JOHN ABERCROMBIE / ABERCROMBIE QUARTET(1980年)
Musician●John Abercrombie(E Guitar,Mandlin)
Title●Abercrombie Quartet(1980年)
■ディスクユニオンで購入
タイトルに「アバクロ」などと書きましたが、もちろんあのJ系タレントが着ていることで有名なファッションブランドのことではありません。ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)のことです。アバクロは1960年代後半からプロ活動をしていますが、70年代に入ってからECMに移籍後に頭角を現してきました。そしてバークリー音楽院時代からの盟友、リッチー・バイラークと組んだ「Arcade」 「Abercrombie Quartet」「M」という耽美系3部作でいったん頂点に達します。ところが、バイラークとECMの総帥Mアイヒャーとの確執が原因で、この3部作に限ってCD化が許されず、実質廃盤状態にあります。数年前にやっと「Arcade」がCD化されたものの、ほか2タイトルはいまだに廃盤という憂き目にあっています。
さて邦題は「ブルーウルフ」とされたこの作品ですが、究極な耽美的美しさを追求した「Arcade」と比べると、ややまとまった印象を受けます。各ソロイストの力量を極限にまで引き出した前作とは違い、バンドとしてのバランスに考慮した印象を受けます。したがってそれなりに聴きややすくなりましたが、逆に面白味が半減したようにも思えます。とは言いつつ、決して凡庸に陥らないところが彼らの素晴らしいところで、タイトル曲「Blue Wolf」で聴かれるむせび泣くようなアバクロのマンドリンは一聴の価値十分です。
「Arcade」と「M」に挟まれる感じで何となく地味な印象を受けるこの作品ですが、やはり中期ECMを語るうえではどうしても外せない重要な作品。返す返すも「大人の事情」のせいでCD化がならないことが残念でなりません。ちなみにこのブログのプロフィール写真はこのアルバムジャケットです。
●Musicians
John Abercrombie / guitar,electric mandolin
Richie Beirach / piano
George Mraz / bass
Peter Donald / drums
●Numbers
1.Blue Wolf
2.Dear Rain
3.Stray
4.Madagascar
5.Riddles
6.Foolish Dog
※アナログ盤でのみ入手可能
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Abercrombie Quartet John Abercrombie(ECM) LPを再生する環境が家に整って,レコードを整理していたら,これも持っていたのねぇってことで出てきたアルバムである。R [続きを読む]
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アバクロ先生とMickgoodrickは私のもっともレスペクトするジャズギター奏者です。
私の中では二人はちょうど光と影の様によりそう存在で、実際のところ変則フィンガーピッキング(アバクロ先生は当初はピック弾きでしたが…)という演奏スタイル等も似通っている様に思います。
両者ともにECMレーベルでの自身名義のリーダー作の印象が薄い感じがするのは私だけでしょうか…
アバクロ先生だと、Water is wideとかHyperion with Higginsあたりがベストパフォーマンスの様に思いますし、MickgoodrickはSunscreams やIn the same breathあたりの演奏が素晴らしい気がします。
投稿: betta taro | 2010年2月10日 (水) 18時43分
betta taroさま
コメントありがとうございます。
Goodrick先生もよく聴いていました。確かにおっしゃるように、2人ともリーダー作だと印象が薄いですね。特にGoodrick先生は極端な寡作なので、よけいにそう思えます。
ジャック・デジョネットの80年代ライブ(詳細は不明ですみません)を観ていたら、地味にバックを務めていました。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月11日 (木) 12時49分
おそらく、そのデジョネットのライブビデオは持っていると思います。ニュー・ディレクション名義のビデオで、ゲストでメセニーが登場する作品です。
ゲストのメセニーの方がレギュラーメンバーのグッドリック先生より多く露出されるというトホホな内容のビデオだったと思います(^ ^;
投稿: betta taro | 2010年2月11日 (木) 22時12分
betta taroさま
そうです、思い出しました。メセニーが出てくる映像です。CS放送で流れていたのをボーっと眺めただけなので、印象が希薄でした。
Goodrick先生のほうが先輩なのに、すっかりもっていかれた感が、かえって先生らしさが表れていました。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月11日 (木) 22時26分
奇天烈音楽士さん,こんばんは。TBありがとうございました。
私の家では暫くLPの再生環境が整っていなかったため,久しく聞いていないLPはほかにもまだまだあるんですが,ECMのアルバムはCD化されていないものや,思い入れの強いもの(Corea & Burtonのライブとか)を中心に残してあります。だいぶCD化は進んだとは言え,本作のようなアルバムも,ちゃんと流通させて欲しいものです。ダウンロードでは手に入るものも増えましたが,やはりフィジカルじゃないと私なんか納得できません。やっぱり年ですかねぇ。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年9月13日 (日) 21時24分
中年音楽狂さま
コメント&TBありがとうございます。
私の場合、アナログの再生環境がおそろしく貧相で、
USB出力可能なプレイヤーでiTunesに読み込ませ、
外に持ち出して通勤時に聴くというスタイルです。
ECMもそうなんですが、これは絶対にCD化されないだろうと思われる
ものを中心に残してあります。
時々、ディスクユニオンなどで漁盤したりしますが、
歳のせいか若いころのような執着心は流石になくなりました。
もちろん私も「モノ」として手元に存在しないと落ち着かないクチです(笑)。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2015年9月13日 (日) 21時41分