「蠍団」連投!ジャーマンメタルの最高峰Virgin Killer
Musicians●Scorpions
Title●Virgin Killer(1976年)
■ディスクユニオンで購入
「スコーピオンズ活動停止」のニュースのショックで連投をご容赦ください。70年代の彼らはまず「In Trance」(1975年)のジャケットデザインで当局から修正を迫られるという事件を起こしました。しかし、反骨精神の塊(?)である彼らは、翌年も同じようなことをしでかしてしまいます。1976年に発表された「Virgin Killer」はタイトルもさることながら、ジャケットデザインに欧米圏ではご法度の「少女ヌード」をあしらってしまい、すぐさま発禁処分を食らいます。慌てたレコード会社は差しさわりのないデザインに変更し、再発売するはめに。しかしながら、そうしたことに鷹揚な日本では、何年も「少女ヌードバージョン」で発売していました。
そんないきさつはともあれ、このアルバムは第2期スコーピオンズが送り出したジャーマンメタルの最高傑作だと確信します。ウルリッヒ・ジョン・ロートは徹頭徹尾ハードな音に終始しています。なかでもオープニングの「Pictured Life」のイントロのあまりの美しさに度肝を抜かれた人も多かったのではないでしょうか。ウリのギターテクニックはこの時期にすでに完成期を迎え、クラウス・マイネのヴォーカルも冴えわたっていただけに、個人的にはバンドの最高傑作だと思います。しかしながら、ルドルフ・シェンカーをはじめ他のメンバーは完全に蚊帳の外に追いやられてしまった感がありありと伺えます。それだけこの二人の力量が突出しているということなのです。表題曲の「ヴァージン・キラー」での鬼気迫るウリの暴力的なフレーズは、後世に語り次がれるほどの傑作でしょう。ただし「ヘル・キャット」と「ポーラー・ナイト」ではウリがヴォーカルをとっていますが、いかんせん声量が貧弱で、せっかくの名曲が台無しに。あえて重箱のスミをつつくとこの点だけが珠にキズです。
冒頭で触れたように、少女ヌードを使ったジャケットとアルバムタイトルとの相関から、発売当初から物議をかもし、ヨーロッパでは発禁処分に。オリジナルジャケットで出回っていたのは、日本をはじめわずかな国のみという状況がいまなお続いています。つい最近になって、廉価盤で再発売されましたが、やはり国内盤はオリジナルデザインを使用しています。欧米では、宗教的な倫理観が背景にあってこうしたことについてはかなり厳格なようですが、よろず神のわが国では寛容なようです。私は少し抵抗感があって(本当はレジに持っていけなかっただけの話で、親に見つかるとまずいと思ったのです)輸入盤を買いました。
●Musicians
Rudolf Schenker / guitar,vocal
Ulrich Roth / lead guitar,vocal
Klaus Meine / vocal
Francis Buchholz / bass
Rudy Lenners / drum
●Numbers
1. Pictured Life
2. Catch Your Train
3. In Your Park
4. Backstage Queen
5. Virgin Killer
6. Hell Cat
7. Crying Days
8. Polar Nights
9. Yellow Raven
下の2枚は発禁処分以後のジャケットです
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