70年代正統派ジャズロックTerry Plumeri
Musician●Terry Plumeri(Bass)
Title●He Who Lives In Many Places(1971年)
■Amazon USAより購入
フリー系ベース奏者Terry Plumeri(テリー・プリュメリ)による1971年の作品。個人的にはこの70年代のジャズロックというものが大好物なのですが、理由は簡単で、この時期に制作されたサスペンス系、アクション系の映画音楽として盛んにこの手の音楽が導入されていたからです。実際、チャールズ・ブロンソン主演の「Death Wishシリーズ」やクリント・イーストウッド主演の「ダーティー・ハリー・シリーズ」では、ハービー・ハンコックやジミー・ペイジなどの当時の若手ミュージシャンが積極的に登用されているのです。映画そのものを楽しむこと以外に、音楽を聴いてわくわくと胸躍らすこともまた別の楽しみだったのです。
今回紹介するのはTerry Plumeriというベース奏者。例によって正体はよくわからず恐縮の限りですが、なにせこのアルバムに参加しているミュージシャンの豪華さに目が眩んで購入してしまいました。キーボードに先に挙げたHerbie Hancock、ベースにMichael Smith、ギターにJohn Abercrombie、パーカッションにEric Gravatt(白状すると、この人はよくは知りませんが)という布陣。どうやらベース担当のMichael Smithが2006年に亡くなり、追悼の意味を込めてCD化されたようです。
サウンドとしてはまさに期待通りの70年代ジャズロックの典型で、やたらと粘着質な旋律を刻むTerry Plumeriと歪み切ったハンコックのエレピ、そして珍しくファズを利かせたアバークロンビーのロック的なアプローチと、まさに聴きどころが満載。各プレイヤーの息詰まる迫真の攻防を見守っていると、時間が経つのも忘れてしまいます。きょうびの甘ったるいスムースジャズなどを好む人にとっては、まさに劇薬中の劇薬。刺激が強すぎるかもしれません。そのまま「ダーティー・ハリー」や「刑事コジャック」のテーマに使いたいくらいです。ちなみにギターのアバークロンビーは例のECMに参加以前のプレイで、70年代後半の嘆美的なプレイと比較しても面白いかもしれませんね。
アルバム自体はどうやら廃盤のようですが、海外のサイトを丹念に探すと見つかると思います。ジャズロック好きの方にぜひお勧めしたいと思います。
●Musician
Terry Plumeri / Acoustic Bass
Herbie Hancock / Acoustic & Fender Rhodes Piano
Michael Smith / Drum & Perc
John Abercrombie / Guitar
Eric Gravatt / Perc
●Numbers
1.Underwater
2.He Who Lives In Many Places
3.Timeworn
4.Dayspring America
5.Bees
下2枚はCDです。まるで別物ですね
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