イギリスフリージャズ界の大御所、John Stevens(Touching On)
Musician●John Stevens(dr)
Title●Touching On(1977年)
■ディスクユニオンで購入
英国フリージャズの大御所、John Stevens(ジョン・スティーヴンス)は1977年にミュージシャンを集めて計3回のセッション活動を行っていますが、そのうち5月のセッションでの音源がこのアルバムになります。参加メンバーはJohn Stevensのほか、Jeff Young(piano)、Ron Mathewson(bass)、Allan Holdsworth(guitar)というカルテット構成。
ギタリストのAllan Holdsworthに焦点を当てると、ちょうど元キング・クリムゾンの名ドラム奏者、ビル・ブラフォード率いる「Bruford」のメンバーだった時期で、UK以前ということになるのでしょうか。かたやプログレッシヴロック業界に身を置きつつ、同時期にこのようなフリージャズにも人脈を築いていたという意味で大変興味深いものがあります。
演奏内容はというと、まさにセッション活動を一発録音したものであって、楽曲云々というよりは、完全なフリーフォームによる激しいつばぜり合いという感じ。ホールズワースはプログレというある意味窮屈な枠組みから解放されて、自由奔放にソロを連発しています。しかしながら、もとよりコマーシャリズムから遠く離れた立ち位置のミュージシャンたちが行ったセッション活動だけに、かなり聴く人を選別するアルバムであることは確かです。
ちなみに同年11月に行われた第3回セッションでは、ホールズワースのほかにGordon Beck(piano)、Jeff Clyne(bass)が参加していますが、「Conversation Piece」というアルバムタイトルでリリースされています。また9月の第2回セッションでは、ホールズワースは不参加で、Robert Calvert(saxes)、Jeff Young(bass)、Dave Cole(guitar)、Nigel Moyse(guitar)、Nick Stephens(bass)、Ron Herman(bass)という多人数構成。このアルバムの4曲目「AH!」がこのときの収録のものになります。ちなみに「AH!」はホールズワースのイニシャルということで、不参加の彼に敬意を表しているとか。
ホールズワース参加のこの時期一連の作品は、1992年にジムコからCD化されましたが、廃盤状態にありました。確か去年にリマスター盤が紙ジャケットで再発売されています。興味のある方は、またしても廃盤にならないうちに入手してみてはいかがでしょうか。
●Musicians
John Stevens / drums
Jeff Young / piano
Ron Mathewson / bass
Allan Holdsworth / guitar
●Numbers
1,Touching On
2,Home
3,Finally
4,AH!
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コメント
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betta taroさま
対応しました。
例のグレーゾーン的なあれですね。
ネットがこれだけ普及するとややこしいことが起きますね。
いまは過渡期なのでしょう。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月19日 (金) 21時24分
早々の対応ありがとうございます。
お礼に、Allan Holdsworthの面白盤をご紹介します。
1960年代にHoldsworthはIgginbottomというプログレバンドのギタリスト(主に歌伴)を務めていました。
同バンド名義の、"Igginbottom's Wrench" (1969年)にてHoldsworthのスタイルを確立する前の演奏を楽しむ事ができます。
クリーン音主体でときどき速いリックを繰り出しますが、この時点ではヌメッとした歪み音+ワイドストレッチ+エコノミーピッキングというトレードマーク的なフレーズはまったく聴く事ができません(^ ^;
ちなみに、トラック2ではHoldsworthの作品によくみられる「つぶやき」が入っています。
Holdsworthの足跡を知りたい方には興味深い作品かと思います(^ ^)y
ではでは~
投稿: betta taro | 2010年2月19日 (金) 23時02分
betta taroさま
奇遇です。つい1週間前くらいに「イギンボトム」のCDを取り出して聴いていました。いま聴くとまた味わい深いです。いずれレポートしたく思います。
昔、「イギンボトム」の中古アナログを某店を発見したのですが、もの凄い値段だったので泣く泣く諦めた記憶があります。CD化のニュースはまさに福音でした。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月20日 (土) 14時53分