70年代ジャズロックの傑作「One of a Kind」
Musician●Bruford
Title●One Of A Kind(1979年)
■ディスクユニオンで購入
イギリスを代表するプログレバンドKing CrimsonやYESに在籍したドラム奏者Bill Bruford主宰「Bruford」のセカンドです。前作「Fells Good To Me」(1977年)からいったんUKを挟んで再度メンバーが集結したのがこのアルバム。しかし、紅一点のAnnette Peacockが今回は不参加なので、「男祭り状態」での制作なりました。メンバーはDave Stewart(キーボード)、Allan Holdsworth(ギター)、Jeff Berlin(ベース)ですが、前作で妖艶な魅力を振りまいていたアネット・ピーコックは今回は不参加で野郎4人だけの集団になりました。
基本的には前作の流れを汲んでいますが、実験的な要素が強かった前作に対して、よりまとまった印象を受けます。また、よりジャズ色が濃厚になり、各プレイヤーの技量に頼る場面がより多くなった感があります。
1曲目「Hell's Bells」は華々しいオープニングから、一転してフリーフォームに移行した途端にホールズワースのウネウネギターが縦横無尽に暴れまくります。そういえば、のちにEヴァン・ヘイレンとホールズワースがステージ共演したときエディがこの曲のイントロをギターで弾いていました。2曲目「One of a Kind,Pt.1」と「One of a Kind,Pt.2」は荘厳なイメージのキーボードから始まる曲ですが、これもPart2では完全なフリーフォームになり、各人が思う存分にテクニックの限りを尽くしています。
5曲目の「Fainting in Coils」は若干不安感を煽るプログレっぽいイントロですが、次第にホールズワースとバーリンによる凄まじい応酬が始まります。浮遊感あふれるギターと動きまくるベースとの絡みがとてもスリリングです。
6曲目(アナログだとB面1曲目)「Five G」は何といってもバーリンの超絶チョッパーが最大の聴きどころ。いまでこそチョッパーは珍しくも何ともありませんが、70年代ではスタンリー・クラークと並び賞されるほどの名演だと個人的には思います。目まぐるしく変わる曲調と変拍子の嵐はこのグループが一番得意とするところです。
ラストの「The Sahara Of Snow」はやはりメドレー形式の壮大な曲。タイトル通りの雄大な流れと衝撃的なエンディングと、聴きどころは満載です。好んでライブでも演奏されていましたね。クリムゾンやYES時代には露にも見せなかったブラフォードの傑出した作曲能力と、個性派プレイヤーを牛耳りながら使いこなす力量には改めて感服します。
作品としては派手で色気があった「Feels Good To Me」と比較してしまうと、比較的地味な印象を受けるのは確かです。でも、楽器をたしなむ人にとっては、各パートの超絶技巧に触れて悶絶しまくることは受けあいです。輸入盤扱いになりますが、ボーナストラック付き(ただしギタリストは、ホールズワースの後釜「Unknownジョン・クラーク」)のリマスター盤も発売されていますので、興味のある人はそちらもお勧めです。
●Musicians
Bill Bruford / drums
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Dave Stewart / keyboard
●Numbers
1.Hell's Bells
2.One of a Kind,Pt.1
3.One of a Kind,Pt.2
4.Travels with Myself - And Someone Else
5.Fainting in Coils
6.Five G
7.Abingdon Chasp
8.Forever Until Sunday
9.Sahara of Snow, Pt. 1
10.Sahara of Snow, Pt. 2
11.Manacles [*] ボーナストラック
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