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2010年3月18日 (木)

アルバム「IOU」の原型が見える傑作「The Things You See」

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Musician●Gordon Beck(piano)
Title●The Things You See(1980年)
■ディスクユニオンで購入

イギリス出身の鍵盤楽器奏者、Gordon Beck(ゴードン・ベック)による1980年の作品です。ゴードン・ベックは60年代から活躍し、イアン・カーのニュー・クリアスや映画「フレンチコネクション」のサウンドトラックを担当したこともあるジャズロック系のミュージシャン。60年代にはジョン・マクラフリンとの共演作もリリースしています。ここで紹介するのは、ニュー・クリアス時代の同僚Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)とのデュオアルバムです。1979年12月から1980年1月にかけてパリで録音作業が行われています。

鍵盤楽器とギターの組み合わせというとジム・ホールとビル・エヴァンスをまず思い出しますが、この組み合わせも何となく同じ匂いがします。とは言っても、このアルバムを聴く人は十中八九、ホールズワース目当てですから「どうしてアコギ?」「どうしてデュオ?」というのが正直な感想だと思います。

でも、ご安心を!のっけから激しいフレーズの応酬で最後まで息を抜くところがありません。1曲目「Golden Lakes」は1969年にホールズワースが結成した「イギンボトム」でもプレイされた曲。当時は何となく中途半端だったアレンジでしたが見事なまでの解釈で「復活」しています。

2曲目「Stop Fiddlin」はベックによる大変小気味いい小曲。ホールズワースが1985年の2回目の来日を果たしたときのメンバーに、実はベックも同行していますが、ライブでもこの曲を披露していました。このアルバムを聴いたことのある観客は密かにニヤリとしたのではないでしょうか。実は私もその一人です。

3曲目の「The Things You See」はご存知のように後にアルバムで昇華します。また、6曲目の「At The Edge」は前出「The Things You See」のアレンジ曲ですが、何とホールズワースがヴォーカルを披露しています。ギタリストの小川銀次氏に言わせると「ジョン・ウェットンに似ている」とのこと。確かに哀愁を秘めたこもり気味の声は似ていないでもありません。よくギターの人がたまに歌うとジェフ・ベックに代表されるように悲惨なことになりますが、ここでは可もなし不可もなし、という感じでしょうか?

ディスクユニオンから国内盤CDで再発売されたときは、やはりゴードン・ベックとの共演「Sunbird」とのカップリングでした。ついでにアルバム「Sunbird」について書きますと、この「The Things You See」より数ヶ月前の1979年6月から7月にレコーディングされていて、こちらはオーソドックスなカルテット構成です。しかし、ホールズワースの持ち味が十分に生かされているとは思えない、中途半端なジャズアルバムになってしまっています。やはり本格的なジャズ楽団では途端に弱点をさらけ出してしまうあたりは、彼がジャズギタリストではないという証なのかもしれません。ホールズワースもこの時期は、BrufordやGongといったプログレ系グループを行ったり来たりで、いまひとつ軸が定まっていない印象を受けます。

下2枚はアナログ盤ジャケットです。アナログもディスクユニオンで購入しました。

●Musicians
Gordon Beck / piano
Allan Holdsworth / guitar,vocal

●Numbers
1.Golden Lakes
2.Stop Fiddlin'
3.Things You See (When You Haven't Got Your Gun)
4.Diminished Responsibility
5.She's Lookin', I'm Cookin'
6.At the Edge
7.Up Country
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コメント

「Sunbird」とのカップリング音源をたまさか持っています。

80年という事で、ホールズワースが自身のテクニックを完成した後の作品といえるかと思いますが、やっぱりアコギを弾いても速かった… というのがこの盤を聴いた時の正直な印象でした。

そういう意味ではFrank GambaleのNatural High(06年)と通じるところがあります。

betta taroさま

この作品のアコギは凄まじいですよね。初めて聴いたときは驚きました。エレキも変ですが、アコギでもこんな変なフレーズを弾く人は前代未聞でした。

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