ECM外のジャック・ディジョネット「Cosmic Kitchen」
Musician●Jack DeJohnette(Dr)
Title●Cosmic Kitchen(1975年)
■ディスクユニオンで購入
本ブログでは珍しく大物ミュージシャンの登場です。ご存じ、エレクトリック・マイルスで重要な働きを果たしたJack DeJohnette(ジャック・ディジョネット)がマイルス楽団を離れた後の作品です。ご存じのように、ディジョネットはのちにドイツのレーベルECMに在籍し、キース・ジャレットとゲイリー・ピーコックとの「スタンダードトリオ」で再度脚光を浴びますが、1975年にリリースされたこのアルバムは、ちょうど「ECM前夜」という感じの位置づけになるはずです。メンバーはディジョネットのほか、Alex Foster (as, ts)、John Abercrombie(guitar)、Peter Warren (b) というカルテット構成。ECMに移籍後に「Untitled」(1976年)、「New Rags」(1977年)というアルバムを「Directions」名義でリリースしていますが、Alex Foster とJohn Abercrombieはそのままスライドしています。
テイストというと、マイルス時代の遺産をいい意味でも悪い意味でも継承した感じの「正統派ジャズロック」という感じです。そしてファンキーな要素を前面に押し出したというイメージでしょうか。いきなりPeter Warrenによる黒っぽいベースが響きわたるあたりでゾクゾクとします。ギターのAbercrombieもディストーションを利かせるだけ利かせたロックタッチのソロで応酬しています。本来、野太いドラミングが魅力のディジョネットもここぞとばかりに連打の限りを尽くしています。まさに、脳天串刺し状態ですね。
ECM移籍以降は、Mアイヒャー氏のありがたい指導(?)のもとサウンド的にも洗練されていくのですが、ECM前夜の荒削りでワイルドな一面を知るうえで貴重な作品ではないかと個人的には思います。ちなみに、この作品はもちろん、まだファンク色が濃厚だったDirection時代の「Untitled」「New Rags」の2作品もいまだにCD化されていません。おそらくファンキーな要素が「ECMのブランドイメージ」に合わないのでしょう。CDで聴こうとするとLester Bowieが加入した「New Directions」以降ということに。ただ個人的には「Directions」のほうがよほど面白いのですが…
●Musicians
Jack DeJohnette / drums, piano, keyboard
Alex Foster / a-sax, t-sax
John Abercrombie / guitar
Peter Warren / bass
●Numbers
Side A
1. Cosmic Chicken
2. One for Devadip and the Professor
3. Memories
4. Statocruiser
Side B
1. Shades of the Phantom
2. Eiderdown
3. Sweet and Pungent
4. Last Chance Stomp
上2枚が「Untitled」、下2枚が「New Rags」です
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