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2010年4月16日 (金)

やっぱりいま聴き直しても名盤。キンクリの1st

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Musician●King Crimson
Title●In The Court Of The Crimson King(1969年)
■ディスクユニオンで購入

本ブログではあえてメジャーな作品やミュージシャンを避けてニッチな人やアルバムばかり取り上げてきましたが、ついに大メジャーな作品をご紹介します。といってもネタが切れたわけではなく、どうしてもこのタイミングでお伝えしたいことがあるのです。

King Crimson(キング・クリムゾン)の1stに関しては夥しい数のレビューが投稿されているので、何をいまさらという感がなきにしもあらずですが、一応はまず基礎情報を。このアルバムがリリースされたのは1969年10月10日で、当時絶対王者の名をほしいままにしていたBeatlesの「アビー・ロード」を全英ヒットチャートで抜き去ったことで話題になりました。その後のKing Crimson、キンクリの快進撃ぶりは周知の事実ですが、冷静に考えてみると「アビー・ロード」をチャートで抜いたといってもイギリス国内限定のことであり、全世界的にはまだまだマイナーな存在だったと思います。中身の質は別として音楽的マーケットの中心はあくまでもアメリカであり、アメリカで成功することがスターダムへの条件だったのです。その意味でもあえてアメリカからイギリスへ渡り、再度、アメリカへ再上陸したジミ・ヘンドリックスは特異な成功例だと思います。

プログレッシヴ・ロックの教科書的存在のこのアルバムですが、そもそもプログレッシヴ・ロックという言葉が生まれたのもこの作品以降だと思います。もちろん作品の素晴らしさに関しては言うに及ばず、特に「21st Century Schizoid Man including Mirrors」での凄まじいインプロの応酬、「The Court Of The Crimson King」でのあまりにも劇的な展開など、どの曲のどの部分をとっても高い完成度です。「Epitaph」が作り出す底知れぬ美しさには何度も涙腺を刺激されました。しかも40年以上経ったいまでも、経年劣化をまったく感じさせず、変わらぬ衝撃を与えてくれる希有な作品です。まさに孫子の代まで受け継がれていくべき珠玉の名盤です。

で、なんでいまさらこのアルバムなのかいうと、収録曲「Moonchild」を明らかにパクった曲がいま話題になっているのです。坂本冬美が歌う「また君に恋している」がそれです。イイチコのCMで流れているので聴かれた方も多いはずです。先日演歌部門としては美空ひばり「川の流れのように」以来、オリコンでチャートインしましたが、これはなんと20年ぶりの快挙だそうです。実はこの曲のサビと「Moonchild」の出だしがウリ二つなのです。「Call her Moonchild♪」と坂本冬美のサビの部分「また きみぃ に~ぃ♪」はまるで同じ旋律ではないですか。

気になって調べてみたら「また君に恋している」は1997年にビリーバンバンが作った曲ということ。坂本冬美はビリーバンバンをカバーしただけなので、パクったのはビリーバンバンなわけですが、パクリ曲をカバーしてオリコントップ10入りとは、あまりにも虫が良すぎる話です。平然とパクったビリーバンバンの非は当然として、知ってか知らずてか、カバーという最も安易な方法で金儲けをしている坂本冬美もどうかと思われます。

ついでに言うと「21st Century Schizoid Man」のイントロと梅沢富美男「夢芝居」のイントロもまるで同じです。このアルバムが珠玉の名盤と言われるのは、このように日本の演歌界からも熱い視線を集め、ついついパクりたくなるほど名曲がぎっしりと詰まっているからだとも言えるでしょう。

最後に。その梅沢富美男がパクった「21st Century Schizoid Man」ですが、以前は「21世紀の精神異常者」という曲タイトルで知られていました。しかし、ご存じのように数年前から欧文表記に変えたり、ひどいものでは訳のわからないカタカナ表記にして「逃げ」を打っています。おそらくその関係の患者や家族などへの配慮だと思いますが、果たして表記を変えただけで配慮したことになるのかは、誰にもわかりません。わからないけれど「逃げのポーズ」を打っておけば、問題が起きても言い訳ができるという考えなのでしょう。「精神分裂病」を「統合失調症」と言い換えた構造に似ています。ちなみに「統合失調症」はSchizophreniaと英語表記するそうです。

もちろん明らかな差別意識や偏見をもって表現活動をすることは、表現者側もかなりの覚悟とリスクを背負うべきですし、社会的な責任もとらないといけません。しかし、たかがプログレの楽曲といっては怒られますが、曲タイトルが「21世紀の精神異常者」だからといって誰がどんな理由で不快感を抱いたり、差別されたと感じるのでしょうか。私にはまるで理解できません。しかも、かなりの長い年月の中で認知されてきた曲タイトルをあっさり言い換えてしまう精神構造もわかりません。邦題とはいっても曲タイトルも重要な作品の一部であるはずです。もしも「さわらぬ神に…」という予防線を張ったうえでの言い換えならば、その奥底に潜む差別意識のほうが問題ありと思います。私が所有するCDは「旧版」なので、あえてそのまま掲載させていただきました。

●Musicians
Robert Fripp / guitars
Ian McDonald / reeds,woodwind,vibes,
keyboards,mellotron,vocals
Greg Lake / bass,lead vocal
Michael Giles / drums,percussion,vocals
Peter Sinfield / word,illumination

●Numbers
1.  21st Century Schizoid Man including Mirrors
2.  I Talk To The Wind
3.  Epitaph including March for No Reason and Tomorrow and Tommorow
4.  Moonchild including The Dream and The Illusion
5.  The Court Of The Crimson King including The Return of The Fire Witch and The Dance of The Puppets
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