると反動が怖いので、新型と従来型との同居というソフトランディングに落ち着いたのではないでしょうか。

私のとらえ方はそれこそ「下衆の勘ぐり」とAmazonに一蹴されると思いますが、なぜにお金をかけてシステムを変えるのかという視点で考えてみました。それに前出のAmazonの説明は自己矛盾が何点かあります。いちいち指摘するのも疲れるのでやめますが。

しかし、Amazonの説明では、一番肝心の「ランキングの根拠」を示したことにはなりません。つまり、数的な根拠がまったく明示されていないのです。たとえは極端ですが、大学受験の模擬テストを受けて偏差値が出てきたときに、その算出方法を示さないまま「あんたの偏差値はこうだから、志望大学合格は無理だよ」と言い放つようなものです。単純に投稿数に対する「賛成票」「否定票」の比率でランキングすれば済む話だと思うのですが、そんなに単純に事が進まないのが「大人の世界」なのでしょう。たぶん本当のことを公表すると、困る大人がたくさん出てくるのでしょう。でもそんな曖昧なことがまかり通るから、日本では批評文化が醸成されていかないのです。

私はというと従来型ですと120位前後をウロウロとしていましたが、新しいランキングだと何と50台にジャンプアップ。赤丸急上昇というやつです。優良レビュアーへの仲間入りです。しかし、最近はAmazonレビューよりも、こちらを優先しているので新規投稿も滞り気味です。したがってほどなくランキングも下降するでしょう。

私を含めて日本人はランキングが大好きなようです。深夜のTV番組はランキングものばかりです。その心理を巧みについているAmazonですが、曖昧な基準のままで押し通すのはいかがなものでしょうね。

TRIBAL TECH / SPEARS(1985年)

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Musician●Scott Henderson(guitar)
Title●Spears(1985年)
■ディスクユニオンで購入

いまをトキメク超絶ギタリストScott Henderson(スコット・ヘンダーソン)率いる「Tribal Tech」が1985年に発表したアルバムです。知る人ぞ知るというかいまは倒産してしまったPassportレーベルからリリースされています。

参加メンバーは、お馴染み超絶ベーシスト Gary Willisをはじめ、Pat Coil(キーボード)、Steve Houghton(ドラム)、Brad Dutz(パーカッション)、Bob Sheppard(サックス、フルート)という構成で、いまのTribal Techとは構成が異なります。スコヘン自身はチック・コリアとの共演などで徐々に頭角を現わしつつある時期でしたが、ほかのメンバーはまだ無名に近い存在。デビュー作ということもあって、全体に大変みずみずしいプレイが聴くことができます。ここでのスコヘンはいまのようなブルース中心の弾きまくりのプレイではなく、当時やたら流行っていていた「未来派ハードフュージョン」という趣。バンド全体の調和を重視しながら、決めるべき箇所は決めるという感じです。特に2曲目の「Punkin Head」では、得意の絶妙なトレモロを決めながら、目にも止まらない超絶技巧を披露しています。

いま改めて聴き直してみると、いまのスコヘンの暴れぶりからは想像できないくらい地味で控えめなプレイに徹しているので、やや拍子抜けするかもしれません。初期の作品では続く「Dr.Hee」「Nomad」あたりで本領を発揮という感じでしょうか。いずれにしろこの作品を含めた初期3部作は彼の音楽的な成長を探るうえで欠かせないアイテムであることは間違いないところです。しかし、稀代のハイテクギタリストによる記念すべきデビューアルバムが、全世界的に品薄というのは非常に残念です。どこか良心的なメーカーが版権を買い取って復刻してくれないでしょうか。

そういえばCDではなく、いまでは過去の遺物となりつつある「カセットテープ」でも流通していました。

●Musicians
Scott Henderson / giutar
Gary Willis / bass
Pat Coil / keyboard
Steve Houghton / drums
Brad Dutz / per.
Bob Sheppard / sax

●Numbers
1. Caribbean
2. Punkin Head
3. Ivy Towers
4. Tribal
5. Spears
6. Island City Shuttle
7. Big Fun
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