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2010年2月14日 (日)

借金返済のために作られたAホールズワースの「IOU」

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●I.O.U(1982年)
■ディスクユニオンで購入

英国出身のテクニカル系ギタリスト、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)のことを書き始めると個人的な思いもあって、誌面が尽きないのですが、ホールズワース自身がいったん表舞台から姿を消し、再度浮上するきっかけになったのが、自主制作盤「I.O.U」です。I.O.Uとはつまり、I Owe You、借用金証明という意味ですが、このアルバムが制作された当時、ホールズワースはほとんど仕事がない状態で、生活費を捻出するために大事な機材を質草にするほど、経済的に困窮していたそうです。

そんな危機的状況から脱出するために、まさに起死回生の策がこの「I.O.U」だったのです。しかし、そんな笑えない状態をアルバムタイトルにするあたりが、いい意味で皮肉屋のイギリス人らしいところです。ご存じのようにホールズワース名義では1970年代にCTIから「ヴェルベット・ダークネス」というアルバムがファーストということになりますが、彼自身は「忘れ去りたい駄作」といっています。

さて、ホールズワースの特徴は何といってもアームを駆使したウネウネフレーズとあまりに流麗すぎるレガート奏法。そして独自の解釈から編み出されたキーボードのようなコードヴォイシングです。もちろん、これ以前のアルバムでもその片鱗は十分に見せつけていたのですが、「俺にはこれしかないんじゃ」と開き直って前面に押し出したのは、この作品からではないでしょうか。しかし、あまりにも独創的な奏法なので、誰にも信じてもらえないと思ったのか、クレジットにはわざわざ「このアルバムではキーボードの類は一切使われていません」とわざわざ断り書きが印刷されたほどです。そういえば、Queenのファーストアルバムでも同じような断り書きがありましたね。

そんな状況で作られたアルバムですから、気合いが漲っているかと思いきや、作品はいたってクール。自身がもてるテクニックをふんだんに盛り込みながらも、伝わる印象は非常に冷静で計算し尽くされた仕上がりです。このアルバムによって多くのギターファンから熱烈な支持を集め、結果としてエディ・ヴァンヘイレンの援助によって「Road Games」が世に出る契機になったことはいうまでもありません。80年代のホールズワースを語るうえで重要な位置づけを担う作品であり、また個人的にもフェイヴァリッドな1枚です。ちなみに、ボーカルのPaul WilliamsはTempest時代からの盟友です。

このアルバムは日本ではディスクユニオンが初めて輸入。最初のアナログ盤のジャケットは黒でしたが、のちにEnigmaから再発売されたときはなぜか赤に変わっていました。昨年、紙ジャケットで再発売されたものは、オリジナルの黒に戻っていました。この再発売シリーズはファンにとって大変悩ましいもので、全部揃えるのには大変な出費を伴います。悩みに悩んだ末(?)、一番のお気に入りのこの作品を改めて買った次第です。ですからオリジナルのアナログ、初CD化のもの、そして今回の紙ジャケットの3枚を所有していることになります。自分でも大変な物好きだと呆れています。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Paul Carmichael / bass
Gary Husband / drums

●Numbers
1. The Things You See
2. Where Is One
3. Checking Out
4. Letters Of Marque
5 .Out From Under
6. Temporary Fault
7. Shalloe Sea
8. White Line
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アラン・ホールズワース関連」カテゴリの記事

コメント

私もホールズワース諸作の中ではIOUが一番のお気に入りです。

そんな苦しい資金状況のもとで制作された作品とは知りませんでした。
勉強になりました。

IOU以外ですと、メタルファティーグもいいですね。
ナン・トゥ・スーン等の最近?の盤は「I hate jazz!」と作品の中で叫んでいたのに、ジャズナンバーを取り入れたりしていて、微妙な感じがします(^ ^;

betta taroさま

コメントありがとうございます。
確か「IOU」は当時ギターマガジン誌で大きく特集していたと思います。

子どものミルク代を稼ぐために機材を売ったらしいのですが、同じようなことをしているマイナー系ミュージシャンは何人もいるのでしょうね。

「I hate jazz!」は有名なフレーズですが、ホールズワースの作品って結構会話とかつぶやきが入っています。「ツィッター親爺」の先駆けでしょうか?

>ホールズワースの作品って結構会話とかつぶやきが入っています。「ツィッター親爺」の先駆けでしょうか?

 →自身がツイターオヤジである私が言うのもなんですが(^ ^;
確かに、そういう音が入っている作品がままありますね。
 そこらへんの趣向については、UK時代等のプログレ路線の片鱗なのではないかと思っていました…

これも名盤ですね。
当時、かなり苦しい環境の中で製作されたアルバムだけに、
聴く方としても真摯に耳を傾ける姿勢が求められる。
そんな印象を抱いています。
ニュークリアスのデイブ・マックラエと短期間バンドを組んだようで、
その辺の発掘音源もリリースされればと願っています。

順さま

コメントありがとうございます。
発売から30年近く経つのですね。
それでも全く色あせていないところが驚きです。

デイブ・マックラエとの共演の件は初めて知りました。
John Stevensとの共演音源のように発掘されることを
期待したいと思います。

82年に渡英した時、マックラエとのセッションについての情報を集めました。
しかし特に収穫もなく、既にアランは西海岸へと(奥さんによると)旅立った後でした。

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