フランス出身のホールズワースフォロワーJac La Greca
Musician●Jac La Greca(guitar)
Title●Ipsis Quest(1998年)
■Musea recordより購入
このブログでは飽きることもなくAllan Holdswrth(アラン・ホールズワース)のフォロワーを紹介していますが、今回はフランス出身のJac La Grecaです。フルネームはJacques La Greca。例によって正体がよくわからないのですが、どうやら彼のキャリアの中で唯一のアルバムであるということくらいしかわかりません。ジャケット写真を見るかぎりではまだ若いようですから、今後思い出したようにアルバムをリリースするかもしれませんね。
「Musician's Musician 」と呼ばれ多くのフォロワーを輩出しているホールズワースですが、多くの人が指摘する致命的な欠点として、作曲能力の欠如が挙げられます。そう、よく言われる「どんな曲を聴いても同じに聴こえる」という例の奴です。ギター好きにとっては、実は曲云々などは大きな問題ではなく、興味の的は「どんなフレーズを弾くか」なのですが、興味のない人にとっては、おそらく理解不能だと思います。そんなところがホールズワースをカルト的な存在へとしているのだと思います。もっとも本人もメジャーな存在に転向しようなどとはさらさら考えていないと思いますが。
そんな曲者ホールズワースに敢然と立ち向かい、かつ本家にはない作曲能力を身につけたのがJac La Grecaです。音を聴く限りではホールズワースの「IOU」あたりの雰囲気をベースにして、キーボードが加わり、若干シンフォ色を強めたという感じでしょうか。Jac La Grecaのギターは本家を少しマイルドに、そしてリリカルにした感じです。そこらあたりの微妙なバランス感覚にたぐい稀なるセンスの良さが感じられます。
Jac La Grecaの作曲能力はかなりのもので、聴いていてまったく苦になりません。もちろんプレイ自体は確かなテクニックに裏づけされているので、十分に楽しめます。ただし、全体としてはゆったりめの曲が中心なので、本家のような「弾きまくり状態」の速弾きプレイを期待すると肩透かしをくらうかもしれません。
あえて欠点を指摘すると、こうした傑出したプレイヤーを支えるバックが得てして力量不足というケースに残念ながら当てはまっているという点。とくにリズム隊が脆弱で、ドタバタとやっと後を追っているという状態。よく聴くとキーボードも平板な感じで、上手くリーダーをサポートしているとはあまり思えません。
数年前に某巨大サイトのレビューでは絶賛したうえに名前を間違えてしまいましたが、改めて聴くといろいろと弱点が見えてしまいましたので、ここで指摘しておきます。数年間で耳が肥えて審美眼が磨かれたのか、ただ歳をとって底意地が悪くなったのか。おそらく後者だと思います。
●Musicians
Jac La Greca / guitar
Remy Chaudagne / bass
Francois Verly / drums
Leandro Aconcha / keyboards and piano
Herve Croce / drums
Bernard Lanaspeze / bass
Yvon le Pommelec / bass
●Numbers
1.Dao Dermo
2.La Violoncelliste Contemporaine
3.Blue Ipsis
4.Cobaltine
5.Peine Perdue
6.Tommy O
7.Deux Fois Six
8.Pseudo Trillos
9.Formule Magique
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