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2010年3月

2010年3月31日 (水)

伝説のギタリストによるジミヘン・トリビュート

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Musician●Uli Jon Roth & Electric Sun
Title●Earthquake(1979年)
■ディスクユニオンで購入

先日報道されたジャーマンメタルの雄「スコーピオンズ活動停止」のニュースには大変なショックを受けました。45年という森繁的な長いキャリアはともかくとして、シェンカー兄弟やクラウス・マイネ、そしてウルリッヒ・ジョン・ロートという希代のタレントを世に送り出したという意味でも、大きな歴史的意義をもっています。今回、紹介するのはその通称ウリ、ウルリッヒ・ジョン・ロートの初ソロです。

蠍団=スコーピオンズ在籍時からジミ・ヘンドリックスを強烈に意識していたウリですが、その片鱗というかあからさまな傾倒ぶりはアルバム「Tokyo Tapes」「Virgin Killer」で聴くことができます。やはりグループという枠組みは窮屈で仕方がなかったのでしょう。このソロアルバムでは、ジミヘンの遺志をキチンと継承しつつ、自由自在に伸び伸びとしたプレイを聞かせてくれています。

同じジミヘンフォロワー、フランク・マリノのようにジミヘンのプレイを模倣するのではなく、ウリの場合は、ジミヘンが表現した精神世界をウリ独特の視点で解釈したうえで、表現するというアプローチの仕方です。つまりジミヘンがドラッグ体験を介して作り出していたサイケ音楽を、いかにもドイツ人らしく生真面目に解釈したうえで、一種のオカルト的な要素を加味して独自の音楽を作り出しているのだと思います。

ジミヘンがギターの革命児と言われるのは、従来のギタープレイの既成概念を破壊して、さらにギターの究極の可能性を求めた点にあると思いますが、ウリはそんなジミヘンの遺志を継承しつつ、卓越したテクニックでさらに驚きの世界を再現しています。プレイ自体は蠍団在籍時と同様に、実にていねいで一つひとつの音に対する強烈なこだわりが感じられます。そこらあたりは、さすがマイスターの国・ドイツという感じです。

ウリのジミヘンへの傾倒ぶりを如実に示しているエピソードとして、ジミヘンの最期を看取ったといわれるドイツの女流画家、モニカ・ダンネマンに接近してついには結婚までしてしまったというくらいですから、実に徹底しています。ちなみにこのアルバム・ジャケットはモニカ・ダンネマンが描いたものです。ちなみについでで言えば、モニカは数年後に自殺してしまいます。その原因は不明ですが、彼女も数奇な運命を辿ったことになります。

さて、気持ち悪いほど絶賛しましたが、もちろん欠点はあります。蠍団在籍時から指摘されたことですが、惜しむらくはヴォーカルが弱いということ。圧倒的に声量がないのです。クラウス・マイネとまでは言いませんが、優秀なヴォーカリストを確保してギターに専念してほしかったというのが本音です。ジェフ・ベックもそうですが、名ギタリストが気まぐれで歌う下手なヴォーカルだけは本当に勘弁してほしいものです。

ちなみに私がもっているのはソロ1枚目「Earthquake」、2枚目「Fire Wind」、3枚目「Beyond The Astral Skies」の3枚セット盤です(CDは2枚組です)。写真を見て誰もが納得する「ギター仙人」になってしまったウリ。ソロ転向後の2枚までは何とかついていけましたが、3枚目「Beyond The Astral Skies」までくるとちょっと食傷気味です。ファンの方、申し訳ありません。

●Musicians
Uli Jon Roth / guitar,vocal,bass
Ule Ritgen / bass
Clive Edwards / drum

●Numbers
1.Electric Sun
2.Lilac
3.Burning Wheels Turning
4.Japanese Dream
5.Sundown
6.Winterdays
7.Still So Many Lives Away
8.Earthquake
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2010年3月30日 (火)

シンタックスとギターの絶妙なバランス感覚

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Musician●Allan Holdsworth(guitar,synthaxe)
Title●Secrets(1989年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリスト、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)による1989年の作品です。前作「Sand」(1987年)では大胆にもSynthaxe(シンタックス)を導入したために、個人的には途端にホールズワースへの興味がなくなっていたところにリリースされました。

ギターシンセに関してはさまざまな意見があるかと思います。私のように単純にギターを聴きたい人間にとって、弦の音をシンセサイザーにわざわざ置き換える作業の意味が理解できず、またキーボードライクなヴォイシングが特徴のギタリストが、シンセを導入して安易にキーボードに迎合する意味もわからなかったからです。ギタリストは小細工などせずに黙ってギターソロで勝負しろよ、という憤りもありました。

したがって「Sand」のリリースによって「これからはギターを弾いてくれないのでは?」とやや疑心暗鬼になりつつあった状況があったのは否めない心境です。そんなファンの心配の声が届いたのでしょうか。この「Secrets」ではやや原点回帰した感がします。メンバーはJimmy Johnson(bass)とVinnie Calaiuta(drums)を基本に、Steve Hunt(keyboard)、Chad Wackerman(drums)、Alan Pasqua(piano)などの名前が見られます。7曲目「Peril Premonition」にクレジットされているClair Holdsworthという女性ボーカルは彼の奥さんなのでしょうか?

1曲目の「City Nights」ではのっけから素晴らしいソロを聴くことができ、昔から追いかけているファンもひと安心という感じ。曲も大変美しく、大げさでなく名曲の予感が漂います。

2曲目の「Secrets」ではホールズワースの作品としては初めて女性ボーカルを導入しています。いわば「男祭り的要素」が強いホールズワースなので、かなり戸惑いましたが女性ボーカルと曲調とが実にマッチしていて十分な納得感です。Rowanne Markという人です。ここでは例のシンタックスを弾いていますが、「Sand」で感じられた強い違和感はさほど感じません。ホールズワース自身が扱いになれたこともありますが、やっと「効果的な使い方」がわかったのでしょう。適材適所ということです。

結局、全8曲中、シンタックスを使用しているのはこの曲を含めて3曲で、本来のギターとのバランスとしては、これくらいが適度なのではと感じます。ギターシンセ嫌いの私ですが、このくらいの配分なら安心して聴くことができます。

このアルバムはなぜか地味な存在ですが、谷間に咲いた一輪の花という感じです。ホールズワースにしては珍しく(?)楽曲も素晴らしく大変美しい作品だと思います。

この「Secrets」をリリース後、ホールズワースはアルバム制作を止めてしまいます。結局、3年間のブランクがあって「Wardenclyffe Tower」(1992年)のリリースまで待たされるわけですが、そんな気まぐれなところがファン心理をさらに熱くするわけです。もしかしたら、これも作戦なのかな。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jimmy Johnson / bass
Vinnie Calaiuta / drums

Steve Hunt / keyboard
Chad Wackerman / drums
Alan Pasqua / piano

●Numbers
1. City Nights
2. Secrets
3. 54 Duncan Terrace
4. Joshua
5. Spokes
6. Maid Marion
7. Peril Premonition
8. Endomorph
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2010年3月29日 (月)

しばたはつみさん、死去

また訃報 が舞い込んできました。

昭和50年代に日本のポップス界で活躍した「しばたはつみ」さんが
3月27日に亡くなりました。
享年57歳、死因は急性心筋梗塞だそうです。

ヒット曲「マイ・ラグジュアリー・ナイト」は実はあまり記憶がないのですが、紅白歌合戦に出演したのは鮮明に記憶にあります。
同時代では、いまは亡き朱里エイコさんと並んで、「脚線美を生かしたオネエサン系歌手」というジャンルを築いたのではないでしょうか。

最近の活動はあまり存じ上げませんが、10年ほど前にある歌謡祭に出演したときは、けっこうふくよかな体型になっていて驚いた記憶があります。

ご冥福をお祈りします。

ロックスターを撮り続けたJim Marshallが死去

アナログ時代、音もさることながら、ジャケットデザインは重要な意味をもっていました。ジャケットも作品の一部といっても過言ではないと個人的には思います。特にいまほど動く映像が乏しい時代では、音を聴きながらジャケットを凝視してかぎりなく妄想を広げた経験は誰しもが記憶にあるのではないでしょうか。

多くのミュージシャンを撮影し、数多くの作品がジャケットを飾ってきた写真家Jim Marshall(ジム・マーシャル)が2010年3月24日、亡くなりました。享年74歳。死因は不明だそうです。写真なしのベタ記事ですが一般紙にも死亡記事が掲載されていましたので、ご覧になった方もいるかと思います。

Jim Marshallが注目を集めはじめたのは、60年代中盤、ビートルズのラストコンサートに帯同した頃だと思われます。従来のアーティスト写真というと、真正面から撮影したオフィシャルな雰囲気のものが多かったのですが、Jim Marshallはあえてリハーサル風景やオフショットなどを好んで撮影し、「素のミュージシャン」を表現しようと試みました。それが「スターの素顔を見てみたい」というファンの願いと見事に一致して、絶大の支持を集めました。スターが飾り気のない素顔をさらせるのも、Jim Marshallとの強い信頼関係があったからなのでしょう。

結果として、ビートルズをはじめとしてジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ザ・フー、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、エリック・クラプトンなどのロック畑から、マイルズ・デイヴィス、ジョン・コルトレーンなどのジャズ畑、そしてジョニー・キャッシュなどと幅広いジャンルのミュージシャンがファインダーの中で素顔をさらしてきました。

私が所有するJim Marshallの作品は、ジミ・ヘンドリックスのライブ盤「In The West」「Collection」です(下写真)。「In The West」はおそらく伝説のコンサートと言われた1967年のモンタレー・ポップフェスティバルの時のものと思われます。同フェスティバルではジミヘンがギターにライターオイルをかけて炎上させるという前代未聞のパフォーマンスをしましたが、その瞬間を収めた写真もJim Marshallによるものです。

Jim Marshallの写真集で代表作といえるのが「Proof」 。機会があれば入手したいと思います。また、写真だけなら彼自身のオフィシャルサイト でも閲覧することができます。

数々のミュージシャンとともに一時代を築いた素晴らしい写真家の功績を讃えるとともに、ご冥福をお祈りいたします。
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2010年3月28日 (日)

一躍有名になった出世作JBウルマー「Black Rock」

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Musician●James Blood Ulmer(guitar)
Title●Black Rock(1982年)
■ディスクユニオンで購入

オーネット・コールマンによる「ハーモロディック理論」の継承者James Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)による1982年の作品です。「ハーモロディック理論」といっても何のことやらわからない方もいると思います。コールマンによると「ハーモニーもメロディーもリズムもすべて対等に扱う」ということですが、コールマンのもとで3年間修行したウルマーは、ギターでこの3つの要素を同時に弾くという練習を繰り返したそうです。さらに補足すると、ウルマー自身がゴスペル、ジャズ、、ブルース、ファンクなどの素養があったため、多様な要素をギターで弾きこなすことで、唯一無比のサウンドを手に入れることが可能になりました。

70年代はインディレーベルでの活躍を余儀なくされていましたが、80年代に入ってCBSとメジャー契約を交わし「Freelancing」をリリースし、多くのギターファンのド肝を抜く爆裂サウンドを披露しました。間髪を入れずに作られたのがこの「Black Rock」(1982年)で日本にも初めて紹介されたのもこのアルバムだったと思います。なんでも前作はレコード会社の意向でジャズにカテゴライズされてしまったことが不満で、ウルマー自身が「Black Rock」というタイトルにしたそうです。

1曲目「Open House」こそやや押さえ目にスタートしますが、2曲目のアルバムタイトル曲「Black Rock」からウルマーのギターが炸裂します。ゴリゴリと押しまくる迫力満点のソロを当時初めて聴いたときは「ジミヘンの再来か!」と大興奮したことを覚えています。

80年代のアメリカ、特にNYでは、70年代のディスコブームと差別化する意味もあって「Free Funk」という冒険型ファンクが大流行したそうですが、たぶんウルマーのメジャーデビューもその時流に乗ったものだと思います。しかし、さまざまな音楽的要素を持ち、しかもコールマンによって「ハーモロディック理論」を叩き込まれたウルマーの音楽は、狭いジャンル分けなどは意味がないと思います。「ロックだから」「ジャズっぽい」「ファンキーだよね」などというレッテル付けを瞬間的に破壊してしまうほど、このアルバムにはパワーが漲っています。それでも何らかの「手がかり」が欲しい方のためにあえて名づければ「爆裂系ギタリスト」とでもしておきます。

●Musicians
James Blood Ulmer /guitar,vocal
Amin Ali / bass
Ronald Brayon / guitar
Grant Calvin Weston / drums
Cornell Rochester / second drums
Irene Datcher / second vocal

●Numbers
1.Open House
2.Black Rock
3.Moon Beam
4.Family Affair
5.More Blood
6.Love Have Two Faces
7.Overnight
8.Fun House
9.We Bop
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2010年3月27日 (土)

James Blood Ulmerの94年ドイツライブ

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Musician●James Blood Ulmer(guitar)
Title●Live At Bayerischer Hof Club(1994年)
■Amazonより購入

知る人ぞ知るフリー系ギタリストJames Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)のライブアルバムです。1994年4月25日にドイツ・ミュンヘンでのライブ音源を収めたものです。

ジェームス・ブラッド・ウルマーは、フリージャズの帝王オーネット・コールマンの薫陶を受けていますが、師が編み出した「ハーモロディック理論」を継承し、独自の世界を築いているアヴァンギャルド系ギタリスト。1982年に発表した「Black Rock」は日本でもそこそこ話題になりましたし、確か翌83年には来日公演を果たしています。また同年にリリースされたアルバム「Odyssey」はギター、ドラム、ヴァイオリンという変則トリオで話題を呼びました。

これは余談ですが来日公演の時は、日本のミュージシャンたちの注目を集めたようで、サザン・オールスターズの桑田氏も駆けつけたとか。桑田氏は当時オールナイトニッポンのパーソナリティーを務めていましたが、かなり興奮気味にライブの模様を語っていました。そういえば、ウルマーと桑田氏の歌唱法には共通項が感じられ、ウルマーのボーカルを参考にしている節があります。

James Blood Ulmerは長いキャリアの割にはライブ音源が少なく、貴重といえば大変貴重。アルバムを出すたびにさまざまな側面を出すウルマーですが、ここでのプレイはけっこうストレートでブルース色が強い仕上がりになっています。とにかくギター、ヴォーカルのどれをとってもとてつもなく野太く、聴いているうちに次第に妙なトランス状態に陥っていくはずです。録音状態が大変良好なので、謎めいたウルマーのギターを十二分に堪能できます。

一時期、ストリングスなどを取り入れながら、新たな可能性を模索していましたが、やはりストレートなアプローチが個人的には一番好みです。 冒頭の「Burning Up」は格好いいですよ!

●Musicians
James Blood Ulmer / guitar,vocal
Amin Ali / bass
Aubrey Dayle / drums

●Numbers
1. Burning Up
2. Church
3. Crying
4. Let Me Take You Home
5. Boss Lady
6. Street Bride
7. Timeless
8. Make It Right
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2010年3月26日 (金)

「Believe It」よりややパワーダウンの「Million Dollar Legs」

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Musician●Tony Williams(drums)
Title●Million Dollar Legs(1976年)
■Tower Recordで購入

Mデイヴィスの楽団で華々しく表舞台に立った「地下鉄ドラマー」Tony Williamsによる1976年の作品です。前作「Believe It」(1975年)から、従来の「Tony Williams Lifetime」に「New」をつけて再出発しました。前作でギタリストがジョン・マクラフリンからアラン・ホールズワースに代わった影響もあって一気にフュージョン色が強まりました。メンバーは「Believe It」に引き続き、ギターがAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)、ベース&ボーカルがTony Newton(トニー・ニュートン)、キーボードがAlan Pasqua(アラン・パスクア)のカルテット構成。1976年6月、コロラドでレコーディング。

前作との比較ではベース奏者のTony Newtonのボーカルを前面に押し出すとともに、折からのディスコブームに乗ったファンク色が濃厚な作風に。「Million Dollar Legs」あたりはトニーが叩き出す軽快なリズムに乗って、独特なグルーヴ感を漂わせていますが、逆に言えば2人のアランがの比重が弱まったことは否めません。特にアラン・ホールズワースのギターは前作よりも明らかにパワーダウンし、やる気も失せてしまったかのようです。やる気満々の黒人勢に対してあまりに対照的で、結果としてバンドとしての一体感が低下してしまうことに。バンマスのTonyの迷いが手に取るようにわかります。

唯一このアルバムで盛り上がりをみせるのがラストの「Inspiration Of Love」で、初期RTFを思わせる疾走感と、ホールズワースの超絶技巧、そしてストリングスを効果的に使った秀逸なアレンジが素晴らしいの一語。

そんなわけで、個人的にはあまりお勧めとはいえません。以前は「Believe It」とこのアルバムは別売りされていましたが、最近では2枚を1枚にまとめた「Collection」という編集盤がで出ています。聴き比べてみるのも一興かと。しかし「Collection」の登場によって、このアルバムの存在価値もさらに低下してしまいました。

ところで、「Believe It」「Million Dollar Legs」の2枚がオフィシャル音源ということになっていますが、女性ボーカルを加えた未発表スタジオテイクが存在します。こちらは海賊盤でしか聴くことはできませんが、さらにファンク色が強まっています。ホールズワースは半ばヤケクソ気味にもの凄いフレーズを連発しています。どちらかというと、「Million Dollar Legs」よりも優れているように思えるのですが。

お約束通り、このアルバムを最後にホールズワースはTony Williamsの元を去りますが、同時期に初ソロとなる「Velvet Darkness」を録音しています。こちらに関しては、機会を改めて。その後、アメリカでの活動を終えたホールズワースは、ロンドンに戻り「Gong」に参加します。Gongでの水を得た魚のような生き生きとしたプレイを聴くと、やっぱりユーロのギタリストなのだなと痛感します。

●Musicians
Tony Williams / drums
Allan Holdsworth / guitar
Tony Newton / bass,vocal
Alan Pasqua / keyboard

●Numbers
1.Sweet Revenge
2.You Did It To Me
3.Million Dollar Legs
4.Joy Filled Summer
5.Lady Jade
6.What You Do To Me
7.Inspiration Of Love
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2010年3月25日 (木)

エレクトリックBコナーズ第3弾

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Musician●Bill Connors(guitar)
Title●Assembler(1987年)
■ディスクユニオンで購入

元RTFで、ECM移籍後はアコギ路線、そしていきなり「Holdsworthy路線」という特異な経歴をもつギタリスト、Bill Connors(ビル・コナーズ)による1987年の作品です。「Holdsworthy路線」としては3作目。1987年6月にNYでレコーディングされています。

前々作「Step It」ではホールズワース系一色だったプレイも、次作「Double Up」ではやや自分色を押し出しはじめ、この作品ではやっと自分が思うようにプレイしているように聴こえます。前作から自らプロデュースを務め始めたことも大きな要素です。そういえばジャケットに写るギターも換わっています。

では、どこが具体的に変わったのかというと、ホールズワースの呪縛(?)からやっと解放されて自分らしさをより強く押し出せるようになったという点。「Holdsworthy」の特徴であるキーボード&ホーンライクなギターというよりも、よりギターらしいプレイに変わっています。また、ジャズ的な要素が強まり、同時にECM時代に培った叙情性が加わったことで、良質なフュージョンアルバムに仕上がっています。したがってギターはよりシンプルになり、極力ギミック的な要素を排することで、自分の思いを6本の弦に伝えているかのようです。

ビル・コナーズはこのアルバムの発表後、再度、表舞台から姿を消してしまいます。いったいどこに消えてしまったのだろうと心配させてから約18年。今度は「Return」という純粋なジャズアルバムをリリースして「復活」します。まさに文字通りの「Return」ですね。この「Assembler」に収録されている「It Be FM」をまったく違ったアレンジで、再演しています。互いを聴き比べて18年という歳月の重みを噛みしめてみるのも悪い話ではありません。

●Musicians
Bill Connors / guitar
Kim Plainfield / drums
Tom Kennedy / bass

●Numbers
1.Crunchy
2.Sea Coy
3.Get It To Go
4.Assembler
5.Add Eleven
6.Tell It To The Boss
7.It Be FM
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2010年3月24日 (水)

タル嬢は参加していません。Jベックのブートライブ第2弾

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Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Official Bootleg Live USA '06(2006年)
■ディスクユニオンで購入

希代の名ギタリストJeff Beck(ジェフ・ベック)は2004年からファン限定の音源リリースを始めました。その第1弾が2003年に行われたBB King Clubでの「Jeff Beck Live」であり、第2弾がこの作品になります。2006年4月「Greg Bess」で行われたライブを収録したもの。第1弾と同様に、一切の事後加工がない「生のベック」の姿に触れることができます。

この「Official Bootleg商法」はおもしろい手法をとっています。まず、オフィシャルサイトで限定発売→即売り切れ状態を作りだし飢餓感を煽る→サイト限定発売CDを店頭発売→正規盤リリースという流れです。最終的には正規盤として日の目を見るわけですから慌てる必要もないわけですが、ファン心理はそんなに単純ではありません。「一分一秒でも早く聴きたい」という欲求が売り切れ状態と飢餓感を作り出し、我も我もと商品を追い求めるのです。

最近の日本の歌謡曲でも同じようなことが行われていまます。たとえば「初回出荷分限定特典DVD付き」などと「おまけ感」「プレミア感」を商品に付加することによって、出荷時の瞬間最大売り上げをできる限り増やし、結果としてチャート入りをもくろむという営業戦略です。J事務所が得意ですね。ファンクラブ限定とか。堂本某2人のユニットが初登場連続1位記録を打ち立てられるのも、こうした「囲い混み→解放作戦」による部分が大きいように思えます。逆にいえば出せば売れるという時代はとうに過ぎ去り、あの手この手で売っていかないと立ちゆかない世界になってしまったのかもしれません。

さすがに世界を股に活躍するJeff Beckと国内限定のJ事務所を同列で語ることには抵抗があります。さて、このアルバムは2008年に発売された「Ronnie Scott's」 の曲構成と似ています。演奏曲も参加メンバーもほぼ同じですが、唯一違うのがベース奏者がタル・ウィルケンフェルド嬢ではなくPino Palladinoであるということ。Vinnie ColaiutaもJason Rebelloも当時は急に招集されたようで、いまのようなバンドとしての高い一体感はあまり感じられません。優しく表現すれば「Ronnie Scott's」 の前哨戦と考えれば納得がいきます。

限定盤が店頭発売されているものを買ったものです。ライナーなしで紙ケース入りの素朴なものです。ほどなくして豪華ケース入りの正規盤が発売されました。

●Musicians
Jeff Beck / guitar
Vinnie Colaiuta / drums
Pino Palladino / bass
Jason Rebello / keyboard

●Numbers
1.Bolero
2.Stratus
3.You Never Know
4.'Cause We've Ended
5.Behind The Veil
6.Two Rivers
7.Star Cycle
8.Big Block
9.Nadia
10.Angels
11.Scatterbrain
12.Led Boots
13.Pork Pie/Brush
14.Rainbow
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2010年3月23日 (火)

ALLAN HOLDSWORTH / ROXY NIGHT FEATURING WITH EDWARD VAN HALEN(1985年)

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Musician●Allan Holdsworth
Title●Roxy Night featuring Edward Van Halen(1985年)
■ディスクユニオンで購入

ホールズワースネタばかりで恐縮ですが、聴き直してから忘れないうちにご報告したいと思います。アラン・ホールズワースは自身の完璧主義もあってオフィシャルなライブ音源が少なく、そのせいもあって海賊盤がやたらと出回っています。ネット配信がますます普及してCDの流通量が減るにしたがって、こうした海賊盤も次第に姿を消していくのではという見方もありますが、いやいや蛇の道はヘビ。違法音源を所持する人がネット配信してしまえば、音源の再生産のスピードは加速度的に速くなるはずです。論より証拠、You Tubeを見ると明らかに海賊盤がソースになっている映像ばかりではないですか。

もちろん著作権は守られるべきだと思います。なぜならば印税という報酬がクリエイターに正当に還元されない状況が続くと、クリエイター自身が経済的にやせ細ってしまい、ひいては文化的な損失につながるからです。少し話はそれますが、最近では「カバーもの」「リメイクもの」が流行になっています。これは原作者に2次使用料を払うだけで済むカバーものなら出費も押さえられるし、カバーものはある程度のヒットが約束されているからです。つまり、あえて新曲を作って大きく失敗するよりも、確実に計算が立つカバーものという選択なのです。デフレ時代ならではの残念な話ですね。そんなことを続けていたら次第に文化的にやせ細っていってしまいます。

でも、一方で「秘匿音源(映像)の共有化」は好事家の間でますます進んでいくことは避けられないと思います。ただし、たとえばジャニーズ系アイドルのコンサートを隠し撮りしたうえで、ネットで配信したりするとたとえ課金していなくても法律に触れますし、実際に検挙例が年々増えています。それならばネット配信をしないで個人で鑑賞するならOKかというと、今度は隠し撮り自体が肖像権(パブリシティー権)に抵触しますので、くれぐれも誤解なきよう。携帯の写メールで芸能人を撮影してはいけないという理由と同じです。

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのもそんな海賊盤です。「Van Halen」のギタリスト、Eddie Van Halenがホールズワースを私淑していることはあまりに有名で、彼が編み出した「ライトハンド奏法」はホールズワースのフレーズを何とか再現できないものかと悪戦苦闘の末に生まれたものです。アルバム「I.O.U.」 によってホールズワースはアメリカに渡り、大手のワーナーと契約を結びますが、条件としてEddie Van Halenとの共演が盛り込まれていました。しかし、実際にはその契約が履行されることはなくホールズワースはエニグマに移籍してしまいますが、ただ1回だけコンサートで2人は共演しています。その貴重な音源がこのアルバムです。1999年にHighlandというレーベルからリリースされています。

クレジットによれば1985年4月27日にロスにある「Roxy」というクラブでのライブで、参加メンバーはPaul Williams(vocal)、Jimmy Johnson(bass)、Chad Wackerman(drums)とされています。しかし、アナウンスを聴くかぎりではPaul Carmichael(bass)とGary Husband(drums)の誤りだと思います。

1曲目から3曲目は「I.O.U.」 からの選曲で、いったんブレイクがあって4曲目「Five G~Jam(inclu.Hell's Bell's)」で、Eddie Van Halenの登場です。ついでにベースもJeff Berlinにチェンジしています。曲の「Five G」と「Hell's Bell's」は「Bruford」の名曲で、Eddieのギターがあの「Hell's Bell's」のイントロをギンギンに弾き始めます。観客の歓声でかき消されながらも、やがて「Five G」のテーマへと移行します。ここでもEddieがリードする形で進行しますが、BrufordサウンドがEddieの手にかかるとハードロックに変わってしまうから不思議です。Eddieはホールズワースを挑発するかのごとく必要以上にライトハンド奏法を連発しています。Eddieがひとしきり暴れたあと、今度は御大の登場。悠然とウネウネと弾きまくるプレイは、やはり先輩の貫禄が漂います。

というわけで、この2人のスーパーギタリストの共演はおそらくこの1回限りだと思いますし、その音源は資料的価値としては貴重だと思います。しかし、例によって音質は最悪です。たぶん家庭用デッキで盗みどりされたのでしょう。

6曲目から8曲目は、ゴードン・ベック・カルテットによる貴重なライブ音源です。クレジットでは1979年12月14日、パリでのライブ音源です。メンバークレジットがないのですが、仮にアルバム「Sunbird」と同一メンバーなら、Aldo Romano(drums)、J.F.Jenny-Clark(bass)、そしてAllan Holdsworthということになります。「Sunbird」セッションは1979年の6月から7月にかけて行われていますので、もしかしたらメンバーチェンジが行われているかもしれませんが、今となっては調べる術がありません。ちなみにゴードン・ベックとホールズワースとのデュオ作品「The Things You See」は1979年12月から翌年1月にかけて行われているので、同アルバムの制作中にこのライブが行われたことに。演奏曲タイトルがクレジットされていませんが、すべて「Sunbird」からのチョイスで、こちらの音質は「まあまあ」です。

ところで盤面に「Not For Sale Promotion Only」と印刷されていますが、いったい何のためのプロモーションなのでしょう(笑)。

●Musicians(クレジットまま)
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Jimmy Johnson / bass
Chad Wackerman / drums

Edward Van Halen / guitar
Jeff Berlin / bass

Gordon Beck / piano

●Numbers
1.Shallow Sea
2.Checking Out
3.Was There Something
4.Five G~Jam(inclu.Hell's Bell's)
with Eddie Van Halen & Jeff Berlin

5.Out From Under
6.Gordon Beck Quartet Free Jazz pt1
7.Gordon Beck Quartet Free Jazz pt2
8.Gordon Beck Quartet Free Jazz pt3

1~5 live at Roxy,Los Angeles,CA 85/4/27
6~8 live at Paris,79/12/14
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2010年3月22日 (月)

ALLAN HOLDSWORTH / METAL FATIGUE(1985年)

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Metal Fatigue(1985年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が、名作「Road Games」(1983年)に続いて、1985年に送り出したメジャーレーベル第2弾です。前作と同様にワーナーからリリースされましたが、全世界に先駆けて日本で先行発売されて、アメリカに逆輸入という形に。前後してホールズワースは84年、85年と2年連続で来日を果たしていますが、本作の日本先行リリースといい、日本での高い人気を裏付けています。

時系列的にさかのぼっていくと、イギリスで録音され自主制作盤扱いだった「I.O.U.」ではアングラ的でウェットな雰囲気が漂っていましたが、アメリカ資本が入った「Road Games」、そして本作品とどんどんクリーンにメジャー感が漂うようになってきています。これまで使ってきたシャーペルからアイバニーズに持ち代えたことで、ギターの音もクリアーになったことも大きいようです。

メンバーはJimmy Johnson(bass)、Chad Wackerman(drums)という来日時のメンバーを中心にして、Gary Husband(drums)、Paul Williams(vocal)、Alan Pasqua(keyboard)、Gary Willis(bass)などが参加しています。Alan PasquaはTony Williamsのニュー・ライフタイム時代の同僚ですね。5曲目「The Un-Merry-Go-Round」でパスクアはキーボードを担当していますが、ホールズワース名義での作品では初めて鍵盤楽器が参加した形になります。Gary Willisも同曲に参加しましたが、彼はこれからScott Hendersonと「Tribal Tech」を結成するかというタイミングですね。

基本的には前作での作風と変わりありませんが、さらにポップ色が増したように思います。そこら辺がソフト・マシーンあたりからのファンにとっては若干違和感を感じることも事実かも。その象徴的な曲として、ライトな雰囲気のコーラスを多用した「In The Mystery」などはいままでのホールズワースからは想像できなかったのではないでしょうか。正直、ギタリストとしての作品としては似つかわしくないと思われるこの楽曲ですが、ホールズワースの作品に常につきまとうこの一種のジレンマの要因は、個人的にはギタープレイの素晴らしさに作曲能力が追いつかないのではないかとにらんでいます(実際、Gongなどの作品に客演したときのプレイは背筋が寒くなるほどの凄味がありますが、リーダー作では凡打を放つケースが多いのもギタリストとしてあまりに突出しすぎているからだと思います)。

しかし、相変わらずジャケットデザインは趣味があまりよくないですね。もちろんホールズワース自身がデザインをしているわけではありませんが、デザインの善し悪しを判断する能力は彼にはなかったようです。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jimmy Johnson / bass
Chad Wackerman / drums
Paul Williams / vocal
Alan Pasqua / key
Gary Willis / bass
Gary husband / drums
Mac Hine / drums
Paul Korda / vocal

●Numbers
1.Metal Fatigue
2.Home
3.Devil Take The Hindmost
4.Panic Station
5.The Un-Merry-Go-Round
6.In The Mystery
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2010年3月21日 (日)

VHSの音源をCDに移植した作品「I.O.U.Live」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●I.O.U.Live(1997年)
■ディスクユニオンで購入

長い間漁盤生活を続けていると、なかにはとんでもないCDにブチ当たることがあります。テクニカル系ギタリストAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は1984年に初来日をしていますが、5月14日の郵便貯金ホールでのライブ映像が「Tokyo Dream」 というタイトルで東映ビデオからVHSとしてリリースされました。ただし、このVHSは日本限定発売だったので、海外のファンにとってはホールズワースのライブ映像はもちろん、ライブ音源にも触れることはかないませんでした。

そんな事情もあってVHSの音源部分をCDに移植した「作品」(?)が数種類出回ることになってしまいました。実はこのCDもその1枚です。「Four Aces Record」という版元から発売されていますが果たしてこれは正規盤なのか、海賊盤わかりません。でも、ホールズワースのオフィシャルサイトではリストアップいないので、やはり海賊盤なのでしょう。それに「1985年のライブ」という誤植まであります。この誤植をそのまま引用してしまう人も多く、「誤植の再生産」という悲劇が繰り広げられていることは、仕事柄注意しないといけません。肝に銘じます。

VHSの記事で詳細を記しましたので、内容に関しては割愛しますが、一番残念なのがVHSではオープニング曲だった「Tokyo Dream」が収録時間の関係からなのかカットされているという点。VHSでは「Letter Of Marque」の前半がカットされていましたが、CDでも全く同じ状況です。音質はというと、あくまでもビデオ音源ですから「それなり」という感じです。当たり前か。

と、文句ばかり書きましたが、VHSを所有していないファンにとっては大変貴重な音源ではないかと思います。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Jimmy Johnson / bass
Chad Wackerman / drums

●Numbers
1.Road Games
2.White Line
3.Panic Station
4.Letter Of Marque
5.Devil Take The Hind Most
6.Home
7.Maerial Real
8.Metal Fatigue
9.Where Is One
10.The Things You See
11.Was There?(something)
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2010年3月20日 (土)

ホールズワースのメジャーデビュー作「Road Games」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Road Games(1983年)
■ディスクユニオンで購入

テクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が広く世に知られるようになるきっかけとなった作品です。前年にリリースした自主制作盤「I.O.U.」 が一部ギターファンによって熱狂的に支持され、音楽専門誌などで大きく取り上げられるようになると、ホールズワースは家族を連れてアメリカに渡ります。そして、カリフォルニアを皮切りにツアーを行いましたが、圧倒的な歓声を受けて活動の場をアメリカに移すことを決意します。

そんな折りにかつてからホールズワースを私淑し、何とかホールズワースのようなフレーズを出せないものかと悪戦苦闘の末に「ライトハンド奏法」を編み出したエディ・ヴァン・ヘイレンとの共演話が持ち上がります。すでに「ヴァン・ヘイレン」で世界的に名を馳せていたエディと、彼が師と仰ぐ謎の英国人ギタリストとの共演ということで、大手のワーナーミュージックが手をあげ、ホールズワースはめでたくメジャー契約を結ぶことに成功します。いよいよ2大ギタリストによる制作に取りかかるわけですが、結局ヴァン・ヘイレンはツアー中でアルバム制作には参加できず、ホールズワース1人がアルバムを作ることになります。プロデューサーはテッド・テンプルマンで、レコーディングにはかつての親友が駆けつけました。

このアルバムにスペシャルゲストとして参加したJack Bruceとはイギリス時代からの友人ですが、「Was There?」「Material Real」の2曲でボーカルを担当。また「Tempest」時代の盟友、Paul Williamsは「Raod Games」でボーカルをとったほか、しばらくバンドツアーに参加していました。「Bruford」で活動を共にしていた超絶ベース奏者Jeff Berlinやフランク・ザッパバンドで腕を磨いていたオーストラリア出身のドラム奏者Chad Wackermanというこれ以上ないと思われる面子です。

そんな経緯から制作されたこの作品ですが、資金面での不安が解消されたこともあって、ホールズワースが自らミキシングなどのスタジオワークをこなし、納得がいくまで作業をこなしたとのこと。そんなこともあって、アメリカ資本で作られた作品でありながら、聴こえてくるサウンドは完全にブリティッシュそのもの。メンバー構成で「イギリス人率」が高いということもありますが、細部にまで徹底してこだわる職人気質が作品全体に染み渡っています。

1曲目「Three Sheets To The Wind」はホールズワースお得意のキーボードライクなイントロから始まる美しい曲。ほどなくホールズワース独特のウネウネソロと目まぐるしい上昇下降フレーズが爆発し、ホールズワース節全開という感じです。このキーボードライクなコード展開は、ほとんど知られていなかったという事情もあって、オリジナルアナログ盤では「このアルバムではキーボードやシンセサイザーなどは一切使われておりません」という趣旨の断り書きがわざわざ印刷されたほどです。

2曲目「Road Games」は中期ホールズワースの代表曲。軽快なロック調の曲ですが、Paul Williamsのハートウォーミングなボーカルも素敵です。ホールズワースのソロの冒頭で大変素早いタッピングがありますが、初来日のステージでは弦の共鳴を防ぐためにPaul Williamsがネックを押さえていた姿が懐かしいです。熱い男の友情の証ですね。

3曲目「Water On The Brain Part 1」はシンプルなフレーズの繰り返しによるいかにもブリティッシュという感じの曲。Jeff Berlinの超絶ソロも聴かれます。この時期のステージでも好んで演奏されていますが、ほかのベース奏者、たとえばJimmy Johnsonあたりだと何となくダレてしまっていました。Jeff Berlinあっての楽曲だといっても過言ではありません。

4曲目「Tokyo Dream」もホールズワースを一躍有名にした名曲。東洋風のフレーズが左右を美しく浮遊しますが、これはコード転調とタッピングとの合わせ技から生み出されています。個人的には「Tokyo Dream」というタイトルから親日家なのかと想像していましたが、案の定、翌年に初来日をしてくれたわけで、この人は正直で実直なんだなと勝手に納得していました。

5曲目「Was There?」は不安感を煽るような変態チックなイントロとJeff Berlinのボーカルが印象的。曲の途中でロック的なギターリフが展開されますが、初来日の際も、心得ているお客はこっそりと足でリズムをとっていました。

ラスト「Material Real」にもJack Bruceが参加。80年代に入ってからのJack Bruceはやや精彩を欠いていたように思われますが、旧友との共演によって生気を取り戻したかのように気持ちよく歌いあげています。まるで回春剤のようですね。ホールズワースも目まぐるしいほどのコード展開で雰囲気を盛り上げ、感動のフィナーレへと誘ってくれます。

計6曲、収録時間も約24分というミニアルバムのようになってしまった経緯まではわかりませんが、ホールズワースの存在感を世に問うたという意味では重要な位置づけを担っています。結果としてエディとの共演はかないませんでしたが、それはそれでよかったのではないかと個人的には思います。いや正確にいうと、過去に一度だけこの2人は同じステージで共演しています。そのとき流麗なソロを連発するホールズワースにエディが近づいて、黙って指を1本立てたという有名なエピソードがあります。つまり「彼こそがNO.1ギタリストだ!」という最大級の賛辞です。

このアルバムには後日談が。のちにワーナーを離れることになった時のゴタゴタからなのか、長い間CD化されずに廃盤状態にありました。2001年にGnarly Geezerという会社からやっとCD化されました。ありがたいことです。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Chad Wackerman / drums
Jack Bruce / vocal
Paul Williams / vocal

●Numbers
1.Three Sheets To The Wind
2.Road Games
3.Water On The Brain Part 1
4.Tokyo Dream
5.Was There?
6.Material Real
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2010年3月19日 (金)

低体温系テクニカル系ギタリストTim Millerの自主制作盤(?)

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Musician●Tim Miller(guitar)
Title●...With The Distance(1997年)
■メーカーサイトより購入

名門バークリー音楽院でギター講師を務めるテクニカル系ギタリスト、Tim Miller(ティム・ミラー)によるおそらく初ソロアルバムです。ティム・ミラーはいわゆるアラン・ホールズワースのフォロワー「Holdsworthian」「Holdsworthy」の系譜を踏んでいますが、どちらかと言えばジャズ寄りでほかのフォロワーとは一線を画しているように思えます。同じフォロワーであるNico Stufanoをさらにジャズに近づけたというスタンスでしょうか。

ティム・ミラーの特徴は繊細なアルペジオとワントーンによる息の長いソロ。そして摩訶不思議な変態フレーズにあると思います。かといって本家ホールズワースのように我を忘れたかのような「弾き倒し状態」「弾きまくり状態」というわけではなく、適度にツボを押さえたというか、押さえすぎたプレイが特徴的。したがって耳に入ってくるプレイはいたって地味。地味すぎて下手をすると聴き逃してしまいそうです。浮遊感を重視するあたりはビル・フリゼールの影響も感じさせます。

といいつつ、何となく聴き続けているとなぜか気になる存在です。私は個人的にそういうギタリストを「低体温系」「低温火傷系」と呼んでいます。初期のウォルフガング・ムースピールやベン・モンダーあたりもそんな感じですね。以前ですとTim Miller自身のサイトで購入できましたが、最近ではこのアルバムの存在すら無視されているのが残念です。もしかしたら自主制作だったのでしょうか。

ちなみに「ADMレコード」というところからリリースされています。しかし、トリオという構成にこだわっている点と曲名のほとんどが単語という点は、いまと変わりません。

●Musicians
Tim Miller / guitar,guitar synth
James Driscoll / bass,key
Rob Avsharian / drums,key

●Numbers
1.Blues
2.Tristich
3.Heinder
4.Slate
5.Words
6.Vehicle
7.Cloaked
8.Darker
9.Stream
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2010年3月18日 (木)

アルバム「IOU」の原型が見える傑作「The Things You See」

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Musician●Gordon Beck(piano)
Title●The Things You See(1980年)
■ディスクユニオンで購入

イギリス出身の鍵盤楽器奏者、Gordon Beck(ゴードン・ベック)による1980年の作品です。ゴードン・ベックは60年代から活躍し、イアン・カーのニュー・クリアスや映画「フレンチコネクション」のサウンドトラックを担当したこともあるジャズロック系のミュージシャン。60年代にはジョン・マクラフリンとの共演作もリリースしています。ここで紹介するのは、ニュー・クリアス時代の同僚Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)とのデュオアルバムです。1979年12月から1980年1月にかけてパリで録音作業が行われています。

鍵盤楽器とギターの組み合わせというとジム・ホールとビル・エヴァンスをまず思い出しますが、この組み合わせも何となく同じ匂いがします。とは言っても、このアルバムを聴く人は十中八九、ホールズワース目当てですから「どうしてアコギ?」「どうしてデュオ?」というのが正直な感想だと思います。

でも、ご安心を!のっけから激しいフレーズの応酬で最後まで息を抜くところがありません。1曲目「Golden Lakes」は1969年にホールズワースが結成した「イギンボトム」でもプレイされた曲。当時は何となく中途半端だったアレンジでしたが見事なまでの解釈で「復活」しています。

2曲目「Stop Fiddlin」はベックによる大変小気味いい小曲。ホールズワースが1985年の2回目の来日を果たしたときのメンバーに、実はベックも同行していますが、ライブでもこの曲を披露していました。このアルバムを聴いたことのある観客は密かにニヤリとしたのではないでしょうか。実は私もその一人です。

3曲目の「The Things You See」はご存知のように後にアルバムで昇華します。また、6曲目の「At The Edge」は前出「The Things You See」のアレンジ曲ですが、何とホールズワースがヴォーカルを披露しています。ギタリストの小川銀次氏に言わせると「ジョン・ウェットンに似ている」とのこと。確かに哀愁を秘めたこもり気味の声は似ていないでもありません。よくギターの人がたまに歌うとジェフ・ベックに代表されるように悲惨なことになりますが、ここでは可もなし不可もなし、という感じでしょうか?

ディスクユニオンから国内盤CDで再発売されたときは、やはりゴードン・ベックとの共演「Sunbird」とのカップリングでした。ついでにアルバム「Sunbird」について書きますと、この「The Things You See」より数ヶ月前の1979年6月から7月にレコーディングされていて、こちらはオーソドックスなカルテット構成です。しかし、ホールズワースの持ち味が十分に生かされているとは思えない、中途半端なジャズアルバムになってしまっています。やはり本格的なジャズ楽団では途端に弱点をさらけ出してしまうあたりは、彼がジャズギタリストではないという証なのかもしれません。ホールズワースもこの時期は、BrufordやGongといったプログレ系グループを行ったり来たりで、いまひとつ軸が定まっていない印象を受けます。

下2枚はアナログ盤ジャケットです。アナログもディスクユニオンで購入しました。

●Musicians
Gordon Beck / piano
Allan Holdsworth / guitar,vocal

●Numbers
1.Golden Lakes
2.Stop Fiddlin'
3.Things You See (When You Haven't Got Your Gun)
4.Diminished Responsibility
5.She's Lookin', I'm Cookin'
6.At the Edge
7.Up Country
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2010年3月17日 (水)

まるで海賊盤のようなホールズワース初のDVD作品

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Live at the galaxy theatre(2000年)
■Tower Recordで購入

テクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)はその長いキャリアの割にはライブ音源、ライブ映像が極端に少ないように思えます。初来日のライブ映像を収めた「Tokyo Dream」は日本限定発売でしたし、本人名義によるライブ音源は「All Night Wrong」の登場を待つまでは海賊盤に頼るほかありませんでした。

そんな状況で突如として発売されたのがこのDVDです。「Tokyo Dream」時代はDVDなど存在しなかったので、栄えある初DVDとなるはずです。内容はというと、2000年にカリフォルニアのコスタ・メサにあるギャラクシー・シアターで行われた短いライブを収めた映像で、参加メンバーは Allan Holdsworth(guitar)、Dave Carpenter(bass)、 Joel Taylor(drums)というトリオ構成。収録時間は40分弱。

そもそもはネット配信用に収録された映像だったようですが、それをそのままDVDにしてしまったという荒技。したがって、画質が異常に悪く、また撮影カメラの台数が少ないためなのか、アングルも固定カメラのように単純です。どうやら、家庭用のホームビデオ用の機材で撮影されたようです。いいんですかね、そんないい加減な感じで。

DVDが世に出てからまだ間もない時期とはいえ、チープなジャケット、曲チャプターがまったく打たれていないという安直さもあって海賊盤ではないかと疑われる不幸な作品。まあ、初DVDと参加メンバーとしては珍しい組み合わせということで、堪忍してつかあさい。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Dave Carpenter / bass
Joel Taylor / drums

●Numbers
1.Zones
2.Letters of Marque
3.Gas Lamp Blues
4.House of Mirrors
5.Above and Below
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2010年3月16日 (火)

エレクトリックBコナーズの第2弾「Double Up」

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Musician●Bill Connors(guitar)
Title●Double Up(1986年)
■ディスクユニオンで購入

1980年代半ばになって突如として「Holdsworthy」となって復活したアメリカ出身のギタリスト、Bill Connors(ビル・コナース)の作品です。前作「Step It」 でECM時代での内省的なアコギ路線から急激にエレクトリック化しただけも驚きでしたが、聴こえてくるフレーズが当時「IOU」や「Road Games」でギターファンの熱い視線を集めていたAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)のそれとそっくりだった点です。トーン、フレーズはもちろん、曲もそういえばかなり本家を意識して作られたことは明らかでした。

1986年にリリースされたこの「Double Up」も基本的には前作と同じ路線ではありますが、Holdsworthy一辺倒だった前作よりは比較的「コナーズ色」を前面に押し出してきているように思えます。これは前作がSteve Khanがプロデューサーとして参加していたのに対して、今回はKhan抜きで制作されている点も大きいように思えます。メンバーはKim Plainfield(dr)とTom Kennedy(bass)というトリオ構成。デイヴ・ウェックルは抜けてしまったのですね。1994年にCD化されています。

さて元々は第2期Return To Forever(RTF)の初代ギタリストを務めただけにジャズ畑でもどちらかというとロック寄りのコナーズだけに、聴こえてくるフレーズは本家よりも直線的でわかりやすいのですが、この作品では前作よりもシンプルで聴きやすくなったように感じます。でもたとえば3曲目「Floor To Floor」などは本家を凌駕するほどの息の長いソロは、やはり「Holdsworthy」そのものですね。たぶん曲の90%は休みなしのソロ弾きまくり状態です。とはいえ、本家ほど唯我独尊に行きすぎないあたりが、RTFやECMで身につけた彼なりの処世術なのかもしれません。

そんなわけで、良質なフュージョンギターアルバムに仕上がっていますので、未聴の方はぜひ!

●Musicians
Bill Connors / guitar
Kim Plainfield / drum
Tom Kennedy / bass

●Numbers
1.Subtracks
2.Tud
3.Floor To Floor
4.Crunchy Cuts Up
5.Long Distance
6.Out By Twelve
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2010年3月15日 (月)

フランス出身のホールズワースフォロワーJac La Greca

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Musician●Jac La Greca(guitar)
Title●Ipsis Quest(1998年)
■Musea recordより購入

このブログでは飽きることもなくAllan Holdswrth(アラン・ホールズワース)のフォロワーを紹介していますが、今回はフランス出身のJac La Grecaです。フルネームはJacques La Greca。例によって正体がよくわからないのですが、どうやら彼のキャリアの中で唯一のアルバムであるということくらいしかわかりません。ジャケット写真を見るかぎりではまだ若いようですから、今後思い出したようにアルバムをリリースするかもしれませんね。

「Musician's Musician 」と呼ばれ多くのフォロワーを輩出しているホールズワースですが、多くの人が指摘する致命的な欠点として、作曲能力の欠如が挙げられます。そう、よく言われる「どんな曲を聴いても同じに聴こえる」という例の奴です。ギター好きにとっては、実は曲云々などは大きな問題ではなく、興味の的は「どんなフレーズを弾くか」なのですが、興味のない人にとっては、おそらく理解不能だと思います。そんなところがホールズワースをカルト的な存在へとしているのだと思います。もっとも本人もメジャーな存在に転向しようなどとはさらさら考えていないと思いますが。

そんな曲者ホールズワースに敢然と立ち向かい、かつ本家にはない作曲能力を身につけたのがJac La Grecaです。音を聴く限りではホールズワースの「IOU」あたりの雰囲気をベースにして、キーボードが加わり、若干シンフォ色を強めたという感じでしょうか。Jac La Grecaのギターは本家を少しマイルドに、そしてリリカルにした感じです。そこらあたりの微妙なバランス感覚にたぐい稀なるセンスの良さが感じられます。

Jac La Grecaの作曲能力はかなりのもので、聴いていてまったく苦になりません。もちろんプレイ自体は確かなテクニックに裏づけされているので、十分に楽しめます。ただし、全体としてはゆったりめの曲が中心なので、本家のような「弾きまくり状態」の速弾きプレイを期待すると肩透かしをくらうかもしれません。

あえて欠点を指摘すると、こうした傑出したプレイヤーを支えるバックが得てして力量不足というケースに残念ながら当てはまっているという点。とくにリズム隊が脆弱で、ドタバタとやっと後を追っているという状態。よく聴くとキーボードも平板な感じで、上手くリーダーをサポートしているとはあまり思えません。

数年前に某巨大サイトのレビューでは絶賛したうえに名前を間違えてしまいましたが、改めて聴くといろいろと弱点が見えてしまいましたので、ここで指摘しておきます。数年間で耳が肥えて審美眼が磨かれたのか、ただ歳をとって底意地が悪くなったのか。おそらく後者だと思います。

●Musicians
Jac La Greca / guitar
Remy Chaudagne / bass
Francois Verly / drums
Leandro Aconcha / keyboards and piano
Herve Croce / drums
Bernard Lanaspeze / bass
Yvon le Pommelec / bass

●Numbers
1.Dao Dermo
2.La Violoncelliste Contemporaine
3.Blue Ipsis
4.Cobaltine
5.Peine Perdue
6.Tommy O
7.Deux Fois Six
8.Pseudo Trillos
9.Formule Magique
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2010年3月14日 (日)

MAHAVISHNU ORCHESTRA / THE INNER MOUNTING FLAME(1971年)

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Musician●Mahavishnu Orchestra with John Mclaughlin 
Title●The Inner Mounting Flame(1971年)
■ディスクユニオンで購入

ラリー・コリエルのことを書いたので、やっぱりもう一人の大御所John Mclaughlin(ジョン・マクラフリン)のことにも触れないわけにはいきません。マイルス・デイヴィス楽団への参加で一躍有名になった彼は、その後トニー・ウィリアムスのライフタイムへ加入し、ますますその名がしられるようになります。この時期のマクラフリンといえば「インドへの傾倒」で知られていますが、そもそも60年代後半からインドに興味をもっていたようで1970年には「マイ・ゴールズ・ビヨンド」というインド臭が充満する作品を残しています。どうやらこの時期にインド人思想家スリ・チンモイ師の門下生になったようで、ライフタイムで渡米中にヒッピー文化やドラッグの影響を受けたことも手伝って、マハヴィシュヌ・オーケストラ結成の青写真を描いていたようです。

そんな経緯を受けて満を持して結成された「Mahavishnu  Orchestra」ですが、「マハ=偉大な創作者」「ヴィシュヌ=インド古来から伝承されるヴィシュヌ神」という意味があります。メンバーはハンガリー出身の鍵盤楽器奏者Jan Hammer、Jerry Goodman(violin)、Rick Laird(bass)、そして千手観音ドラム奏者Billy Cobhamという当時としては超一流の強者ばかり。そして完成したのが邦題では「内に秘めた炎」とされたこの作品です。では、きっとインド哲学に根ざした内省的な音楽なのかと思いきや、ふたを開けてみたらそこには徹頭徹尾ハードさを極めた「ハードコアフュージョン」。マクラフリン自身がこのようなハードな音を求めたのかは定かではありませんが、この最強メンバーを考えれば必然ともいえる帰結だったのかもしれません。

まずは1曲目「Meeting Of The Spirit」のギターにはぶっ飛びます。当時としては人類の限界に近いとも思われる早弾きは、いま冷静になって聴き直しても、やっぱり凄い!ロック系のリッチー・ブラックモアやジェフ・ベックも一応は「早弾きギタリスト」とされていましたが、同時期での比較では頭2つくらいは確実に抜き出ています。やはり、マイルス楽団でもまれた経験が生きているのでしょう。実際、ジェフ・ベックは同じイギリス出身ということもあって、マクラフリンの対してコンプレックスを抱いていたそうで、打倒マクラフリンを胸に秘めてギター修行に邁進したそうです。その結果、「Blow By Blow」「Wired」という傑作が生まれたのですから、当時のマクラフリンがほかのギタリストに与えた影響ははかりしれません。

ところで、初期のCDはあまり音質がよくなかったのですが、97年にリマスターされたものを買い直してみました。いやいや、いままで聴こえていなかった音までが、耳に飛び込んできて驚きました。リマスター盤はあまり効果がないケースもあるので実はあまり触手が伸びないのですが、これは大正解でした。

●Musicians
John Mclaughlin /guitar
Jan Hammer / piano
Jerry Goodman / violin
Rick Laird / bass
Billy Cobham / drum

●Numbers
1.Meeting Of The Spirit
2.Dawn
3.The Noonward Race
4.A Lotus On Irish Streams
5.Vital Transformation
6.The Dance Of Maya
7.You Know You Know
8.Awakening
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2010年3月13日 (土)

もっと知られてもいいラリー・コリエルのヴィレッジゲイトライブ

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Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●At The Village Gate(1971年)
■Tower Recordで購入

Larry Coryell(ラリー・コリエル)といえばジョン・マクラフリンと並んで1970年代のジャズロックシーンをリードしてきたギタリストですが、いまなお精力的に活動しているマクラフリンと比べると、最近は落ち着いてしまったかなという印象を受けます。ちなみに2人が日本で知られるようになった頃は、コリエルは「コーリエル」、マクラフリンは「マクローリン」と表記されることが多かったですね。最初に記事を書いたライターに左右されたのでしょう。意外にこういうことは多く、かつて「レゲエ」が日本で初めて紹介されたときは「レガエ」でしたし、サザンの桑田氏も深夜ラジオで盛んに「レガエ、レガエ」と連呼していた記憶があります。そもそも外国人の名前をカタカナで表記した瞬間、すでに誤謬が含まれているわけで、「どれがもっとも正しい表記なのか」と考えることはあまり意味がないと思います。

前置きが長くなりましたが、コリエルがもっとも輝いていたいたのは、70年代だと個人的には思います。数々の名演の中でも一押しが、この「At The Village Gate」。1971年1月22日、23日のライブ音源です。好敵手マクラフリンがマハヴィシュヌ・オーケストラで精神世界を彷徨していたころ、コリエルは正統派ジャスロックを追究していました。ここでの演奏もまさに典型的なジャズロックで、トリオという最少単位で凄まじい音を聴かせています。そういえば、ジャズの世界で最初にフィードバック奏法を大胆に取り入れたのもコリエルでしたね。

1曲目「The Opening」はなにやらジミヘンの「バンド・オブ・ジプシー」に似た感じのナンバー。ブルース臭漂うコリエルのギターが実に味わい深いです。2曲目「After Later」は一転して快活なロックナンバー。転調を駆使した展開がスリリングです。3曲目「Entardecendo En Saudade」はワウワウとフィードバックを駆使した入魂の1作。このまま壊れてしまうのではないかと思わせるほど、狂気に満ちた激しいプレイが延々と繰り広げられます。4曲目「Can You Follow?」も3曲目と似たトーンの曲で、古き良きジャズロックの典型のような感じ。やたらと手数が多いソロが延々と続きますが、最後は例によってワウワウで決めてくれます。やっぱり、こうじゃなくっちゃ。一説によると、実はフレーズの引き出しがそれほど豊富でないため、困った時のワウワウ頼みとも言われますが、いや、これはこれでいいのです。

ラスト「Beyond These Chilling Winds」は、ちょっとカントリー音楽臭が漂うボーカルナンバー。意外と(?)味があるコリエルのボーカルが聴かれます。バックコーラスを務めるJulie Coryellという女性はコリエルの奥さんなのでしょうか。特別に上手いというわけではないのですが、可愛らしい声で盛り上げていて何だかホッとします。夫唱婦随というわけですね。奥さんがバンドに参加するケースでは、古くはオノ・ヨーコやリンダ・マッカートニーの例がありますが、決して表にしゃしゃり出て来ないで、3歩下がって夫を立てるという控えめなスタンスに好感がもてます。と思って聴いていたら、最後は旦那が激しいスクラッチ奏法で狂気の淵へと飛んでいってしまいます。

このアルバムはなぜかアナログ盤でもあまり知られていないようで、数年前にこっそりとCDになりましたが、すぐに廃盤になってしまったようです。70年代コリエルを語るうえで、重要な作品だと思うのですが。ところでジャケットに写る少年はおそらくコリエルの息子だと思うのですが、もしかしたらのちにギタリストデビューを果たすジュリアン・コリエルでしょうか。

●Musicians
Larry Coryell / guitar,vocal
Mervin Bronson / bass
Harry Wilkinson / drum
Julie Coryell / vocal

●Numbers
1.The Opening
2.After Later
3.Entardecendo En Saudade
4.Can You Follow?
5.Beyond These Chilling Winds
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2010年3月12日 (金)

古き良き「和ジャズ」日野元彦の「流氷ライブ」

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Musician●日野元彦(drums)
Title●「流氷」(1976年)
■Yahoo!オークションで購入

オークションサイトを見ていると、日本人によるジャズのことを「和ジャズ」と称するそうです。ふーんと思いながら言葉の響きとしては、けっこう素敵だと思います。1970年代の日本のジャスシーンは、個人的にはブリティッシュロックに傾倒していたのでリアルタイムな記憶があまりないのですが、いま改めて音源を収集してみるとかなり「熱い時期」だったのですね。よく調べると、個人的なお好み作品のほとんどが「Three Blind Mice」(略してTBM)からリリースされていることに気がつきました。

今回紹介するのは、世界的なトランペット奏者、日野皓正の実弟、ドラム奏者の日野元彦によるリーダー作です。TBMよりリリース。日野元彦は残念ながら亡くなってしまいましたが、昔、タモリが司会をしていた伝説のバラエティー番組「今夜は最高」にたびたび出演していたので、名前は知っているという方も多いでしょう。ついでに言えば、同番組で素敵なピアノを聴かせてくれたコルゲン鈴木こと鈴木宏昌さんも数年前に鬼籍に入ってしまいました。

さて「流氷」と題されたこのアルバムは、1976年2月7日に根室市民会館でのライブ音源。参加メンバーは山口真文(テナーサックス)、清水靖彦(テナー&ソプラノサックス)、渡辺香津美(ギター)、井野信義(ベース)という構成です。本来、元彦バンドは山口真文を抜いたワンテナー構成だったそうですが、ピアノレスの構成に一抹の不安を感じたプロデューサーの要請によって、急遽ツーテナーになった経緯があるそうです。だからクレジットも「日野元彦カルテット+1」となっているのです。急にサックス奏者が1人増えてしまい、日野氏は正直やりづらかったのではないかと推測しますが、結果として音に重厚感が加わり、とてもライブとは思えない厚い音が聴くものに迫ってきます。

また、ギターの渡辺香津美の若々しいプレイにも注目。香津美氏は世間的に言えば坂本龍一との交流からYMOでのサポートで広く知られるようになったと記憶していますが、YMO以前は「日本のウエス・モンゴメリー」という異名を得たほどストレートアヘッドなプレイを聴かせていまいした。個人的にはYMO以降の香津美氏はあまり興味がわかないのですが、70年代後半は夥しいほどの音源を残しており、どれをとっても素晴らしいプレイばかりです。現在、70年代後半の香津美氏の音源を収集していますので、機会があればここでも紹介したく思います。

●Musicians
山口真文 / t-sax
清水靖彦 / t-sax,s-sax
渡辺香津美 / guitar
井野信義 / bass

●Numbers
1. 流氷
2. Soul Trane
3. New Moon
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2010年3月11日 (木)

超絶ギタリストBrett Garsedの唯一のソロ

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Musician●Brett Garsed(guitar)
Title●Big Sky(2002年)
■Amazonより購入

「ギターモンスター」Shawn Laneと組んだギターバトルアルバム「Centrifugal Funk」(MVPシリーズ)で一躍ギターマニアの心を掴み、また両手タップの奇才T.J.ヘルメリッチとの共演作で凄まじい超絶技巧を披露していたBrett Garsedの唯一のソロ作品です。2002年発売。

前出のMVPやヘルメリッチとの3部作と比較すると、やや内省的で地味な印象がするこの作品ですが、そんなアンヴィエントな雰囲気がかえって個人的には好みです。トリオという最小単位から生み出される研ぎ澄まされた音の数々が、ときに激しく、ときに切なく迫ってきます。いわば「大人のフュージョンギター」ですね。

さて、Garsedのギターを特徴づけているのは独自の「フィンガーピッキング」でしょう。最初はピックと中指を使ってプレイしていたそうですが、クラシックギターのレッスンを受けたことで、「ピック+3本指」というスタイルを確立したとのこと。そういえばジェフ・ベックもこの20年間くらいはフィンガーピッキングのみでプレイしていますが、いろいろと試行錯誤したあげくに自分が表現したい音をダイレクトに弦に伝えられる指のほうがしっくりとしたのでしょう。およそ凡人には無理なことです。豪快でいて実に繊細なGarsedの魅力は、まさに「ピック+3本指奏法」にあるといえます。でも、ギターに興味がない人にはどうでもいいことなんでしょうね。

クレジットを見て気がつきましたがこのアルバムのベース奏者Ric Fierabracciのアルバムに友情出演していますね。

●Musicians
Brett Garsed / guitar
Ric Fierabracci / bass
Toss Panos / drum

●Numbers
1.Ungoing
2.Trnity
3.Brothers
4.Drowning
5.Fu'd Fight
6.Breathe
7.Got The Horn
8.The Myth
9.Friend Or Foe
10.Big Sky
11.Minx 
※日本盤のみボーナストラック
062

2010年3月10日 (水)

Aホールズワースの初録音'IGGINBOTTOM

130






Musician●'Igginbottom
Title●'Igginbottom Wrench(1969年)
■ディスクユニオンで購入

イギリスを代表するテクニカル系ギタリスト、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)がプロとしてスタートを切ったのが1969年。ヨークシャー州ブラフォードの若者が組んだバンド「'Igginbottom」(イギンボトム)のギタリストとしてデビューを飾っています。1969年というとビートルズがすでに実質的に解散状態で、King Crimsonが「クリムゾンキングの宮殿」でデビューを飾ろうかという時期です。そんななか「デッカ」から地味にデビューを果たした彼らですが、サウンドも実に地味。ロックなのか、ジャズなのかつかみどころのない不思議なサウンドは、まさにいまのホールズワースにも通じるものがあります。当時はこういう音楽を十把一絡げに「アートロック」と称していましたね。

詳しいクレジットがないのでよくわからないのですが、4人編成のうち、ホールズワース以外にスティーヴ・ロビンソンというギタリストがいるというツインリード態勢。左チャンネルがホールズワースで、右がロビンソンです。また、曲によってはホールズワースがボーカルを担当していますが、これがけっこう哀愁を帯びた味わい深い感じです。肝心のギターですが、すでにホールズワース節の基本型が完成の域に達していることの驚きます。アームこそ使用していないものの(ホールズワースがアームを駆使し始めるのは、テンペスト加入後に同僚のオリー・ハルゾールから手ほどきを受けたことになっています)、滑らかなフィンガリング、複雑なコードヴォイシングなどは、いまのそれとほとんど変わりありません。当時、ホールズワースは年齢的に20代前半ですが、ギターを本格的に始めたのが17歳ですからわずかキャリア数年のうちに、このような超絶技巧を身につけたことになります。

6曲目「Golden Lakes」はのちにアルバム「IOU」のオープニングを飾る「The Things You See」の元曲ですが、そういえば1979年にゴードン・ベックとの共演作でも披露していますね。5曲目「California Dreaming」はいうまでもなくママス&パパスの大ヒット曲。しかし、主メロディーは尊重しながら、大胆にアレンジされているので、原曲がもつ爽やかさなどはまるで感じられません。

どうしてもホールズワース中心の聴き方になってしまうのですが、実はもう一人のギタリスト、スティーヴ・ロビンソンも侮れません。タイプとしてはホールズワースに似ているのですが、ややロック寄りのフレーズを聴かせてくれます。グループ解散後、ロビンソンの行く末は不明ですが、そのまま活躍していたらけっこうビッグな存在になったのではないでしょうか。

冒頭で触れたように、とにかく「地味」な印象しかないアルバムですが、じっくり聴き直してみるとかなり「深い」プレイが随所に聴かれます。ホールズワースの原点を探るうえでも、当時のブリティッシュロックの状況を知る意味でも、重要な作品と言えるのではないでしょうか。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar,vocal
Dave Freeman / drums
Mik Skelly / bass
Steven Robinson / guitar,vocal

●Numbers
1.The Castle ※
2.Out Of Confusion ※
3.The Witch ※
4.Sweet Dry Biscuits ※
5.Carifornia Dreaming
6.Golden Lakes ※
7.Not So Sweet Dreams ※
8.Is She Just A Dream ※
9.Blind Girl
10.The Donkey

※ホールズワースによるもの
131

2010年3月 9日 (火)

ホールズワース先生が認めた奇才Steve Toppingの2nd

057






Musician●Steve Topping(guitar)
Title●Late Flower(2004年)
■Amazonより購入

元イエスのベース奏者クリス・スクワイアや元キング・クリムゾンのデヴィド・クロスなどとの共演で地味に知られている、Steve Topping(スティーブ・トッピング)のソロ第2弾です。出るぞ、出るぞ、と言われて久しかったのですが、満を持して2004年に発売されました。

CDの英文スリーブを読むと、テクニカル系ギタリストの大物Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が賛辞の言葉を寄せているように、彼のプレイはとにかく誰にも真似ができない完全オリジナルのサウンドです。たとえてみると、アラン・ホールズワースから連なる変態フレーズをベースに、ベン・モンダーやビル・フリゼールあたりの独特の浮遊感をブレンドしたという感じでしょうか。デビュー作の「Time And Distance」ではマハヴィシュヌ・オーケストラ時代のジョン・マクラフリンにインスパイアされたと思われる結構激しく、暴力的なプレイを聴かせてくれましたが、本作では一転して内省的で静かな楽曲が目立ちます。

とはいっても、決して凡庸になってしまったわけではなくフレーズの端々には尋常ならない変態性が見え隠れします。それにしても2曲目の「Lost Song」ではイントロからいきなりウネウネしまくりますが、全体としてはあまりにも美しいサウンドに仕上がるから不思議です。「動」のデビュー作に対して、こちらは「静」の部分を見せてくれ、たくさんの引き出しをもった多面性をもつミュージシャンだと思います。3作目ではどんな摩訶不思議な世界を聴かせてくれるか、いまから楽しみです。と書いてみたものの、このアルバムがリリースされてからはや6年。いつになったら新作が出るのでしょうね。

ファーストのほかには、アラン・ホールズワース・バンドでもおなじみのゲイリー・ハズバンドとのセッションアルバム「What It Is」もお勧めですが、こちらは結構ロックタッチで激しいプレイが聴かれます。おっと、こちらのドラム奏者もゲイリー・ハズバンドですね。初めて気がつきました。

●Musicians
Steve Topping / guitar
Jimmy Johnson / bass
Gary Husband / drum

●Numbers
1. Woody Chimer
2. Lost Song
3. Aigburth
4. Game of Lite
5. Strolling Boy
6. Jo
7. On My Hill/Late Flower
058

2010年3月 8日 (月)

壮絶なアヴァンギャルド系ギター(Trio96)

Dscf1418






Musician●Trio96
Title●Duo'03(2003年)
■ディスクユニオンで購入

日本が誇るアヴァンギャルド系ジャズユニット「Trio96」がグループ名に反して2名編成になって行ったライブ音源です。前作「カルテット96」ではブラスを含めたカルテット構成でしたがここではギターとドラムという構成。メンバーは石川健二(ギター)と田中康裕(ドラム)という実に寂しい感じになってしまいましたが、ギターシンセの力を借りて(?)実に分厚いというか壮絶なプレイを聴かせてくれています。

前作が「パワー・ジャズロック」だとすると、今回は「スペイシー・アヴァンギャルドジャズロック」とでも言いましょうか。アンビエントな音が縦横無尽に駆け回り、聴く人間を終始翻弄します。2人という最小単位の構成によって、余分な要素が極端にまでそぎ落とされた結果、逆に凄みが増したように思えます。

あれこれ語るよりも、まずはぜひ一聴を!日本の音楽界にもこんな凄まじい音を生み出す集団がいたのかと、仰天するはずです。

●Musicians
石川健二 / guitar,V-guitar
田中康裕 / drum,V-drums

●Numbers
1.Left-handed Rotation
2.Kerenmi Afureru Pray
3.Curriculum
4.Improvisation(Braford)
5.Hommage a A&G
6.Improvisation(Distance,Perspective)
Dscf1436

2010年3月 7日 (日)

Jラインハルトの後継者Attila Zoller

044






Musician●Attila Zoller(E Guitar)
Title●The Horizon Beyond(1965年)
■ディスクユニオンで購入

ヨーロッパのジャズギタリストといえば、ジャンゴ・ラインハルトが創始者という意味では第一人者ですが、ラインハルト亡き後にその遺志をを継いだギタリストといえばハンガリー出身のAttila Zoller(アッティラ・ゾラー)と言えないでしょうか。

ゾラーは最初はトランペット奏者だったそうですが、トランペットでは働き口が少ないということで、ギタリストに転向したとのこと。そのあたりが凡庸なジャズギタリストと一線を画している要因かもしれません。はじめはハンガリーやオーストリアでプロ活動を行いますが、後に渡米。チコ・ハミルトンやハービー・マンの楽団で活動していましたが、ピアノ奏者のDon Friedman(ドン・フリードマン)と知り合ったことで次第にフリーへ傾倒していきます。そんな状況で制作されたゾラー初のリーダー作がこのアルバムです。メンバーは盟友Don Friedman(p)、Barre Phillips(b)、Daniel Humair(dr)というカルテット構成。Don Friedmanはいまでの現役で活動しているベテランですが、60年代においてはゾラーとともに当時としては先鋭的な作品を何作か残していますね。ベース奏者のBarre Phillipsは70年代初頭にジョン・サーマンなどのフリー系ミュージシャンと数多くの作品に参加しています。

さて、肝心のこの作品ですが、あくまでも予定調和的な展開を嫌うゾラーらしく冒頭の「Horaizon Beyond」からフリーテンポのリズムに乗ってアクの強いソロを披露しています。若きフリードマンも今では考えられないハードなソロを叩き出しています。1965年当時としては考えられないほど先鋭的なアプローチを聴かせてくれるわけですが、同時代的にはちょうどビートルズが「ラバー・ソウル」をリリースした時期で、ジャズもロックも新たな音楽へのアプローチを志向し始めたタイミングだといえるでしょう。

ちなみにアナログ盤はまったくジャケットデザインが違います。

●Musicians
Attila Zoller / guitar
Don Friedman / piano
Barre Phillips / bass
Daniel Humair / drum

●Numbers
1,The Horizon Beyond
2,Explorations
3,Blizzards
4,Ictus
5,The Hun
6,Flash Back Two
045







Dscf1502







Dscf1503

2010年3月 6日 (土)

ちょっとリラックス気味のGベックとAホールズワースの共演

030






Musician●Gordon Beck(piano)
Title●Sunbird(1979年)
■HMVで購入

映画『フレンチ・コネクション』のサウンドトラックを担当したイギリスを代表するジャズピアニスト、Gordon Beck(ゴードン・ベック)による1979年の作品。メンバーはニュークリアス人脈からギタリストにAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)を迎えています。ドラムはイタリアを代表するAldo Romano(アルド・ロマーノ)、ベースがJ.F.Jenny-Clark(ジェニー・クラーク)。

このセッションの直前、ギターのホールズワースはUK、ゴング、ブラフォードなどでジャズフュージョン色が濃厚なプレイをしていましたが、ここではジャズ色が強いプレイを聴かせてくれます。何よりもUKなどではやたら緊迫感が強いストイックなプレイだったホールズワースが、このゴードン・ベックとのセッションでは一転してリラックスした伸び伸びとプレイしている点が興味深いところです。1曲目の「The Gathering」では珍しくアコースティックギターも弾いているほか、タイトル曲の「Sunbird」ではこれまたテンペスト以来となるヴァイオリンの腕前まで披露。実にバラエティーに富んだ作品で聴きどころが満載です。やはりゴードン・ベックと組んでレコーディングされた「The Things You See」とのカップリング盤も出せれていますが、こちらは残念ですが抜粋盤。ホールズワースマニアにとってはフルサイズで聴けるこのアルバムはやはり押さえておきたいものです。

●Musicians
Gordon Beck / piano
Allan Holdsworth / electric & acoustic giutar,violin
J.F.Jenny-Clark / bass
Aldo Romano / drum

●Numbers
1.The Gathering
2.Flight pt1,pt2,pt3,pt4
3.Halfway House
4.Sunbird
5.Second Summer

下2枚はアナログ盤です
031

Dscf1509

Dscf1510

 

2010年3月 5日 (金)

ラップ音楽とホールズワースとの奇妙なコラボ

046






Musician●Riptyde
Title●Sonic Undertow(2004年)
■Amazon USAより購入

テクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)は自身のソロアルバムのほかにも多くの作品にセッションマンとして参加しています。なかには「どうして?」と首を傾げたくなるようなアルバムにも顔を出すときも。自分の作品には大変な完璧主義を貫くホールズワースですが、ゲスト参加のときはどうやらその基準が曖昧になることが多いように思えます。

2004年発売の「Riptyde」という謎のグループの作品のゲスト参加などは、まさに奇々怪々の極めつけでしょう。勉強不足のためこのグループの正体を知らないのですが、ラップあり、プログレあり、シンフォ系ありと音楽的な旗色がまったく不鮮明でまさに奇天烈な存在です。ホールズワースは13曲中、なんと7曲に参加。ラップがのたうち回る曲に、いつものホールズワース節が絡み合うという変な作品です。

本当に「どうして?」と本人に聞きたいくらい変な取り合わせなのですが、どんな状況にあっても自分のスタイルを決して変えない頑固さは相変わらずです。ここまで徹すると天晴れです。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitars
Chris Hoard / midi harpsichord,Karma,samples,loops,stick,bass
Alan Porzio / sound effects
Ekow Asare / poem
4Zone / rap
Amon Freon / loops,e-drums
Mark Gleed / synth,psychotic pteradactyls

●Numbers
1.prelude:undertow
2.time to move on
3.still moving'
4.time off in tannu tuva
5.free da radicals
6.pearls of intuition
7.chasing tsunamis
8.long voyage home
9.jurrassic city
10.c'mon ovaya
11.forgotten planet suite pt1
12.forgotten planet suite pt2
13.coda:undertow
047

2010年3月 4日 (木)

JBウルマー変則トリオの作品(1983年)

Dscf1419






Musician●James Blood Ulmer(guitar)
Title●Odyssey(1983年)
■Amazonより購入

オーネット・コールマンの「ハーモロディック理論」の後継者、James Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)が80年代初頭にCDSでメジャーデビュー後の第3弾です。前作「Black Rock」(1982年)に文字通りロックタッチのテイストを全面に押し出して、その名前が知られるようになりましたが、この作品では一転してフリーファンクに趣向を変えてきました。しかも、ウルマーのギターを中心にヴァイオリンとドラムという変則トリオ構成。ベースレスになってしまいますが、そこはウルマーのギターがカバーするという発想のようです。

この変則トリオは一見すると「逆ハンデ」になってしまいますが、ベースレスという条件によって逆にウルマーのギターによる表現力は豊かになった気がします。つまりドラムと協調するリズム隊としての役割と、いわゆるリードギターとしての役割を同時進行的に行っているからです。しかもファンクとしての躍動感はそのまま保持されているという、綱渡り的ともいえる奇跡のパフォーマンスを聴かせてくれます。

ウルマーはこの時期に初来日を果たしていますが、多くの観客は「Black Rock」での演奏フォーマットを想像していたはず。そこにきてこの変則トリオですから、けっこうな賛否両論が巻き起こったようです。しかし、現存するウルマーのライブ音源はこの時期のものが、多いことから考えても、ウルマーが継承する「ハーモロディック理論」を確実に表現するには、最もふさわしいフォーマットなのかもしれません。

●Musicians
James Blood Ulmer / guitar
Warren Benbow / drum
Charles Buruham / violin

●Numbers
1.Church
2.Little Red House
3.Love Dance
4.Are You Glad To Be In America
5.Election
6.Odyssey
7.Please Tell Her
8.Swing & Things
Dscf1420

2010年3月 3日 (水)

ジミヘンのそっくりさんRandy Hansen

143






Musician●Randy Hansen(guitar)
Title●Hendrix By Hansen(1993年)
■Amazon USAより購入

スーパーギタリスト、ジミ・ヘンドリックスのフォロワーといえば、ロビン・トロワーやフランク・マリノあたりが真っ先に思い浮かびますが、1980年代から90年代にかけて突然頭角を現したのが、今回ご紹介するアメリカ出身のギタリストRandy Hansen(ランディ・ハンセン)です。

この人がすごいのは、本家のプレイスタイルをそのままそっくりコピーしているだけでなく、白人にもかかわらず顔に炭を塗って「黒人化」してしまったところにあります。ちょうど、ラッツ&スターが「シャネルズ」と名乗っていた時期に顔に靴墨を塗っていたのと同じ感覚でしょうか。

さて、肝心の作品ですが、ジミヘンのコピーにかけては第一人者と自称しているだけに、まさに完璧なコピー。だから、どうしたのよと言えば確かにそうなのですが、本家ジミヘンが「偶発的に出した音」までを律儀にコピーするあたりは本家へのリスペクトを超えて、執念に似たものを感じさせます。でも、完全コピーだけに終わってしまうのはさすがに芸がないと判断したのでしょうか。後半2曲はRandy Hansenオリジナルの曲が収められています。しかしながら、案の定、その出来具合、完成度は正直「トホホ」な感じです。そのあたりが「キワモノ扱い」の域から出られない一番の原因だと思います。11曲目は確かフリーウッド・マックの曲でしたね。選曲も変といえば変です。

●Musician
Randy Hansen / guitar
Manni Von Bohr / drum
Horst Stachelhaus / bass

●Numbers
1.Sgt.Pepper
2.I Don't Live Today
3.Foxy Lady
4.Are You Experienced?
5.Little Wing
6.Red House
7.Bold As Love
8.Can You See Me
9.Manic Depression
10.Who Knows
11.Rattlesnake Snake
12.Texas Twister
13.Snakeskin
144

2010年3月 2日 (火)

RICHIE & ANTTI / GENERATOR(1995年)

087






Musicians●Richard Hallebeek,Antti Kotikoski
Title●Generator(1995年)
■Gemm.comより購入

いまや若手テクニカル系ギタリストの一番手にまで成長したオランダ出身のRichard Hallebeek(リチャード・ハレビーク)とフィンランド出身のギタリストAntti Kotikoski(アンティ・コティコスキ)によるギターバトルアルバムです。テクニカル系ギタリストの登竜門「レガートレコード」からリリース。プロデューサーはご存じMVPシリーズのMark Varney。1995年にリリースされています。

何といっても新進気鋭の若手ギタリスト2人の「弾きまくり状態」がこのアルバムの最大の聞きどころですが、さりげなくサポートメンバーも凄い!Scott Henderson、Dan Gilbert、Scott Kinsey、Carl Verheyen、Frank Gambaleといったテクニカル系音楽のビッグネームが名を連ねています。

さて自他ともにホールズワースフリークを自称するリチャード・ハレビークとけっこうロックっぽいプレイを聴かせるコティコスキという対照的な2人ですが、まさに水を得た魚のようにのびのびとプレイしています。ギターファンなら、必聴の作品です。ただ、ずっと弾きまくり状態なので、やや後半になるとだれてきます。楽曲としての完成度もいまひとつかも。

アルバムリリース直後は日本でもけっこう話題になりましたが、版元のレガートレコードが倒産してしまったので、いまでは入手が大変困難な状態です。また、Antti Kotikoskiのホームページでは「Generator2」を制作中で2007年には完成予定とアナウンスされていましたが、いまだに世に出る気配が感じられません。まぁ、気長に待っていましょう。

ちなみにジャケット左がハレビーク、右がコティコスキです。ハレビークはケミストリーの右側の人似、コティコスキはアイドルフェイスですね

●Musicians
Richard Hallebeek / guitar
Antti Kotikoski / guitar
J.K. / bass
Jan Fabricky / drum
Sergio Cocchi / keyboard
Artun Surmeli / keyboard

●Numbers
1.Swang Thang
2.Fahrenheit
3.Band-aid
4.Dreaming
5.Dirt
6.Double Standard
7.Seven Days In The New World
8.Persian Rug
9.Music For Runyon Canyon
088

2010年3月 1日 (月)

フランス出身のテクニカル系ギタリストCyril Achard

145






Musician●Cyril Achard(guitar)
Title●Contre-Fusion Live(1999年)
■メーカーサイトより購入

フランス出身のテクニカル系ギタリストCyril Achard(シリル・アーチャード)は日本ではあまり名前が知られていないようですが、テクニック、センス、楽曲能力のどれをとっても抜きん出た能力を感じさせます。日本での知名度がいまひとつ低い理由がよくわかりません。

Cyril Achardは最近アコースティックに走っているので、地味な印象がつきまといますが、1990年代はGreg Howeも真っ青な超絶技巧で鳴らしていました。このアルバムはファン限定向けに販売された彼のキャリアの中では数少ないライブ音源です。詳細は不明ですがどうやら1999年のパリライブの模様のようです。まずは聴いていただくのが一番ですが、Dream Theatreあたりのシンフォ系プログレにも通じるドラマティックな展開、間隙を縫って歌いあげるテクニカルなソロ、複雑な楽曲展開…。マニア筋を喜ばせる要素がぎっしりと詰まっています。

フランス人には珍しく(?)丁寧なフィンガリングと粒が揃ったピッキングが、実に好印象。ギタリストとしてもある意味、教科書的なプレイの続出なので、ギター好きの人はぜひ聴いていただきたいと思います。

●Musicians
Eric Lebailly / drum
Jean-Marc Layani / keybord
Franck Hermany / bass
Cyril Achard / guitar

●Numbers
1.Impermanence
2.Des Illusons
3.Steve
4.Mr. Groove
146

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