奇天烈系ギタリストFiuczynskiの怪作
Musician●David Fiuczynski(guitar)
Title●Jazzpunk(1999年)
■ディスクユニオンで購入
1990年代後半あたりから頭角を現してきた奇天烈系ギタリスト、David Fiuczynski(デヴィッド・フュージンスキー)。最近ではピアニスト、上原ひとみとの共演で見かけた人も多いのではないかと思います。フュージンスキーの特徴はジャズともロックともフュージョンともあえて自分の立ち位置を固定せず、まさに天衣無縫、自由自在に表現活動を展開している点にあります。そして万人が知るようにそのプレイはまさに変幻自在の極み。どこから飛んでくるかまったく予測不可能な奇天烈さが、マニアの琴線を刺激し続けています。
このアルバムは1999年にリリースされています。パット・メセニー、ジミ・ヘンドリックス、ロナルド・シャノンジャクソン、ジョージ・ラッセル、チック・コリア、デューク・エリントンなどの古今東西、ジャズやロックの名曲をフュージンスキーなりの独自の解釈でプレイしていますが、当然のごとく原曲がもつ固定イメージなどはことごとく破壊され、まったく違う変態ワールドが目の前に広がります。このすがすがしいまでの「暴力性」、「音のラッダイト運動」こそフュージンスキーの真骨頂で、音の変態性を極めたい(?)人にとっては必携のアイテムです。
それにしても、1曲目のパット・メセニーの名作「ブライト・サイズ・オブ・ライフ」でのかっ飛んだプレイでいきなり強烈なアッパーパンチを繰り出したかと思えば、3曲目のショパンのプレリュードでのフレットレス・ギターによる破壊力満点の強烈なソロといい、「真面目な音楽愛好家たち」にとってはまさに耐えがたい(笑)プレイの連続。ここまで徹底して変態を極めるとむしろすがすがしささえ覚えます。ただし、美しい音楽に浸ることを愛する方、予定調和と秩序を重んじる方、そして心臓の弱い方はできれば聴かないままでいたほうがいいのではと思います。
●Musicians
Dave Fiuczynski / guitar
Matt Garrisson / bass
Eli Katz / drums
●Numbers
1. Bright Sise Life
2. Third Stone from the Sun
3. Prelude Opus Seno
4. Red Werrior
5. African Game Fragment
6. Fiesta
7. Star-Crossed Lovers
8. Jungle Gym Jam
9. Stars & Stripes Whenever
10. Hipgnosis
« 奇天烈なジャズロックTerry Plumeri | トップページ | 70年代正統派ジャズロックTerry Plumeri »
「フュージョンギター」カテゴリの記事
- Cyril Achard / Confusion(1997年)(2016.08.28)
- 矢堀孝一 / Elevation(2001年)(2016.08.20)
- Larry Coryell / The Funky Waltz(1973年)(2016.08.14)
- Marco Sfogli / reMarcoble(2012年)(2016.07.18)
- Dewa Budjana / Hasta Karma(2015年)(2016.07.16)
コメント
« 奇天烈なジャズロックTerry Plumeri | トップページ | 70年代正統派ジャズロックTerry Plumeri »
Fuzeのギターを堪能するという意味ではJazzpunkとAmandalaの2作品が傑出していると思います。
特に1曲目の選曲からしてJazzpunkはギター好きにはたまらない作品という感じですね(^ ^)
投稿: betta taro | 2010年2月10日 (水) 19時16分
betta taroさま
コメントありがとうございます。
Fuzeさんはジョン・モデスキーとの「Lunar Crush」で驚いてからチェックしています。確かにおっしゃるように1曲目のセレクトは、メインストリームへの果敢な挑戦状ですね。
最近、上原ひろみとの共演映像を観ましたが(東京Jazzなんやらです)、私からみれば「猫をかぶっている状態」で、何だ結構大人なんだと思ったりもしています(それでも一般のお客からすれば、変態極まりないのですが)。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月11日 (木) 13時17分
キグウです。私もFuzeは「Lunar Crush」から入りました。
Fuzeの経歴をさかのぼって行くと、同じくギタリストのJeff Lee Johnsonと共演するシャノン・ジャクソン名義の作品「Raven Roc」にたどり着きました。
シャノン・ジャクソンはハーモロディック・ファンクの始祖オーネット・コールマンと「Dancing in your head」を創り上げた方なので…
要はFuzeはオーネット・コールマンの系譜上にある由緒正しい?アヴァンギャルド系ギタリストであるという事を知り、目からウロコでした。
ちなみに国内では知名度が低いですがJeff Lee Johnsonにもはまっていて、音源を蒐集しています(^ ^)
投稿: betta taro | 2010年2月11日 (木) 22時52分
betta taroさま
Jeff Lee Johnsonは実はよく聴いたことがありません。機会があればぜひチェックしてみたいと思います。
OコールマンといえばJames Blood Ulmerも直系ですね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月14日 (日) 15時26分
沢山コメントを書いてしまったため、レスをいただき大変恐縮しております。
James Blood Ulmerも大好きなギタリストです。
もろにハーモロディックファンクを標榜してる奏者で、確かにこの方もコールマン直系ですね。
Ulmerの歌ものではない曲が好きなので、シャノン・ジャクソンも参加しているはMusic Revaration Ensemble等を愛聴しています(^ ^)
投稿: betta taro | 2010年2月14日 (日) 18時30分