一躍有名になった出世作JBウルマー「Black Rock」
Musician●James Blood Ulmer(guitar)
Title●Black Rock(1982年)
■ディスクユニオンで購入
オーネット・コールマンによる「ハーモロディック理論」の継承者James Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)による1982年の作品です。「ハーモロディック理論」といっても何のことやらわからない方もいると思います。コールマンによると「ハーモニーもメロディーもリズムもすべて対等に扱う」ということですが、コールマンのもとで3年間修行したウルマーは、ギターでこの3つの要素を同時に弾くという練習を繰り返したそうです。さらに補足すると、ウルマー自身がゴスペル、ジャズ、、ブルース、ファンクなどの素養があったため、多様な要素をギターで弾きこなすことで、唯一無比のサウンドを手に入れることが可能になりました。
70年代はインディレーベルでの活躍を余儀なくされていましたが、80年代に入ってCBSとメジャー契約を交わし「Freelancing」をリリースし、多くのギターファンのド肝を抜く爆裂サウンドを披露しました。間髪を入れずに作られたのがこの「Black Rock」(1982年)で日本にも初めて紹介されたのもこのアルバムだったと思います。なんでも前作はレコード会社の意向でジャズにカテゴライズされてしまったことが不満で、ウルマー自身が「Black Rock」というタイトルにしたそうです。
1曲目「Open House」こそやや押さえ目にスタートしますが、2曲目のアルバムタイトル曲「Black Rock」からウルマーのギターが炸裂します。ゴリゴリと押しまくる迫力満点のソロを当時初めて聴いたときは「ジミヘンの再来か!」と大興奮したことを覚えています。
80年代のアメリカ、特にNYでは、70年代のディスコブームと差別化する意味もあって「Free Funk」という冒険型ファンクが大流行したそうですが、たぶんウルマーのメジャーデビューもその時流に乗ったものだと思います。しかし、さまざまな音楽的要素を持ち、しかもコールマンによって「ハーモロディック理論」を叩き込まれたウルマーの音楽は、狭いジャンル分けなどは意味がないと思います。「ロックだから」「ジャズっぽい」「ファンキーだよね」などというレッテル付けを瞬間的に破壊してしまうほど、このアルバムにはパワーが漲っています。それでも何らかの「手がかり」が欲しい方のためにあえて名づければ「爆裂系ギタリスト」とでもしておきます。
●Musicians
James Blood Ulmer /guitar,vocal
Amin Ali / bass
Ronald Brayon / guitar
Grant Calvin Weston / drums
Cornell Rochester / second drums
Irene Datcher / second vocal
●Numbers
1.Open House
2.Black Rock
3.Moon Beam
4.Family Affair
5.More Blood
6.Love Have Two Faces
7.Overnight
8.Fun House
9.We Bop
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