Jラインハルトの後継者Attila Zoller
Musician●Attila Zoller(E Guitar)
Title●The Horizon Beyond(1965年)
■ディスクユニオンで購入
ヨーロッパのジャズギタリストといえば、ジャンゴ・ラインハルトが創始者という意味では第一人者ですが、ラインハルト亡き後にその遺志をを継いだギタリストといえばハンガリー出身のAttila Zoller(アッティラ・ゾラー)と言えないでしょうか。
ゾラーは最初はトランペット奏者だったそうですが、トランペットでは働き口が少ないということで、ギタリストに転向したとのこと。そのあたりが凡庸なジャズギタリストと一線を画している要因かもしれません。はじめはハンガリーやオーストリアでプロ活動を行いますが、後に渡米。チコ・ハミルトンやハービー・マンの楽団で活動していましたが、ピアノ奏者のDon Friedman(ドン・フリードマン)と知り合ったことで次第にフリーへ傾倒していきます。そんな状況で制作されたゾラー初のリーダー作がこのアルバムです。メンバーは盟友Don Friedman(p)、Barre Phillips(b)、Daniel Humair(dr)というカルテット構成。Don Friedmanはいまでの現役で活動しているベテランですが、60年代においてはゾラーとともに当時としては先鋭的な作品を何作か残していますね。ベース奏者のBarre Phillipsは70年代初頭にジョン・サーマンなどのフリー系ミュージシャンと数多くの作品に参加しています。
さて、肝心のこの作品ですが、あくまでも予定調和的な展開を嫌うゾラーらしく冒頭の「Horaizon Beyond」からフリーテンポのリズムに乗ってアクの強いソロを披露しています。若きフリードマンも今では考えられないハードなソロを叩き出しています。1965年当時としては考えられないほど先鋭的なアプローチを聴かせてくれるわけですが、同時代的にはちょうどビートルズが「ラバー・ソウル」をリリースした時期で、ジャズもロックも新たな音楽へのアプローチを志向し始めたタイミングだといえるでしょう。
●Musicians
Attila Zoller / guitar
Don Friedman / piano
Barre Phillips / bass
Daniel Humair / drum
●Numbers
1,The Horizon Beyond
2,Explorations
3,Blizzards
4,Ictus
5,The Hun
6,Flash Back Two
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コメント
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ハンガリー出身というとガボール・ザボとゾラーが代表的ですね。
ゾラーはこの盤他何枚か持っています。なんとも言えずクセのある音使いをしますよね。
私的にはエンヤレーベルに移籍した後にリリースされた「Overcome」が、ゾラーの愛聴盤です。空間をつらぬく様な&透明感のある1曲目の出だしで瞬殺されてしまいました。至福の一枚だと思います(感涙~)
投稿: betta taro | 2010年3月 7日 (日) 11時31分
betta taroさま
コメントありがとうございます。
「Overcome」はいいですねぇ~!極度にリヴァーヴを効かせたギターがたまりません。ジャズでありながらプログレッシヴな魅力があります。
鍵盤楽器奏者Don Friedmanとの共演作も愛聴盤です。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年3月 7日 (日) 22時34分