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2010年3月20日 (土)

ホールズワースのメジャーデビュー作「Road Games」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Road Games(1983年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が広く世に知られるようになるきっかけとなった作品です。前年にリリースした自主制作盤「I.O.U.」 が一部ギターファンによって熱狂的に支持され、音楽専門誌などで大きく取り上げられるようになると、ホールズワースは家族を連れてアメリカに渡ります。そして、カリフォルニアを皮切りにツアーを行いましたが、圧倒的な歓声を受けて活動の場をアメリカに移すことを決意します。

そんな折りにかつてからホールズワースを私淑し、何とかホールズワースのようなフレーズを出せないものかと悪戦苦闘の末に「ライトハンド奏法」を編み出したエディ・ヴァン・ヘイレンとの共演話が持ち上がります。すでに「ヴァン・ヘイレン」で世界的に名を馳せていたエディと、彼が師と仰ぐ謎の英国人ギタリストとの共演ということで、大手のワーナーミュージックが手をあげ、ホールズワースはめでたくメジャー契約を結ぶことに成功します。いよいよ2大ギタリストによる制作に取りかかるわけですが、結局ヴァン・ヘイレンはツアー中でアルバム制作には参加できず、ホールズワース1人がアルバムを作ることになります。プロデューサーはテッド・テンプルマンで、レコーディングにはかつての親友が駆けつけました。

このアルバムにスペシャルゲストとして参加したJack Bruceとはイギリス時代からの友人ですが、「Was There?」「Material Real」の2曲でボーカルを担当。また「Tempest」時代の盟友、Paul Williamsは「Raod Games」でボーカルをとったほか、しばらくバンドツアーに参加していました。「Bruford」で活動を共にしていた超絶ベース奏者Jeff Berlinやフランク・ザッパバンドで腕を磨いていたオーストラリア出身のドラム奏者Chad Wackermanというこれ以上ないと思われる面子です。

そんな経緯から制作されたこの作品ですが、資金面での不安が解消されたこともあって、ホールズワースが自らミキシングなどのスタジオワークをこなし、納得がいくまで作業をこなしたとのこと。そんなこともあって、アメリカ資本で作られた作品でありながら、聴こえてくるサウンドは完全にブリティッシュそのもの。メンバー構成で「イギリス人率」が高いということもありますが、細部にまで徹底してこだわる職人気質が作品全体に染み渡っています。

1曲目「Three Sheets To The Wind」はホールズワースお得意のキーボードライクなイントロから始まる美しい曲。ほどなくホールズワース独特のウネウネソロと目まぐるしい上昇下降フレーズが爆発し、ホールズワース節全開という感じです。このキーボードライクなコード展開は、ほとんど知られていなかったという事情もあって、オリジナルアナログ盤では「このアルバムではキーボードやシンセサイザーなどは一切使われておりません」という趣旨の断り書きがわざわざ印刷されたほどです。

2曲目「Road Games」は中期ホールズワースの代表曲。軽快なロック調の曲ですが、Paul Williamsのハートウォーミングなボーカルも素敵です。ホールズワースのソロの冒頭で大変素早いタッピングがありますが、初来日のステージでは弦の共鳴を防ぐためにPaul Williamsがネックを押さえていた姿が懐かしいです。熱い男の友情の証ですね。

3曲目「Water On The Brain Part 1」はシンプルなフレーズの繰り返しによるいかにもブリティッシュという感じの曲。Jeff Berlinの超絶ソロも聴かれます。この時期のステージでも好んで演奏されていますが、ほかのベース奏者、たとえばJimmy Johnsonあたりだと何となくダレてしまっていました。Jeff Berlinあっての楽曲だといっても過言ではありません。

4曲目「Tokyo Dream」もホールズワースを一躍有名にした名曲。東洋風のフレーズが左右を美しく浮遊しますが、これはコード転調とタッピングとの合わせ技から生み出されています。個人的には「Tokyo Dream」というタイトルから親日家なのかと想像していましたが、案の定、翌年に初来日をしてくれたわけで、この人は正直で実直なんだなと勝手に納得していました。

5曲目「Was There?」は不安感を煽るような変態チックなイントロとJeff Berlinのボーカルが印象的。曲の途中でロック的なギターリフが展開されますが、初来日の際も、心得ているお客はこっそりと足でリズムをとっていました。

ラスト「Material Real」にもJack Bruceが参加。80年代に入ってからのJack Bruceはやや精彩を欠いていたように思われますが、旧友との共演によって生気を取り戻したかのように気持ちよく歌いあげています。まるで回春剤のようですね。ホールズワースも目まぐるしいほどのコード展開で雰囲気を盛り上げ、感動のフィナーレへと誘ってくれます。

計6曲、収録時間も約24分というミニアルバムのようになってしまった経緯まではわかりませんが、ホールズワースの存在感を世に問うたという意味では重要な位置づけを担っています。結果としてエディとの共演はかないませんでしたが、それはそれでよかったのではないかと個人的には思います。いや正確にいうと、過去に一度だけこの2人は同じステージで共演しています。そのとき流麗なソロを連発するホールズワースにエディが近づいて、黙って指を1本立てたという有名なエピソードがあります。つまり「彼こそがNO.1ギタリストだ!」という最大級の賛辞です。

このアルバムには後日談が。のちにワーナーを離れることになった時のゴタゴタからなのか、長い間CD化されずに廃盤状態にありました。2001年にGnarly Geezerという会社からやっとCD化されました。ありがたいことです。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Chad Wackerman / drums
Jack Bruce / vocal
Paul Williams / vocal

●Numbers
1.Three Sheets To The Wind
2.Road Games
3.Water On The Brain Part 1
4.Tokyo Dream
5.Was There?
6.Material Real
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コメント

こんばんは~

この盤もたまさか持っております。

IOU程強い印象がなかったのですが、奇天烈音楽士殿の解説を見ながら聴くとありがたい盤の様な感じがしてくるんですよ。不思議なものです(^ ^;

基本、私はIOUと、冒頭が印象的なメタル・ファティーグが好きです。

ちなみにPaul Williams、ジェフ・バーリンは、ジョン・ウェットンやグレッグ・レイクと歌い方や声質とか似ていますね。ブリティッシュ・プログレの系譜という感じがします。
元クリームのジャック・ブルースもその系統の歌声ですね~

betta taroさま

確かにジョン・ウェットン、グレッグ・レイク、ポール・ウィリアムスのボーカルは声質からして似ていますね。少しこもりがちでウェットな印象です。文化的なものでしょうか。

ついでに言えばホールズワースも同じような声質です。

私が米国産音楽になかなか馴染めないのは、ボーカルによる部分も大きいように思えます。

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